肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『薔薇の名前』、観ました。

2012-10-15 11:02:18 | 映画(は行)

監督:ジャン・ジャック・アノー
出演:ショーン・コネリー、F・マーリー・エイブラハム、クリスチャン・スレーター、イリア・バスキン

 『薔薇の名前』、観ました。
ヨーロッパに宗教裁判の嵐が吹き荒れる1327年。北イタリアのベネディクト
修道院で、重要な会議が行われることになった。ひと足早くやって来た
バスカヴィルのウィリアムと見習修道士のアドソは、院内で起きた殺人事件に
巻き込まれる。ウィリアムは、立ち入り禁止になっている文書館に、事件の鍵が
隠されるいると考えるのだが…。
 これまで何度観たか分からない――。一般的にいうところ、“ネタが命”の
ミステリーというジャンルであるからして、そのほとんどが一回観れば充分だが、
この『薔薇の名前』に限っては繰り返し何度も観てしまう。中世ヨーロッパの
僧院内に巻き起こった連続殺人事件の怪――。そこから続く犯人探しや
トリックの解明ばかりに気をとられてしまうと、案外アッサリとした印象しか
残らないかもしれない。そう、このミステリー映画の真髄は“そこ”じゃない。
山岳の広大な敷地にそびえ立つ中世巨大修道院の佇まい――、それを
スケール感たっぷりに再現させたオープンセットの素晴らしさも然ることながら、
その内部に至るまで拘り抜いたディテールには、思わず息を呑んでしまうほど。
一方で、怪しげな容疑者と謎多き登場人物たち――、禁断の書に隠された
陰謀――、開かずの間や秘密の抜け道――、階上へと延びる迷宮の階段など、
生粋(きっすい)のミステリー好きなら、思わずニヤリとしてしまう様々な
仕掛けとエッセンスが、ふんだんに散りばめられている。更には、事件の
背景にある歴史的な舞台設定にも興味を引かずにはいられない。伝統ある
僧院内で起きた猟奇的事件と平行して、中世カトリックによる異端審問の実態が
明らかになり、やがてその両者が野望と策略の下で絡み合い、結びついていく
展開は非常にスリリングだ。
 改めて、本作の特長を分析するに、一介のミステリーがトリックや伏線を
張りながら観る側を“ダマす”ことを前提に置くのに対し、この『薔薇の名前』は
タネよりも“雰囲気作り”に比重を置き、《魅せるミステリー》だといえる。手間・
暇・労力を惜しむことなく注ぎ込み、作り手の執念さえ感じさせる雰囲気作りは、
この映画における見どころの一つであり、“陰の主役”に間違いない。とにかく、
オイラは映画の物語上に漂う空気――、何とも言えない、このミステリアスな
世界観が大好きだ。この映画、これまで何度観たか分からない。そして、この先、
何度観るかも分からない。

 


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