肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『アレクサンドリア』、観ました。

2012-11-18 18:16:46 | 映画(あ行)

 

監督:アレハンドロ・アメナーバル
出演:レイチェル・ワイズ、マックス・ミンゲラ、オスカー・アイザック

 『アレクサンドリア』、観ました。
4世紀末エジプトのアレクサンドリア。そこには人類の叡智を集めた図書館が
あり、図書館長の娘で天文学者でもあるヒュパティアによる、天体についての
授業が行われていた。宗教を問わずに生徒を集めていた彼女だが、急速に数を
増したキリスト教徒が古代の神を侮辱した事から、市民の間に争いが起きる。
やがて図書館はキリスト教徒に破壊される。数年後、増大するキリスト教徒は、
その支配の邪魔になるヒュパティアに狙いをつける……。
 何の予備知識もなく、軽い気持ちで観てみたらビックリした。この手の
“ハリウッド産”歴史映画にありがちな視覚的(CG)娯楽に比重を置いた大味な
凡作にあらず――。緻密に計算されたメッセージ性と、細部にまでしっかり
作りこまれたドラマ性を兼ね備えた秀作だ。近年の大作では間違いなく
ベストの部類に入る出来栄えだし、何より作品に対するスタンスが素晴らしい。
例えば、殺戮シーンひとつ取ってみても、“神(天)の視点”で描かれているので、
敵味方そのどちらにも肩入れすることなく、狭い輪っかの中で傷付け合い、
殺し合う“人間の愚かさ”だけが際立って見える。鑑賞後、誰が監督したのか
調べてみたら、アレハンドロ・アメナーバルだった、『アザーズ』に『海を
飛ぶ夢』に『オープン・ユア・アイズ』か――。なるほどね、さすがだ。
 さて、映画の舞台となるのは、アレクサンドリア。エジプトの中心都市に
して、文明と文化の発祥地だ。太陽系の惑星が皆、太陽を軸に回っている
ように、当時の世界は、アレクサンドリアを中心に動いていた。そう、どの
世界にも揺るがぬ軸が存在し、そこを基点に回っている。ならば、その人間
社会にとっての軸は何だろう――、それは《神》か??、いや、それは違う。
なぜなら、神も聖書も宗教も、時の権力者によって勝手に捻じ曲げられ、
都合よく形を変えて利用されたに過ぎないからだ。断じて軸には成り得ない。
物語終盤、教会から神への信仰を強制されたヒロインのヒュパティアは言う、
「私は“哲学”を信じます」と。彼女が信じたものは、哲学という名の《真実》だ。
軸は決して揺るがず、何事にも動じない。《真実》もまたひとつのみ――、
いかなる権力者をもってしても捻じ曲げることは出来ないのだ。
 その昔、イエスが十字架刑に処されたのは、人々が盲目だったからだと
いう。だとしたら、このアレクサンドリアもまた、“世界の軸”が何であるかを
見誤って崩壊していったのだろう。いや、そのイエスの寓話を例になぞれば、
この映画におけるヒュパティアこそが、イエスだろう。彼女こそが女神であり、
太陽の場所に位置する。長官のオレステス、奴隷のダオスらにとって彼女への
憧れこそが生きる活力であり、人生の“中心”だった。ここ(人間関係)に、
もうひとつの“円運動の中心力”が存在する。その軸である彼女が消えゆく時、
その男らの人生も崩壊していくのだ。

 
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『悪魔の嵐』、観ました。

2012-09-16 21:59:31 | 映画(あ行)

 『悪魔の嵐』、観ました。
アメリカ、メイン州に位置する小さな孤島に、強大な嵐とともに“リノージュ”と
名乗る、謎の男がやってくる。彼は不思議な力で、次々と島の人間を殺し
「望みのものを渡せば立ち去る」というメッセージを残していく。男の望みの
ものとは一体なんなのか?そして、この男の正体は?
 1999年に製作されたスティーヴン・キング書き下ろしによるTVムービー、
各90分の3話構成からなる全4時間30分の長編だ。TV局製作のそれに
相応しく、見るからに地味で映像的にも平凡だが、一方で時間にたっぷり余裕を
持たせた物語構築の面白さは、TVムービーならでは。1日1話ずつのつもりが、
ついつい夢中になって止められず、ほとんど一気に観終わってしまった。
 さて、内容的には、近年の『ミスト(キング原作「霧」)』に通じるもので、“悪魔の
魔力”から逃れ、地下シェルターに避難した島民らが、徐々に追い詰められて
常軌を逸し、異常な精神状態に陥っていく様を描いている。ここでの“悪魔の
魔力”とは、《恐怖》のこと――。一人また一人と仲間を失い、一歩また
一歩と音もなく忍び寄る、その恐怖からくる“怯え”を使って、悪魔は人の
心を支配する。やがて恐怖に立ち向かう勇気は消え、悪魔との取引に応じ、
自分の体を切り売りする(仲間を差し出す)ことで逃げ場を探す。閉ざされた
空間における集団心理、逃げ場のない恐怖に直面した人の心の弱さ、誰しもが
背負いながら生きるしかない人生の十字架など――、この作品における
テーマ性は数知れず。その上で、キングの試みは、おどろおどろしい悪魔や
怪物を登場させることなく、細かなエピソードを丁寧に積み重ね、真綿で
首を絞められるように観る者の“内なる恐怖”を煽っていく。そして、じっくり
プロセスを踏んだ後に用意された“究極の選択”のシーンは、(主人公の立場を)
我が身に置き換えれば背筋が凍る。この作品の怖さは、決して現実離れした
“表面的な(悪魔の)恐怖”ではない。人間なら誰しもが心の奥底に隠し持つ――、
そして、この世に生を持つもの皆に共通する弱さ、欠点、無力さからなる
“内なる怯え”なのだ。本作が単なる恐怖映画にあらず、観終わって“底知れぬ
余韻”を残すのは、我々も自らの弱さを自覚し、それを他人に触れられるのを
恐れているせいかもしれない。


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『アーティスト』、観ました。

2012-04-17 14:14:49 | 映画(あ行)

監督:ミシェル・アザナビシウス
出演:ジャン・デュジャルダン、ベレニス・ベジョ、ジョン・グッドマン、ジェームズ・クロムウェル
※第84回アカデミー作品賞、監督賞、主演男優賞

 『アーティスト』、映画館で観ました。
1927年のハリウッド。サイレント映画の大スター、ジョージ・ヴァレンティンは、
ふとしたハプニングで女優志願のペピー・ミラーと出会う。やがてジョージは、
オーディションを受けにやってきたペピーと再会。その日を境にペピーはエキストラから
少しずつ上位の役をものにする。1929年、トーキー映画が登場。しかしサイレントに
こだわったジョージは、自ら監督・主演した映画が失敗し、失意のどん底に。一方、
ペピーは大スターになっても、ジョージを思う気持ちは変わらなかった――。
 例えば、身近なところでいうと、“ラヴソング”においての見どころ聴きどころって
何だろう。ストレートな歌詞??、飾らない言葉??、はいはい、どこぞの時代には
「♪あ~いが すべ~てさ」の一言で全部言い切っちゃうのもありました(笑)。
まぁ、若さゆえの特権で、たまにはそれもアリだと思うが、オイラの場合は
「好きだ」とか「愛してる」とかいう言葉に使わずに、如何にその想いを伝えるか、
愛の深さをどう表現するか――、それが“アーティストの技量”だと思うんだ。
勿論、音楽だけに限らず、文学でも、詩学でも、演劇でも、絵画でも、そして
映画でも‥‥、愛を描くすべての芸術家(アーティスト)にとって、それは永遠の
テーマだろう。前置きが長くなったが、この映画が今更ながら“サイレント”に
拘ったのは、“一切の言葉”を使わずに、如何に“愛の深さ”を表現するか――、
まさにそこだと思う。映画序盤の撮影現場、大スターの主人公とエキストラの
ヒロインが、セットの下から覗くタップによって“二人だけの会話”が成立し、
恋に落ちる瞬間は観ていてうっとりしてまう。また、主人公のお陰で役を貰った
ヒロインが、その楽屋に忍び込み、彼のスーツに片手を通し、一人抱擁する
シーンは、恋する彼女の心情を雄弁に語っている。一方、それとは対照的に、
主人公が妻へと贈る(ご機嫌取りの)ネックレスも巧妙だ。シーン毎、
そのネックレスに変化を持たせることで、夫婦間が日に日に冷めていくのが
伺いしれる秀逸な演出だ。更に、一番印象深いシーンとして挙げたいのが、
映画会社から“サイレントの終焉”を告げられた主人公が、再びヒロインに出くわす
場面だ。しかも、その場所が“階段”というのがミソ。階段の上から下りてくる
(=スターの座から転げ落ちる)主人公に、取り巻きを連れて意気揚々と階段を
上ってくる(=いざスターダムに駆け上がらんとする)ヒロインがすれ違う。その後、
段の一つ上から見下ろす形で、ヒロインが主人公に話し掛けるシチュエーションは、
その地位が逆転した両者の、今の状況をワンショットで明確に伝えている。
 この映画を観終わって、改めて思うのは、サイレントからトーキーへ、モノクロから
カラーへ、更にはCGの進歩や3D映像など、それらの技術に伴って映画は発展の
一途を辿っている。しかし、一方で、映像の引き出しが多くなってしまったことで、
“奥行き”がなくなってしまってはいけないのだ。ここでいう“奥行き”とは、《人の心を
描く》ことだ。そういう意味で、ここには“(忘れかけていた)映画の美しさ”を感じるし、
何より“アーティスト(作り手)の技量”を実感した。


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『エイリアン/ディレクターズ・カット』、観ました。

2012-01-24 16:04:18 | 映画(あ行)

監督:リドリー・スコット
出演:シガーニー・ウィーバー、トム・スケリット、ジョン・ハート、ベロニカ・カートライト、イアン・ホルム

 『エイリアン/ディレクターズ・カット』、観ました。
地球へ帰航中の宇宙貨物船ノストロモ号。そのメイン・コンピュータ“マザー”が、
発信者不明の通信を傍受し、突如コースを変更する。知的生命体に関することは
最優先で調査せよという、雇い主である会社からの至上命令に6人の乗組員たちは
否応なく従う。未知の惑星に着陸し、調査を開始したケインは異星人の化石を
発見するが、謎の生物に襲われる。同じ頃、船で待機するリプリーは通信内容が
S.O.Sではなく警告らしいことを突き止めるのだが…。
 ホントーにしばらくぶりにこの『エイリアン』を鑑賞し、“ディレクターズ・カット”
なるものが存在することを知ったワケだが、オイラは“オリジナル”の方を
支持します。さて、今回追加されたのは、映画クライマックスで宇宙船爆破の
カウントダウン最中、エイリアンによって捕らわれの身(繭?)となったクルーらを、
リプリーが見つけ出すシーンだ。確かに興味がそそられ、お蔵にするには
惜しい気がするが、確かそこでは一分一秒を争う切迫した場面だった筈、
それによって映画を通しての緊張感やスピード感が失速してしまった感は
否めない。 そもそも、オリジナルの完成度が高く、現在(いま)をもって手直しする
箇所がないことは、リドリー・スコット本人がDVD冒頭にて語っています。
思うに、 本バージョンは“完全版”、あるいは“最終形”とは受け取らずに、
マニア向けの “コレクターズ・エディション”くらいに考えた方が良さそうだ。
 ここらでオイラのマメ知識(?)をご披露すると、何とエイリアン本体は男性の
生殖器をモチーフにデザインされたそうで、それが“欲望”とか“本能”のままに
ヒロイン(女性)を追っ掛けまわすという、とんでもない映画だそうな(笑)。
ともすると、その、強姦を連想させる両者、すなわちエイリアンとヒロインだけに
目がいってしまいそうだが、この映画の秀逸さは別のところにあるとオイラは
睨んでいる。それは、宇宙船という“空間”の使い方だ。復習してみよう――、
宿主の腹を食い破って小型エイリアンが宇宙船内部へ解き放たれた。当初、
クルーらはそいつを捕まえうとするが、“巨大な宇宙船の広さ”が災いして
見つけられない。やっとこさ、“狭い通風孔”に追い込んだのも束の間、状況が
激変する。エイリアンを追い詰めたつもりが、実は自分達の方が追い詰められた――、
そこで現実を思い知る事になる。その刹那、“攻守”が入れ替わる。今度は
エイリアンが(人間を)狩る番だ。すると、絶望的に広く感じられた船内が一転、
猛獣と一緒に“狭いオリ”へ閉じ込められたような“閉塞感”に覆われる。オイラは、
サスペンス映画が好きでよく観ているが、これほど“空間”が効果的に使われ、
更に“攻守の切り替え”が鮮やかに決まった例は、この作品を除いてほとんど
思い浮かばない。『エイリアン』が“SFのバイブル”的存在になったのは、
H・R・ギーガーによるグロテスクでありながら神秘的な(SFの)世界観と、
リドリー・スコットによる“サスペンスの緊迫感”が非常に高いレヴェルで融合し、
結集された賜物だろう。「あの頃の映画にしては面白かった」では済まされない
SFだ。それは時が経っても色あせない。

 

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『アガサ・クリスティーの奥さまは名探偵』、観ました。

2012-01-11 20:47:53 | 映画(あ行)

監督:パスカル・トマ
出演:カトリーヌ・フロ、アンドレ・デュソリエ、ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド、ヴァレリー・カプリスキー

 『アガサ・クリスティーの奥さまは名探偵』、観ました。
フランスの田舎で悠々自適の生活を送る好奇心旺盛な女性プリュダンスと
その夫ベリゼール。ある日、プリュダンスは叔母のいる高級老人ホームで
不思議な老婦人ローズの存在が気に掛かる。数週間後、その叔母が他界、
遺品を整理していた彼女は事件の予感を嗅ぎ取り、姿を消したローズが
何かを知っていると直感、彼女の行方を追って旅に出るのだった――。
 わざわざ劇場にまで足を運んでとなると考えるが、自宅で“2時間枠の
TVドラマ”感覚で観る分には、優雅なひとときと贅沢な気分に浸ることが
出来る。凶悪な殺人事件には無縁と思われるのどかな田園風景――、
身の危険が迫っているにも関わらず、危機感が欠如した好奇心旺盛の
探偵気取りマダム――、いい歳をしながら、いちゃいちゃとベッドにて
愛の言葉を囁き合う主人公夫婦のオシドリぶり――。ミステリーでありながら、
この、気の抜けたサイダーみたいに“だら~ん”とした雰囲気が…… いや、 
失礼(汗)、、ワインのように(?)まったりとした口当たりが、さもフレンチ風の
趣きでクセになる。おまけに、“人権の国(フランス)”とうたっておきながら、
アララ、障害者までユーモアのネタに使ってしまう“曖昧さ”も、そのお国柄
かしらね(苦笑)。うん、やっぱり“フランス映画”はこうでなくっちゃ。
あ、誤解がないよう断っておくと、何もオイラはこの映画をけなしている
つもりは毛頭なく、ほのぼのしてて上品なミステリーだってこと。どうか
ご理解のほどを。本格派のそれとは遠いところで、こういうサラッと観れる
ミステリーもあって良いと思うし、一見、不釣合いそうにみえるミステリーと
フランス映画を掛け合わしてみたら、思いの他、良いケミストリー(反応)を
生んだ好例だろう。この際、事件の謎解きやら犯人探しやらは置いといて、
“(ミステリーの)雰囲気”を楽しむつもりの軽い気持ちでご覧になったら
どうだろう。


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『英国王のスピーチ』、観ました。

2011-11-28 18:04:26 | 映画(あ行)

監督:トム・フーパー
出演:コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム=カーター、 ガイ・ピアース
※第83回アカデミー賞作品賞

 『英国王のスピーチ』、観ました。
幼い頃からずっと吃音に悩んできたジョージ6世。そのため内気な性格だったが、
厳格な英国王ジョージ5世はそんな息子を許さず、さまざまな式典でスピーチを
命じる。ジョージの妻エリザベスは、スピーチ矯正の専門家ライオネルのもとへ
夫を連れていくが……。
 観終わって、チャップリンの『独裁者』が頭に浮かんだ。両作品共、物語の
背景に第二次大戦があり、主人公の長いスピーチで完結する。『独裁者』が
ナチスドイツの軍人目線で描かれたものだとすれば、この『英国王の~』は
イギリスの王族目線で描かれている。両者には約70年のタイムラグがあるが、
ある出来事をひとつの通りを挟んで、こちら側とあちら側から見た“表裏の
関係”だ。未見の方のため、補足させて頂くと、『独裁者』は大戦中、名も無き
ユダヤ人の理髪師が、時のドイツ皇帝に間違えられ、あれよあれよと国の
最高位まで登りつめていく物語だ。一方、この『英国王の~』は、生まれながらに
伝統ある英国王室の血を引く主人公が、吃音のため周囲から冷たい目に晒され、
転げ落ちるように(主治医からは“対等の身分”とまで言われ)失墜していく。
そして、最終的には両作品共、お鉢が回ってくるが如く、主人公が本来自分の
役回りでない大役を任せられ、一世一代の大スピーチを打って出る訳だが、
その内容が対照的だ。皮肉にも、そこで『独裁者』の皇帝は「戦争はもう終わりに
しよう。皆が助け合い、争いのない世界に変えていこう」と言い、片や本作の
英国王は「これより戦いに突入する。互いが力を合わせ、この困難を乗り越えよう」と
演説する。。。しかし、考えてみれば、そうなのだ。この英国王の言う通りだ。
今現在、確かに国家間が争う“直接的な戦争”の脅威は去ったが、代わりに
様々な諸問題が複雑に絡み合い、この世界のあちらこちらに山積している。
絶えない紛争と宗教問題、大国間同士による覇権争い、そして、長引く不況……、
我々はそれらの、出口が見えない問題に対して、正面から戦いを挑まなくては
ならないのだ。“世紀の6分間”とまで言われた『独裁者』のそれに対して、
この英国王のスピーチにサプライズはない。更に、そこで彼はライターの書いた
文面を“ただ間違えずに”読むだけだ。しかし、その一語一句が深く心に
染み渡り、これほどまでに感動的に感じられるのは何故だろう。それは、
一人の身分ある男が、紆余曲折を経験し、逃げることなく困難に立ち向かい、
それを克服した姿があったからではあるまいか。最後に、本編中にも引用された
“ある有名な一文”をもって本レビューを締めくくる。

「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ。
どちらが気高い心にふさわしいのか。
非道な運命の矢弾をじっと耐えしのぶか、
それとも怒涛の苦難に斬りかかり、戦って相果てるのか。
死ぬことは――眠ること、それだけだ。
眠りによって、心の痛みも、肉体が抱える数限りない苦しみも、
終わりをつげる。それこそ願ってない最上の結末だ。
死ぬ、眠る。
眠る…、おそらくは夢を見る――そう、そこでひっかかる。」
                       W・シェークスピア『ハムレット』より

 


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『悪人』、観ました。

2011-11-07 00:05:06 | 映画(あ行)

監督:李相日
出演:妻夫木聡、深津絵里、樹木希林、柄本明、岡田将生、満島ひかり
※2010年キネマ旬報ベストテン第1位

 『悪人』、観ました。
若い女性保険外交員の殺人事件。ある金持ちの大学生に疑いがかけられるが、
捜査を進めるうちに土木作業員、清水祐一が真犯人として浮上してくる。
しかし、祐一はたまたま出会った光代を車に乗せ、警察の目から逃れるように
転々とする。そして、次第に二人は強く惹(ひ)かれ合うようになり……。
 いわゆる、おたずね者の男女が織り成す“逃避行もの”。意外にも、ここ
日本では映画界に限らず、総てを見渡してもほとんど馴染みの薄い“未開の
ジャンル”だ。あえて言えば、歌謡曲でいうところの細川たかし『矢切りの
渡し』くらいのもの(笑)。その上で、本作は世間的にここまで成功を
収めたのだから純粋に評価してもいいだろう。個人的にも、やや台詞による
説明が過剰すぎる点(後半部分)を除けば、さすが年間を代表する作品だと
思った。まず、本作の秀逸さは、主要となる人物の描写もさることながら、
僅か数シーンしか登場しないキャラクターまで丁寧に描かれ、物語上で
実に重要な役割を担っている。オイラが感心したのは、遊び人の仲間内で
唯一、良心の呵責を感じる青年と、ヒロインの姉の存在だ。前者は、非常識な
集団を、その内側から第三者的な“常人の視点”でみる役割を成し、後者は
同じ一つ屋根の下に住みながら、勝者と敗者が分かれ、その妹の存在こそが
“ヒロインの孤独感”を浮き彫りにする。映画序盤、ヒロインが仕事帰りの後、
入れ違いで妹とその彼氏が出掛け、僅かに襖が開いた妹の部屋のベッドが
乱れている。その襖をそっと閉め、残されたケーキをほおばるヒロインの
姿に、思わず胸が苦しくなる。その演出の凄みにゾクッとした。
 映画は、互いの心の隙間を埋め合う男女の純愛を描く一方で、現代社会が
抱える暗部を鋭く抉(えぐ)り出す。観ながらオイラが恐怖したのは、ネットと
マスメディアが席巻するバーチャルな情報社会が、いつしか個人のモラル
低下を引き起こし、麻痺させているってこと。一度(ひとたび)絶対悪を
見つければ、“正義の仮面”を被って一斉に叩くマスコミ報道のあり方しかり、
“している側”の都合を優先し、“されてる側”の気持ちなど分かろうとしない。
そして、映画の舞台は移る。追っ手を逃れ、そんな社会から除外された男女が
たどり着いた“最果ての地”。二人は携帯電話も、ラジオさえ持っていない。
垂れ流される情報は遮断され、代わりに周囲の雑音も聞こえない。二人にとって、
そこはこの地上に残された“最後のパラダイス”だったんだろう。ラストシーン、
二人はその楽園のてっぺんから、沈む夕日を眺めて涙する。多分、二人は
見つけたんだろう。偽善の皮を被った詐欺師…、強者をきどった弱者…、そして
悪人の烙印を押された自分たち…、この偽者だらけの世界の中で、唯ひとつ
信じられる、“本物の愛”の存在を。


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『ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~』、観ました。

2011-10-27 17:12:24 | 映画(あ行)

監督:根岸吉太郎 
出演:松たか子, 浅野 忠信, 室井滋, 伊武雅刀, 広末涼子, 妻夫木聡, 堤真一
※2009年キネマ旬報ベストテン第2位

 『ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~』、観ました。
秀でた才能を持つ小説家の大谷と誠実で美しいその妻・佐知。大谷は
その才能とは裏腹に、お酒を飲み歩き、借金を重ね、妻以外の女性とも
深い関係になってしまう破滅的な生活を送っていた。ひょんなことから夫の
借金を返すために飲み屋・椿屋で働き始めた佐知は、あっという間にお店の
人気者になり、日に日に輝きを増していった。そんな佐知は、常連客の一人、
大谷ファンの青年・岡田や昔佐知が振り向いてもらえなかった弁護士・辻から
好意を寄せられる‥‥。
 10年前の自分なら、きっと分からなかった夫婦のカタチ。男女が出会い、
結婚し、やがて子供が生まれる。しかし、些細な事から衝突し、模索の中で
やっと一筋の光を見出し、再生する‥‥。恥かしながら、オイラも同じような
経験をしてきたからね、、不思議な気持ちで、この“夫婦の愛”を眺めていた。
 映画は、良妻賢母のヒロインと、才能はあれど自堕落で破滅願望のある
作家夫婦の愛を描いている。妻は夫に献身的に尽くし続けるが、夫はそれを
何とも思わない。優しくすればつけあがる…、同じ男としてその気持ちも
分からなくはいが、やっぱり傍からみれば、「なんでサッちゃん、そんな
ダメ亭主に拘らなくとも、他にもっと良い男いるでしょうに」ってことになる。
オイラも最初はそう思って観ていたし、実際ヒロインに想いを寄せる男性も
いた訳だ。一人目は、誠実にヒロインを想う青年機械工。少し若すぎるが、
その実直な性格からして、一生涯ヒロインを大切にしてくれそう。そして、
二人目は、かつての恋人で、今は弁護士で成功し、少なくとも金銭面では
いまより条件は良く、今後も贅沢な暮らしが保障されている。でもね、
結果として彼女はそんな二人を選ばずに、甲斐性のない夫の元に残る訳だ。
何故だろう??、うん、それがレビューの最初に書いた、“10年前の自分なら
分からなかったけど、今は分かる”って部分‥‥、まぁ、正確には“なんとなく
分かる”が正しいかな。一言で言ってしまうと、それは二人が《夫婦》だからだよ。
お金でもない、若さでもない。安定した生活と引き換えにしても、尚手放したく
なかったもの。不満を吐き出し、己の弱さを曝け出し、ありのままの姿で
向かい合える。激しく衝突しあっても、何故か最後には許し合える。例え、
体は離れていても、心はどこか繋がったまま。それは同情とか憐れみとか、
そういう安っぽい言葉じゃなく、その二人の間に他人が割って入ることの
出来ない“聖域”みたいなもの。例えば、それを“(夫婦の)絆”という言葉で
言い換えても良いと思う。映画終盤、(見返りとして)男に抱かれたヒロインが、
道端に捨てた(高級)口紅の向こう側で、ひっそり咲いているタンポポの花‥‥、
その“誠実さ”こそが、《愛》というものなんだろう。改めて、“経験者”の
立場から言わせてもらうと、オイラもその“一輪のタンポポが持つ誠実さ”って
ヤツを今日まで捨てきれずに、今もこうしてここにいる。多分、それは明日も、
明後日も、その後もずっと‥‥。やっかいなもんだ(苦笑)。元々は“赤の
他人”のはずなのに、《夫婦》って不思議だな。。。


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『インビクタス‐負けざる者たち‐』、観ました。

2011-10-05 17:26:35 | 映画(あ行)

監督:クリント・イーストウッド
出演:モーガン・フリーマン、マット・デイモン、レレティ・クマロ、マット・スターン
※※2010年キネマ旬報ベストテン第2位

 『インビクタス‐負けざる者たち‐』、観ました。
1994年、南アフリカ初の黒人大統領となったマンデラは、アパルトヘイトによる
人種差別や経済格差をなくし、国をまとめるためには、95年に自国で開催される
ラグビーワールドカップでの優勝が必要と感じ、代表チームの主将ピナールとの
接触を図る……。
 イーストウッド前作の『グラン・トリノ』があのような…、自身の“遺言的”要素が
強い作品だったから、今作でガラッと雰囲気を変えてくるだろうことは予想が
出来た。だけど、まさか“ラグビー”を題材にしたスポーツ映画でくるとはねぇ。
過去のスポーツ映画『ミリオンダラー・ベイビー』と比べてみても、熱気が狭く
暗い室内に充満したボクシングから、屋外の青空と緑の芝の上に開放された
ラグビーは、これまでのイーストウッド作品にはない(?)爽快感がある。
が、勿論、そこはイーストウッドという事で、一介の痛快スポ根活劇に終わらず、
リーダー論を絡め、人種差別から“魂の融和”へと至るテーマを織り込んである。
これが彼のベストムービーではないにしても、これほどの質の高さをほこり、
しかも、毎回ジャンル(形式)の異なる作品をコンスタントに年間一本づつ
発表し続けるイーストウッドの凄さ、改めて感心した。
 さて、勝手にここでオイラの持論を展開させてもらうのなら、イーストウッド
映画の醍醐味は“謎解き”だと思ってる。彼の作品中で、ある“違和感”を
感じたなら、何故?、どうして?、とオイラは疑って掛かるようにしているんだ。
では、この作品での“違和感”とは……。イーストウッドらしからぬ(?)○○○な
結末もさることながら、そこに至るまでの“過程のみせ方”がこれまでの作品とは
随分違う。いや、それどころか“真逆”なのだ。例えば、『ミスティック~』
『ミリオンダラー~』『硫黄島2部作』等、それぞれにテーマの違いこそあれど、
これでもかこれでもかという程の“残酷な現実”を曝け出すことで、あの時
我々に何が欠けていたのか、何が間違っていたのか、を観る者それぞれに
問い掛けていくスタイルだった。一方、この映画では、オレについて来いと
言わんばかりに、こうすべきだ、あーすべきだと、実際に主人公自らが“見本を
みせる形”で描いていく。そして、主人公の、この言葉だ、「この国には今こそ
“変化”が必要だ」と。ならば、この映画において“変化”とは何を指すのだろう……。
いわずもがな、それは黒人と白人とがいがみ合うことなく、互いを許すことで、
協力し、南アフリカを素晴らしい国にしていくことにおいて他ならない。その刹那、
ここでふと気づく……、映画と同じく黒人初の大統領、現在のアメリカに
目を移してみると、次期大統領選挙を目前に、共和党と民主党の政党間の
駆け引きによって、経済は停滞し、政治は“政治ショー”と化している。つまり、
この映画が示すリーダー像の向かう先は、現在のアメリカの政治家全員、
強いてはオバマ大統領ではなかろうか。そう、現状を打破するには“変化”が
必要だ。かつてのオバマ氏の言葉 「Yes We Can」、そして「CHANGE!」は、
今こそアメリカ合衆国に必要なのだ。この映画における“イーストウッドの変化”は、
そんな意味合いが込められていたのではなかろうか。

 


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『インセプション』、観ました。

2011-10-02 08:27:18 | 映画(あ行)

監督:クリストファー・ノーラン
出演:レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、マリオン・コティヤール

 『インセプション』、観ました。
コブは人が夢を見ている最中に、その潜在意識の奥深くにもぐり込んで
相手のアイデアを盗むことのできる優秀な人材だった。彼は、企業スパイの
世界でトップの腕前を誇っていたが、やがて国際指名手配犯となってしまう。
そんなある日、コブの元に“インセプション”と呼ばれるほぼ不可能に近い
仕事が舞い込む・・・・・・。
 私事で恐縮だが、昔からオイラは手先が器用で(他はともかく)美術の
成績だけは優秀だった。彫刻、ポスター、何でも御座れ。風景画だって
お手のもの。けどね、ひとつだけ全くノーセンスなものがあったのだ。
“空想画”だ。イマジネーションが広がっていかないというか、早い話が
アタマがかたくて、枠や形式にとらわれ過ぎちゃうんでしょうな。そんな
オイラからすれば、この映画は自分と“真逆の人間”が造ったとしか思えない。
その、自由でかつ圧倒的なスケールの世界観も・・・、その、奇想天外で
予測不能なストーリー展開も・・・、あんぐり、大きな口を開けたまま、呆気に
とられ続けた2時間半だった。いやはや、こいつは全てにおいて“規定外”だ。
 さて、監督はクリストファー・ノーラン。『インソムニア』や『ダークナイト』では、
“善と悪”をテーマに、その両者の垣根が解かれ、曖昧になり、やがて
逆転していく様子を描いた彼ですが、この『インセプション』では、現実の
世界と潜在意識が作り出した虚像とが交錯し、次第にボヤけ、思考が
混乱していく様を描いている。また、ストーリーの展開も、現在から
過去へ過去へと遡っていった『メメント』を進化した形で、本作では実在する
現実世界から潜在意識の奥へ奥へと深く潜っていく。そういった意味でも、
この『インセプション』は彼にとって一旦の区切りになる“集大成的な作品”
といえるのかもしれないね。
 この映画の面白さは、複数の異なる世界を潜在意識をいうイメージで
結び付け、それらの世界を時間の進む速さこそ違えど、カットバックしながら
同時進行してみせていく点だ。その際、それぞれの世界で活躍するメンバーが
異なるため、そこに至る物語の過程で何人キャラクターを描けるか・・・が、
この映画の生命線となってくる。恐らく、映画序盤に主人公がひとりひとり
当たって仲間に引き入れていく展開は、黒澤明『七人の侍』を下敷きに
していると思われるが、そこがしっかり作りこまれているからこそ、複雑な
構成ながらも空中分解せず、クライマックスへとなだれ込むことできるのだ。
観ていて、随所に“和のテイスト”が散りばめられているのは、そういった
日本映画に対するオマージュの意味合いも多分に含まれていると思う。
 それから、時間にして数分だが、個人的にとても印象に残ったワンシーンが
あったので挙げておく。大学生の「設計士」アリアドネが夢の世界を創造した
場面でのこと、主人公のコブと二人、その前後に置かれた“2枚の鏡”が
互いに反射をし合い、幾重にもなって“無限の世界”を作り出す。いつしか
実在の彼らさえ、その無限の世界に取り込まれ、実像と虚像の区別が
付かなくなった途端、アリアドネが自分の側の鏡を叩き壊して前方へと
進んでいく。過去の記憶(潜在意識)と現実との狭間で“自分の居所”が
分からなくなっていたコブを象徴すると同時に、その解決法を彼に示した
とても素晴らしい場面だと思った。


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『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』、観ました。

2008-12-23 21:57:37 | 映画(あ行)





監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:ハリソン・フォード, ケイト・ブランシェット

 『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』、観ました。
1957年、相棒マックに裏切られ、スパルコ率いるソ連工作員の魔手から危うく
逃れたインディ。大学も強制休職となり街を出ようとしていた彼に、マットという
若者が声をかけてきた。いわく「伝説の古代秘法“クリスタル・スカル”を手に
入れられる」という。その言葉を信じ、インディはマットと共にペルーへと向かう。
そこでクリスタル・スカルを手に入れるものの、待ち構えていたスパルコらに
捕らえられてしまい……。
 “アメリカ発”の金融ショックに直撃され、日々目減りしていく手持ちの株価を
どうすることも出来ずに眺めている。こうなったら、いっそ自虐的に思いっ切り
“アメリカンな気分”に浸ってやろうか。
 一体、何を思い立ったか、ルーカス&スピルバーグ!!、さぁ老体にムチ打て
ハリソン・フォード!!、未来へと続く扉のカギをこじ開けろ、我らがヒーロー“インディ・
ジョーンズ”!!、そして、鮮やかな復活劇と共に、今こそ輝きを取り戻せ、アメリカ
経済‥‥じゃなくて、アメリカンドリーム‥‥‥。あちゃー、でもダメだ、映画は
あの手この手で楽しませようとはしているが、全体的に靄がかかってボヤけた感じ。
恐らく、絶頂期のスピルバーグならもっと小気味良いテンポの演出でグイグイ
畳み掛けてきたろうに。傾き掛けたGMの大型車さながら、エンジン音は高らかに
響けども全然加速していかねぇ。おまけに、ハリソン・フォードの立ち回りは、
すべて“引き”のショットで見えてくるのはその後ろ姿ばかり。スタントの必要性
なんぞ分かっちゃいるが、もう少し“攻める姿勢”を見せてくれよ。やはり何度も
正義のヒーローを演じた大スターでさえ、立ち塞がる“時代の壁”は越えられない
らしい。流れた月日の長さが身に沁みるゼ。一方、物語途中じゃあインディが、
もがけどももがけども抜け出せぬ底なし沼に沈んでいく。だけど、オイラはそれを
人事とは思えない。依然株の底値が見えぬまま、下へ下へと堕ちていく自分の
姿とダブらせ見てしまう。誰かオイラに救済の手を差し伸べてくれ。映画の中の
インディさながらヘビの縄でもいいから、沈んでいくオイラに投げてくれ。皮肉にも、
この映画はオイラにとって、一時の娯楽に浸るというより、ただ残酷なまでの
“時代の移り変わり”と、“現実の厳しさ”を強く思い知らされる結果となった。
ひとつ言えることは、スプルバーグも、ルーカスも、ハリソン・フォードも、そして、
特にオイラ自身も、少し“時代”ってやつを読み違えたね。“あの頃の輝き”を
追い求めるより、“現実”を素直に受け止めて、むしろ“枯れた味わい”の
方でもってシリーズを再構築すべきじゃなかったか。ま、株の世界だと“悪材料の
出尽くし感”ってやつで、一気に上昇トレンドに変換なんて場合もありうるが、
少なくとも映画の世界の『インディ』は、これでおしまい。以降の続編は考えられ
ないな。



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『アイアンマン』、観ました。

2008-11-07 19:52:44 | 映画(あ行)





監督:ジョン・ファヴロー
出演:ロバート・ダウニー・JR.、テレンス・ハワード、ジェフ・ブリッジス、グウィネス・パルトロウ、

 『アイアンマン』、映画館で観ました。
軍事企業CEOにして天才発明家のトニー・スタークは、武器のデモで訪れた
アフガンで 武装集団に拉致され、兵器開発を強要される。彼は兵器開発を
するフリをしながら脱出用のパワードスーツを製作し、命からがらの脱出を
果たす。 帰国後トニーは自社の軍事産業からの撤退を発表。自らは自宅の
作業部屋に篭って、 新型パワードスーツの開発に没頭する。彼の周囲は
恐ろしい陰謀がうごめいているとも 知らずに……。
 日本語に訳すと“鉄人”ってか。おっと“28号”じゃないゼ。まったく、人を
喰った タイトルだ。普通なら絶対付けない。ありえんよ。こんな時代錯誤の
タイトルは。でも、観てくうち、なんも考えてないてないようでいて、それが
狙い通りの確信犯だと分かってくる。後のレビューにも触れるが、先に
ここで 言っておく、「この映画の名付け親、なかなかの策士だゾ」。
 物語の主人公は、元をただせば開発能力に長けた発明家で利己主義な
戦争の 武器商人。公共のモラルとは掛け離れたところで自分の懐を肥やし、
その財でもって夜毎、オンナ遊びとカジノに明け暮れる。いわゆる、世間
一般にいうヤな奴だ。しかし、それがある事件をきっかけに、自分の体を張って
“悪を退治する側”へと変わっていく。しかし、人はそんな“簡単”に、且つ
“劇的”に変われるものだろうかとツッコミたくもなるのだが、それがアメコミという
“マンガの世界”なら許されようぞ。その辺のくだりが、さもアメリカ的な
アバウトさ加減で、しかもそれが“濃ゆキャラ”の中年おっさんに戦闘スーツを
付けて戦わせるのだから目を疑う。でもって、その“屈折した、アンチな
ヒーロー像”が、最高にCOOLで、ダサかっちょイイのだ。彼が悪に対して
敵対心を燃やせば燃やすほど、また、正義に対して進めば進むほど、どっか
ヌケてる感じがして笑っちゃう。悲しいかな、彼の、そのエネルギーの向かう
ベクトルがちょこっとズレてるのサ。主演の ロバート・ダウニー・JR.も、そこを
重々理解した上で、コミカルよりマンガチックに 演じることに重きを置く。
ゴボウのようにアクが強くて、山椒のようにピリリと辛い。まったく何処までも
ファンキーな野郎だゼ。
 映画は、『トランスフォーマー』より断然イカしたロボット対決が展開され、
ナンセンスなSF映画として観るにはゴキゲンな出来栄え。それにしても、
それまでさんざ武器を売って大儲けしてた主人公が、今度は自分の命が
危うくなってきたら、金に任せて“鉄の鎧”を作り、悪を撲滅するため立ち上がる
なんてのは、ちょっと幼稚で身勝手過ぎるんじゃあるまいか。いや、それって
“どっかの大国のありのままの姿”じゃないかしら。実は、この映画を観て
オレたちが笑っているのは、単に物語の中の主人公だけじゃなく、その背後に
透け出して見えてくる“アメリカの滑稽さ”かもしれないゼ。


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『おくりびと』、観ました。

2008-10-29 21:03:36 | 映画(あ行)
Okuribito_2_1b
監督:滝田洋二郎
出演:本木雅弘、広末涼子、余貴美子、吉行和子、笹野高史、山崎努
※第32回モントリオール世界映画祭 グランプリ受賞

 『おくりびと』、映画館で観ました。
楽団の解散でチェロ演奏家の道をあきらめ、故郷・山形へ戻った大悟。「年齢問わず、
高給保証」という求人広告に魅かれ応募するが、それは何と遺体を棺に納める納棺の
仕事だった。慌てふためきながらも新人納棺師としての日々が始まった。妻には冠婚
葬祭関係の仕事とだけ話していたのだが…。
 久方ぶりの届いた明るいニュース――。どっかの映画祭で、何とか言う日本映画が
グランプリを受賞したという。その映画は『おくりびと』。何と言葉の響きが良い、
奥ゆかしいタイトルだこと。だけど、この、疑り深い性格ゆえ、その映画をしかと
この目でみるまでは、素直に喜ぶことの出来ない自分がいた。というのは、西洋人から
みる、東洋の日本文化に対する驚き――、更に、その“特異的な儀式への物珍しさ”に
惹かれたんじゃないのか、ってね。
 早速、率直な感想から先に言わせてもらうと、確かに上に挙げた要素で得をしている
部分も確かにある。が、一方で、確実に優れた作品でもあると思った。いや、むしろ、
今回の受賞は、死が人生の中における役割と、その交わり方について、民族間を越えた
ところで深く共感されたからではあるまいか。死をもって人生が果てるのではなく、
人の魂が“次のステージ”へと向かうために“死”を通過しなければならない、という
考え方――、つまり、生きと死いける者を分かつ、2つの世界が「死」という名の“門”で
繋がっている。だからこそ、旅立っていく故人の身体(からだ)を清め、この世に未練を
残さぬよう、まっさらな気持ちで“送って”あげる。この映画を観てるうち、死もまた
“人生の一部”であることを感じさせられた。
 また、物語の内容的にも申し分なく、事あるごとに主人公の人生に影を落とす父の
トラウマ、様々な別れと旅立ちの場面に遭遇することで、変化していく主人公の気持ちと
心の成長、献身的な妻の愛を裏切ってしまう際の心の葛藤‥‥、それぞれが物語の中で
丁寧に描かれていて、うまく消化されていると思う。惜しむらくは、ほぼ満点の脚本に
対して、映像の方がややTVドラマ的で安っぽく感じられたこと。そして、これまた老獪な
山崎努の深みと比べて、主演の若い2人の演技が、それに付いていってないように
感じられたこと。それでも、2008年の邦画を語る上で欠くことのできない映画であるのは
間違いなく、久しぶりに世界へ“日本の文化”と、“日本映画”をアピール出来た作品だと
思う。

 追伸――、実は、この映画を観る“ほんの数日前”、ボクの知人の女性が自殺をした。
首吊りだった。人づてに、その姿はとても言葉に形容しがたいほど無残なものだったと
聞いた。しかし、その数時間後、ボクが見た――、もう動かなくなった彼女は、生前の
頃のように美しく、そして、その安らかな寝顔が高貴で神聖なもののように感じられた。
ボクは生前の彼女を知る者として、どこか心で救われた想いと、これでやっと安心して
彼女を送り出せる――、そう思えた瞬間だった。この映画を観ながら、その時のことが
再び思い出され、“不思議な感覚”に見舞われた。ボクにとってこの映画は、単に優れて
いるというだけでなく、“運命的な出会い”を感じた一本になった。



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『エリザベス:ゴールデン・エイジ』、観ました。

2008-10-13 20:35:17 | 映画(あ行)





監督:シェカール・カプール
出演:ケイト・ブランシェット、ジェフリー・ラッシュ、クライヴ・オーウェン、アビー・コーニッシュ、サマンサ・モートン

 『エリザベス:ゴールデン・エイジ』、観ました。
数奇な運命を背負いながらも、25歳でイングランド女王に即位したエリザベス。
女王として国を愛し、ひとりの女性として男を愛した彼女は、イングランドの黄金期を
築いていく。しかし、その道程は波乱と混乱に満ち溢れたものだった。エリザベスの
転覆を狙う者だけではなく、ヨーロッパ列強のイングランド占領を狙う者達の策略や
陰謀が渦巻いていたのだった‥‥。
 あの、『エリザベス』の続編だ。なんせ前作から9年も経ってますんで、そっちの
方はほとんど憶えてません。せいぜい、当時新鋭だったケイト・ブランシェットが
斬新なメイクで頑張ってたことくらいのもんです、ハイ。でも、大丈夫。その程度の
記憶でも、この続編は楽しめます。勿論、前作ほど見応えは御座いません。
重量感も御座いません。でも、やっぱり大丈夫。ちょっとゴージャスな娯楽映画として
観る分には全然楽しめます。まさかまさか、9年もの間ずっと脚本を煮詰めていたとは
思いませんが、9ヶ月くらいは頑張っただろうことは伺えます。よく出来ました。
今回やっとケイト・ブランシェットが再登板を引き受ける気になったのも分からなくは
ありません。これなら駄作にはならないだろうと確信めいたものがあったのだと
思います。例えばスタローンが今になってやれ『ロッキー』だの、やれ『ランボー』だのを
引っ張り出してきて、大安売りするのとはかなり意味合いが違ってます。そりゃ
そうでしょう‥‥。あっと、オイラは“好みの女性”に対して、ついつい擁護してしまう
傾向があります。オトコなら誰でもそうでしょうけど。勿論、ここでそれはケイト・
ブランシェット嬢に当たります。あのぉ、読者の皆さんにお尋ねします。俗に言う、
これは“オイラの色眼鏡”ってやつでしょうか??
 さて、この映画を観ていくほどに、ヒロインのエリザベスが抱かえていた苦悩を
知り、当時の時代背景やその考え方が見えてきます。宗教と戦争、神と人間、法と
裁き――、彼女はそれらの狭間で悩み、(女王としての)責任を果たさんと、かえって
その鎖に手足を縛られて(一女性としての)自由を奪われてしまいます。そして、
それらの呪縛から解き放ってくれるように思えた“自由な男”に恋してしまう‥‥、
ま、この辺は歴史映画の宮廷ものではベタな展開ではありますがね。では、歴史の
事実として、如何にして英国は当時無敵を誇ったスペインを打ち破ったのでしょう。
いや、この映画においてそこは重要ではありません。エリザベスがその心の内に潜む
“恐怖”を打ち負かし、自らの手で“運命”を切り開くことにこそ趣を置かれています。
いや、そもそもオイラはいまに至るまで、スペインの「不沈艦隊」なるものを全く
信用できないでいます。サッカーのW杯がある度に「不沈艦隊」と呼ばれるスペイン
代表がベスト16あたりで簡単に沈んでいくのを目撃しているからです。ま、あまり
自分から「不沈、不沈」と騒ぎ立てしない方がいいと思いますよ。負けたとき、
カッコ悪いですから。教訓として憶えておきましょう。
 最後に映画を総括すると、さもハリウッド的な大げさな音楽と、これ見よがしに
大規模な移動撮影が鼻に付くこともあるのですが、上品で万人が楽しめる映画には
仕上がってはいると思いますよ。あ、それはオイラの色眼鏡じゃなくね。



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『ALWAYS 続・三丁目の夕日』、観ました。

2008-05-26 21:36:19 | 映画(あ行)





監督:山崎貴
出演:吉岡秀隆、堤真一、小雪、堀北真希


 『ALWAYS 続・三丁目の夕日』、観ました。
昭和34年春。東京オリンピックの開催が決定し、日本は高度経済成長時代に
足を踏み入れようとしていた。取引先も増え、軌道に乗ってきた鈴木オートに
家族が増えた。事業に失敗した親戚の娘、美加を預かることにしたのだ。しかし、
お嬢様育ちの美加と一平は喧嘩ばかり。一方、一度淳之介を諦めた川渕だが、
再び茶川の所にやってくるようになっていた。淳之介を渡したくない茶川は、
再び芥川賞に挑戦しようと決意する…。
 恥ずかしながら、泣かされた…。観る前は絶対泣くもんか、って心に誓って
いたのに、やられちまった。映画は、その頭にカタカナの“ド”が付くほどの
コテコテ“ド”人情劇。どうだ、泣けと云わんばかりの演出に、ここぞの場面では
必ずといって言いくらい聞こえてくる感動的なBGMのかぶせ方、その向こうに
“涙”があることなんてミエミエの展開は、観ているこっちの方が恥ずかしく
なってくる(笑)。感動したくてたまらない人ならまだしも、オイラみらいな“ヒネた
輩”がみるにゃー、ちとムズ痒い(笑)。しかし、それでも映画はお構い無しに、
夢の中で死んだ戦友と酒を飲み交わすシーンやら…、水仕事の後、オバさんに
塗ってもらったクリームで、少女が初めて“母の温もり”に触れるシーンやら…、
やばいゼ、一つ一つのエピソードが、オレの固く閉ざした心の扉を開けんと
ノックする。そして、映画終盤、主人公の茶川が愛する女性(ひと)への想いを
モチーフに、書いた小説の一説が流れ始めた場面でのこと――、ついに
堪え切れず、それまで行き場を失ってたオレの感情が堰を切ったよう流れだす。
改めて、言うまでもなく、そこには一昔前にあった“使い古された愛の言葉”が
並ぶだけ…、しかし、その、心が通った文章を読むにつれ、何故か心が
切なくなる(涙)。多分、それは、主人公が持つ“愛の深さ”を知ると同時に、
彼の“心の温もり”に触れたせいかもしれない。勿論、“泣ける映画”がすべて
良い映画とは思わないけど、この映画の場合はキャラクターの一人一人が皆、
生き生きと描かれていて、“貧困”の中でも“希望”を忘れず、歯を食いしばって
懸命に生きている。それぞれが誰かに助けられて生きていて、それぞれが
誰かを助けながら生きている。――と、考えてみれば、この映画では、主人公が
誰々で、その人物を中心に物語が廻っているといった類のものではなく、生活は
貧しくとも、心豊かな人たちが寄り添い、助け合いながら暮らしている‥‥、
そんな“心の通った空間”を描いた作品のように思えてくる。そして、それを
見下ろす形で聳え立つ“東京タワー”が印象的だ。それは“高度成長を遂げる
日本のシンボル”として、また、これから先の“未来の象徴”でもあるんだろう。
ラストシーン、そのタワーに登った主人公らが、沈みゆく“夕日”を眺めている…、
過ぎ去ろうとする“今日の日”を眺めている…。それは、消えゆく過去と、
生まれくる未来の両側から、現代の我々に“本当に大切なものは何か?”と、
問い掛けているように思えて仕方ない。貧困の過去と豊かな未来を繋げる
“心の架け橋”として‥‥。



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