すべての頂の上に安らぎあり

今日はぼくに残された人生の最初の一日。ぼくは、そしてぼくたちは、この困難と混乱の社会の中で、残りの人生をどう生きるか?

待つ

2022-07-26 09:27:32 | 自然・季節

海まで続く平野を
埋めつくしたヒナゲシの花が
予感のように
わずかに紅を褪せさせる

それから二・三週間後には
海はもう 手のつけようのない
散り乱れる光の洪水に変わっている

焼けつく地表から逃れようと
数知れぬカタツムリが
枯れかけた草に這い上がる頃
(彼らはみなそこで死に
 殻だけが残る)

すでに人影の絶えた丘陵を
砂まじりの熱風が寄せてくる
天と地の間のすべてのものを
押し包み窒息させるために

ふたたび雨が降りそそぐまでの
いつはてるとも知れぬ長い時の間
            (樋口悟「待つ」再録)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 流れよ流れ | トップ | 背の高い娘 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

自然・季節」カテゴリの最新記事