肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『迷子の警察音楽隊』、観ました。

2008-07-31 21:11:31 | 映画(ま行)





監督:エラン・コリリン
出演:サッソン・ガーベイ, カリファ・ナトゥール


 『迷子の警察音楽隊』、観ました。
1990年代のイスラエル。空港に水色の制服に身を包んだ男たちが降り立った。
彼らはアレクサンドリア警察音楽隊。文化交流のためにエジプトからやってきたが、
何かの手違いか出迎えが来ない。自力で目的地へたどり着こうとした彼らは、
間違えて一文字違いの別の小さな町に着いてしまう。途方にくれる彼らに助け舟を
出したのは、カフェの女主人ディナだった。やがて、国や宗教を超えた交流が
始まるが…。
 いきなり、映画の内容とはカンケイないところで、かねてからオイラがひっそり
胸に育(はぐく)んでいた妄想を書かせてもらうので、興味のない人・時間のない人は
飛ばして読んでもらっても構わないよ。どうぞ、どうぞ、ご遠慮なく。そうだなぁ、
そういう人はだいたい7行目くらい後から読むと丁度イイと思うゼ。うん。では、書きます。
もしも、オイラが監督になれたら、まず一番最初に“こういう映画”を撮りたいと思って
たんだ。もしくは、ジョージ・ルーカスが若い頃に監督した『アメリカン・グラフィティ』
みたいなやつ。いわゆる、ワンナイトだけに限った群像劇――、とある一夜に
起きた出来事を背景に、そこにいる人たちの、隠された“本当の姿”が見えてくる。
で、その長い夜が明けて朝になった時、どこか昨日までとは違う自分に気付けたら
なお結構、みたいなの。というワケで、長らくオイラの妄想に付き合ってもらって
ありがとさんデス。以上、終わりデス。ただし、この両作品、互いにそのバック
グランドに“音楽”があるのは同じだけど、若干、微妙なところで違いがあります。
「何も考えずに生きていたあの頃、オレ達は若く、輝いていた」、の『アメ・グラ』。
そこには若者らの、紛れもない“現在(いま)”があったのに対し、この『迷子の~』では、
もはや“栄光”とは名ばかりの忘れられた警察音楽隊が舞台。もう若くない彼らは、
どこかに不安を抱え、(只一人、一番若い部下を除いて)現在を避けて生きているように
みえる。心ここにあらず、ってカンジだ。
 と、ここまで書いちゃうと、かなり暗くて重い内容かなって思うんだけど(まぁ、その内の
“重い”って方は否定しませんが)、意外と“シュールな笑い”とかあって笑えちゃうんだ。
いや、数ヶ所では腹を抱えて大笑いしちゃったゼ、ホント。『アメ・グラ』って、確かに
明るいけど、笑えるとこは無かったよね。オッと、あれは笑えなくても全然オッケーな
映画だけど。とにかく、本作の“笑いのセンス”を、アメリカ人にも見せてあげたい。
笑いに肥えてるといわれる我ら日本人にも、全く問題ないです。全然通用しちゃいます。
 (※以下、ネタバレ)さて、ここからがレビューの本題です。つまり、これまでのは
前置きです。長過ぎました。すんません。本作の味わい深さのひとつに感じるのが、
例えば、“なんかの都合”で映画のラスト20分しか観れなった人がいたとします。
仕事で残業??、その後、上司にしつこく誘われ、飲みに付きあわされた??、更に、
やっとたどり着いた自宅の玄関前で、お喋りな隣りの奥さんにからまれた?、など、
何でも良いです、理由は適当に考えましょう。映画終盤、もう若くない主人公と
マダムとの関係に、女好きの若い部下が入ってきて、気が付きゃ。部下とマダムは
肉体関係に。それを見てしまって、ハートブレイクな主人公のシチュエーション。
そのシーンだけ観れば、その若い部下の節操の無さに呆れ、マダムの裏切りに腹を
立てるでしょうが、でも、真実(ほんとう)は違うんだよなぁ。それまでの(物語の)
展開から分かるのは、確かに部下が無類の女好きであるのは間違いないが、別の
一面では、近くに困っている人をみれば、身を犠牲にして手を差し伸べてあげる
“気遣いの男”でもあるのだよ。一方、マダムの方も、気丈そうに見える外見は、
耐え難い孤独と己の弱さを隠すための“仮面”に過ぎない。女の孤独と男の同情が
交錯し、その隙間を埋め合うように、ベッドでもつれ合う2人の姿は、思わず見ていて
息が苦しくなる。パッと見た目の外見とは違うところで、まるで積み木を一段ずつ
丁寧に積み重ねていくように描かれる“人物の心の内”――、その“行間を読むこと”が
映画の醍醐味だとしたら、この映画には確実に“それ”があると思うゼ。



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“宮崎駿”三本締め

2008-07-27 20:48:34 | ★独断と偏見的シネマ・セレクション3
独断と偏見的シネマ・セレクション3 《監督・俳優編》“宮崎駿”

先日、『ポニョ』のレビューを公開した際、
当ブログのヒット数が爆発的に伸びたので、
“2匹目のドジョウ”を狙って、
もう一丁、宮崎駿ネタでいってみます。
こう見えても結構計算高いんだよな、オレって。

まず、宮崎駿といったら“ヒゲ”、、じゃなくて、
その映画のトレードマークは“飛行シーン”。
心に翼が生え、上空から住み慣れた街を見下ろす際の“高揚感”、
まさに童心にかえるが如く、夢の世界を象徴しています。
老若男女、古今東西、日本全国津々浦々、
自らを映画通と自負するヘヴィーユーザーから、
白昼のとある街中を、アニメチックなコスプレ着込んで徘徊する、
いわゆる、アキバ系のおねぇちゃん、
そして、その後ろからカメラ片手に付いて回るオタク系のおにぃちゃんまで、
幅広い世代で支持されたのは、そんなところに理由があったからでしょう。

先日のレビューにはうっかり書き忘れましたけど、
『ポニョ』にもしっかりありますよ、飛行シーン。
ただ、チョットいつもとは趣向をかえてありますけど。
水没した街の上を、ポンポンいわせながら
主人公らを乗せた蒸気の船が、ゆっくり浮かぶように進んでいきます。
ほのぼのとして、やわらかくて、まるで雲の上から地上の世界を覗いているみたい。
いつまでも、いつまでも、その美しい風景を心に留めておきたいと思いました。
その晩、酒飲んだら忘れたけど。

①、『となりのトトロ』
②、『天空の城ラピュタ』
③、『千と千尋の神隠し』
次点、『魔女の宅急便』


さて、今回選んだ3本(プラス1)をみても分かるように、
オイラの好みは、『ナウシカ』や『もののけ』に代表される
ハード系の宮崎作品ではなくて、
いわゆる、悪役の登場しない“ソフト路線”の方。
失われていく自然と環境破壊、そこに“痛み”を伴うのはよく分かるのだけど、
人間と自然界の戦いとして、リアルに描き過ぎるのはどうなのかな、って。
『トトロ』なんて、そういうの一切無しで、
観る側に“豊かな生活と引き換えに、失ってしまった大切なもの”を気付かせて、
知らぬ間に涙こぼれてるもん。



















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『崖の上のポニョ』、観ました。

2008-07-22 20:55:55 | 映画(か行)
Ponyo_2_1b
監督:宮崎駿
出演者:(声)山口智子、天海祐希、所ジョージ、奈良柚莉愛、土井洋輝

 『崖の上のポニョ』、映画館で観ました。
海を臨む崖の一軒家に住む5歳のソウスケは、瓶に入り込んで動けなくなっていた
さかなの子ポニョを助けた。一緒に過ごすうちにお互いのことを好きになる2人だが、
ポニョの父親フジモトによってポニョは海へ連れ戻されてしまう。それでもソウスケを
想い、人間になりたいと願うポニョは、妹たちの力を借りてフジモトの蓄えた魔法の
力を盗み出し、再びソウスケの元を目指すが……。
 今朝のスポーツ紙を読んでたら、宮崎駿監督が自身の最新作『崖の上のポニョ』を
評して「この作品がどう受けられてもらえるかに、未来がかかっている」って。
うーん、オイラが観る限り、それはなかなか難しい願望だと思うんだよね‥‥。
オッと、ここまで読んで、この映画を“駄作”だと決め付けたそこのアナタ!!、まぁ、
そう結論を急ぎなさんな。もうチョイと腰を落ち着けて、オイラの話を聞いて頂戴よ。
恐らくね、ファンの人はこれがスタジオジブリの最新作で、宮崎駿の監督作だとくりゃ、
夢と冒険に満ち溢れてハラハラドキドキの連続…、でいてメッセージ性も心に響く、
思いっきり“贅沢なエンターテイメント大作”を期待する。ただ、この映画の宮崎駿
監督は、あえてそれらを封印して、ちっちゃくても“手作りの安心感”に拘ったように
思うんだ。例えるなら、どうだ見てみろと言わんばかりに、一流シェフが作った
フランス料理のフルコースじゃなくて、自分の田舎の母親が受験勉強の夜食に
作ってくれたお茶漬けみたいな、サラッとしたカンジ。あ、断っておくと、オイラには
そんな経験ありません。ひたすら自分でカップ麺にお湯注いでました。とにかく
宮崎駿監督自身、もう若い頃にあった“感性の鋭さ”は消えてなくなっちゃて
るんだけど、歳喰って、そのカドがなくなって丸くなった、みたいな。“ピュア”に
戻ってった感じ。巧く説明できないけど。思うに、晩年の黒澤明監督なんかも、
『八月の狂詩曲』とか、『まあだだよ』とか、遺稿となった『雨あがる』とかも、
そういう傾向があったからね。やっぱ、この2人の巨匠には何か通じ合うものが
あるんだなぁって、観てて妙に嬉しくなっちゃった。だからオイラは、この『崖の上の
ポニョ』って映画、とっても気に入ったよ。
 んじゃ、今からオイラが、この映画の良さをサクサクッと書いていくから、ラク~に
構えて読んで頂戴ね。間違っても“難しい顔”して読みなさんな。これはそういう
映画じゃないんだから。オイラが、この映画で大好きなシーンは、ある晩のこと、
船乗りの旦那さんが急遽仕事で自宅に帰って来れなくなる。何ヶ月ぶりに会えると
思っていた奥さんは、怒る。「コノヤローッ」ってなもんだ。そのままやりかけの
家事放っぽりだして、酒くらって寝ちゃうんだけど、息子のソウスケは夜の海を
眺めながら、前を通り掛かった父親の船を見つけ出す。即座にモールス信号で
「元気だよ」を送るわけだが、今度は寝ている母親を叩き起こして、お母さんも
どうぞ!!。で、彼女が旦那に送った一言がコレ、「B・A・K・A」――つまり「馬鹿ーッ」。
その、短い“バカ”の一言に込められたオンナ心と、愛情の深さ…。感じるほどに
涙がこぼれてきちゃってサ。もう長いこと映画ファンをやってるけど、「バカ」で
泣かされちゃったのは今回が初めてだもん。
 そんな風に、この映画の根幹にあるテーマは、《離れていても相手を想う気持ち》。
何か“au(エーユー)”のCMにありそうなコピーだけどサ。ちなみに、オイラは
「タダ友の輪を広げよう」のソフトバンク携帯です。関係ねぇか。まぁ、実際、この
映画で携帯電話を使っちゃうと、ドラマは成立しません。そりゃそうだ。それと、ここで
もうひとつ大切なのが、《弱者への施(ほどこ)しの気持ち》っていうのかな。主人公の
ソウスケは5歳の男の子で、一般的にみても“弱者”にあたるのだけど、嵐の最中や
旅の途中で、老人ホームのお婆ちゃん達やら、生まれたばかりの赤ちゃんやら、
妊婦さんやら、更に弱い立場で困っている人達に“贈り物”をあげる。勿論、それらは
取るに足らない、普段なら笑っちゃうような幼稚なもの。でも、それによって彼女らは
救われて、自然と観ているオイラの心も和らいでいく。つまり、平たく言えば“心の
問題”――、離れていても心と心は繋がってる。今作から劇画タッチは、デジタルから
アナログへ。今一度、人間同士の交流もアナログの良さを見つめ直しましょう、ってか。
言いたい事はよく分かる。ただ、現実問題として、今さら“携帯電話”を手放すのは
無理だがね。



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『野いちご』、観ました。

2008-07-19 19:39:36 | 映画(な行)





監督:イングマール・ベルイマン
出演:ヴィクトル・シェストレム, イングリッド・チューリン

 『野いちご』、観ました。
細菌学者のイーサクは名誉博士号を授与されることになったが、その夜不快な
夢を見てしまう。死への怯えである。不仲が伝えられる息子の嫁と、車で出掛け、
途中で若い頃に過ごした別荘に寄るが、そこの野いちごの群がイーサクを過去に
誘う‥‥。
 まだ若い頃に観てピンとこなかったクラシックの名作が、月日が経って改めて
観直したとき、初めて(その作品の持つ)“本当の意味”に気付かされることがある。
まして、この『野いちご』は“老い”と“孤独”がテーマの中核にあるからして、
当時20歳を過ぎたばかりのボクに理解出来なかったのも無理はない。主人公の、
死に怯える孤独な老人に“憐れみ”に似た同情をよせることは出来ても、当時の
(若い)自分には縁もゆかりもない、かけ離れたものに感じられた。だけど、あれから
ボクも随分と歳を取り、今は彼の姿を“未来の自分”に置き換えてみると怖くて
怖くて堪らない。考えてみれば、人の一生とは…、主人公の、それまで生きてきた
人生は何だったのだろうか。真実の愛と引き換えに、手に入れたのは偽りの愛…、
後は圧し掛かってくる“孤独”に耐え、忍び寄る“死の恐怖”に怯えて生きるだけ。
今さらながら、過ぎ去った人生の時間がひどく無意味なものに思えてくる。この
映画で感心させられるのは、現実と幻想、または現在と過去とが、巧みに交錯する
物語構成もさることながら、的確に配置された人物設定によって、主人公の心の
内側に隠された“人生の孤独”を浮き彫りにして描いていく点だ。例えば、旅の
途中で夏の別荘地跡に立ち寄り、主人公が野いちごの幻想から覚めて最初に出会う
3人の若者達は、1人の女性を正反対の男性2人が奪い合う――、若き日の主人公と
サーラ、それに弟のシーグフリドの関係。また、次に出会う、言い争いの耐えない
中年の夫婦は、かつての夫婦生活で確執の多かった、主人公とその妻の関係に
他ならない。そして、そんな“主人公の分身”ともいうべき中年男が、夢の世界
にまで登場し、遠い記憶の彼方から“妻の不遇の場面”に誘(いざな)っていくのが
恐ろしくもあり残酷だ。つまり、ここで主人公が出会う旅人達は、彼がこれまで
歩んできた“人生を映した鏡”なのだ。ベルイマンの演出は、その過程で主人公の
隠された本性を暴き出し、《偽善》という“偽りの仮面”を剥(は)いでいく。ただし、
この映画で唯一の例外として、主人公と対になって描かれている人物が一人だけいる、
メイドのアグダだ。主人公の老人とほぼ同年代だが、学はなく、(ここで見る限り)
近くに身寄りもいない彼女――。映画終盤、そんな彼女に主人公は冗談交じりに言う、
「私と君は、もう何十年もの付き合いだ。そろそろ名前で呼んでも良い頃だ」。すると、
彼女は、またいつもの調子で「先生は先生。呼び捨てなんてとんでもない。」と。
その瞬間、主人公ははたと気付いたように、晴れやかな顔になる。主人公は常に
“過去”を悔やみ、その過去に縛られ、逃れられずに生きてきた。しかし、アグダが
見ているのは、まぐれもなく“現在(いま)”‥‥、今宵、名誉ある賞を受賞した
博士である主人公の姿なのだ。やがてベッドに入り、眠りにつく主人公の寝顔が、
今夜ばかりはどこか誇らしく、安らかに感じられる。その記憶は懐かしい故郷の風に
乗り、優しかった両親の元へ帰還していくようだった。



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『ミッドナイトイーグル』、観ました。

2008-07-10 20:15:06 | 映画(ま行)





監督:成島出
出演:大沢たかお、竹内結子、玉木宏、吉田栄作、袴田吉彦、大森南朋、石黒賢、藤竜也

 『ミッドナイトイーグル』、観ました。
戦場カメラマンの西崎優二は、ある戦火の中の出来事でカメラを置く。心に傷を
負う夫を支える妻が病死し、自分を責める西崎は後輩の落合信一と北アルプスの
山中にいた。そこには「ミッドナイトイーグル=米軍のステルス爆撃機」が墜落
していて、機体には恐るべき秘密が隠されていた‥‥。
 スポーツ選手がグランドの上で死ねたら本望だとよく聞くけど、オイラはそんなの
真っ平ゴメンだね。何とか細々とでも良いから長生きしたい。出来れば100まで
生きて、家族から「大往生」って言われたいのさ。だから毎年欠かさず人間
ドックにも入ってるんだよ、保険も利かんし、費用も結構掛かるけどね。で、つまり、
何を言いたいのかっていうと、この成島出監督なる人物は、そんなオイラとは
全く対極にある人生哲学の持ち主。前作の『フライ,ダディ,フライ』から今作を
観る限り――、人生は戦いだ。男は自らに課せられた使命があり、その為には
危険を顧みず、前のめりになって死ね――。おっと、最後の「前のめりになって
死ね」っつうのは、ちょっと調子ぶっこいて書いてみたけど、まぁ、ニュアンスとして
そういうことだ。映画の主人公は、そのスジではちったぁ名の知れた戦場カメラ
マンだった。それがある日、目の前で子供が爆死する瞬間に直面してから、一転、
血生くさい戦場から抜け出して、静かな山に入り込み、山の景色ばかり撮るように
なったとさ。その過程で奥さんは病死してしまったが、息子は(父が撮った)山の
写真を大切にしてることからして大喜び…、いや、少なくともそれに不満はなさそう。
だったら、それで良いじゃない。オイラからすれば結構なことだと思うのだけど、
それに面白くないのは“死んだ奥さんの妹さん”。それを、あの、竹内結子が
演じてます。でもって、竹内結子ににらまれた中村獅童……、じゃなくて、彼女の、
あのヘビのような目線でにらまれたら、口答え出来る人など居ないと思いますが
(そりゃそうでしょうとも)、とにかく、他人(ひと)の家庭に土足で上がりこんで
やりたい放題だ。有無を言わせぬ傍若無人(ぼうじゃくぶじん)、父子を無理からに
引き離して、さも我が子のように育てちゃってマス。父親の立場からみれば、完全に
息子を拉致られちゃってます。ぶっちゃけ、その瞬間、オイラの興味は盗まれた
ミサイルのことなんかより、そちらの親権争いの方へ。いっそそのまま法廷映画に
しちゃった方が映画自体は断然“迫力が出て”面白くなった思うんだけどさぁ。
だって、竹内結子が本気出したらスゴいんだもん。何か想像しただけで“無言の
圧力”を感じちゃう。モチロン、それは彼女のことをケナして言ってるんじゃなくて、
女優として“最高のホメ言葉”と受け取ってもらってイイです。とにかく、映画は
タテ・ヨコ・ナナメ、どこからみてもスゴくないです。竹内結子だけがスゴかった。



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『西の魔女が死んだ』、観ました。

2008-07-05 19:30:11 | 映画(な行)
Nishinomajo_1_1b_2
監督:長崎俊一
出演:サチ・パーカー、高橋真悠、りょう

 『西の魔女が死んだ』、映画館で観ました。
中学入学後すぐに学校が苦痛になってしまった“まい”は、ママの提案で森に
住む“西の魔女”の家でしばらく過ごすことになった。“西の魔女”とはママの
ママで英国人。魔女の血筋を引くというおばあちゃんの暮らしは自給自足。
野菜やハーブを育て、昔ながらの知恵を活かしながらの生活は、“まい”にとって
新鮮に感じられた。課された“魔女修行”は、早寝早起き、食事をしっかり摂り
規則正しい生活をするというもの。魔女の家系だとの言葉を信じ、“まい”の
魔女修行が始まった…。 
 ハッキリ言って、これは“タイトル”の勝利でしょう。その、タイトルの良さでもって、
だいぶ得してるのは間違いないです。「西」「魔女」「死んだ」――、ひとつひとつは
ありふれて、どうってことない単語の集まりなんだけど、その組み合わせ方が
何とも絶妙というか‥‥、それら3つが合わさると、途端に“ミステリアスで
寓話っぽい”印象を抱かせる。何かこう吸い込まれるように興味をそそられちゃう
んだなぁ、これが。それと、タイトルの後半部分で「魔女が死んだ」とあって、
すでに観る前から結末の大よそは想像できるワケだけど、映画の最後の最後で
「西」っていうのが伏線となって効いてくる。「北」でも「南」でも「東」でもなく、
どうして「西」でなくちゃいけないか??、映画館の暗闇の中、オイラはひとりで
ナルホド~って頷きながら、ひたすら感心しちゃったね、ホント。つまり、早い話が
このタイトルには、作品のイメージから、大よそのあらすじから、そして結末に至る
伏線まで、全部が計算の上で考えられて詰め込んである。勿論、そんな極上の
タイトル名にパッケージされた(物語の)内容の方も及第点を楽々クリアして、
万人が観て満足できる作品には仕上がっている。大傑作というとホメ過ぎだけど、
佳作から秀作のレベルはあると思うよ。
 でもって、観終わった直後の館内の様子をレポートすると、オイラの隣の席から
「ズズーッ」、更にそのまた隣の方から「ズルルーッ」。気が付きゃ、鼻をすする音が
館内のあちらこちらから。観客の皆さんは一応に感動してる御様子で…、実際、
オイラも泣かされた。チェッ、涙を乾かすのにエンドロールまで席を立てなかったゼ。
まあね、ナナメからみれば、急に倒れた意識不明の病人が、用意周到で温室の
ガラス窓にダイニングメッセージ(?)を残せるハズもないんだけど、どうかこれが
”寓話の世界”だと思って、イチイチ文句は言いなさんな。ね、お願いだから。
いや、そもそもおばあちゃんは“魔女”なんだから良いんです。最後の最後に、
そういう魔法をかけた‥‥、世界で一番愛する孫と、観ているオイラたち観客の
ためにね。そう思えば良いでんです、なんてステキなお話じゃありませんか。



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