すべての頂の上に安らぎあり

今日はぼくに残された人生の最初の一日。ぼくは、そしてぼくたちは、この困難と混乱の社会の中で、残りの人生をどう生きるか?

朝日(新聞でなく)

2018-03-13 22:05:17 | 山歩き
 古い友人夫妻からしばらくぶりに電話をもらった。子供を対象にした自然観察会や、春休み・夏休みを利用した自然教室を開いていた頃の仲間だ。仲間と言っても、農大出身でプロの樹木写真家である彼は大先輩で、ただ山が好きで自分がもっと自然について知りたいと思っていただけのぼくは、何でも教えてもらった。
 「久しぶりにこちらに出た来たから」と言ってこの前会ったのは2年半ほど前で、その時は「20年ぶりぐらいかね。変わらないね。いや、歳をとったね」と言ってお互いに笑った。彼女の方は昔から可憐な人で、その時も少女のようだったが、今年還暦だという。
 彼らは今、山形の朝日連峰に行く途中の山の中の、廃村になった集落の、かつて自然教室に使っていた農家に住んでいる。そこに至る林道は、朝日町の除雪区域外で、冬のあいだは完全に雪に閉ざされる。保存できる食料を秋のうちにつくっておいて、それ以外の食料や燃料は通行可能な12月のうちに冬中の分、買いだめをしておいて、野菜など保存ができない生鮮食料品だけは、2週間に一度くらい、町のスーパーに電話して林道の車が入れるゲートのところまで届けておいてもらう。それを足にカンジキをつけて雪の中を700メートルぐらい歩いて取りに行くのだという。郵便物もその時に一緒に受け取る。ぼくの退職のはがきも昨日届いたのだ。
 「仕事をやめたんだったら、雪が解けたら長期滞在においでよ」と誘ってくれた。ぼくも、まだそこには行ったことがないので、何時か訪ねたいと思っていた。
 朝日連峰には若い頃にずいぶん登りに行った。山形側から大朝日岳に登る登山基地に「朝日鉱泉ナチュラリストの家」というのがあって、そこも同じ仲間である古い友人が経営している。
 朝日連峰は良い山だ。主峰の大朝日岳で標高1870mしかないが、北にあるし豪雪地帯だから、夏でも雪渓が残り、高山植物が花咲き、北アルプスの3000m級の高峰に劣らない。
 ぼくはもともと、百名山を次々に踏破、という志向ではなくて、同じ山に何度も行くのが好きだ(本も、気に入った本は何度も読むのが好きだ)。朝日連峰は八ヶ岳の次に何度も行っている。
 ただし造山運動の比較的新しい山塊だから、浸食がまだそれほど進んでいなくて、谷から稜線に至る斜面は急で、登るのにはかなりきつい。しかも稜線上の小屋はどこも避難小屋で、食料と寝袋を担いで登らなければならない(その分、人は少なくて静かな山なのだ)。 
 今のぼくの年齢と体力で登れるかどうかはわからない。でもまあ、もう一度体力をつけて、チャレンジしてみるか。途中まででも構わない。下山後、彼らのところに尋ねて行くことにしよう。
 でも今年は、7月に兄弟とスコットランドの山に登りに行き、ついでに湖水地方を散策してくる約束をしているし、8月末には、毎年アルプスに一緒に行っている仲間と今年も行く約束をしているし、朝日は来年かなあ。
 まず、それまでお互いに健康でいなくちゃ。
コメント (2)
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