肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『かもめ食堂』、観ました。

2007-02-28 21:39:54 | 映画(か行)






監督:荻上直子
出演:小林聡美, 片桐はいり

 『かもめ食堂』、観ました。
北欧の港町ヘルシンキに、「かもめ食堂」という小さな食堂がオープンした。店主を
務めるのは日本人女性サチエ。来る日も来る日も客はゼロのその店に、ある日、
日本かぶれの青年トンミがやってくる。彼はサチエに”ガッチャマン”の歌詞を
教えてくれと言う。続きが気になって仕方ないサチエは、カフェで見かけた日本人
女性ミドリに声をかける……。
 自分にとって“将来の目標”がどうとかこうとか…、“生きる目的”がどうとか
こうとか…、そんな大げさで大層な事を言ってる映画じゃない。フィンランドの
のんびりした風景の中、焦らず、気どらず、自分なりのスタイルで、自分に合った
ペースで生きていく…、こんな生き方もありますよ、こういう時間の過ごし方は
どうですか、って優しく語り掛けられているような、そんな感じ。小品だが、人の
手の温もりを感じる。描かれるのは、フィンランドの平凡な日常の一コマだが、
そこには普段、日本人の我々が気付かない“小さな幸福”が溢れている。
 さて、ここに登場する3人のヒロインたちは、何となく日本を離れ、なりゆきで
この地フィンランドに集まった。ある者は小さな希望を胸に秘め…、ある者は
自分の苦しみから逃げるようにして…、又ある者は長年の足かせが外れ、改めて
その人生を見つめ直すため…。しかし、本当のところ、それが真実かどうかなど
分からない。映画ではそれについて詳しくは触れていないし、映画の彼女たちも
また、それぞれの過去について多くを聞こうとしないからだ。多分、彼女たちは
身をもって知っていたんだろう…、誰だって一つや二つ、言うに言えない哀しみや
苦しみを持っているということを。そして、その姿を観ながらボクは思ったんだ、
過ぎ去った過去を恥じる必要なんてないし、遠い未来を考えて不安がる必要も
ない。ただ、「現在(いま)」というこの時間を“自分らしく”生きること、それだけで
良いのだと。例えば、空を飛ぶカモメのように…、自由に、風に吹かれながら。
 一方、ラストシーンはアキ・カウリスマキの『浮き雲』を思わせる。ところで、
ここでちょっと確認したいことがある…、かもめ食堂が繁盛したことで、その後
“彼女たちの自由”はどうなったのか。いや、思うに、それは考えなくても良い筈だ。
だって、端から彼女たちはお金のために働いていたわけじゃない。やりたいから
やっているだけ、生きるのが楽しいから生きているだけなのだから。



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“エンターテイメント(ハリウッド編)”三本締め

2007-02-24 21:57:18 | ★独断と偏見的シネマ・セレクション3
独断と偏見的シネマ・セレクション3
(ジャンル別)“エンターテイメント《ハリウッド編》”

①、『ジョーズ』
②、『ベン・ハー(1959年)』
③、『シカゴ』


「ハリウッドエンターテイメント」と言って
本当は『アマデウス』を1位に推したかったのだけど、
ストーリー展開やビジュアル重視の“娯楽性”よりも
“ドラマ性”の方が高そうなので、あえて選から外した。
同じ理由で『ポセイドン・アドベンチャー』も。

①は、たった一艘のオンボロ船と、ハリボテの背びれだけで、
手に汗握るサスペンスを演出し、極上のエンターテイメントを作り上げた
“20代の天才監督”の出現に世界中が驚愕した。
ただし、時代(とき)が流れて、
過激描写やCGに頼るようになった“現在のスピルバーグ”は、
その才能を無駄遣いしていると思う。
③は、オイラの好みだけなら『キャバレー』だが、
“ハリウッド的な華やかさ”で言ったら断然こちら。
この映画ばかりは、映画館の大音響と大スクリーンで観ないと意味がない。









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『DEATH NOTE デスノート 前編』、観ました。

2007-02-22 22:33:00 | 映画(た行)






監督:金子修介
出演:藤原竜也, 松山ケンイチ

 『DEATH NOTE デスノート 前編』、観ました。
退屈な死神が人間界にノートを落とし、退屈な天才がそのノートを拾った。
そこに名前を書かれた人間は死ぬ。それは文字通り、人の死を決定付ける
"死のノート"。死神だけに許された究極の道具を手に入れたのは、誰にも
負けない頭脳を誇る全国トップのエリート大学生、夜神月(ライト)だった‥‥。
 前/後編ある2部作を、その“前編”だけ観て評価を云々(うんぬん)なんて
馬鹿げてる。だけど、そうも言ってられないBLOGの台所事情がありまして…(汗)、
よって、何とか無理矢理にでも書かねばなりますまい(笑)。うん、さすが、
大ヒット人気コミックが原作ということで、物語展開も面白いし、キャラクター
(設定)だってよく考えられていて感心する。中でも、鹿賀丈史が扮する“刑事
局長”の存在感がミソ。追う者("L"にとっての部下)と追われる者(ライト
にとっての父)とが、彼を介して繋がり、その彼を挟んだ両側でバチバチ激しい
火花がほとばしる。そして、その天才同士による水面下での攻防は、僅かの
ミスさえ命取りになる…、まさに“死のゲーム”の様相だ。
 と、そんな風に、映画はサスペンス要素と娯楽要素を散りばめながらも、
作品(少なくともこの前編?)が扱っているテーマは、思いのほかに重厚だ。
“法の裁き”の限界について…、“恐怖”で押さえつける平和について…、
そして“真の正義”のあり方について‥‥。ただ、何故だろう。観終わった
ボクには、それらのテーマがいまひとつ耳に響いてこない。では、思い出して
みよう、事の始まりはこうだ…。主人公ライトは、法の裁きを逃れた犯罪者が
のうのうと生きている、そんな社会の現実を打破すべく、デスノートを“正義の
ため”に使おうとする。ところが一転、自分が疑われ始めると、標的は“自分に
疑いを持った人間”へと移っていく。つまり、ライトはその「(行き過ぎた?)
正義」を貫こうとするあまり、いつしかライト自身が“悪の領域”に足を踏み入れて
しまうのだ。ボクがこの映画で残念だったのは、テーマの中核を成す…、
その大切な部分が意外なほどアッサリとしていて、ライトの「善」が「悪」へと
移り変わる、その瞬間がいつだったのか?、そのとき彼はどんな心理だったのか?、
そのあたりが十分に伝わってこないこと。まぁ、結局のところ、この前編では
問題を提議しただけで、この答えは次作『後編』でいうのが本当のところかな。
果たして、今のボクたちが従うべき…、そして“信じるべき正義”は「てめぇの
中だけのモラル」ってやつなのか…、それとも「でっかい社会が定めた法律」って
やつなのか…、次作『後編』がどんな回答を出すのか、非常に楽しみだ。



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『ドリームガールズ』、観ました。

2007-02-18 21:36:28 | 映画(た行)





監督:ビル・コンドン
出演:ジェイミー・フォックス, ビヨンセ・ノウルズ

 『ドリームガールズ』、映画館で観ました。
60年代から70年代のモータウンサウンド隆盛期。仲のよい友人同士で作った
女性ボーカルグループ“ドリーメッツ”。彼女たちは歌で成功するために、毎夜
オーディションに出場していたが落選続き。そんな彼女たちを、カーティスという
男が目を付けた。やがて、人気歌手ジミー・アーリーのバックコーラスを務めた後、
“ドリームガールズ”としてデビューを果たすが……。
 硫黄島の激戦も…、9・11のテロ事件も…、後世に語り伝えなくちゃいけない
大切なことだとは、確かに思う。だけど、こうも…人が死んでいく映画ばかり
見せられちゃ、気分がどんどん滅入ってくる。やっぱりさ、映画は「銀幕」って
いうくらいだから、せめて少しでも“輝き”が欲しい。そういう意味じゃあ、
この『ドリームガールズ』は、オイラに待望久しい“夢の世界”ってやつを
思い出させてくれた。黒人女優ビヨンセ・ノウルズの“悪魔的な美しさ”に見惚れ、
ジェニファー・ハドソンが放つ“迫力の歌声”に聴き惚れ、華やかなステージと
絢爛豪華な衣装の数々に溜め息をつく。おっと、それから忘れちゃいけない、
ありったけのソウルを発散させてシャウトするエディ・マーフィ、そのヤバい
腰の動きもサイコーだぜ(笑)。それを観ながらオイラは痛感し、観終わった
後に確信したことがある…、やっぱりオレはハリウッドの、それも“輝ける
ミュージカル映画”が大好きなんだ、ってね。
 ただし、映画はそんなアメリカン・ショービジネスの華やかさだけじゃない。
その裏側で渦巻く陰謀と裏切り、その世界で頂点を目指す者たちの栄光と
挫折など…、改めて、現実の厳しさも見せ付けられることになる。しかも、ここで
皮肉なことは、その厳しい現実に打ちのめされ、敗北を味わった者こそが
結果的に強くなり、一方で夢を掴み、巨富を手にした者が、それによって愛を
手放し、多くの友を失っていく。まさに、それは目映(まばゆ)いスポットライトの
世界の表裏(ひょうり)として描かれる“人生の孤独”‥‥。なのに、不思議だ。
その光と影のコントラストを知ってなお、一層この世界に惹かれていく。多分、
それは“映画”も同じ。映画館の暗闇の中に浮かび上がる銀幕のように…、
光と闇の美しさが互いに反発しながら共生する、そんな場所だからこそ人々を
魅了してやまないのだ。

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『レディ・イン・ザ・ウォーター』、観ました。

2007-02-15 20:58:41 | 映画(ら・わ行)


 『レディ・イン・ザ・ウォーター』、観ました。
多種多様な人々が集まるフィラデルフィアのアパート。単調な毎日を送っている
管理人クリーブランドは、ある時、中庭のプールで謎の女性ストーリーと出会う。
自らを“水の精”だと称し、“青い世界”から来たというストーリー。彼女を
助けるため、クリーブランドは謎解きを開始するが、ストーリーが“青い世界”へ
戻るのを阻止しようとする怪物が出現する‥‥。
 シャラマン(監督)だから…、と言ってしまえばそれまでだが、奥歯にものが
挟まったような、何ともスッキリしない映画だなぁ(笑)。物語は、“絶望”の世界に
生きる人々が、ひとつの“小さな希望”を見つけ、みんなで力を合わせてそれを
守り抜くというもの。まぁ、映画のスタイルこそ違えど、近年の『トゥモロー・
ワールド』
が同じような(テーマへの)アプローチかな。で、その両者を比較すると、
近未来的なリアリズムを追求した『トゥモロー・ワールド』、一方で“寓話的”な
現代のおとぎ話として描いたのが本作『レディ・イン・ザ・ウォーター』だろう。
ただ、冒頭にも書いたように、本作ではミステリーに手が込み入り過ぎていて、
主人公が抱(かか)える哀しみの深さとか、心の空白とか、テーマの核心部分に
入っていけない。それがあってこそ、やっと物語終盤、堰(せき)を切ったように
“哀しみ”が流れ出す主人公のモノローグシーンへと繋がっていくと思うのだが…。
やっぱり、この手のストレートなテーマはよりシンプルに伝えた方がビシッとくる。
オイラは『トゥモロー・ワールド』の方に一票かな。
 さて、同じくこれもシャラマンらしい…、と言ってしまえばそれまでだが、随所に
遊び心を盛り込んだ構成は、思わずニヤリとさせられる(笑)。例えば、文句の多い
イヤな奴としてインテリぶった“映画評論家”を登場させ、ナーフの謎を解く為に
主人公は彼にアドバイスを仰ぐのだ。当然、ヤッコさん、知ったような口で正論を
並べるが、実は後になってみると全部それが見当違いな解釈ばかりだったと
判明する。しかも、あろうことか、本作で唯一、スクラントの犠牲者として無残に
喰い殺されちゃうのが彼だったりする(笑)。ははーん、ナイト・シャラマン監督、オヌシ!!、
さぞかし映画評論家どのの批評うんぬんには痛い目に合っていると見たッ(笑)。
今回は、その、せめてもの抵抗ということで…(笑)、確かにこのところの監督作を
見ればご苦労続きで、心中をお察しする(笑)。折角、全身全霊を傾けて作ったものを
ケチョンケチョンにけなされて…。全くもって映画監督も“因果な商売”だよな(笑)。

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『マッチポイント』、観ました。

2007-02-12 20:39:01 | 映画(ま行)


 『マッチポイント』、観ました。
野心家の元プロテニスプレイヤーのクリスは、大金持ちの息子トムと親しくなり、
トムの妹クロエと付き合うようになる。ところが、ある日、トムの別荘に招かれた
クリスは、トムの婚約者であるノラと出会い、挑発的な態度の彼女に惹かれ、
関係を持ってしまう‥‥。
 いかにもウディ・アレンらしい、上品な雰囲気と、知的でウィットな会話が
並ぶ。近年では珍しい、映画を文化的に楽しむ事の出来る“贅沢な大人のラブ
ストーリー”だ。女にとっての“愛”とは??、男にとっての“愛欲”とは??、映画
序盤は、行きかう会話の優雅さとは裏腹に、その言葉の端々で見え隠れする
それぞれの本心…。他の者(仲間)には悟られず、意中の相手の出方を探る
男女の駆け引き、その口から出た嘘と真(まこと)の凌ぎ合いは、まさにテニスの
ゲームさながらにスリリングだ。一転、終盤では、これも“ひとつの愛の側面”
とばかりに、男女の醜い罵り合いへ…、そして、ついにその愛憎劇の結末は
行き着くところまで…(笑)。確かに、アレン作品の常を思えば“コミカルさ”は
抑えられてはいるが、軽快なセリフ廻しとお話作りの巧さは相変わらず絶妙、
いつの間にかグイグイ引き込まれ、時間の経過を忘れてしまう。
 さて、映画は、名作『陽のあたる場所』を思わせる…、大いなる野心を持った
青年が、上流社会に入り、その世界にしがみつこうとするあまり、自分自身を
見失ってしまう物語。人間とは、弱いもの…。普段はそう思っていなくても、
いざ目の前に“魅力的な誘惑”が現れると、そちらの方に目移りしてしまう。
例えば、この映画では、それが一流企業での重要なポストであったり、莫大な
財産であったり…、中でも主人公にとって、官能的な女性ノラとの出会いは
その最たるものなっていく。しかし、ふと気がつくと、それを手に入れる過程で、
社会での体裁とか、世間体とか…、付属品として引っ付いてきたものの重さに
辟易(へきえき)する。そして、いつしかそれは鉄の鎖となって、自分の手足を
がんじがらめに縛りつけ、体の自由を奪うのだ。観ながらボクが感じたことは、
人生で何かを得る為には何かを失わなければならない。少なくとも、彼の場合は、
その捨てるものと得るものの選択を間違えてしまったってこと。考えてみれば、
かつての彼は、世界の各地を転々としながら賞金を稼ぐプロテニスプレイヤー…、
不安定だが“自由”はあった。しかし、安定した生活を求めてクラブのコーチ
となり、更にひょんな事から“偉大なる管理社会の一員”になってしまう。つまり、
彼は地位や財産を手にする一方で、その引き換えに“自由”という大切なものを
失ってしまうのだ。恐らくや、彼が誠実だが面白味のない社長令嬢ではなく、
官能的で気性の荒い愛人ノラの方に惹かれてしまったのは、彼が無意識のうちに
“自由”を欲していたからではなかろうか。映画終盤、主人公が投げた指輪が
橋の手すりに当たって手前に落ち、(結果的に?)思わぬ幸運が転がり込んで
きたように思える…。が、果たして本当にそうなのか??、やはり、テニスのコード
ボールは、手前に落ちればアンラッキーで、向こうに落ちればラッキーなのだ。
一見、ハッピーエンドに見えるが、ボクにはこの上なく“ブラックで皮肉な結末”
のように思えて仕方ない。なぜなら、もはや彼は後戻り出来ず、逆らうことさえ
許されない。身動きの取れない“カゴの中の鳥”として一生を過ごすのだから。

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『黒猫・白猫』、観ました。

2007-02-08 20:34:09 | 映画(か行)





監督: エミール・クストリッツァ
出演: バイラム・セベルジャン, スルジャン・トドロヴィチ

 『黒猫・白猫』、観ました。
マトゥコは間抜けな密輸商。そんな彼が計画した起死回生の石油列車20両の
大強奪。だが、父親に見限られたマトゥコには資金がない。そこで父親の親友
”ゴッドファーザー”グルガに 「父親が死んだ」 と嘘をつき援助を取り付ける
のだが…。
 ボクにとってこの映画は《宝物》、どんな宝石よりも輝いてみえる…。今、
テレビや新聞のあちらこちらで叫ばれている、“命の値段”が下がったとか…、
“人の心”が卑しくなったとか…、そんな事、ボクには分からない。だけど、
ひとつだけハッキリ言えることがある。“命”って眩しいよ、“生きている”って
素晴らしい。それはこの映画がボクに気付かせてくれたんだ。
 さて、この映画に限ってストーリーなんてどうだって構わない。理屈じゃない。
ただ、“映画のありまま”を感じさえすれば良い。スクリーンの外枠からはみ出さん
ばかりのエネルギーがほとばしる。躍動感のある登場人物たち、生き生きとした
人間描写…、ズル賢い奴もいれば、ダマされてばかりの奴もいる。大金持ちの
大地主もいれば、ケチなコソ泥稼業の奴もいる。のん気な楽天家もいれば、
喧嘩っ早い奴もいる。チビもいるし、ノッポもいる。おまけに、ネコやアヒルや
ヤギだって…(笑)。だけど一緒だよ、ここではみんなニコニコ、人生讃歌を
謳(うた)ってる。それにしても、何故だろう?、悲しくもないのに泣けてくる。
この、湧き上がってくる感動は何だろう。そうだ、これが“生の輝き”に違いない、
それを観ながらボクは改めて思ったんだ。常に人を愛し、人から愛される喜びを
感じていたい。友を信じ、友から信頼される関係を築いていたい。いや、仮に今、
そうでなかったとしても、いつかそうなる夢を信じて生きていたい。そうすれば、
世界はきっと“黄金”のように輝いて見えるはず。映画は終盤、肥溜めに落ち、
糞まみれになったヤクザな男を、ダマされてばっかのダメ男クンがホースの
水で洗っている。それを嬉しそうに眺めながら「これが“美しい友情”の始まりだ」
というゴッドファーザーの台詞がニクいぜ。生きるって良いなぁ、人を愛するって
良いなぁ、若さって良いなぁ、人間って良いなぁ。あぁ、ボクは今、生きている。
大地にしっかり足をおろして立っている。それに、この世界は何て広いんだ。
さぁ、明るい未来に向かって歩き出そう。だって、ホラ、自分の周りを眺めてごらん、
人生は…みんなの愛でいっぱいだよ。


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『グエムル 漢江の怪物』、観ました。

2007-02-04 20:52:17 | 映画(か行)


 『グエムル 漢江の怪物』、観ました。
ソウルのど真ん中を流れる雄大な河・漢江に、ある日突然、正体不明の巨大
怪物グエムルが出現。次々と人間を襲うグエムルの魔の手は河川敷で売店を
営むパク一家にも及び、中学生の娘ヒョンソがさらわれる。だが数日後、父親
カンドゥの携帯電話にヒョンソからの着信が。一家はヒョンソを救うため漢江へと
向かう‥‥。
 この映画が“06年度キネ旬年間3位”というのは、ちょっとホメ過ぎだろう、
ってカンジはする(笑)。しかし、それに納得出来ずに、改めてYAHOOユーザーの
映画採点を覗いてみると‥‥、えッ??、5点満点中で2.6点??、おいおい、いくら
何でもそれは“見る目”が無いってもんじゃないのかい。多分、その輩さん達は、
この怪獣映画を“さもハリウッド的なパニックエンターテイメント”としての
一面でしか観ようしないで、その裏に潜む“見えない恐怖”に気付いていない
のでは??、圧倒的な恐怖を前にして、慄(おのの)く人間の無力さと、その心の
弱さみたいなもの。一方、その構図の背景として、現在の韓国が位置する
“微妙な立場”について。思うに、コイツ(この映画)は、一介の怪獣映画とは
違う。むしろ、ここでの「怪物」とは、誰の目にも明らかな“見える恐怖”として、
韓国という国の日常に深く入り込んだ“(目に)見えない恐怖”をあぶりだした
だけに過ぎない。そうさ、怪物は、オレ達の“心の中”にいる。差別とか、偏見
とか、劣等意識とか…。そして多分、それは普段から漢江の大きな流れに潜む
怪物のように…、ある日突然、醜く巨大な姿を現し、人間どもを喰い殺すのだ。
 さて、本作をより深く知る上で、今一度、ポン・ジュノ監督の前作『殺人の
追憶』
を思い出し、両者を見比べてみる。すると、しだいに浮かび上がってくる
一つの共通点、、韓国という国の背後に見え隠れする“大きな影”・・・、それは
《アメリカ》。例えば、前作『殺人の追憶』では、アメリカの圧倒的な国力を
前にして、自国の非力さを痛感し、主人公の滲む悔しさが見てとれた。一方、
この『グエムル』では、アメリカという巨大権力よって流されたニセの情報から、
韓国全体が揺れ動き、右往左往する国民の姿が印象的に描かれている。
又、物語終盤、もう韓国政府だけには任せておけないとばかりに、アメリカが
怪物退治に乗り出すと、韓国の民意を無視した形で“薬剤兵器”を投入する。
まさに、このあたりは他国の内政に干渉し、強引な手法で騒ぎを収拾しよう
とする“現在のアメリカの姿”に他ならない。もしかしたら、巨大怪物グエムル
によって(すぐに喰い殺されず)捕らえられ、暗く狭い排水路に閉じ込められた
少女は“韓国そのもの”‥‥。抑圧され、恐怖に恐れおののき、やっと勇気を
持って怪物の背中から飛び上がろうとした瞬間、再び背後から捕らえられ、
“元の位置”に戻されるのだ。

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