すべての頂の上に安らぎあり

今日はぼくに残された人生の最初の一日。ぼくは、そしてぼくたちは、この困難と混乱の社会の中で、残りの人生をどう生きるか?

「浅き春に寄せて」

2019-05-28 22:24:56 | 音楽の楽しみー歌
 きのう曲名だけ挙げた「浅き春に寄せて」の歌詞を書いておきたい。
 詩は太平洋戦争の直前に夭折した立原道造のもので、作曲は「水色のワルツ」でよく知られた高木東六。他にもいろいろな人が曲をつけているようで、いくつかがYoutubeにあるが、全部だめ。肝心の高木東六のものは無いようだ。ぼくは鮫島由美子が歌ったCDを持っている。
 発声の先生のところで練習して発表会にも出したのだが、ほかでは歌う機会がない(伴奏をしてもらうのがなかなか困難。いきなり「お客様も歌えます」に持って行くわけにもいかないし)。
 家でときどきメロディーだけ弾きながら口ずさんでいる。原調はB♭mだが、♭5つは弾くのが困難なので、Amで歌う。
 高木東六にはほかにも立原道造の詩に作曲をした「夢見たものは」がある。曲想は全く違うが、どちらも大好きだ。
 
  浅き春に寄せて

今は 二月 たったそれだけ
あたりには もう春がきこえている 
だけれども たったそれだけ
昔むかしの 約束はもうのこらない

今は 二月 たった一度だけ
夢のなかに ささやいて ひとはいない 
だけれども たった一度だけ
そのひとは 私のために ほほえんだ

そう 花は またひらくであろう
そして鳥は かわらずに啼いて
人びとは春のなかに 笑みかわすだろう

今は 二月 雪の面(も)につづいた 
私の みだれた足跡 それだけ
たったそれだけ 私には
私には

 (立原の原詩は旧かな遣い。旧かなはたいへん味わいのある美しい表記法だと思うが、ここでは高木の曲に合わせて新かなに変更している。また、最後の「私には」の繰り返しは原詩にはない。)
 立原は、高校時代に、中原中也とともに大好きだった(その前は、バイロン、ハイネ)。
立原の詩だから、この歌の「私」は本当は男性だと考えるのが自然だ。立原は自分自身の感情を詩にしたのであって、女性の感情を表現しようとしたものとは思えないので。
 もちろん、女性の歌として歌ってもいっこうに構わないのだが。
 楽譜は、全音楽譜出版の「日本名歌110曲集」の2巻にあります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする