豊麗な蝶に
醜い青虫は 変身する
花になることを
風にのることを
夢みながら生きて
生きながら夢みて 「蝶」
遠い とおい日
お前は わたしを
蝶の道へと誘った
いまも わたしは
その道をたどり続けている
あのこなごなに砕けた
ステンドグラスを拾い集めるために 「ハンミョウ」
私の詞華集41 薩摩 忠「昆虫短詩抄」ただし、
「アルプ」194号より
残暑お見舞い申し上げます
5月末にハイキングで浅間山西方の水ノ塔山の何でもない下りで転倒し、顔面と右手首を骨折し、入院手術をしました。幸い軽くて済み、リハビリ中です。単なる不注意とか疲労とかを超えて、ひとつの総体としての身体の維持力が弱くなってきていることを感じるこの頃です。ただしぼくが心を痛めるのは自分のことではなく、地球という統一体の、あるいは人類総体の、維持力の衰えの現れである日々のニュースですが。
この夏の山登りの予定がすべて無くなったので、悶々としながら読書に励んでいます。とりあえず、お互いになんとか酷暑の夏を乗り切りましょう。涼しくなったらあるいは、ボードレールのように、激しい夏の光を懐かしむ気になるかもしれません。
(上の詩は、シャンソン好きなら「バラ色の人生」や「水に流して」や「ミラボー橋」(橋はミラボー、川はセーヌ‥の方)の訳詞でおなじみの薩摩忠の詩です。山の本でたまたま見つけたのですが、こんなのも書いているんですね。昆虫の詩集があるようです。)