シャンソンの中の反戦歌について、あと幾つか取り上げたいものがあったが、今は気力がないので、またいつか、ということにしておく。涼しくなったら、続きを書く‥かも知れない。明日から、北アルプスにリフレッシュに行く。
取り上げようと思っていた幾つかのシャンソンのうち、「約束の地」と「ヒロシマ」については、国見靖幸さんの日本語訳歌詞があるので関心があったら本人に問い合わせてほしい。どちらも元の詞を十分に大切にしていて、良い訳だ。
このうち「約束の地」は日野美子さんが持ち歌にしている。熱唱なのでじかに聴いてもらえると嬉しい。
「ヒロシマ」は、本にも載っている既訳詞が物足りなく思えたので、頼んで訳してもらい(ぼくは歌詞には訳せないので)、歌っていたのだが、耳が悪くなって歌は止めてしまったので、今は歌う人がいないかもしれない。もったいないことだ。集会などでも歌えるし、その場でリピートを一緒にも歌ってもらえる。
また、「太陽とそよ風の下で」と、「今夜は帰れない」(厳密にはシャンソンではないが)は、朝倉ノニーさんの「朝倉ノニーの歌物語」というサイトで訳詞と動画が見られる。朝倉さんとは面識がないが、日本にシャンソンを紹介することに長年尽くしてこられた蓄積には感嘆している。
「太陽と‥」は美しい声のナナ・ムスクーリの歌う、シンプルな美しいメロディーの歌だ。今はこういう美しいものは少なくなってしまった。ぼくが東京日仏学院でフランス語を学んでいたころ、この歌は生徒の間で大変に人気があった。
「今夜は‥」はパリで活躍したポーランド出身の女優・歌手のアンナ・プリュクナルがポーランド語で歌った歌だ。ぼくは彼女の声が大好きでパリで彼女の自宅に会いに行ったし、コンサートのチラシ配りも手伝った。VTRや5枚組アルバムを日本に持ってきたが、今は手元にない。誰に貸したのか覚えていない。酔って人にものを貸したがるのは悪い癖だ。
あと、「インシャッラー」は、反戦歌ではなくイスラエル側に加担した歌だが、反戦歌と思っている人が多いようなので、取り上げるつもりでいたのだが、以前にすでに書いた。これも、国見さんに原詞に沿って訳してもらった新訳がある。ただし、ちゃんと訳してもらうとますます歌いにくい。(アダモは後に批判を受けて歌詞を書き直しているが、あまり知られていないし、書き直しが成功してもいない。)
エピソードをひとつ。故永田文夫先生がデュモンでシャンソンの講座をしていらした頃、ぼくはこの歌の訳が先生のものだと気が付かないで、「あれは誤訳です」ということを子細に申し上げたことがある。そのとき先生は困ったような顔をして「そうでしたか・・・」と口ごもっておられた(あとで気が付いて「ゲゲッ」となったのだが)。それから後しばらくの間、先生はお話をされた後、ぼくに向かって同意を求められることが何度もあったが、「よくわかりません」「知りません」としか答えられないので、そのうちやめてしまわれた。ぼくがフランス語は多少わかるがシャンソンについてはろくに知らないことに気が付かれたのだろう。問いかけが無くなってぼくはホッとした。
お後がよろしいようで・・
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