肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『-less [レス]』、観ました。

2005-09-30 20:26:01 | 映画(ら・わ行)

-less[レス] ◆20%OFF!

 『-less [レス]』、観ました。
イブの夜、毎年恒例のクリスマスパーティーに出席するため、車を走らせる
ハリントン一家。近道である人気のない森へ向かったが、いくら車を
走らせても目的地にたどり着かない。やがて、道端に赤ん坊を抱えた
白いドレスの女が現れ……。
 さすが数々の映画祭で賞を受賞したというのも頷(うなず)ける。近年の
サスペンスホラーの中では出色の出来栄えだ。
『ソウ〈SAW〉』よりも‥、
『CUBE』よりも‥、ボクは本作の方が断然上だと思った。“夜のドライヴ”
というシチュエーションだけで、このサスペンスを成立させ、完結させて
しまうのは脚本の凄さ。ひたすら続く一本道…、車が止まれば“誰かが死ぬ”。
辺りは“闇”が支配して、逃げ出したくても逃げ出せない‥‥、なるほど、
こういう“密室”の作り方もあるのかと、思わず感心させられることしきり。
まさにアイデアの勝利だね。
 さて、映画は、あらかじめ観る側に「何かある」と暗示させてはいるが、
決して“どんでん返し”だけを売りにしたサスペンス映画ではないと思う。
カンの良い人なら、そのタネは10分も観てれば分かっちゃうだろうし、
そして、ボクもその一人‥。いや、むしろ、この作り手は、それがバレても
構わないとの覚悟の上で、物語を進行しているようにさえ思えてくる。
満天の星空…、顔に傷のある女…、黒い車…、ジングルベルの歌…、
地図にない街…、食べられることのないクリスマスケーキ…、そして
妻の浮気話さえも……、それらは一見、何の変哲もない事柄のようで、
実はある状況とある状況とが重なった時に、突如として“恐怖のディテール”に
変貌し、観ている我らに襲いかかってくる。時としてグロやショッカー
演出もあるけれど、最小限に抑えてあって、ボクはあまり気にならなかった。
ふー、久しぶりに“体の芯”からゾクゾクするような震えが湧き上がってきた。
やっぱりスリラーはこうでなくっちゃ。


 


映画レビュー・タイトル一覧(あ行)

2005-09-30 11:29:22 | 映画レビュー・タイトル一覧

【あ行】
『“アイデンティティー”』・『アイ・アム・レジェンド』・『アイアンマン』・『アイランド』『アイ,ロボット』・『悪人』・『悪魔の棲む家(2005年)』『明日の記憶』『あずみ』『アダプテーション』・『アドレナリン』・『アドルフの画集』『アビエイター』・『アヒルと鴨のコインロッカー』・『アポカリプト』・『甘い生活』『アメリ』『アモーレス・ペロス』『あらしのよるに』『アルゴ探検隊の大冒険』『ある子供』・『あるスキャンダルの覚え書き』・『アレキサンダー』『イーオン・フラックス』『硫黄島からの手紙』『生きる』『いつか読書する日』・『犬神家の一族(2006)』・『イワン雷帝』・『イングリッシュ・ペイシェント』・『インサイド・マン』・『インセプション』・『インソムニア』・『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』・『インドへの道』『イン・ハー・シューズ』・『インビクタス‐負けざる者たち‐』・『インファナル・アフェア』『インファナル・アフェアⅡ/無間序曲』『インファナル・アフェアⅢ 終極無間』・『インベージョン』・『ヴァイブレータ』『ヴァンパイア/吸血鬼(カール・ドライヤー)』『ウィスキー』『Vフォー・ヴェンデッタ』・『ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~』・『ヴィレッジ』『ウィンブルドン』『ウエスタン』『ヴェニスの商人』『ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』『宇宙戦争』『美しい夏キリシマ』『うつせみ』『海を飛ぶ夢』『運命じゃない人』『エイリアンVS.プレデター』・『AVP2 エイリアンズVS.プレデター』・『X-MEN2』『X-MEN ファイナルディシジョン』『エターナル・サンシャイン』・『エディット・ピアフ ~愛の讃歌~』・『エデンより彼方に』『えびボクサー』『エミリー・ローズ』・『エリザベス:ゴールデン・エイジ』・『エリザベスタウン』『オアシス』『大いなる幻影(1937年)』・『大奥』・『王の男』『オーシャンズ12』・『オーシャンズ13』・『オーメン666』『オープン・ウォーター』『ALWAYS 三丁目の夕日』・『ALWAYS 続・三丁目の夕日』・『オール・ザ・キングスメン』・『オールド・ボーイ』『奥さまは魔女』・『おくりびと』・『おばあちゃんの家』『オペラ座の怪人』『オリバー!』・『オリバー・ツイスト(ロマン・ポランスキー)』



『皇帝ペンギン』、観ました。

2005-09-29 19:21:02 | 映画(か行)

皇帝ペンギン プレミアム・エディション ◆20%OFF!

 『皇帝ペンギン』、映画館で観ました。
南極に冬の気配が訪れる頃、皇帝ペンギンたちは、自由と安息を約束する海を
離れ、営巣地へ向けて100キロ近い行進を始める。生まれてくる我が子を
外敵から守る最良の地。しかしそこでは、マイナス40度とブリザードの中、
120日間の絶食という過酷な試練が待っていた‥‥。 
 ここに描かれる“大自然の猛威”の中、力尽きて死んでいくヒナを見て、
ワイフはオイオイ嗚咽を漏らし号泣したらしい(笑)。きっと彼女は、ペンギン
一家の“健気なほどの親子愛”に、自分の娘を置き換えて観てしまったのだろう。
だけど、オイラの観方はそれとは違っていて、ペンギン達に対する“憐れみ”よりも
むしろ“生命(いのち)の逞しさ”と、太古の昔より繰り返された“自然の
摂理”を感じずにはいられない。この世に生まれくる生命は、その誕生とともに
“篩(ふる)い”にかけられ、弱い者は消え、強い者だけが生き残っていく。
そして、その生き残った強いDNA同士が結び付き、さらに強い種族として
“新しい生命”を繋いでいくのだ。人間による乱獲や、地球温暖化の犠牲に
なるのならともかく、“大自然の掟(おきて)”の中で死んでいく彼らは、
“自然界の一員”としての役割を立派に果たしたのだよ。一見ユーモラスで
愛嬌たっぷりのペンギンも、実は普段のボクらが考えもつかないような
壮絶なる環境を必死に生き抜いている、、こういう真実を知ることは
子供にとっても、勿論我ら大人にとっても、重要なことだとボクは思う。
 それにつけても、映画館の館内はクーラーの利き過ぎで“北極”のよう…(笑)。
こんなエネルギーの無駄遣いが、地球の温暖化を加速させているんだなぁと
思いつつ、奥歯をガチガチ凍えそうなオイラの席の目前で、温めるように
抱きしめ合って観ている親子連れを発見。そのお姿は、互いの身を寄せ合って
寒さをしのぐ、スクリーンの皇帝ペンギン一家のようでありました(笑)。

 


『アレキサンダー』、観ました。

2005-09-29 19:00:22 | 映画(あ行)
アレキサンダー プレミアム・エディション

松竹

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 『アレキサンダー』、観ました。
紀元前356年、国王フィリッポスとその妻にして息子を王にすることだけに
情熱を燃やすオリンピアスとの間に生まれたアレキサンダー。フィリッポスが
暗殺され20歳で王となったアレキサンダーは世界征服へと旅立つ…。 
 この映画が昨年度ゴールデンラズベリー(最低映画)賞にノミネートされ、
映画評論家一行(いっこう)からケチョンケチョンにケナされたは先刻ご承知。
それについてはオイラだって何も申すまい(笑)。だけと、チョット待てッ!、
だからと言って、この映画に全く観るべきものがないかと言えばそうではなく、
細部にまでこだわった衣装や宝石の数々と、絢爛たるバビロン調室内装飾の
美しさ、そして、脈打つような戦闘シーンのド迫力などなど‥‥、オリバー・
ストーンの創り出す圧倒的でダイナミックな映像美に、ぶったまげること
しばしば。やはり、何だかんだと言ったって、これだけの映像を作れる人は、
ハリウッド広しといえども、そう簡単には見つからないはず。仮に、この作品に
対する評価がどうであれ、それだけは認めざるを得ない事実だと思うよ。
 ならば、この映画失敗の原因はどこにあるのか聞かれれば、“夢の始まり”が
描かれていないこと‥‥それに尽きると思う。自分の父も‥、過去の偉大な
先人達も‥、誰も成しえなかった“世界統一の夢”を果たすため、軍を東へ…
更に東へと進ませるアレキサンダー‥。しかし、本作を見る限り、何が彼を
そう掻き立てるのか、そして最終的に彼は何をしたいのか、一向に見えてこない。
使命感?、野心?、名誉欲?、、いや、むしろボクには“傲慢な母”の監視から
逃れるために、遠く遠く故郷を離れ、長く長く旅を続けているようにさえ
思えてくる。つまり、その“急所”となる部分が欠落しているために、観る側は
彼の行動が理解できぬまま、ただただ首を傾げてしまう。ボクはこの映画を観て、
アレキサンダーが残した功績と、遥かなる旅の足跡(そくせき)は分かったけど、
彼の“心の本質”は見えてこなかった。うん、残念だけど、それが正直な感想だな。


『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル』、観ました。

2005-09-29 18:59:04 | 映画(か行)
映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル

バンダイビジュアル

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 『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル』、観ました。
しんのすけたちは「アクション仮面」最新作試写会の豪華客船ツアーへ。
そこに突然謎のサル軍団が現れ、島に大人たちを連れ去ってしまう。
しんのすけたちは勇気を振り絞って救出に向かうが‥‥。
 映画ファン、アニメファンの間でにわかに“傑作シリーズもの”との
評価の高い『映画クレヨンしんちゃん』シリーズ。それならモノは試しと思って
観てみれば、想像以上に笑わされ、想像以上に泣かされた。“子供”は
ゲラゲラ、ゲラゲラ大笑い、反対に“大人”はと言えば「こんなハズじゃ
なかったのに‥」と映画館で大泣きしたパパさんママさんも多いのでは。
特に今作は「仮面ライダー」や「ゴレンジャー」をリアルタイムで体験した
我らの世代には感涙モノの内容。この映画を、かつて子供だった全ての
大人たちへ‥‥。
 TV版「しんちゃん」は全国のお母さま方から子供に見せたくない番組
ベスト1にも選ばれる嫌われ者TVアニメ。しかし、この映画版『しんちゃん』を
侮(あなど)るなかれ。勿論、途中まではTVシリーズさながらにおバカ路線と
お下劣路線を突き進むのですが(笑)、映画の中盤を過ぎたあたりから
“ノスタルジック”が漂い始め、ついにボクは泣き出した(笑)。つまりは
前半の“おバカ路線”が伏線となって、後半はそのバカバカしいほどの
“純粋さ”に感動してしまう。それにしても、野原しんのすけという男、、
見掛けによらず熱い奴ッ!映画中盤、しんちゃんが悪の帝王パラダイス
キングに立ち向かう“怒りの叫び”は、グサッとオイラの心に突き刺さったゼ。
ただのファミリーエンターテイメントに留まらず、ここには家族の愛も、友情も、
動物愛護も、反戦も、すべてのテーマが詰まってる。こんなに素晴らしい
アニメ映画を親子いっしょに観られるなんて、今の子供たちは幸せだなぁ。


『コンスタンティン』、観ました。

2005-09-29 18:58:06 | 映画(か行)
コンスタンティン

ワーナー・ホーム・ビデオ

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 『コンスタンティン』、観ました。
過去たった一度の自殺未遂の罪を償うため、天国行きを閉ざされたジョン・
コンスタンティン。彼は天国に行くために自らの特殊な能力を生かして、
悪魔祓(ばら)いのエクソシストとなるが……。
 こことは違う、別の世界にいる“何か”との戦い…、感情を押し殺した
黒い衣装の主人公……、明らかに本作が、あの『マトリックス』の路線を
狙った“二匹目のドジョウ(?)”だと分かるはず。主演は両作品ともに
キアヌ・リーブス‥‥ただ、先の『マトリックス』が神話的要素を取り入れ、
主人公を「伝説の救世主」としたのに対し、今作『コンスタンティン』は
黙示録に書かれた世紀末を予感させる内容で、主人公自身も「神に
見放された孤独な男」として描かれている。まぁ、しかし、観る側から
してみれば、二番煎じだろうが、三番煎じだろうが、面白くさえあれば
何でも良いんだけどサ。ならば、回りくどいこと一切なしに言わしてもらうと、
『マトリックス』をつまらないと感じた人には、まずこの映画も楽しめない。
一方で、『マトリックス』を面白いと感じた人でも、この映画を楽しめるとは
限らない……。オイラの言わんとしていること、分かるよね。つまり、そういう
ことなのダ(笑)。
 さて、映画は、オープニングの悪魔祓いから始まって、闇で蠢(うごめ)く
怪物たちとの死闘、そして幻想的な地獄の描写まで、見所は満載だ。
しかし、そのダークでオカルティックな内容とは裏腹に、観る側に身震い
するような“恐怖”が伝わってこないのが残念。それから、運命の槍に…、
魔除けのペンダントに…、手に刻まれた刻印に…、意味深なアイテムが
登場するものの、それが物語の中で生かしきれてないのも気になるところ。
聞けば、この監督さんはミュージッククリップ界出身の人らしくて、やはり
シナリオ作りに難有りとみた。勿論、ビジュアル面ではオッと思わせる箇所も
あるんだけどね。


『甘い生活』、観ました。

2005-09-29 18:56:37 | 映画(あ行)
甘い生活

ビデオメーカー

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 『甘い生活』、観ました。
作家を夢見てローマに出てきたものの、今ではしがないゴシップ記者に
甘んじているマルチェロ。彼の目を通して当時のローマの“華やかさ”と、
その裏側に潜む上流階級の “退廃”を描く‥‥。
 「フェリーニのような才能はもう二度と現れないだろう‥」と言ったのは
黒澤明。まさに『甘い生活』は“その言葉”を実証するような傑作、
フェリーニ以外には作れない名画だと思います。ボクにとって、これが
2回目の鑑賞となる『甘い生活』ですが、独立した“エピソード”の羅列、
“3時間”を超える上映時間は決して観やすい映画ではない。しかし、今回
観直してみて思うのは、ヘリに“吊るされたキリスト像”のオープニングから、
網にかかった“醜い巨大魚”のラストシーンまで、すべてのエピソードは
それぞれの“象徴的な映像”の上で成り立っているということ。そして、
それらに共通して描かれるテーマは「実像と虚像」‥‥“偽の信仰心”と、
“見せかけの幸福”と、“作られたカリスマ”と、“いつわりの愛”と、
“かりそめの夢”と‥‥。そんな「虚像」ばかりの生活に慣れ、堕ちていく
主人公の“醜さ”を見よ。“人間らしさ”の欠片もない、道化のような
生き方で誤魔化す毎日‥‥そう、ラストシーンで彼が見た“太った醜い魚”は、
まぎれもなく“堕落した彼自身”だったのです。もう元には戻れない、
この堕落した生活から抜け出す勇気すらなくなった彼の“哀愁”が滲み出て
いました。


『ウィンブルドン』、観ました。

2005-09-29 18:55:14 | 映画(あ行)
ウィンブルドン

ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン

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 『ウィンブルドン』、観ました。
今年のウィンブルドンを最後に引退しようと考えていた落ち目のテニス選手
ピーターは、ホテルの部屋を間違えたことをきっかけに女子の優勝候補
リジーと出会う。気があったふたりは接近していき、彼女の応援でピーターは
次々勝ち上がっていくが‥‥。
 見かけによらず、オイラは中学・高校とテニス部所属。だから今でも
「ウィンブルドン」と聞けば血が騒ぐ(笑)。うん、そんな感じで、
何の気なしに借りて観たのであるが、これが意外や意外に面白い。
大抵、この手のスポーツ映画は、“ゲームの緊張感”やら、“スタンドの
臨場感”やらが、イマイチ伝わらないのが常なんだけど、今回はこの辺の
課題も見事にクリア。特に、プレー中の主人公がブツブツ、あーでもない、
こーでもないと独り言、、「動揺」と「開き直り」を繰り返す様が、
何とも観ていて楽しいのダ。だって、曲がりなりにも(?)経験者の
立場から言わせてもらうと、テニスは“メンタルなスポーツ”。ひとつの
凡ミスから…、ひとつのコードボールから…、ひとつのミスジャッジから…、
心が揺れ動き、突如として恐怖でボールが打てなくなる時があるんだよ。
本作では、そういう“心理戦”の面白さもしっかり描かれているし、
久しぶりに“10代の頃”に戻って、自分がプレーしているような錯覚を
覚えてしまいました。
 さて、映画は、引退間近のオジさんプレイヤーと、今や飛ぶ鳥を落とす
勢いの若き女子プレイヤーの恋物語。まぁ、話の展開は一言で言って、
王道を行く…、15分も観てれば、結末なんぞ簡単に読めちゃうんだけどサ(笑)。
何より“テニスの聖地”である「ウィンブルドン」、、その伝統を
重んじる“英国人の精神”みたいなものがよく描かれていて、中でも
主人公を決勝のコートに送り出す“人々の優しさ”には、思わず熱いものが
胸に込みあげてきた(涙)。「映画」と「スポーツ」をこよなく愛する
オイラとしては、結構こういうのにヨワいんだよね(笑)。


『セルラー』、観ました。

2005-09-29 18:54:15 | 映画(さ行)
セルラー

アミューズソフトエンタテインメント

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 『セルラー』、観ました。
愛する夫や息子と暮らしている高校教師ジェシカの幸福な生活は、突然、
自宅に侵入してきた男たちによって砕け散る。彼女は監禁された部屋の
壊された電話で外部との連絡を試み、見知らぬ青年の携帯電話に繋がるのだが…。
 冷静に考えれば…、いや、冷静にならずとも、その場でチョット考えれば
子供でも分かりそうな“ありえないストーリー展開”。警察に助けを求める
チャンスはいくらでもあったはずなのに、それをしないアナタはナゼ??(笑)‥‥
確信犯??、それとも、単なるご都合主義??、まぁ、この際そんなことは
どうでも良い。ひとつ言えることは、ありえないと分かっちゃいても
それを言わせぬ“パワー”がこの映画にあるってこと。スジ道なんて
通ってなくて良いじゃないか(笑)、面白くさえあれば、それで良い。
この映画で重要なのは、ノリの良さとスピード感。だから、文字通りの
ジェットコースタームービー、、乗ったら最後、途中下車は出来ないゼ(笑)。
 さて、今作タイトルとなる《セルラー》とは、すなわち“携帯電話”のこと。
その携帯電話の「便利さ」と「不便さ」を、巧みに利用して繰り広げられる
サスペンスの妙。しかも、スリルだけじゃなく、要所各所に配置された
コミカルな痛快ドタバタ劇。その両者の絶妙なバランスは終始崩れることはなく、
エンドロールまで一気呵成に突き進む。この映画最大の成功は、面識なき
2人の主人公、、片や‘女’はいつ殺されるか、身に迫った恐怖に絶叫し、
片や‘男’はわけも分からぬまま、慌てふためき紆余曲折を繰り返す。それを
携帯電話の電波が繋げる“見えない絆の危うさ”にある。それにつけても、
あれだけの長時間使いっぱなしの携帯電話の通話料金、しめてお幾らほどに
なったのか気になってしまうオレ、、庶民としての悲しいサガなのだ(笑)。


『アビエイター』、観ました。

2005-09-29 18:53:29 | 映画(あ行)
アビエイター プレミアム・エディション

松竹

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 『アビエイター』、観ました。
急死した父親の事業を継ぎ、僅か18歳で大富豪になったハワード・ヒューズは
映画製作に進出。ハリウッドでの成功という夢を叶えるが、世界最速の飛行機を
作りたいというもう一つの夢にのめりこんだ時、何かが狂い始める…。
 観ながらボクは、ここに“ある歴史的傑作の影”を垣間見る。若くして
巨大な富を得た主人公、しかし、そのサクセスストーリーの一方で、徐々に
周囲からは孤立して、“孤独”の檻の中に閉じこもる。そして、そんな彼が
夢の果てに求めたのは、幼き頃の“母の温もり”だった‥‥。そう、チョット
詳しい映画ファンなら、この底辺に流れるものがオーソン・ウェルズの傑作
『市民ケーン』だということに気付くはず。ならば、マーティン・スコセッシは、
単に過去の名作を今に蘇らせただけなのか‥‥いや、ボクは全く違う観方を
しているんだ。つまり、ここに描かれる主人公の姿が、そのまま“今の
アメリカ”なのではないかってこと。今や世界随一の巨大国家でありながら、
その行き先を見失い、迷走し続けるアメリカ…、強いては、その傲慢さゆえに、
世界から孤立しつつあるアメリカ……、スコセッシはこの映画を通して、
今のアメリカの危機的状態に“警笛”を鳴らしているように思えて仕方ない。
ボクは勿論『市民ケーン』も大好きな作品だけど、この『アビエイター』も
それに負けず劣らず物凄い映画だと思うよ。
 さて、この実在の主人公ハワード・ヒューズは、良きにつけ悪しきにつけ、
どこまでも“夢”を追い続けた一人の男。ときに、それが間違った方向へ
向かいそうな時も、決して後戻りはしない。まさに、彼が生涯愛し続けた
“飛行機”のように……。そして、ボクは思うんだ、そんな目にも止まらぬ
スピードで駆け抜けた人生だからこそ、せめて心休まる場所が欲しかった‥‥
それが“母の優しさ”。彼がその後の人生で“年上の女性”を愛していくのは、
そこに“母の面影”を探していたからではないだろうか。


『過去のない男』、観ました。

2005-09-29 18:52:38 | 映画(か行)
過去のない男

アミューズソフトエンタテインメント

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 『過去のない男』、観ました。
暴漢に襲われ、瀕死の重傷を負い記憶をなくしてしまった男。彼は港湾の
コンテナに住む一家に助けられ穏やかに時間が過ぎていくある日、救世軍の女
イルマと出会う‥‥。
 くしくも今作の直前に観たのが過激なレイプ描写が話題となった『アレックス』。
そのあまりにも“暴力的過ぎる内容”に途中で頭が痛くなり、ついには
観るのを 止めちゃった。打って変わって今作はゆったりとした時間の流れと、
しみじみとした “優しさ”が胸に染みる人間ドラマ。“暴力”に溢れた
今の時代だからこそ、こういう映画を観るとホッとする‥‥。
 これまでにアキ・カウリスマキの映画は『浮雲』『マッチ工場の少女』と
観てきた ボクですが、この三本目にしてやっとカウリスマキ作品の良さが
分かったような気がする。映像や台詞をキチキチに入れるのではなく、
「空白」と「間(ま)」を利用して“映画の美しさ”を表現する。テーマを
“直接的”に描くのではなく、「シュールな笑い」というオブラートで
包み隠しながら観終わった観客に“何か”を実感させていく。ならば、
この映画でボクが実感した“何か”とは……、絶望を経験して初めて気付く
“小さな幸せの形”だった。それを象徴するディテールは穴の空いたバケツと、
壊れたジュークボックスと、ゴミ箱に住む隣人と、更には屋外の演奏会に
合わせてダンスを踊る老人達‥‥全てが貧しいながらも、思わずホノボノとして
しまう美しい光景だった。そこには“人間本来の姿”があり、“温かい心”に
溢れていた。こんな貧困と暴力に満ち溢れた世界、、生きるってのは辛くて
哀しいことだけど、《それでもまだ世の中捨てたもんじゃないんだよ》って
優しくボクの肩を叩かれてるような気がしました。


『パッチギ!』、観ました。

2005-09-29 18:51:46 | 映画(は行)

パッチギ!スタンダード・エディション ◆20%OFF!

 『パッチギ!』、観ました。
1968年、京都。高校2年生の康介は、担任からの指示で親友の紀男と敵対する
朝鮮高校に親善サッカーの試合を申し込みに行く。そこで康介は音楽室で
フルートを吹くキョンジャに一目惚れするが……。
 大スターはなくとも強烈な個性をいかすキャスティング、、なかなか良いじゃ~
ありませんか。毒の効いたセリフに、人情味たっぷり会話の味わい、、これまた
良いじゃ~ありませんか。ただ、ボクの正直な感想を聞かれれば、返答に困る…。
実は、イマイチ乗り切れなかったんだよねぇ~‥‥というのは、劇中で
これでもかこれでもかと挿入される喧嘩シーンと暴力描写。虐(しいた)げられて
きた者の悔しさと哀しみ…、そのはけ口を表現する上で“暴力”を全く描くなとは
言わないけれど、今作の場合は必要以上に描き過ぎてるかなと……。確かに、
日本人と在日朝鮮人が分かり合うには、その歴史認識について…、それぞれが
置かれた境遇について…、“真正面”から向かい合わなくちゃいけない。
しかし、それが《=暴力》かと言えば、それもまた違うと思うんだけどね。
 さて、映画は、そんな暴力シーンの一方で、日本人と在日朝鮮人、若い男女の
恋模様がみずみずしく描かれている。“言葉”ではなく“ハート”で‥‥
その真心と真心が触れ合ったときに芽生える愛。。それが、最も象徴的に
描かれるのが、円山公園の送迎会…。主人公と在日のヒロインが、それぞれに
楽器を持ちよって演奏される「イムジン河」の温もりは、周囲の冷たい“偏見”や
見えない“心の壁”を溶かしていく。何とも優しい気持ちに包まれる名シーンだ。
 それにしても、ラジオディレクター役で登場!、ハウンドドッグ・大友康平は、
僅か数分の出演ながら、涙も…笑いも…オイシイところを全部持っていってしまう。
ホント、キャラ強い人は得だよなぁ~(笑)。

 


『ゲロッパ! GET UP』、観ました。

2005-09-29 18:50:20 | 映画(か行)
ゲロッパ ! GET UP スペシャル・エディション

ハピネット・ピクチャーズ

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 『ゲロッパ! GET UP』、観ました。
ヤクザ組長の羽原は収監を控え、大好きなジェームズ・ブラウンの名古屋
公演に行けなくなってしまった。気落ちした羽原を見て、弟分の金山は、
子分に「JBをさらって来い」と命令を下す‥‥。
 “オススメ映画”ではない、かと言って“ススメられない映画”でもない。
そこそこ楽しめて、後には何も残らない。“喉ごしスッキリ”ライトビール
のような軽いストーリーと、個性派揃いのキャスティングが魅力。“いつも
良い人”西田敏行と、“いつも変な人”岸部一徳の個性と個性のぶつかり合い。
藤山直美のバツグンの“存在感”、「コント赤信号」小宮の“不気味(?)”、
そして「ラグーナ支配人」益岡徹の“濃ゆい顔”、気になるなぁ~、
あの“太い眉”(笑)。
 そんな感じでこの映画、特に心に残った場面はないけれど、物まねショーの
“ツインズ”美空ひばりには驚いた(笑)。しかも、歌うは「川の流れのように」。
実はこの歌、最近ボクはワイフと行ったカラオケで“大失敗”したばかり。
口惜しいけれど、今の時点でボクに“美空ひばり”は歌えない。まさか
『ゲロッパ!』であの日の屈辱と挫折感を思い出すとは思わなかった(涙)。
次回こそは‥‥さぁ、練習あるのみ(笑)。


『オペラ座の怪人』、観ました。

2005-09-29 15:32:35 | 映画(あ行)

オペラ座の怪人 通常版 ◆20%OFF!

 『オペラ座の怪人』、観ました。
19世紀パリのオペラ座では、怪人“ファントム”の仕業とされる謎の怪事件が
多発していた。歌姫クリスティーヌは、ファントムを“音楽の天使”と信じ、
やがてプリマドンナへと成長するのだが……。
 これは映画館の大スクリーンと大音響で観てこそ、生きる映画、、家庭の
TV画面のサイズでは、その迫力と魅力は半分も伝わらないのでは‥‥。
だから、他の人の評価など気にせずに、どうか貴方が今出来うる最高の
オーディオ環境でこの映画を観ることをオススメする。ビデオよりもDVDで…、
ホームシアターがある人は是非ともそれを活用して……、まぁ、そんな事を
言いつつも、当のオイラはベビーとワイフの“冷たい視線”に耐え切れず、
ボリュームを絞りに絞って観たわけだがね(笑)。
 さて映画は、上にも書いた通り、「見せる」というよりは「魅せる」映画、
「聞かせる」というよりは「聴かせる」映画、、、超一級のエンターテイメント
として観た方が良さそうだ。絢爛たる衣装の数々と、目にも眩(まばゆ)い
ミュージカルシーンの華やかさ‥‥しかし、その表裏(ひょうり)で、怪人
(ファントム)の仮面の裏に隠された“痛切な過去”と、悪魔のように甘く
しなやかな歌声のコントラストに酔う……。ひとつ残念なのは、オペラ劇の
“臨場感”と、巨大セットの“奥行き”が、今ひとつ観る側に伝わってこないこと。
これは監督の演出力以前に、単調なカメラワークと編集によるところが
大きいと思う。その辺が何とも惜しまれるマイナス点。美しく可憐なエミー・
ロッサムをはじめとするメインキャストの3人は、自前の美声とダンスを
披露して、文句なしに頑張っているのだが。

 


『恋は邪魔者』、観ました。

2005-09-29 15:30:35 | 映画(か行)
恋は邪魔者 特別編

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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 『恋は邪魔者』、観ました。
「女に恋は必要ない!」とうたった本『恋は邪魔者』が女性たちの間で
大ブレイク。この本のせいでモテなくなった超プレイボーイの記者キャッチャー・
ブロックは、著者バーバラの主張が間違っていることを証明するため、
彼女に恋の罠を仕掛けるが‥‥。
 もうすぐ“38回目のバースデー”を迎えるオイラにとっちゃ、もはや
“おちゃらけたラブコメ”はキツイだろうと観ていたが(笑)、思った以上に
楽しめた。今ノリにノッてる女優レニー・ゼルウィガーがポップでキュートな
クラシカル・ファッションに7変化(へんげ)。その選(よ)り取り見取りの
コスプレ場面はボクが観てても楽しいし、特に女の子なら、きっと着てみたく
なること請け合いだ。時折、眉をひそめる下ネタギャグもあるけれど(笑)、
レニー&ユアン・マクレガーのコミカル演技が楽しくて、いやらしさは
感じない。むしろ、ワイセツさえカラッと笑い飛ばしてしまう“爽やかさ”。
まぁ、この手の映画に高尚なテーマやメッセージ性を求める方がおかしい訳で、
観終わって「あ~、楽しかった」で良いんだと思うよ。例えば、休日の
恋人同士がハーゲンダッツのアイスクリームを舐めながらマタ~リ観るには
サイコーの映画でしょ。バカ(映画)だけど面白いゾ(笑)。