肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『サスペリア2(紅い深淵)』、観ました。

2007-06-26 19:54:00 | 映画(さ行)





監督:ダリオ・アルジェント
出演:デビッド・ヘミングズ、ダリア・ニコロディ、ガブリエレ・ラビア

 『サスペリア2(紅い深淵)』、観ました。
欧州超心理学会に出席した女預言者ヘルガが、講演後にアパートの一室で何者かに
殺害されてしまう。その殺人を目撃したピアニストのマークは、この事件で知りあった
新聞記者のジャンナと共に事件の真相を探ろうとするのだが‥‥。
 知らない人が居たら、教えてあげたい…。『サスペリア』の1作目は、正真正銘の
スプラッター映画だが、この『2』は“オカルト映画”でもなければ、子供だましの
“怪奇映画”でもない。ミステリーとスリラーの要素を兼ね備え、おまけに“推理もの”
としての犯人探しまで楽しめる。平たく言えば、ちょっぴりエグい“サスペンス
ホラー”かな(笑)。また、この作品は“映画史上最大の(?)伏線”があることでも
有名。が、しかし、今ここで“それ”が何たるかを申し上げることは止めますまい。
そして、観ながら“ある場面”に“ある違和感”を感じたとしても、どうかDVDや
ビデオを巻き戻して確かめることも控えて頂きたい。ここは映画の主人公同様、
思い出しても思い出せない“もどかしさ”の中で、心に何か引っかかったまま観るのが
ベターなのだ。いや、そんな風に書くと、巧妙な伏線と犯人探しだけを売りとした
“トリッキーなミステリー映画”かと思われがちだが、どっこい、そうじゃない。
演出、撮影、照明、メイク、音楽に小道具の使い方まで、色々な角度がから“視覚的
恐怖”を煽(あお)り、完成された‥‥、これぞ“スリラーの真髄”を見せてくれる。
例えば、タンスの中の暗闇から犯人の目だけが白く浮かび上がる場面や、恐怖に
怯えたテレパシストがステージで飲んだ水をそのまま吐き出してしまう場面。
バスルームでのダイニングメッセージや、テーブルに広げられた“死をイメージ”させる
玩具たち。更に、犯人の黒い皮の手袋や、テープレコーダーから流れる子供の唄など、
体の髄から震え上がるような“恐怖のディテール”がいっぱい。一方、映画終盤の
展開は、惨劇のあった古い屋敷から誰も居ない夜の学校へと舞台を移しながら、
闇に潜む犯人の“邪悪な視線”を感じ、恐怖する。
 ところで、これほどの秀作が、一部のホラーマニアでしか知り得ない“隠れた傑作”
で終わってしまったのには理由がある。実はこの映画、すでに『サスペリア』の以前に
製作されていて、後で『サスペリア』のヒットに便乗し、日本の映画会社が勝手に
『2』と謳って公開しただけのことなのだ。つまり、この2作品に関連性は微塵もなく、
無理矢理『2』としてしまったことで、逆にそれ以外のファンから敬遠されてしまった
のではあるまいか。それにしても、今では考えられない“当時のアバウトさ”に、
改めて“ある種の感動”を覚えつつ(笑)、もしも、『サスペリア』に“正規の続編”が
作れたら、一体どうするつもりだったのか…。『続・サスペリア』??、『新・サスペリア』??、
『サスペリアの逆襲』??、いっそ、こうなりゃ、とことん開き直って『サスペリア“3”』??、
もしくはスターウォーズ風に『サスペリア・エピソード2』??、最近の流行りで『サスペリア・
リターンズ』なんてのもありそう。いやはや、興味は尽きませんなぁ(笑)。



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『ゾディアック(ZODIAC)』、観ました。

2007-06-22 21:00:51 | 映画(さ行)
Zodiac
監督:デビッド・フィンチャー、
出演:ジェイク・ギレンホール、マーク・ラファロ、ロバート・ダウニー・Jr.

 『ゾディアック(ZODIAC)』、映画館で観ました。
1969年、ドライブ中のカップルが襲撃され、女性は死亡、男性も重症を負う事件が
起こった。その1ヵ月後、新聞社に事件の犯人と思しき人物――後に“ゾディアック”と
名乗る男から犯行を告白する手紙と暗号文が届けられる。暗号は新聞に掲載され、
新聞記者のエイブリーや風刺漫画家のグレイスミスは“ゾディアック”の謎解きに
並々ならぬ関心を見せていく…。
 この映画を観ながら、ボクは韓国映画『殺人の追憶』を思い出した。捜査の網を
掻い潜りながら残忍な犯行を重ね、警察を嘲(あざ)笑うように挑戦的な暗号を
送り付ける“謎の殺人犯”ゾディアック。一方、小さな手がかりを手繰(たぐ)り寄せ、
やっと追い詰めたかと思ったら、ぶち当たる捜査の壁。その度ごとに、捜査は
振り出しに戻され、犯人を追う主人公たちの“焦り”と、息苦しいほどの“緊迫感”が
映画全体を支配する。まるで、事件の“袋小路”にでも迷い込み、出口を見つけ
出せないまま、引き返し、また来た場所に舞い戻る八方塞(ふさがり)の様相。
そのもどかしさの中で、映画の2時間37分が“瞬く間”に過ぎていき‥‥、いや、
その比喩はまったく正確ではない。映画は“ほんの一瞬”のようでもあり、“10年もの
長き年月”をずっと観続けていたようにも感じられる。そう…、まさにそうなんだ。
この映画は、その残虐事件の背景にあって、気の遠くなる“膨大な時間の経過”を
感じさせる‥‥。つまり、ここで主人公たちが立ち向かうべきは、“犯人ゾディアックの
影”だけとは限らない。主人公たちの人生に、容赦なく圧し掛かってくる“時間の
重さ”なんだ。
 では、“彼らの、その戦い”について、もう少し詳しく書くとしよう。この物語で
メインとなるキャラクターは3人、、新聞社の勤めるイラストレーターと、同じ職場で
机を並べるコラミスト、それから、捜査の担当主任となるトースキー刑事だ。
彼らは同じように、この事件にのめり込み、ゾディアックの狂気に憑り付かれる。
しかし、時間の経過と事件の風化と共に、ある者は“家族”を失い、ある者は“酒と
薬”に溺れ、又ある者はパートナーに去られた後、誰の“協力”も得られないまま、
単独での捜査を強いられていく。そこには三者三様、それぞれの人生のコントラストが
“暗い影”を落として横たわる。無常にも時間だけが目の前を通り過ぎ、周囲から
取り残される自分を感じながら…、彼らはそのとき試されるのだ、揺るぎなき信念と
自らの執念を。では、結局、彼らにとって《ゾディアック》とは何だったのか??、
現在(いま)を生きようとする彼らを、無理矢理に“過去の時間”へと引きずり戻す
“姿なき怪物”。決してその正体を現さず、近づけても直接手に触れて確かめることは
出来ない…、“目に見えない亡霊”だったのかもしれない。



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『ギャラクシー★クエスト』、観ました。

2007-06-20 22:44:57 | 映画(か行)





監督:ディーン・パリソット
出演:ティム・アレン、シガニー・ウィーバー、アラン・リックマン、サム・ロックウェル

 『ギャラクシー★クエスト』、観ました。
放送打ち切りから20年を経た今も熱狂的なファンを持つSF番組「ギャラクシー・
クエスト」。今日もある都市で、ファン集会が開かれていた。が、出席した出演者の
前に奇妙な4人組が現れ、“自分たちの星を侵略者から守って欲しい”と助けを
求めてきた。実は彼らは本当の異星人で、TVでの彼らの活躍を本物と思い込み、
番組そのままの宇宙船も用意していた……。
 オイラは、知ってしまった、気付いてしまった。この映画に隠された真実に…。
映画は、落ち目のテレビ俳優がひょんな事から善玉宇宙人にお願いされ、侵略を
もくろむ悪玉エイリアンと戦うハメとなる、奇想天外なSFナンセンスコメディ。
一見、何も考えてないかのように映る“おバカ映画”だが(笑)、よく思い出して
みて欲しい。実は、この映画の切り口は、あろうことか、“ある有名な日本映画”に
そっくりなのだ。それは‥‥、野武士の襲来に怯える寒村の農民たちが、戦いの
スペシャリストである侍たちに助けを求める…。そう、他でもない、その映画とは
黒澤明監督の『七人の侍』だ。言うなれば、本作は『七人の侍』の舞台を“宇宙”に
移し、『スター・トレック(宇宙大作戦)』のパロディとドタバタ要素をプラスして、
コアでマニアックでオタッキーなスパイスを振り掛けただけのこと。ストーリー
自体に目新しさはなく、むしろ古典的で単純なものだろう。だけど、不思議だ‥‥、
(今回が3度目)観るたび毎に笑わされ、最後は決まって泣かされる。要は、映画
におけるストーリーなんて全く単純でも構わないのだ。一本バシッと筋の通った
背骨さえ決まれば、あとはキャラクターに“厚味”を持たせ、新しいアレンジが
施されたストーリーの中で、思う存分動かすだけで良い。勿論、それはパクリでも
猿真似でもない。作り手が『七人の侍』という作品を完璧に理解してこそ出来る、
“リスペクト”なのだ。
 では更に、もう一歩踏み込んで書くとしよう。ならば、この映画と『七人の侍』に
共通するテーマって何だろう。それは、何のために戦い、何と戦うのかってこと。
まず、ここでひとつ抑えておきたいのは、主人公のテレビ俳優(あるいは、7人の侍)と、
彼らと相まみえることなる悪玉エイリアン(あるいは、野武士)に“直接的な敵対
関係”はなく、主人公たちはその中間に入った善良宇宙人(あるいは、農民)に
“委託されて戦っている”に過ぎない。では、何のために??、当初逃げ腰だった
彼らが、ある瞬間を境に劇的に変化していくのは、いつの間にか善良宇宙人との間に
“愛”が芽生え、“友情”が育まれ、“互いへの尊敬”の中から“固い絆”が生まれて
いくからだ。そして、命ある大切な者を守りたいという“願い”から、戦うための
“勇気”が湧き上がってくる。しかし、その“戦う”とは、単に悪玉エイリアンだけに
対して向けられているとは限らない。これまでの、“ミジメで情けない自分自身”へ
立ち向かうための勇気なんだ。つまり、これは彼らにとって“本当の自分を取り戻す
ための戦い”なんだ。いや、この際、グダグダと理屈だけを並べるのはやめにしよう。
すべてに“弱者へのオマージュ”が感じられる、オイラはこの映画が大好きだ。
 最後に、これは映画ファンとして、とても勇気がいる発言だが(笑)、オイラは黒澤
明の『七人の侍』よりも、こちらの『ギャラクシー☆クエスト』の方が断然思い入れが
強かったりする‥‥(笑)。



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『プレステージ』、観ました。

2007-06-18 20:46:16 | 映画(は行)
プレステージ
監督:クリストファー・ノーラン
出演:ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベール、スカーレット・ヨハンソン、マイケル・ケイン、デヴィッド・ボウイ

 『プレステージ』、映画館で観ました。
19世紀末のロンドン。若き奇術師の“グレート・ダントン”ことアンジャーと、“ザ・
プロフェッサー”ことボーデンは、お互いに尊敬しながらイリュージョンの腕を
競い合っていた。だがある日、アンジャーの妻が、脱出マジックの失敗で命を
落とす。そのトリック中に、ほどけるはずの紐を結んだのはボーデンだった……。
 観るまでもなく“ネタが命”のこの映画。それを裏付けるように冒頭のテロップでは
「この映画の結末は誰にも喋らないで下さい」と、クリストファー・ノーラン監督
からのメッセージが。しかし、これが“ネタバレ御法度”となると、何から書き
始めて良いのか、まさに“レビュアー泣かせの一本”だ(笑)。まぁ、それでも
“しない程度”に書かせてもらうと、ぶっちゃけ“ほとんど反則まがい”の結末で、
「してやられた」と感心させられるより、「な~んだ、そんな事か」と良い様に
誤魔化されたカンジ。物語の最後まで引っ張るだけ引っ張っておいて、“実は
○○だった”って結末じゃあ、手品の種明かしとしちゃ、ちと弱い。しかも、折角
“手品”を題材にしながらも、肝心のマジックシーンは“編集”でゴマかされちまう。
ここは嘘でも(?)ワンカットで撮るとかして、役者本人がさもマジックを披露してる
ように見せないと、映画的にもマズいんじゃないかい。やはり、普段からCGの
威力で“映像のマジック”を目にしている我らからすれば、何を今更“ホントの
手品”を見せられてもねぇ。「映画」と「手品」…、一見、面白そうな組み合わせだが、
今回試してみれば、思いの他に“食い合わせ”が悪かった。
 だとすれば、これが全く面白味に欠ける映画かと言えばそうではなく、物語は
二転三転しながら、ダマしダマされ又ダマす、スリリングな展開は緊張感が
持続したまま、一瞬たりとも目が離せない。返す返すも、ラストの結末に過剰な
期待を寄せなければ、普通に楽しめる(?)映画には仕上がっていると思う。では、
もうワンランク上に押し上がることなく、“単なる娯楽作”で終わってしまった原因は…??、
いや、そもそもオイラが言いたいことは、この復讐合戦の発端で、その張本人となる
ボーデン(クリスチャン・ベール)が最初の事故に対する罪悪をもっていたかどうかとか…、
マイケル・ケインやスカーレット・ヨハンソンなど、未消化のまま終わってしまった
キャラもあったとか…、そういうことじゃない。結局、“この映画のトリック”は、
あまりに出来が良く、《期待感を持たせ過ぎた予告編》にあったのだ。今にして再び、
そのコピーを思い出す、「目を凝らせ、騙されるな」と。畜生ッ!!、その《予告編》に
釣られて、映画館まで観に行ったオイラは、見事にダマされたのだ(笑)。



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『麦の穂をゆらす風』、観ました。

2007-06-16 20:42:45 | 映画(ま行)





監督:ケン・ローチ
出演:キリアン・マーフィー, ポードリック・ディレーニー
※カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品

 『麦の穂をゆらす風』、観ました。
1920年のアイルランド。医師になる将来を捨て、兄とともにイギリス支配からの
独立を求める戦いに身を投じる青年デミアン。戦いは終わり、ついにイギリスは
独立を認める。しかし今度は、アイルランド人同志が敵味方になる内戦が始まり、
デミアンと兄、そして恋人シネードとの絆をも引き裂いていく‥‥。
 いかにもケン・ローチ監督らしい“リアルな描写”と、イングランド地方のどんより
スッキリしない風土が、“戦争の重苦しさ”を観る者の心に印象付ける。観ながら、
時間の経過と共に“その痛み”は増していき、戦争への“強い憤(いきどお)り”が
胸の底から込み上げてきた。言葉に云えぬ深い哀しみと戦争の不条理さ、そして、
人の愚かさも…、様々な想いが複雑に絡み合い、ボクはますます《戦争》という
ものが分からなくなっていく。先に言っておくと、ここにはハリウッド映画にありがちな
感動話も、作られた美談も存在しない。代わりに、アイルランドに生い茂る新緑の
緑に対比して浮かびあがる、おぞましい“戦争の正体”に涙する。間違いなく
ここ数年来に作られた反戦映画では“最高傑作のひとつ”であり、実際ボク自身も
完膚無きまでに打ちのめされた。それゆえに、心に受けたダメージは耐え難く、
もう二度と観たくない…、いや、観れないだろう作品だ。
 勿論、ボクがこれを“近代反戦映画の傑作”と称するのには理由がある。序盤で
植民地支配を巡る二国間、大英帝国とアイルランド共和国による“(単純な)善悪の
対決”としながらも、後半では一旦終結に向かいかけたその戦争が形を変え、
“次なる戦争”となって息を吹き返していく。それは大英帝国の出した不平等な
条件を、とりあえず今は妥協して受け入れ、“これ以上の戦争”を避けるべきだという
義勇軍の“慎重派”と…、いや、“本当の自由”を得るために、今一度奮起して
戦うべきだという“強硬派”との内紛において他ならない。ボクにも両者の言い分は
分かるし、そのどちらかの主張も間違ってるとは思わない。でも、何故彼らが戦い、
殺し合う??、どうして、同じ国を愛する者同士が憎しみ、傷付け合う??(涙)、
今改めて、思い知らされる…、“戦争の正体”は表面に現れたものだけとは限らない。
我らが気が付かないところで地中に根を張り、幾重にも枝分かれして、“人の心の
奥深く”まで入り込んでいく。そして、《戦争》は、麦の穂を揺らす風のように‥‥、
仲間との絆も、友との友情も、兄弟の繋がりも、その人が持つ人間らしさも、家族の
幸せや思い出さえ‥‥、すべて奪い去っていくんだ(涙)。



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『監督・ばんざい!』、観ました。

2007-06-13 21:46:37 | 映画(か行)
Pirates3
監督:北野武
出演:吉行和子 宝田明 内田有紀 木村佳乃 松坂慶子 ビートたけし 江守徹 岸本加世子 鈴木杏

 『監督・ばんざい!』、映画館で観ました。
映画監督のキタノが、得意ジャンルのバイオレンスを封印すると宣言した。その後、
彼はラブストーリーやホラー、SF、時代劇など思いつくまま新作の企画を練るが、
そのたびに何らかの理由で製作中止になってしまう‥‥。
 「難解こそが芸術なり」みたいな映画は好きじゃない。ただ、この映画の場合は
“難解”だというよりも、“監督北野武の苦悩”をそのまま映像にしただけのこと。
本当は分かり易いくらいシンプルな映画なのかもしれない。
 さて、改めて繰り返しになるが、ここでの監督キタノは迷っている。一流監督たる者、
“当たる映画”を撮るべきか…、はたまた、“評論家ウケする映画”を撮るべきか…。
マンネリから脱却するため、得意のギャング映画は封印し、あれもダメ、これも
ダメと色んなジャンルの映画に手を出しては挫折する。いや、見方を変えれば、
新作を断念する度毎に、その分身ともいえる北野人形に“自殺”させてしまうのは、
北野武の“自己破壊”とも受け取れる。ふと気が付けば、これまで“映画監督”として
築き上げてきた地位や名声が、今は逆に“重し”となって、観る側に“北野作品は
こうあるべき”と、変な先入観で縛られる。まるで、今作の北野武は、そのイメージを
一旦叩き壊し、改めて“新しい北野武”を再構築させるための作業のように思えてくる。
映画終盤、風呂場で丸焼けとなり、《超合金のロボット》が壊れ、そこから転げ落ちた
監督キタノに、詐欺師の娘が言う、「あの人と結婚したい」と。それは監督キタノが、
過去の呪縛から解き放たれ、心に付けた《鉄の鎧(=ロボット)》を外した瞬間だったに
違いない。結局、これは北野武にとって“自分探しの映画”なのだ。生から死へ…、
栄光から挫折へ…、人生をひとつの旅として、その心の放浪を描いた、一種の
“ロードムービー”かもしれないね。
 一方、ラストの解釈は様々だろうが、北野武はこれまで以上に周囲を気にせず、
本当に撮りたいものを撮り続ける、“自身のやりたい放題”に対する永久宣言
のように感じられた。ならば、問題のギャング映画は‥‥??、まぁ、彼の性格からして
絶対撮るでしょう(笑)。オイラもあまりにエグいのじゃなかったら応援します。
でも、今作みたく“古典ギャグの連発”はチョットねぇ‥‥、観ていてスッカリ
引いちまったヨ(笑)。“笑えないコメディ”って、正直キツイよなぁ。



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『素晴らしき休日(『監督・ばんざい』併映の短編)』、観ました。

2007-06-11 20:57:23 | 映画(さ行)
素晴らしき休日
監督:北野武
出演:モロ師岡 、北野武

 『素晴らしき休日(『監督・ばんざい』併映の短編)』、観ました。
僅か3分間の上映時間に加えて、ほとんど台詞らしい台詞がないので、観る側の
イメージに頼る部分が大きい作品。人によっては、全く違った感想を抱く映画かも。
よって、これから書く(あらすじを含めた)レビューは、あくまでもオイラの解釈として、
“参考程度”に読んで頂ければ幸いデス。

山あいにある小さな村、“一本道の先”にある映画館は小汚い古びた映画館は、
何も無いその村では“唯一の娯楽施設”だろう。最新の映画が上映される訳じゃない。
シャレたサービスがある訳じゃない。時代遅れの日本映画(今回の上映は『キッズ・
リターン』)を、硬い木の椅子に座って観るだけの“粗末なもの”。挙句に今日は、
映写機が故障したり、フィルムが焼け焦げちゃったり、何度も途中中断でまともに
観れたもんじゃない。それでも、たった一人の観客は待たされても、煙草を吸ったり、
犬に餌をやったり、一向に“怒る気配”は見当たらない。それは、やっと再開した
上映が、いきなり“ラストシーン間近”だったとしても同じこと。男の顔に不満の
色は無く、劇場内のスクリーンには映画『キッズ・リターン』の“最終場面”が
映し出される。そこでは2人の少年がこんな会話を交わしている‥‥

「オレ達、もう終わりなのかな‥‥」
「バッカヤロー、まだ始まっちゃいねぇよ」

そうだ、《映画》はまだ終わってなんかいない。“映画の楽しみ方”って、なにも
上映時間の2時間だけじゃない。機械の故障も…、フィルムの焼け焦げも…、
今日観た“映画の一部分”であって、それら全部含めて《映画》なのかもしれない。
男は帰り道、今日の一日とその映画について想いを巡らす。まさに、それこそが
“至福の時間の始まり”‥‥。そして、それは何と“贅沢な時間”だろう。

追伸:実は当のオイラも、映画で一番充実したひと時は、その帰り道、あーでもない、
   こーでもないと自分のレビューを考えあぐねる、まさにその瞬間なのだ。
   まぁ、そういう訳で、今回は主人公を勝手に自分の場合に重ね合わせて、
   映画を解釈してみました、悪しからず。

追伸の追伸:尚、本編『監督・ばんざい』は後日(明日か明後日か)にアップします。



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『大日本人』、観ました。

2007-06-07 20:55:30 | 映画(た行)
Pirates3
監督:松本人志
出演:松本人志 、竹内力 、UA 、神木隆之介 、海原はるか 、板尾創路

 『大日本人』、映画館で観ました。
ひっそりと平凡に暮らす大佐藤は、6代目大日本人として防衛庁から不定期に
依頼される仕事で生計を立てていた。しかし以前とは違い、大日本人に対する
世間の目は厳しく、活躍の場も次第に減っていた。そんなある日、いつものように
防衛庁の命を受けた大佐藤は、電変場に向かいある儀式を行うのだが‥‥。
 松本人志の映画だから、さぞかし笑えるだろうと思ったら大間違い。あやしい??
“ドキュメンタリー番組”風の作風は、時おりシュールな笑いを挟みながらも、
あからさまなギャグは一切無し。劇場内は序盤からクスクス笑いが精一杯で、
一度もドッカーンと大爆笑が湧き上がる場面はなかったかな。ただ、オイラ的には
この映画、コメディアンがお遊びがてらに作っただけで、全く見所が無い映画だとは
思わない。むしろ、この映画に“隠されたメッセージ”を読み取ることで、普段TVの
ブラウン管で見ることのない、松本人志の“別の一面(考え方)”が見えてくる。
 ならば、その“隠されたメッセージ”とは何ぞや??、思うに、それは『大日本人』の、
その名の通り、“日本人としてのあり方”ではあるまいか。映画主人公の大佐藤が
巨大化し、“大日本人”となるためには、電変場に行って体に電流を流さなければ
ならない。だが、そこで大佐藤が拘り続けていることがある。それは先祖代々続く
“伝統の、ある儀式”を執り行うこと。序盤の展開では、その儀式が“彼にとっての
必然”かと思われたが、後のインタビューで、仮に儀式が無くても“彼の巨大化”には
何ら支障がないことが分かってくる。問われると彼は言った、「それは“気持ちの
問題”だ」と。そうだ。気が付けば、今まで我々の身の回りにあった伝統も、格式も、
次々に簡略化され、合理化されていく。更に、押し寄せてくる異国の文化によって、
日本人は自国の文化を捨て、急激に“アメリカ化”が進んでいる。今、我々は
“日本人として”何か大切なものを失っているのではないか。かつて日本人は何より
「伝統」と「格式」を重んじる民族だったのに…。そして、それが我々の“日本人らしさ”
であったはずなのに‥‥。作品中でそれを象徴する、こんなシーンがある。4代目の
祖父の時代には一世を風靡し、ゴールデンタイムを張っていた“大日本人”のテレビ
番組。しかし、6代目の現在は“深夜2時40分”の枠に飛ばされた挙句に、人々から
「大日本人(=伝統、格式)なんて必要ない」とまで‥‥。
 一方、ラスト10分間に込められた“アメリカ批判”のメッセージは、更に痛烈だ。
それまでのCG主体の対決シーンから一転、実写へと模様替えしたその場面は、
赤い鬼の怪獣に怯えた大日本人が、そそくさと都内各所を逃げ回っている。そこへ
空から突如して舞い降りてきた5人のアメリカンヒーローのファミリーたち‥‥。
次の瞬間、彼らは“数と力”に物言わせ、赤い怪獣に“情け無用の総攻撃”を
起こした後、何とそのパンツ(=プライド)まで剥ぎ取ってしまう。すると、今度は
ビルの陰に隠れた大日本人を見つけ、「お前(大日本人)もここに来て一緒に戦え」と。
やむなく大日本人は、とどめのビーム光線で、ヒーロー達と手を合わせるが、
彼がその手を離しても“光線の威力”は全く変わらないのに。つまり、大日本人は、
アメリカンヒーローたちに無理矢理(リンチへの)参加を強制され、“(戦争の)
共犯者”にさせられたのだ。
 では、正直なところ、この映画だけを観て松本人志に“映画監督としての才能”が
あるかどうかなんて分からない。とにかく次の作品を観ないことには…。ただ、「戦争」を
このように描いたのは初めてだし、“彼ならではの視点”を垣間見る。少なくとも、
彼が“非凡なセンス”を持った才人であることだけは間違いない。



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『007/カジノ・ロワイヤル』、観ました。

2007-06-05 20:27:56 | 映画(た行)





監督:マーティン・キャンベル
出演:ダニエル・クレイグ, エヴァ・グリーン

 『007/カジノ・ロワイヤル』、観ました。
暗殺の仕事を2度成功させたジェームズ・ボンドは“00(ダブルオー)”の地位に
昇格し、最初の任務で、世界中のテロリストの資金源となっている“死の商人”
ル・シッフルの存在を突き止める。高額掛金のポーカーで資金を稼ごうとする
ル・シッフルと勝負するため、モンテネグロに向かうが……。
 これなら“アクション(映画)”苦手なオイラにも大丈夫。まして『007』は、
これまで積極的に観ようとしなかったシリーズだが、今回久しぶりに体験する
『007』は、何とフィジカルでエネルギッシュなものに感じられる。それというのも
映画の全体を支配するのは、今作から新ボンドに抜擢された“ダニエル・
クレイグ”の若々しさ。何より“走れる”というのが彼の魅力。映画オープニングから、
走って、走って、また走って…、黒人の爆弾男を追いかける。塀を飛び越え、
ビルを駆け上り、やっと追い詰めたかと思ったら…転げ落ち、また走る。
そのシーンだけ観ても、歴代のボンドには考えられない、まさに“アクション
映画の真髄”を見せてもらった。気が付けば、近年は、映画の中のジェームズ・
ボンドもハイテク機械に頼り過ぎ、映画自体も大掛かりな仕掛けとCGの占める
ところが多くなってきた。しかし、今作が物語で、ジェームズ・ボンドが“007となる
以前の設定”としたのは、そういったシリーズのマンネリ化を一色すると共に、
再び《原点》に立ち戻った“リスタート”の意味合いを持っている。その内容といい、
出来栄えといい、そしてキャスティングも…、この作品はそれに相応しいもので
あると思う。
 さて、今回の007を観た人なら、これまでのシリーズとは違う“ある特徴”に
気付くはず。それは、ボンドが向かうべき“敵の正体”だ。例えば、通常ならば、
最大の難敵となる“敵の親玉”が最後方に控えていて、少なくとも“観る側だけ”
にはその正体が明らかにされる。ところが、今作では、ボンドが目の前の敵を
倒したかと思えば、その後ろで糸を引く人物が現れ、更にその後ろには別の
黒幕が‥‥という具合に、事件が二重三重に重なり、その終わりが見えない。
つまり、映画は“ボンドと同じ視点”で推移され、観客は“ボンドと同じ状況下”に
置かれたまま、難事件を解決していくのだ。
 一方、派手なドンパチやカーアクションだけに頼ることなく、色々な側面から
楽しめるのも“今作の特徴”だ。映画中盤、ビッグマネーを賭けてのポーカー
ゲームは、それまでの“動のアクション”から“静のサスペンス”へ…、言い換えれば、
“スピード感”から“緊張感”へ、華麗にシフトチェンジした“スリル”が味わえる。
まぁ、この際、多少のツジツマ合わないことは知らん振り。相次ぐご都合主義も
許すとしよう(笑)。だけど、イギリス諜報部員が国家予算を使ってカジノのポーカー
ゲームで大勝負って‥‥どう考えたって“設定に無理”ないか??‥‥ま、良いでしょ、
誰もこの映画に“リアリティ”なんて求めてないでしょうから(笑)。



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『ゴッドファーザーPARTⅡ』、観ました。

2007-06-02 18:57:34 | 映画(か行)





監督:フランシス・フォード・コッポラ
出演:アル・パチーノ、ロバート・デュバル、ダイアン・キートン、ロバート・デ・ニーロ、ジョン・カザール

 『ゴッドファーザーPARTⅡ』、観ました。
1958年、ファミリーを引き継いだマイケルは、ユダヤ人ファミリーとの反目を始め、
様々な問題を抱えていた。彼は亡き父ヴィトーの若き日に思いをはせる。ヴィトーは
幼い頃に父を殺され、移民団にまぎれてアメリカに渡った。イタリア人地区で腕と
頭を使って伸し上がり、ゴッドファーザーの地位を獲得したヴィトー。だが、マイケルの
時代は組織も大企業化し、やがて犯罪調査委員会の公聴会で告発される‥‥。
 “完成度の高さ”では前作を凌駕する。まさに“映画史上最強の続編”といって
差し支えない、フランシス・フォード・コッポラ渾身の一作だ。映画は、“その後”の
コルレオーネ・ファミリー、抵抗勢力に立ち向かいながらも、更なる事業の拡大を
図るマイケルと…、“若き日”のヴィトー・コルレオーネが貧困から頂点に駆け上って
いくまでを、“その両側”から描いている。では、何故、そんな複雑な構成に‥‥、
一見、前作でゴッドファーザーのヴィトーが死んでしまったことで、“苦し紛れの
構成”のように思われるが、実はこれには列記とした理由がある。幼年期に両親を
殺され、故郷シチリアから追われるようにアメリカに渡ったヴィトー・コルレオーネ。
まだ少年だった彼は、辿り付いた船の甲板から見る“自由の女神(=アメリカ)”に
自分の未来を託す。一方、現在は父の跡を継ぎ、巨大権力を手に入れた
マイケルだが、“新しい時代の波”にファミリーの変革を余儀なくされ、周囲との
ギャップの中で“自分だけ孤立”していく。しかし、よく考えてみれば、それは
そのまま“アメリカの歴史”でもあることに気付かされる。今世紀初頭、押し寄せる
移民たちにとってアメリカは“希望の象徴”だった。彼らは、そこに自身の未来を
重ね、その国の明日を信じた。その後、アメリカは恐慌(=貧困)と戦争(=暴力)の
中から驚異的な発展を遂げていく。まるでヴィトー・コルレオーネの半生そのままに…。
そして、“現在のアメリカ”の方に目を転じれば、軍事よりも“政治や経済”の方を
重点に…、もはやその活動の拠点はアメリカ国内だけに留まらず、莫大な利益を
求めて国外へと進出していく。更に続ければ、“金こそがモノを言う時代”、豊富な
資金源をバックに現在貧困にある国の政府を味方に取り付けるが、同時に
相手(の国民)からは大きな反感を買ってしまう。様々な事情が複雑に絡み合い、
決断を簡単に下せなくなったマイケルの苦悩がファミリーを取り巻く環境の変化を
浮き彫りにすると共に、“時代の移り変わり”を切実に印象付けるのだ。
 改めて、『ゴッドファーザー』とは“家族のドラマ”だ。それは前作のレビューにも
書いた。中でも《信頼》という言葉が、重要なファクターとなっているのは間違いない。
その、“信頼”が何らかの形で失われたとき、“疑い”は“裏切り”へと変わっていく。
では、どうしてヴィトーは成功を…、何故マイケルは失敗を…、マイケルは言った、
「それは(ファミリーを取り巻く)“時代の違い”だ」と。確かに‥‥、でも、ボクは
それだけとは思えない。ヴィトーは自らが一人一人に救いの手を差し伸べることで
“それぞれの信頼”を勝ち取っていった。いや、それ以上に、彼がその家族に向かう
“優しさ”に…、その3人の子供たち注ぐ“愛情の深さ”に、思わずボクは涙溢れた。
かつて10年前に観たときは、何ともなかったシーンの筈なのに、今“家族”を持ち、
初めて“人の親”になって知る、その“家族の温かさ”とは何と美しく、感動的に
見えてしまう(涙)。が、どうだろう。現在のマイケルはと言えば、その優しさも、
その温かさも感じない。同じように、ファミリーの将来を按じ、家族を想ってはいるが、
ヴィトーのそれとは微妙に違う。他人(弱者)に対する“救い”はおろか、僅かの
ミスさえ決して許さず、裏切り者は抹殺する。そして、それは例外なく、マイケルの
元を去った妻の帰宅さえ認めず…、たった一度の過ちを犯した兄フレドさえも‥‥。
“家族の結束”とは、力と制裁をもって抑えつけるものではなく、“過ちを許す”
ことで繋ぎ止め、“双方の信頼”の上で初めて成り立つものなのに。父ヴィトーは、
“家族のため”に強くなろうとした。しかし、マイケルは“ファミリーを守るため”に
父の強さを真似ていたに過ぎない。それは、本当の強さじゃない。むしろ、彼の
非情は“弱さの証明”でもある。「家族を大事にしない奴は、男じゃない」、今にして
再び『PARTⅠ』の冒頭でヴィトー・コルレオーネの言った言葉が脳裏に蘇ってくる。
ラストシーンは、公園のベンチに独り佇(たたず)むマイケルの、その横顔に
“孤独”が滲む。そして、思い出されるのは、家族と過ごした輝ける時間(とき)。
しかし、吹き抜ける風のように、“過ぎ去った家族の幸せ”は二度と再び戻ることは
ないのだ。



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