肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『エターナル・サンシャイン』、観ました。

2005-12-01 20:54:33 | 映画(あ行)
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 『エターナル・サンシャイン』、観ました。
バレンタインデー目前のある日、ジョエルは最近喧嘩した恋人クレメンタインが
自分との記憶を消去してしまったことを知る。ショックを受けたジョエルは、
自らも脳の特定の記憶だけを消去できるというその施術を受け、彼女との波乱に
満ちた日々を忘れようとするのだが‥‥。
 「映画の出来は脚本で決まる」と言うけれど、この映画の場合はまさにソレ。
『マルコヴィッチの穴』『アダプテーション』の脚本家チャーリー・カウフマンが、
今作でもその変人ぶり(?)をいかなんなく発揮して、いかにも“らしい”…
独創的でアクロバティックな恋愛映画を作ってみせた。ウェットでオフビートな
台詞の応酬に、終始オイラはゲラゲラゲラと大笑い。一方で、映画終盤には
ボロボロボロと大泣きも‥‥。いや、むしろ、どんなサプライズな展開よりも、
思わぬ(?)この感動に、オイラは心の底から「恐れ入りました」ってカンジ。
難解で好き嫌いの分かれる映画だけど、少なくともオイラの中では“今年最強の
ラブストーリー”。文句なしの五つ星、満点です。
 さて、映画は『マルコヴィッチの穴』『アダプテーション』同様に、普段見れない
アタマの中を覗いていく。しかし、今作が先の2作品と圧倒的に違うのは、
主人公が“ある理由”から消されゆく記憶の中で、これまで歩んできた人生を
振り返り、「本当の自分は誰なのか??」「自分にとって本当に大切なものは
何なのか??」を探していく‥‥、いわゆる、“記憶のロードムービー”になって
いる点だ。そして、彼がその“心の旅”を通じて知ったのは、たとえ、記憶の
すべてを消し去って、愛の痛みを忘れたとしても、そこに“君”が居なければ、
生きていけないってこと。たとえ、すべてが消え去って、この世界が空っぽに
なったとしても、せめて“君”だけは失いたくないってこと。欠点だらけの男と、
欠陥だらけの女がめぐり会い、この世に2つとない“至上の愛”を作り出す奇跡に、
涙がもう止まらない。だって所詮、人間なんて“ちっぽけな生き物”だから…(涙)。
ラストシーンにみられる二人の抱擁は、嘘でもゴマカシでもない。己の弱さも…、
醜さも…、互いのすべてを曝け出し、傷付け合って、そこから生まれる“真実の
愛”だったに違いない。甘く楽しいだけが“愛のカタチ”じゃないんだね。
苦しいから“愛”なんだ、痛いから“愛”なんだ。



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