肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『プロヴァンスの贈りもの』、観ました。

2008-04-23 21:31:04 | 映画(は行)





監督: リドリー・スコット
出演: ラッセル・クロウ、アルバート・フィニー、フレディ・ハイモア、マリオン・コティヤール、アビー・コーニッシュ、トム・ホランダー

 『プロヴァンスの贈りもの』、観ました。
ロンドンで剛腕トレーダーとして名を馳(は)せ、リッチなシングルライフを送る
マックスの元に南仏プロヴァンスに住むヘンリーおじさんの訃報が届く。子供の
頃、夏休みを共に過ごしたヘンリーが教えてくれた生きる知恵があればこそ、
今の成功があるのだったが、ここ10年はすっかり疎遠になっていた。それでも
一番近い親戚であるマックスがシャトーとブドウ園を相続することになり、
20数年ぶりに懐かしい土地を訪れるのだが…。
 リドリー・スコットといえば、一般に“ハリウッド屈指のヒットメイカー”として
知られているが、実は意外とどんなジャンルの映画もこなす“オールラウンダー”
でもあるんだよね。アクションやSFはもちろんのこと、過去には、戦争、青春、
ロードムービー、それにコメディーなんてのも。いや、オイラから言わせれば、
それこそがリドリー・スコットという作家の特長であり、それが彼にとっての
“映画作りの源(みなもと)”になっているように思えて仕方ない。例えば、
ファンの間から『エイリアン』『ブレードランナー』に続く“SF映画の新作”をの
声にも断固として首を縦に振らないのは、彼自身がオールジャンルで映画を
こなす監督であると“自覚”をし、そこに“誇り”をもっていることの表れでは
あるまいか。さて、前置きが長くなってしまったが、本作はそんなリドリー・
スコットにして、これまでにチャレンジしたことのない“ノスタルジックな人間
ドラマ”。映画は、一流ビジネスマンとして活躍する主人公が、“少年時代の
輝ける記憶”に触れ、人生の価値を見出していく。また、その際、少年時代の
交流のあった恩人の訃報を聞き、何十年ぶりに故郷へ帰る下りは、あの
『ニューシネマ・パラダイス』を連想させる。途中、『ベニスに死す』や『アラビアの
ロレンス』の一句が引用されたり、ある屋外バーのシーンでは往年の名画が
上映されていたりと、随所で“映画への愛”が見え隠れするのは、その辺の
ところに影響をうけているのかもしれない。それでも、いかにもリドリー・
スコットらしいと思ったのは、あえてこれ見よがしのノスタルジックを前面に
押し出すことなく、早送りなど映像に遊び心も感じられ、あくまでもコミカルかつ
ライトな仕上がりで、サラッと描いている点だ。この映画を観ていると、確かに
力感こそないが、その分、(興行的に)当ててやろうとか、人を感動させてやろうとか、
ガツガツした邪念が感じられない。良い意味で、無駄な“力み”がなく、(リドリー・
スコットが)自然体で映画作りを楽しんでいるようにもみえてくる。それは“長きに
渡る人生の、真の意味”を考えたとき、名を取るか…、実を取るか…。この映画の
テーマにも通じるものがあると思う。実は、こういう映画って、オイラからすれば
案外好みだったりするんだよね。



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『今宵、フィッツジェラルド劇場で』、観ました。

2008-04-11 21:15:01 | 映画(か行)

監督:ロバート・アルトマン
出演:ウディ・ハレルソン、トミー・リー・ジョーンズ、ケヴィン・クライン、リンジー・ローハン、ヴァージニア・マドセン、メリル・ストリープ、ギャリソン・キーラー
※2007年度キネマ旬報・外国映画ベストテン第3位

 『今宵、フィッツジェラルド劇場で』、観ました。
ミネソタ州セントポールのフィッツジェラルド劇場で、長年親しまれてきた
ラジオショウ「プレイリー・ホーム・コンパニオン」の、最後の公開生放送が
始まろうとしていた。私立探偵を気取った用心棒ノワール、名司会者キーラー、
カントリーシンガーのヨランダとロンダのジョンソン姉妹、カウボーイソング
デュオのダスティとレフティらが、次々と楽屋入りする。やがてショウが始まり、
白いトレンチコートの美女が現れる……。
 巨匠ロバート・アルトマンの遺作。彼がそのキャリアの最後としてこの題材を
選んだのは、決して偶然ではないはずだ。今日の映画産業は合理化が進み、
CGやハイテク技術の進歩によって、スタジオの椅子に腰掛けたまま、脅威的な
映像を創造出来るようになった。しかし、そんな今だからこそアルトマンは問う、
果たしてそれが映画界全体にとって“本当の進化”なのか、と。この映画では、
明日になれば煙のように消えゆく“一夜限りのラジオショー”にスポットを当て、
その裏側で多くの人が互いに知恵を絞り合い、力を合わせながら“ひとつの
作品”を作り上げていくドラマが描かれていく。幾多のトラブルに気転を利かせた
アドリブで乗り越えていくベテラン司会者、出演歌手の無理難題に必死の
時間稼ぎをする声帯模写、哀しみを隠しながらも普段と変わらずステージに
立ち、歌い続けるミュージシャンたち‥‥、それぞれがプロに徹し、その役割を
プロとしてまっとうし、共同作業の中でショーを“ひとつの作品”に仕上げていく。
そして、それは目の前にある困難から逃げることは許されず、待ってはくれない
時間の中で、自らの力をもって乗り越えていかなければならない“人生の
縮図”のようにも思えてくる。
 しかも、アルトマンは、そんなアナログ人間たちのドラマを描きながら、映画に
おける“アナログの面白さ”をたっぷりと見せてくれる。鏡の反射を利用した
撮影や、白いコートを着ただけの女を天使に見立てる演出の妙…。この映画を
観ていると、画面の隅々にまで拘り抜いた映像と、地道な作業を経て完成された
職人技に魅入られる。アナログからデジタルへ‥‥、しかし、どんなに時代が
変化しても変わらないもの…、いや、変えてはならないものが“人間力”では
なかろうか。映画中盤、突然の訃報からベテラン歌手の死を嘆く仲間達にショーの
司会者が言う、「老人の死は、哀しいものじゃない」と。さらに「最後のラジオ
ショウが終わるとき、新しい人生のドアが開く」とも。それが、今日(こんにち)の
映画界に託された“アルトマンの遺言”だと思うと、また泣ける。


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『リトル・レッド レシピ泥棒は誰だ!?』、観ました。

2008-04-07 20:54:51 | 映画(ら・わ行)





監督: コリー・エドワーズ
声の出演:アン・ハサウェイ、グレン・クローズ、ジム・ベルーシ

 『リトル・レッド レシピ泥棒は誰だ!?』、観ました。
近頃、森では「レシピ泥棒」が出て、動物たちを怖がらせている。ある日、山の
上に住むおばあさんの家を訪れた赤いずきんの少女レッドは、おばあさんに
変装したオオカミに襲われ、悲鳴を上げる。そこへぐるぐる巻きに縛られた
おばあさんがクローゼットから飛び出して来る。更には、斧を持ったきこりが…。
オオカミ、きこり、おばあさん―――怪しいのは誰だ??
 この頃、妙に“難事件へ挑む胸の高鳴り”を思い出し、“本格的なミステリー”に
飢えてた。この際、子供向けアニメーションだって構わない(笑)。実は、この
映画のことが、公開当時から気になっていた。で、実際観終わってみて、
オイラの中でわだかまっていた欲求が解消されたかといえば、ビミョ~な
感じだが、普段はCGアニメが苦手な娘(3歳)も今回ばかりはオイラの隣に
ちょこんとお座り。さらに、近くを通り掛かったワイフが足を止め、食い入るように
眺めた先は、“悪態付いたウサギ”が浮かれポンチ(?)でダンスを踊ってる。
何を隠そう、ヤツこそ、我が家で飼ってるムギ色ウサギにそっくりなんだ(笑)。
思わぬところでワイフのツボ、それにつられてオイラも娘もゲラゲラ大笑い。
いや、その他にも、魔女の呪いにかけられ歌い続けるヤギ、事件の真相を
追うがヘマばかりのおとぼけオオカミ、一人だけやけに浮いてるハードボイルドな
カエルなど、小腹か抱えて笑っちゃう楽しいキャラがいっぱい。結局、この映画は
「ミステリー」と称してタネを蒔(ま)き、おとぎ話をパロディにした“キャラクター
勝負”の作戦の出たようだ。個人的には、肝心の謎解き部分にもう一捻り、
いや、あと半捻りでもあったら、大満足だったけど、家族団らんで過ごす一時の
話題のタシになったから、まぁ、いっか。
 また、近年のCGアニメの特徴として、家族愛とか友情とか…、はたまた夢を
諦めるなとか努力を怠るなとか…、観ていて、どうもこそばゆく感じてしまう
“メッセージ重視”の映画が多い中、こと本作に限っては“エンターテイメント”に
徹している。四の五の言わず、単純に楽しみたいならコレ。うん、たまにゃあ、
こういうのがあっても、オイラは良いと思うよ。



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『タロットカード殺人事件』、観ました。

2008-04-03 21:55:28 | 映画(た行)





監督:ウディ・アレン
出演:スカーレット・ヨハンソン、ヒュー・ジャックマン

 『タロットカード殺人事件』、観ました。
ロンドン市街のマジックショー劇場で、ジャーナリスト志望の女子大生サンドラが
舞台に上げられ、中に入った人間の身体が消えては現れるボックスに入れられる。
その中で彼女は著名なジャーナリストの亡霊ジョーと遭遇。急死したばかりの彼から、
とっておきのスクープを耳打ちされる…。
 誰が言ったか、(いや、誰も言ってなかったら、単に“オイラの思い込み”だけかも
しれないが(笑))、ウディ・アレンの映画って、本人が出てない方が面白い。ちなみに、
オイラが好きな作品を並べていくと、『カイロの紫のバラ』に『ハンナとその姉妹』、
『ギター弾きの恋』、『マッチポイント』‥‥。ほらね、やっぱり、本人が出ていない。
『アニーホール』や『ブロードウェイのダニー・ローズ』も悪くはないが、いまいち
オイラの趣味とは程遠い。そう言えば、かつてアンチのいった言葉で、ウディ・
アレンの自虐的なユダヤ系ギャグは、日本人には受け入れられない、って。ナルホド、
それも御もっとも。この映画でも、本人自らしゃしゃり出て、ご自慢の(?)マジックと
一緒に“ユダヤ人ネタ”をご披露するが、しゃべれどもしゃべれどもトークは空回り。
これならば、我らが(?)マギー司郎を連れて来いってカンジ(笑)。けどね。誤解して
ほしくないウディ・アレンの凄さは、単に笑わせるだけの話術とは違う、映画として
“語り口の巧さ”だと思うんだ。例えば、そんなクタビれたジジイのかくし芸と、
マシンガントークが続く退屈な展開に、突如、手品の箱の中から新聞記者の幽霊が
登場し、ヒロインへスクープネタを提供するのだから、思わずクスリとしてしまう。
いや、何しろ物語の切り口からして、意表をついていてスゴイのだ。不幸の死を
遂げた新聞記者、その彼が死神の船に乗ってあの世に向かう途中、死人同士の
立ち話で(?)世紀の特ダネを聞かされると、再びジャーナリストの血が騒ぎ、のこのこ
現世に戻っていくって、一体どうよ??、恐らく、その辺りのテイストは(アレンが
心酔する)ベルイマン作品に感化されてのことだとは思うが、その、冴えわたる
語り口の巧さに、思わず見入ってしまう。ぶっちゃけ、“犯人捜し”をメインにおく映画
じゃない。また、サスペンスとしてグイグイ引っ張り、たたみ掛けてくるスピード感も
ありゃしない。でも、オイラからすれば、そこがイイ。軽快にしてひょうひょうとした
ウディ・アレンの語り口、作品ごとに装いを変えるスカーレット・ヨハンソンの美しさ、
そして、ユーモアに満ち足りた贅沢な時間と上品な味わい――、こいつは長らく
観ることのなかった“大人のサスペンス”だ。おっと、最後に言い忘れるとこだった、
本人が出演したアレン作品にしては、珍しくオイラは気に入ったよ。



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