すべての頂の上に安らぎあり

今日はぼくに残された人生の最初の一日。ぼくは、そしてぼくたちは、この困難と混乱の社会の中で、残りの人生をどう生きるか?

その土地の食べ物

2019-05-22 21:45:03 | 自然・季節
 外国に行くと、その土地の食べ物が美味しい。ふだん口にすることのない高級食材とかでなく、外国人用の高級ホテルのレストランのフランス料理とかでなく、その土地のごく普通の、庶民の食べているものが美味しい。例えばコンゴに行くと、ウガリが美味しい。
 ウガリはコンゴ東部では主にマニオク(キャッサバ)をさらして毒抜きをして粉末にしたものからつくられる。大きなたらいに熱湯を用意し、それに粉をぶち込み、女性がそのたらいを両足で挟んで、大きなしゃもじのようなへらでかき回す。粉は粘りが出て、団子状になる。これを山盛りにテーブルの真ん中に置き、テーブルを囲んだめいめいが手でちぎって自分の皿にとってスープにつけて食べる。
 スープは、タンガニイカ湖で捕れる魚を干したものと、玉ねぎとトマトと、「ピリピリ」をと言ういかにも辛そうな名前の小さな丸い唐辛子とで作る。ぼくはこのウガリが大好物だった。食用バナナからつくった、アルコール度の低いどぶろく「カシキシ」も好物だった。
 首都キンシャサの大きな市場で、あるいは東部の小都市ブカブの市場で、おやつに揚げ菓子や果物を食べるのも好きだった。
 アルジェリアでは、プラント建設や操業の現場にいたので、日本人宿舎で生活して日本から来たコックさんの作る日本食を主に食べていたのだが、コックさんが休みを取る週末、町に出て裏通りの安食堂に行って、炭で焼いた羊の焼き肉や、お祝いの日用でないふだんのクスクスを食べるのが楽しみだった(羊の脳みそだけは、匂いが強すぎて食べられなかった)。
 市場で地中海の魚を買ってきて仲間と焼いたり刺身にしたり(刺身は器用な仲間がこしらえてくれた)もした。ナツメヤシやイチジクやオリーブやオレンジもおいしかった。オレンジは1キロ100円ぐらいで、山のように食べた。
 ギニアでは、海岸の漁師の村を回った。彼らが丸木舟で釣ってきて浜辺で燻製にする魚も美味しかった。川で獲れるナマズも美味しかった。退化した脚のある、ウナギのような細長い原始的な魚も美味しかった(残念ながら、名前を聞いたがメモをなくした)。
 ぼくがアフリカに行くたびに太って帰ってくるので、家族はあきれていた。
 …今日、朝から川崎の歯医者に行って、午後は上野に知り合いが出品している公募展を見に行った。お昼にファミレスでランチを食べた。「全然おいしくないな」と思いつつ仕方なく食べていて、外国の土地土地の食べ物を思い出した。
 ファミレスだけではない。ふだん家で食べる人参もトマトもジャガイモも牛乳も卵も、味が薄く、香りも薄く、たとえばフランスの市場で買うそれらの食品の味わいと比較にならない。
 …タシケントで食べる食材は、一口齧れば口の中に香りが広がって嬉しくなるような、お日様をいっぱい受けて育った野菜や果物本来の豊かな味がするのだろうな。
コメント
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