枯れ残ったカエデの葉が
風に揺れる枝の下に
山茶花が咲いている
歌いながらあやす腕に
守られて
花はひっそりと白い
最後の葉が花の上に落ち
花もやがて根元の土に消えたら
自然は乾いた眠りにつく
この土地は開発計画があるそうだ
・・・時が流れ
新緑が 盛夏が廻り・・・
いつかまた この季節に
ぼくはここを訪れるだろうか
あるいは
ぼくが地上を去った後に
ぼくの想いや影だけが
ここを歩き回るだろうか
もうしばらくの間は
この場所はこのまま
在り続けなければならない
影が 失われた花を探して
さまよわぬように
せめて
骨のかけらが土に還るくらいの時間
思い出が消えるくらいの時間
亡霊の心が鎮まるくらいの時間