海を飛ぶ夢ポニーキャニオンこのアイテムの詳細を見る |
『海を飛ぶ夢』、観ました。
19歳でノルウェー船のクルーとなり、世界中の国々を旅してまわったラモン・
サンペドロ。だが25歳の夏、皮肉にも同じ海で起きた事故により四肢麻痺の
障害を負ってしまう。家族に支えられベッドで寝たきりの生活を28年間続けた末、
ラモンは尊厳死を決意するのだが‥‥。
近年で“尊厳死”を扱った映画といえば、イーストウッドの『ミリオン
ダラー・ベイビー』が記憶に新しいところ。しかし、ボクが思うに
『ミリオンダラー・~』とは、同じ喜びを分かち合い、同じ苦しみを味わい
背負って生きていく……、いわば“血”さえも超える“固い魂の絆”を
描いた作品であり、決して“尊厳死”を主題にしたものではないと思ってる。
その一方で、今作『海を飛ぶ夢』は、正真正銘“尊厳死”に対して向き合った
作品であり、真正面から“尊厳死”を描いた作品であるのは間違いない。
さて、映画を観る以前から、そのテーマの重さゆえ、レビューを書くのに
苦労するとは思っていたが、案の定、何から書き始めて良いのか分からず、
困った困った(笑)。勿論、彼ら(四肢麻痺患者たち)に口先だけで「希望を持って
生きるんだ」とか…、「死ぬのは卑怯だ」とか…、お決まりの正論を吐くのは
簡単だ。しかし、石のように重たくなった身体(からだ)をベッドに横たえて、
その一室の窓から見える景色が“世界のすべて”の彼らにとって、ボクの
言葉は何の説得力があるというのだろう……(涙)。ただ一つ言えることは、
ボクらが彼らにどんな憐れみや同情を寄せたとしても、彼らの苦しみは
彼らにしか分からないってこと。この映画の良さは、“尊厳死”を肯定する
わけでなく、かといって否定するわけでもない‥‥、患者本人、その家族、
恋人、同じ境遇の患者さん、宗教家など…、いろいろな立場の考え方を紹介し、
“問題を提示する形”で終わっている点だ。そして、その問題に答えはなく、
行き先も分からない。しかし、少なくともこの映画は、ボクたちに“考える
きっかけ”を与えてくれた。きっと監督のA・アメナーバルは言うだろう、、
「観終わった観客が、たった5分でも…、僅か10分でも…、“尊厳死”について
考える時間を持てたとしたら…、やはりこの映画に存在価値はあったんだ」と。
考えさせられました。
TBもさせていただきました。
お涙頂戴の感動作に仕立てちゃうだろうけど、
今作では重いテーマながらも
サラリと観易い作品に仕上げたのは
やはり監督の功績が大だと思います。
無理矢理に結論を急がせることなく、
「さぁ、みんなで一緒に考えてみましょうか」という形のエンディングも
映画成功の要因だと思います。
以前きのこスパさんのHPにメールを送ったものです。あの時は僕のHPのタイトルは「恋太郎の映画日記」でしたが、今は「緑の杜のゴブリン」に変えました。ハンドルネームも恋太郎からゴブリンに変えました。その後ブログを作ったのですが、きのこスパさんのブログには気付くのが遅れました。
「海を飛ぶ夢」は今年見た映画の中でもっとも感動した映画のひとつです。スペイン映画はこのところ優れた作品を次々に送り出していて、これからも素晴らしい映画とたくさん出会えるのではないかと楽しみにしています。
これからもよろしくお願いいたします。あわせてTBもさせていただきました。
背負って生きていく……、いわば“血”さえも超える“固い魂の絆”を
描いた作品であり、決して“尊厳死”を主題にしたものではない
かなり同意です。海を飛ぶ夢は真っ向尊厳死だけに重いです。