すべての頂の上に安らぎあり

今日はぼくに残された人生の最初の一日。ぼくは、そしてぼくたちは、この困難と混乱の社会の中で、残りの人生をどう生きるか?

暗い道

2023-12-14 13:27:42 | 山歩き

ここではもう沈んでしまった太陽が
振り返ると遥か高みの
さっきまでいた頂きを照らしている
あそこには安らぎがある
とでも言うように
天国に近く
優しく暖かく

だが 幻惑されてはいけない
もういちどあそこまで登って行こう
などと思ってはいけない
あそこは間もなく
極寒の闇に包まれる
人間の住めない場所になる

ぼくはこの薄暗い道を
歩いていかなければいけない
灯りのあるところまで
人の温もりのあるところまで

もう少しの間
生きて行くつもりなら

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朝の光

2023-12-12 10:42:19 | 山歩き

山道を行く時
たびたび前を歩いていたあの娘
声をかけるにはやや遠く
見え隠れしながら歩いていた娘
ザックも背負わぬ軽い姿で
しかし薄物をまとってとか
裸足でとかでなく
つまり霊魂とか幻とかでなく
どこか異界に導くという風でなく
振り返ることも無く
ただ黙って前を歩いていたあの娘

この頃 あの娘を見かけない

道は緩やかな登り坂
葉を落としかけたブナやミズナラの林
降り注ぐ朝の陽射し
坂道の先 小ピークの先に
深い空の淵
冬のまぶしい太陽

あの娘は
どんどん先に行って
光に溶けてしまったろうか

老いたぼくを
地上に残して

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