すべての頂の上に安らぎあり

今日はぼくに残された人生の最初の一日。ぼくは、そしてぼくたちは、この困難と混乱の社会の中で、残りの人生をどう生きるか?

2022-02-22 13:01:31 | 自然・季節

冬の午前の鈍い光は
すべてを静止させてしまう
枝の先に一枚だけ枯れ残った
縮れた山吹の葉
霜柱に持ち上げられて
切り通しから落ちてきた小石
道しるべの上を舞っていた羽虫も
そのまま中空に止まって動かない
旅人の歩みも
谷川の側で止まってしまう
心臓の鼓動が消え
白い息も広がるのをやめてしまう
時そのものが凍りついてしまったように

だがたぶん それはほんの一瞬のことなのだ
肌に感じられぬほどの風が立ち
野茨の固い芽をふるわせる
水底に映る枝の影が
止まった水をゆっくりと遡っていく
その時はじめて 旅人は知る
自分の周りに遍在している
目に見えぬ大気を
それが微かに動くと
時が動くのだということを

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