肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』、観ました。

2008-12-23 21:57:37 | 映画(あ行)





監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:ハリソン・フォード, ケイト・ブランシェット

 『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』、観ました。
1957年、相棒マックに裏切られ、スパルコ率いるソ連工作員の魔手から危うく
逃れたインディ。大学も強制休職となり街を出ようとしていた彼に、マットという
若者が声をかけてきた。いわく「伝説の古代秘法“クリスタル・スカル”を手に
入れられる」という。その言葉を信じ、インディはマットと共にペルーへと向かう。
そこでクリスタル・スカルを手に入れるものの、待ち構えていたスパルコらに
捕らえられてしまい……。
 “アメリカ発”の金融ショックに直撃され、日々目減りしていく手持ちの株価を
どうすることも出来ずに眺めている。こうなったら、いっそ自虐的に思いっ切り
“アメリカンな気分”に浸ってやろうか。
 一体、何を思い立ったか、ルーカス&スピルバーグ!!、さぁ老体にムチ打て
ハリソン・フォード!!、未来へと続く扉のカギをこじ開けろ、我らがヒーロー“インディ・
ジョーンズ”!!、そして、鮮やかな復活劇と共に、今こそ輝きを取り戻せ、アメリカ
経済‥‥じゃなくて、アメリカンドリーム‥‥‥。あちゃー、でもダメだ、映画は
あの手この手で楽しませようとはしているが、全体的に靄がかかってボヤけた感じ。
恐らく、絶頂期のスピルバーグならもっと小気味良いテンポの演出でグイグイ
畳み掛けてきたろうに。傾き掛けたGMの大型車さながら、エンジン音は高らかに
響けども全然加速していかねぇ。おまけに、ハリソン・フォードの立ち回りは、
すべて“引き”のショットで見えてくるのはその後ろ姿ばかり。スタントの必要性
なんぞ分かっちゃいるが、もう少し“攻める姿勢”を見せてくれよ。やはり何度も
正義のヒーローを演じた大スターでさえ、立ち塞がる“時代の壁”は越えられない
らしい。流れた月日の長さが身に沁みるゼ。一方、物語途中じゃあインディが、
もがけどももがけども抜け出せぬ底なし沼に沈んでいく。だけど、オイラはそれを
人事とは思えない。依然株の底値が見えぬまま、下へ下へと堕ちていく自分の
姿とダブらせ見てしまう。誰かオイラに救済の手を差し伸べてくれ。映画の中の
インディさながらヘビの縄でもいいから、沈んでいくオイラに投げてくれ。皮肉にも、
この映画はオイラにとって、一時の娯楽に浸るというより、ただ残酷なまでの
“時代の移り変わり”と、“現実の厳しさ”を強く思い知らされる結果となった。
ひとつ言えることは、スプルバーグも、ルーカスも、ハリソン・フォードも、そして、
特にオイラ自身も、少し“時代”ってやつを読み違えたね。“あの頃の輝き”を
追い求めるより、“現実”を素直に受け止めて、むしろ“枯れた味わい”の
方でもってシリーズを再構築すべきじゃなかったか。ま、株の世界だと“悪材料の
出尽くし感”ってやつで、一気に上昇トレンドに変換なんて場合もありうるが、
少なくとも映画の世界の『インディ』は、これでおしまい。以降の続編は考えられ
ないな。



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『ハッピーフライト』、観ました。

2008-12-13 20:25:56 | 映画(は行)
Happyflight_2_1b
監督:矢口史靖
出演:田辺誠一、時任三郎、綾瀬はるか、吹石一恵、田畑智子、寺島しのぶ、岸部一徳

 『ハッピーフライト』、映画館で観ました。
機長昇格への最終訓練である実機操縦に臨む副操縦士。初の国際線フライトに
戦々恐々の新人キャビンアテンダント。地上ではグランドスタッフ、整備士、管制官等、
多種多様なスタッフ達。空港で働く彼らの使命は「飛行機を安全に離着陸させること。」
本日のホノルル行きも快適な空の旅!のはずだったのに…!?、空のプロたちの活躍を
描く‥‥。
 『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』の矢口史靖監督ってことで、大体の
予想はありましたが、ま、当たらずしも遠からずで、やっぱしそういう映画です。
前2作が好きな人は楽しめる。多分、“期待ハズレ”はないでしょう。でも、あくまで
それは“期待通り”であって、“期待以上”は期待できませんから――、悪しからず。
さて、これまでの矢口作品に共通する特徴として、愛すべきダメ人間達が数々の
失敗を繰り返しながら人間的に成長し、ある一つのことを成し遂げていく。勿論、
今作も例外じゃありません。あえてこれまでとの相違点を探すとしたら、前2作が、
学生の立場から(クラスメイトの)仲間らとの友情や青春の輝きを追ったものだったのに
対し、本作では彼らが上下関係のある社会に飛び出し、戸惑いながらも、先輩や
上司との間に固い絆や信頼が生まれてくる様子を描いている。《大人社会への
旅立ち》を“初飛行(=ハッピーフライト)”にダブらせて観るとヨロシイんじゃないかしら。
特に映画を象徴する場面として、物語中盤、「最高にランディングとは??」の問いに、
主人公は「機体と地面が接地したかどうか、乗客が気付かないくらいのスムースな
着地だ」と答えます。が、教官は即座に「違う」と。つまり、良い所を見せようと本来の
実力を発揮出来ない主人公に対し、“無理に背伸びをせず、今自分に出来ることを
確実にこなしなさい”――。と、そんな先輩から後輩に送る叱咤激励に、逆に“社会の
厳しさ”を教えられます。図らずしも、オイラは『スウィングガールズ』のレビューで、
『ウォーターボーイズ』を兄としたら、『~ガールズ』は妹みたいなもの、と書きましたが、
本『ハッピーフライト』は前2作から“彼らのその後”を負った《続編》と考えても良いかも
しれません。
 ところで、この映画は空港を舞台にした“群像ドラマ”です。それはイコール、複数の
キャラクターが登場し、必然的に、それだけ多くの人物を描写する必要が出てきます。
が、ここでは端役の一人一人にまで存在感があり、物凄く丁寧に描かれていることに
感心します。例えば、管理センターの女性がパソコンの不得手な年配の上司に対して、
当初のじゃけにした態度から、トラブルに遭遇し、やがて強い信頼を寄せていく
過程や――、また、客席誘導の女性が自らの職に疑問を感じつつ、それでもそこに
意義を見出し、覚えの悪い後輩の成長を見守っていく姿など――、それからヒロインの
新米スチュワーデスが初フライトで遊び気分を一掃し、社会人の自覚が芽生えていく
様子も瑞々しく描かれています。単に笑わせたり、楽しませるだけに限らず、そこに
ヒューマニズムがあるのがこの映画の強みでしょう。ライトでコミカルな仕上がりで
ありながら、見応えがあります。作り込まれている印象です。観終わった後の館内を
見渡してみても、カップル、家族連れ、友達同士…、皆皆さん御満足した様子で席を
立っていきます。きっと、この後は食事でもして楽しい時間を過ごされることでしょう。
そんな、映画の後の食事の会話が楽しくなるような映画です。あ、勿論、シングルの
方が観ても大丈夫、楽しめますよ、ハイ。ただし、その場合は、映画の後のレストランで
思い出し笑いしながら食べてると、ヘンな人と思われるから気をつけてね。



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