肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『ダークナイト ライジング』、観ました。

2013-01-14 11:06:49 | 映画(た行)

監督:クリストファー・ノーラン
出演:クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、ゲイリー・オールドマン、アン・ハサウェイ、トム・ハーディ、モーガン・フリーマン

 『ダークナイト ライジング』、観ました。
ジョーカーとの戦いから8年、バットマンはゴッサム・シティーから姿を消し、
ブルース・ウェインは隠遁生活を送っていた。そんな彼の家にセリーナ・
カイルという女性が忍び込み、彼の指紋を盗み出す。彼女に盗みを依頼した
組織が何か大きな計画を立てていると気付いたブルースは、再びバットマンの
コスチュームに袖を通す。その頃、不気味なマスクをつけたベインという男が、
ゴッサム・シティーの地下で大規模テロを計画していた…。
 行き過ぎた正義が行き場を失い、次の瞬間、コインの表裏のように悪へと
変わる。絶望の現実を“偽り”という闇で隠したシリーズ第二作『ダーク
ナイト』――。今更ながら前作は、クリストファー・ノーランならではの
ヒーロー映画だったが、今作『~ライジング』の方は、あえて彼が監督する
までのことがあったかどうか疑問が残る。勿論、全編に漂う重厚感に加え、
クオリティの高さは疑いようもないのだが、テーマが散漫になり過ぎて、
軸となる部分が分かりにくい。人間や社会の持つ二面性については前作で
やり尽くされた感はあるし、絶望の底から希望を見出し、再生していく人生の
物語は、第一作目ですでに語られている。まぁ、三部作の最終章という
立ち位置を考えれば致し方ないのかもしれないが、今作においては新たに
テーマを見い出すよりも、シリーズの完結を第一に、前二作をまとめ上げた
という印象だ。
 今回の舞台となるのは、前作の戦いが終わった後のゴッサムシティー――、
新たに制定された法は危ういまま、英雄として語られる人物はまやかしで、
偽りの勝利によって見せかけの平和を手にした人々は、どこか疑心暗鬼に
なっている。そして、今作だけに限らず、この三部作を通して共通するのは、
物語の背景とダブるように現在のアメリカとイラク戦争の構図が見え隠れする。
本作においてベインの一味が、事の初めにゴッサムシティーの証券取引所を
襲撃したのは、9・11のワールドトレードセンターを連想させるし、彼らにとって
物品の強奪が主の目的ではなく、人々の混乱や世界の再構築の方に
狙いを定めていることからもうかがい知れる。そう考えれば、長い戦いの
ダメージが(体も心も)癒せぬまま、立ち直ろうともがき苦しんでいる主人公
ウェインの姿は、まさに現在のアメリカかもしれない。そこから抜け出すのは
並大抵のことではない。その為にはウェインがそうしたように、内に秘めたる
恐怖を隠すのではなく、己の弱さを自覚し、対峙することで、本当の自分の
姿が見えてくる。そして、その時やっと“再生への第一歩”が踏み出せる。
結果、それまでの恐怖が勇気へ、人々の不信が結束へ――。この三部作
にしては拍子抜けするような手堅い終幕だが、言わんとしている事は分かる。

 


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『007 スカイフォール』、観ました。

2012-12-23 22:09:10 | 映画(た行)

監督:サム・メンデス
出演:ダニエル・クレイグ、ハビエル・バルデム、ベレニス・マーロウ、レイフ・ファインズ、アルバート・フィニー、ジュディ・デンチ

 『007 スカイフォール』、映画館で観ました。
トルコのイスタンブールで、極秘データを盗んだ敵を追っていたMI6
エージェント“007”ことジェームズ・ボンドは、敵ともみ合ううちに狙撃され、
川に落ち生死不明に。MI6では007を死亡したと判断する。その頃、
MI6本部が爆破され、サイバーテロ予告が届く。これらのテロはMI6を
率いる“M”に恨みを抱く者の犯行だった。イスタンブールで密かに
生き延びていたボンドはMI6に戻り、MI6を襲う敵に立ち向かうことを
決意する…。
 何を今さら『007』と言ったところで、とっくの昔にオワコンだろ、って
思っていたが、ダニエル・クレイヴをボンドにそえてからすっかり流れが
変わった。総じて、これまでのジェームズ・ボンド像は、完全無欠の
ヒーローだ。狙った獲物は決して逃さず、どんなヤバい状況下にあっても、
雄弁でジョークを忘れない余裕ぶり。人間離れした能力で危機を脱して
しまう超人だったのだが、クレイヴ版ボンドは当たり前のようにミスを犯すし、
身内に被害が及ぶと動揺する。怒り、憎悪、悲しみ、悔しさ、焦り――、
それらの葛藤を必死に抑えようとしても表に出てしまう生身の人間であり、
“人間”ジェームズ・ボンドだ。
 また、今作では『007』シリーズの見所の一つとなっているハイテクの
最新兵器もほとんど登場せず、僅かに本人認識機能を持ったワルサーと、
小型発信機のみ。まぁ、シリーズではお馴染み、アストンマーチンの勇姿も
拝めるが、もはや“クラシックな存在”で、あろうことか最後には跡形もなく
爆破されてしまう。道具には頼らない……っていうか、もう道具なんて
いらない。監督サム・メンデスによる、そんな意思表示にさえ思える。
 そう考えていくと、この映画の構造もしっくりくる。今作でジェームズ・
ボンドとあいまみえるのは、MI6さえ凌駕するコンピューターネットワークの
知識を持ち、内部の情報収集に長けた難敵だ。007側は“ハイテク技術”で
太刀打ち出来ず、後手に回され、ボンドの生まれ故郷にある“辺鄙な
屋敷”に身を寄せる。その場所でボンドは、かつて幼年期を共に過ごした
管理人の老人と合流するのだが、それは“人間同士の絆”が生んだ結束だ。
一方、そのボンドと行動を共にするM(エム)にしても、自らの判断ミスから
ボンドを傷付け、その自責に苦しみながらも、今はボンドに“全幅の信頼”を
置いている。その、原始的かつ古典的な、三人の固い絆がハイテク装備の
新鋭部隊へと向かう構図は、まさにこの“新『007』”を象徴している。
生身の人間同士による信頼と結束。失敗から多くを学び、挫折を
乗り越えることで成長する――。そんな“人間臭いボンド映画”をオイラは
結構気に入ってる。


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『探偵はBARにいる』、観ました。

2012-03-23 19:06:10 | 映画(た行)

監督:橋本一
出演:大泉洋、松田龍平、小雪、西田敏行、マギー、カルメン・マキ、田口トモロヲ、竹下景子、高嶋政伸

 『探偵はBARにいる』、観ました。
札幌の歓楽街ススキノで活躍する探偵のもとに、コンドウキョウコと名乗るナゾの
女から「ある男に会い、彼にひとつ質問してほしい」という依頼が舞い込む。
ところが、その依頼のせいで探偵は怪しい男たちに拉致され、人里離れた雪原で
生き埋めにされてしまう。命からがら脱出した探偵は事の真相を探り始める――。
 『傷だらけの天使』や『探偵物語』をリアルタイムで観て育った我ら世代から
すると、この映画はどこか懐かしくて、古い友人に再会した気分だ。トボけちゃ
いるが、人情に厚く、こうと決めたら後には引き下がらない主人公――。一方、
常にクールでどこまでもマイペースなパートナー――。そんな対照的な二人が
凸凹コンビを組む人物設定は“探偵ドラマの定番”だ。ストーリーをみてみても、
ある日ふと舞い込んできた小さな依頼から事件に巻き込まれ、敵か味方か
分からないミステリアスな美女が登場し、事件の背後にうごめく巨大組織に
挑んでいく――。ま、実際のところ、昭和の時代から幾度も繰り返された
“お決まりの展開”は、10分も観てれば結末までほとんど読めちまう。ただ、
この映画の場合、いっそそれならそれでも構わない、といった割り切った部分が
感じられる。いや、そもそも、これは犯人当ての映画じゃない。このフィルムに
焼き付けたかったのは、ススキノという街が持つ“艶めかしさ”と、そこに住む
“人々の活気”――、それから、どこか昭和の匂いがする、“古臭くて土臭い
人間模様”ではあるまいか。又、ろくに走りもしないポンコツ車(しかも主人公の
所有物じゃない)は主人公の“交通手段”を制限させ、今どき携帯電話という
“通信手段”さえ持ち合わせていない。確かに不便極まりない(笑)。
が、結果として、主人公自らが自分の足を使って、相手に直接会いに行くという、
“昭和ドラマの、アナログ的な面白さ”を再現させた。冒頭にも書いたように、
我ら世代からすると“古き良き時代のノスタルジー”を感じる映画だけど、
逆に今の若い人たちからすると、案外“新鮮”に映るかもしれないな。
 映画は、軽快でこじゃれたセリフ回しと、ユニークで独創的なキャラクターも
見どころのひとつ。ま、メインとなるコンビ二人は置いといて、個人的には、
高嶋政伸の悪ノリぶり(?)に仰天した。そのまま“『007』の悪役”にしても
良いくらいのキョーレツさで、あまりのギャップに一瞬誰だか分からなかった。
ぶっちゃけ、彼が“途中退席”してからは、映画のテンションも下がったよね。


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『ツリー・オブ・ライフ』、観ました。

2012-03-19 14:05:20 | 映画(た行)

監督:テレンス・マリック
出演:ブラッド・ピット、ショーン・ペン、ジェシカ・チャステイン
※第64回カンヌ国際映画祭パルムドール

 『ツリー・オブ・ライフ』、観ました。
1950年代半ば、オブライエン夫妻はテキサスの田舎町で幸せな結婚生活を
送っていた。しかし夫婦の長男ジャックは、信仰にあつく、男が成功するためには
「力」が必要だと説く厳格な父と、子どもたちに深い愛情を注ぐ優しい母との間で
葛藤する日々を送っていた。やがて大人になって成功したジャックは、自分の
人生や生き方の根源となった少年時代に思いをはせる……。
 この頃、ふと自問自答する――、我が子の育て方は正しいか、自分は
父親としてどうあるべきか、そして家族の未来について――。勿論、この映画を
観たからといって、その答えが出るはずもない。いや、そもそもにおいて、
その問い自体に“(明確な)答えなど存在しない”のだから。この映画では、
“神の存在”を暗示させつつ、子にとっての親、また、親にとっての子、その
両者の関係がどうあるべきかを説いている。個人的に、これまでテレンス・
マリックといえば、その映像に酔うことはあっても、そのストーリーに深く
感銘を受けることはなかった。が、今作では、“神”という崇高な対象を、
身近な“ホームドラマ(親子の絆)”に重ね合わせて描いてくるとは、まさか
予想だにしなかった。
 さて、上にも書いたように、映画はいわゆる“ホームドラマ”の形態だが、
その背後には、地球上にある生命の誕生から営み、今に至る命から命への
繋がりに至るまで、“神の存在”を印象付けて構成されている。そう書いてしまうと、
どこか“宗教色”の強いものを想像してしまうが、むしろ、これは“哲学”に近い。
ここでの“神”は、《創造者》としてのそれであって、作り出した世界の営みには
深く(全く?)関与しない。この世に“生”が誕生し、やがて何の前触れもなく
消えていく――。神は我らに(命を)与え、そして奪い去る。なぜ?、どうして?、
与えたのになぜ奪う??、その、我々の問い掛けに、神は答えない。《すべては
あるがままに》、それが“神の意思”であるかのように。
 映画終盤、道(人生)に迷い、大人になった長男ジャックは、子供の頃の
自分に案内されて、荒野に置かれた“一つの扉”の前にたどり着く。その扉は
“生”から“死”に繋がる入り口だろう。そして、そこを潜ると、先には“永遠の
世界”が広がっている。いつか自分もその場所に――、30年後か、50年後か、
もしかしたら明日かも……。でも、その時までは――、生きるしかない。
ふと見わたせば、この世界はキラキラした“輝き”に満ちている。だからこそ、
今、この瞬間を懸命に生きるのだ。
 ならば、自分は我が子にどう育って欲しいのか――、映画の中の父親のように
“強い人間”に?、それとも片や母親のように“心優しい人間”に?、いや、違う。
この映画を観終わった今、(我が子に対して)切実に思うこと――、
ただ“無事”でいて欲しい。そして、どうか《己に正しく、自分の思ったとおりに
生きて欲しい》。そう思うことが、“父”として…、“(我が子の)創造者”としての
責任だと思うから。

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『ドラゴン・タトゥーの女』、観ました。

2012-02-13 16:36:43 | 映画(た行)

監督:デビッド・フィンチャー
出演:ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ、クリストファー・プラマー、ステラン・スカルスガルド

 『ドラゴン・タトゥーの女』、映画館で観ました。
月刊誌「ミレニアム」で大物実業家の不正行為を暴いたジャーナリストの
ミカエル。そんな彼のもとに、ある大財閥会長から40年前に起こった
兄の孫娘失踪件の調査依頼が舞い込む。連続猟奇殺人事件が失踪に
関わっていると察知したミカエルは、天才ハッカー、リスベットにリサーチ
協力を求める――。
 2時間38分の長丁場、それを映画館で観るのは相当覚悟(?)がいったが、
この内容ならば致し方ない。むしろ、この濃密な内容を、よくぞ2時間半に
まとめ上げたと言うべきだろう。ここ日本でいうところ、横溝正史ばりに
過去の事件にまつわる“呪われた一族”の内幕を描く上で、どうしても
その入り組んだ家系図がネックになってくるが、思いのほかスマートに
整理され、観ていて混乱することはない。想像するに、原作の方では、それら
一族の一人一人にきっちりスポットを当て、性格から生い立ちまで事細かに
描かれているだろうが、この映画ではその内の何人かを省略し、重要性の
高い人物のみに絞って描かれているんだろう。まぁ、その代償として
犯人が特定し易くなってしまった弊害もあるが、もしやデビッド・フィンチャー
監督からすれば、それも計算の内か――。と、いうのは、そもそもこの映画は
“犯人探し”に主観を置いていないのだ。事件の背景にある“闇の部分”を
如何にあぶり出すか――、それがこの作品のコンセプトだったはず。
事件の犯人探しのハードルを下げたせいで、観る側に“映画のテーマ”が
ぐっと見えやすくなった。それは、メインとなる“少女ハリエットの失踪事件”を
挟む形で、前後にたっぷり時間を割いて描かれる、主人公ミカエルと大物実業家
ヴェンネルストレムの対立を見ても明らかだ。 今も昔も、この世界を支配して
いるのは、“悪”であり、“闇の力”だ。そして、厄介なことにそれらの悪は、
決して表舞台に出ることなく、“闇の奥”に隠れて、人知れず鋭い爪を磨ぐ。
仮に、何者かその正体を暴かれそうになっても、その強大な力でもって
制圧してしまう。ならば、我々がそれに対抗する手段は――、法律?、警察?、
マスメディア?、いや、悪は、法の抜け穴を利用し、警察の追っ手から巧みに
逃れ、マスコミさえ支配する。残された道はただ一つ‥‥、鬼を狩るに鬼。
怪物(=不正者)を倒すには、自らも怪物になって立ち向かうしかないのだ。
ハッキング、盗聴、偽装等、数々の不正を擁して戦う者――、それがリスベット。
ドラゴンのタトゥーは、その“怪物の象徴”だろう。そして映画終盤、“現代の
悪”ともいえるヴェンネルストレムは、“更なる悪”であるマフィアによって
制裁を受ける。結局、法も、警察も、マスコミも、無力のまま。そこに残された
事実は、《悪は悪でしか裁けない》というパラドックス――。哀しいけれど、
そんな世界に我々は生きている。

 
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『第9地区』、観ました。

2011-11-05 18:15:51 | 映画(た行)

※第82回アカデミー賞作品賞他4部門ノミネート
※2010年キネマ旬報ベストテン第3位

 『第9地区』、観ました。
南アフリカ上空に巨大な宇宙船が出現。乗っていたのは100万を超える
難民と化した異星人たち。そして28年後、市内に設けられた異星人専用
居住区“第9地区“はスラムと化し、治安は悪化していた。政府は異星人を
さらに僻地へ強制的に移住させようと考える‥‥。
 ま、簡単に言ってしまうと、あの往年の『E.T.』をキャラクター再構築して、
独特のアプローチで現代風にした感じ。何を今更、地球人とエイリアンの
友情を描いたところで、特に目新しさは感じないが、それでも、その星の
数程ある“ETもどき”の中で、コイツはとりわけ異彩を放つ映画に仕上がった。
断っておくと、ストーリー自体はどこがどうと言うところはあまり無い。
軍部が研究材料として“あるもの”の価値を見い出し、手に入れようとする
過程から、主人公自らが盾になってエイリアンを宇宙船に送り届ける終盤の
展開まで、『E.T.』のそれに酷似する。ならば、この映画の秀逸さは???、
ブラックな遊び心とコミカルを随所に散りばめた《SFエンターテイメント》で
ありながら、“人権”という重く根深いテーマをバランス良く配置した
《風刺映画》としての側面も併せ持つ。ドンパチありーの、スプラッター
描写ありーの(←間違っても子供には薦められない)、でも映画の根幹には
“ヒューマニズム”が静かに確かに脈打っている。グロテスクでチョッピリ(?)
お下品な振る舞いをし、加えてネコ缶が大好物のエイリアンだが、少なくとも
仲間(家族)を想う“清い心”と、我らが当に忘れてしまった“美意識”は
持っている。一方、隙さえあらば相手をダマし、己の欲の為ならエイリアンの
血さえ啜(すす)り、その肉さえ喰らう地球人の、何とおぞましいこと。
本当の意味で、野蛮な方はどちらなのか?、グロテスクな方はどちらなのか?、
オイラは観ながら、そんな皮肉に反論できずに、図星をつかれたようで
苦笑する。見てのとおり、“B”の匂いプンプン、低予算を装って空っとぼけた
SF映画だが、観ていて突如としてハッとさせられ、深く考えさせられること数度。
非常に作りこまれた作品だ。


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『ディア・ドクター』、観ました。

2011-09-25 07:07:21 | 映画(た行)

出演: 笑福亭鶴瓶, 瑛太, 余貴美子, 香川照之
監督: 西川美和
※2009年キネマ旬報ベストテン第1位

都会の医大を出た研修医・相馬が赴任してきた山間の僻村には、中年医師の
伊野がいるのみ。高血圧、心臓蘇生、痴呆老人の話し相手まで一手に
引きうける伊野は村人から大きな信頼を寄せられていたが、ある日、かづ子
という独り暮らしの未亡人から頼まれた嘘を突き通すことにしたことから、
伊野自身が抱えいたある秘密が明らかになっていく……。
 年間通じて、そうそうお目に掛かれる映画じゃない。勿論、それは悪い方の
意味じゃなくて、特別に良い方の意味でね。のどかな山村の風景を切り取った
映像の美しさ、現在の証言と過去の出来事を交錯させながらのストーリー
構成もさることながら、この映画の秀逸さを語る上で避けて通れないのが、
大胆で意表を付くキャスティングだろう。その象徴とも言える“落語家”
笑福亭鶴瓶の大抜擢だが、これが変に演技演技してないというか、本来彼の
持つ“人の良さ”が自然に表現されていて実に良いカンジなのだ。そういえば、
かつて同じように新人や素人をよく抜擢した黒澤明監督がこんな風に
言っていた。「変に演技を習ってない素人の方が、“手垢”が付いてなくて
使いやすい」だそうな。はたして、西川美和がそう考えての配役だったのかは
さておき、更に今作では、その鶴瓶を物語の中心に置きつつも、瑛太、
余貴美子、井川遥、香川照之、笹野高史、八千草薫らで周囲を固めている。
まぁ、あえて失礼を承知で言わせてもらうと、それらの役者さんって演技が
物凄く巧いというより、むしろ個性派だとかクセ者に近い。彼らを適材適所に
配置し、物語にピリッとしたスパイスを加えている。
 一方、監督三作目にして、すでに絶頂期(?)を思わせる西川美和の演出は
今作でもキレ味鋭く、その研ぎ澄まされた感性には目を見張る。例えば、
ある夜の事、医学書の上で仰向けにもがきながら、やがてその場を飛び去って
いく虫けらは、袋小路に迷い込んだ主人公の現在とこれからの行く末を
暗示させる。また、娘が母の病状を知った際、アイスキャンデーが流しに落ち、
その溶けて流れゆく様子に“人の命の儚さ”を連想させる。更に、かつては
やり手としてならした主人公の父親も、今は痴呆となって孤独な晩年を
過ごしている。一貫してその姿を“遠巻きからのショット”で写すのは、すでに
人々の記憶から忘れ去られ、“小さくなった存在”を無言のうちに訴えかけている。
観ていて勉強になるというか、本作では随所に“演出の妙”を見せ付けられた。
 (以下ネタバレあり)ところで、この映画を先に挙げた黒澤明の『赤ひげ』と
ダブらせて観る人もあるかろう。実際、オイラもその一人だ。ただ、『赤ひげ』では
主人公医師を世の不条理に正面から立ち向かう“真のヒーロー”として描かれて
いたのに対し、この『ディア・ドクター』の主人公はむしろ村民と同じように
“人間的な弱さ”を併せ持ち、何かから逃げている“ニセモノ”だ。勿論、『赤ひげ』は
『赤ひげ』の良さがあるとして、この映画では、主人公が己の身の丈を知り、
己の弱さを自覚しているために、患者と同じ目線に立ってふれあいを大切する。
だから、己の価値観を押し付けたりはしないし、患者の意思を尊重する。
つまり、彼は、まず“医師”である前に“人”であり続けたのだ。肩書きだとか
医師の免許があったかどうかなんて関係ない、そこに“人の心”があったのだ、
そこに“人の愛”があったのだ。いくつ数字をこなしたかではなく、人に
何を与えたか、ってこと。映画の終盤、癌患者を母にもつ女性医師は刑事に問う、
「結局、彼(主人公)は、母をどのように死なせるつもりだったのかしら」。
その答えは、やがてラストシーンで明らかになる。再び患者の前に現れた主人公が、
注ぎ手渡すお茶の意味・・・、その“温かさ”こそ、その答えに違いない。


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『チェ 28歳の革命』、観ました。

2009-02-01 15:22:02 | 映画(た行)
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監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:ベニチオ・デル・トロ、デミアン・ビチル、カタリーナ・サンディノ・モレノ
※カンヌ国際映画祭主演男優賞

 『チェ 28歳の革命』、映画館で観ました。
1955年、メキシコ。ラテン・アメリカの貧しい人々を救いたいと南米大陸の旅を
続けるアルゼンチン人の医師エルネスト・ゲバラは、独裁政権に苦しむ故国
キューバの革命を志すフィデル・カストロと意気投合。わずか82人で海を渡り、
2万人のキューバ政府軍と戦うというカストロの作戦に、参加を決意する……。 
 “(作り手の)志の高さ”がゆえに誤解を受けやすい。きっと、この映画の
表面だけを観て、中にはこう考える人もあるかもしれない――。これはアメリカの
資本主義を否定して、共産を推奨する映画なのか。“革命”のため?、いや、理由は
ともあれ、実際に多くの命を奪った人殺しを英雄扱いするのは如何なものか、と。
確かに日本人の立場からみても、映画の主人公について、今ボクらがいる現実
社会とは違う世界にいて、違う思想を持ち、違う時代を生きた人間だったとは思う。
何の接点もない、全く別の人間だってことは間違いない。いや、それはボクら
観客だけに限ったことじゃなく、この映画に登場する、貧しきキューバの人民とて
同じこと。チェ・ゲバラとは国籍はおろか、宗教や生まれ育った環境も違うのだ。
しかし、そんな彼らが、チェの優しさに触れ、激しさを目の当たりにして、その
“人間的な大きさ”に魅せられていく。この、異国の指導者の魅力に惹かれずには
いられない。自分の部下に寄せる信頼、そして、女性や子供や病人に向かう
気配りと心遣い、捕虜となった敵兵や処刑者にも情けをかけ、如何なる時も、
如何なる人々に対しても公平に、“相手への尊厳”をもって接していく。彼は
劇中の中でこんな風に言う、「革命は、ひとりの無名の兵士の士気がその流れを
変える」と。つまり、大切なのは武器や財力ではなく、“人間の心”だってこと。
なにも監督のソダーバーグは、この映画で伝説のヒーローの、その波乱に満ちた
半生をセンセーショナルに描こうとしたんじゃないはずだ。むしろ、あえて我々とは
対極にあって、別世界の指導者を取り上げることで――、例えば、見てくれとか
偏見とか差別とか――、そういった見えざる心の垣根を越えようとしたんじゃ
ないのだろうか。(勿論、それが正しいか、間違っているかは別問題として)
リーダーの改革に向かう“揺るぎない信念”と、“清い心”に人々は導かれて
いくんだろう。
 そして、そう、その“揺るぎない信念”といえば、この映画の作り自体にも
強く感銘を受けた。いくつかある戦闘シーンでは、あえてその現実音を省き、
チェ自身のインタヴューをかぶせることで、必要以上に観客の興味が“それ
(血生くさいドンパチ)”だけに向かわない配慮が感じられる。日々バイオレンス
志向に向かう近年のハリウッド映画にあって、こういう姿勢をみるとホッとする。
そう思うと、この映画の主人公同様に、ソダーバーグ自身もまた映画の
世界に新しい流れを作ろうとする“革命家”なのかもしれないね。
 最後に、この映画でボクが特に印象に残ったワンショットから――。チェが
NYの国連会議場へと向かう際、タクシーの窓から見上げるように映し出される
《マンハッタンの高層ビル街》。果てしなく高くそびえ立つ《それ》は、今
アメリカが手にした“強大な富と権力”を感じる一方で、今にも崩れ落ちそうな
“(肥大化し過ぎた)資本主義の危うさ”を見てるようで怖くなる。皮肉にも、
まさにそれは今、ウォール街の一角から世界規模で広がった“今日の金融
危機”を象徴しているようだった。



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『つぐない』、観ました。

2008-11-13 22:39:18 | 映画(た行)
つぐない

ジェネオン エンタテインメント

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原作 イアン・マキューアン
監督 ジョー・ライト
出演 キーラ・ナイトレイ、ジェームズ・マカヴォイ、シアーシャ・ローナン

 『つぐない』、観ました。
1930年代のイギリス。政府官僚の娘セシーリアは、身分の違いを越えて、使用人の
息子ロビーを愛していた。だが、2人の愛は多感な妹ブライオニーのついた嘘によって
引き裂かれてしまう。やがてロビーは戦場の最前線に送り出され、セシーリアは
ロビーの帰りをひたすらに待ちわびる。ブライオニーが自分の罪の重さに煩悶する中、
3人の運命は、時代の流れに呑み込まれていく…。
 これまであまり目にしたことのない、新しいタイプの大人のラブストーリーか。
前半部分はやわらかく、洗練された映像の中、上流階級の純愛ドラマが展開され、
一転、後半では重苦しい、戦場での現実が襲い掛かってくる。ある出来事をさかいに
人生が暗転し、明と暗に分かれていく。その、くっきりと浮かび上がる“人生の
コントラスト”が無常にも世界を照らし、何ともやりきれない気持ちにさせられる。
個人的には今年不作の洋画にあって、一際重厚な人間ドラマを味わった。と同時に、
強く情感に訴えかけられる作品だった。
 まず、本作で大いに感心させられるのは、綿密に練り込まれた脚本と斬新な構成の
秀逸さだ。現在と過去、現実と空想――、ここではそれらを巧みに交錯させながら、
ミステリアスな展開で進んでいく。勿論、この種の技法は『シックスセンス』やら
『ビューティフル・マインド』やら、はたまたその他タランティーノの映画などで、
あるにはあった。しかし、今回はそれをサスペンス映画でもなく、犯罪映画でもなく、
文芸風の純愛ドラマに活用したのだから驚きだ。作る方もかなりの勇気がいったこと
だろう。今にして思えば、“ラストの、真実”に至る過程で、すでに様々な伏線が
散りばめられていて、少女が蜂の飛ぶ窓を眺める“プロローグ”から緻密に計算
されていたことを知る。いや、だからと言って、この映画が単に鮮やかなプロットを
みせたいがだけの映画とは思って欲しくない。いみじくも少女の心の未熟さが招いた
小さな過ちが、彼女自身を含めた男女3人の人生までも大きく狂わさてしまう“運命の
残酷さ”――。そして、もう引き戻せない過去と、絶望の現実の中で、少女が自らに
課した“罪と罰”――。その苦しみの深さを知る毎に息苦しく、積み上げられた時間の
重さが観る者の心へと圧し掛かってくる。
 では、逆の視点からみれば、どうだったんだろう。人生を狂わされた側の、男の
気持ちは??、映画でボクが忘れられない台詞がある。物語終盤、戦場を彷徨う男が、
最愛の女性に当てた手紙の中の一節だ。《僕は、戻る。そして、君に会い、君を愛し、
君と結婚し、汚名をきせられた人生を、生きる》と。そこには、少女に対する怒りや
憎しみはない。どんな形でも自らの人生を受け入れ、“愛する女性への想い”だけが、
彼の、生への根源になっているように感じられる。それからも分かるように、結局、
少女は二人の世界に割って入っていけなかった。二人の愛を遠くで見ているだけの
自分が辛過ぎたんだ。多分、この悲劇は誰のせいでもない。“少女の、最後の優しさ”が
溢れた結末をみるにつけ、心からそう思う。



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『チーム・バチスタの栄光』、観ました。

2008-09-02 22:07:02 | 映画(た行)





監督:中村義洋
出演:竹内結子 / 阿部寛 / 吉川晃司 / 池内博之 / 玉山鉄二 / 井川遥 / 田口浩正 / 田中直樹 / 佐野史郎 / 野際陽子

 『チーム・バチスタの栄光』、観ました。
成功率60%といわれる心臓手術「バチスタ手術」を26例連続成功させていた、東城
大学付属病院の専門集団「チーム・バチスタ」。しかし、その手術が3例連続で
失敗するという事態が起きた。原因は果たして“事故”なのか? それとも“故意の
殺人”なのか?? 心療内科医の田口は院長の命で手術失敗の内部調査を行うことに。
聞き取り調査の結果、彼女は単なる事故として調査を終了しようとするが、そこに
厚生労働省の白鳥が現れ……。
 あ~ぁ、久しぶりに“ババ”引いた。劇場公開時から期待してたのに、スカされた。
竹内結子、阿部寛、吉川晃司、佐野史郎、野際陽子、井川遥‥‥、とにかくキャストは
個性派揃い、そうそうたるメンバーが集まってるのに、ちっとも印象に残らんじゃないか。
ユル~いギャグと、グド~いキャラを掛け合わせて、あとは阿部寛の怪演ぶりに
お任せってヤツですね、ハイ。まぁ、その線から察するに、『トリック』と同じような
路線を狙ったんじゃないのかと。オイラはそのドラマも映画版も観てないんで確かな
事は分かりませんが、横にいたワイフが、んなこと言ってました。
 さて、話を本作の方へと戻しますと、全体に間延びしちゃっていて笑って良いのか…、
真面目に考えて良いのか…。コメディとしても成り立たないし、ミステリーとしても、
やっぱり成り立たねぇ。おまけに、テーマから何を云わんとしているかも皆目見当
付きかねる。重箱のすみを突付くような矛盾を引っ張り出しててきて「アナタが犯人」。
でもって、これまた大した動機もないままに、陰の真犯人が現れる。な~んか
謎解きに説得力が御座いませんね。キツネにツマまれ、タヌキにバカされたみたいに
納得いきません。いっそ“ミステリー映画のパロディ”って割り切れれば良いんだろうけど、
それよりオイラにゃ“この映画の存在性”そのものの方がミステリーだね。とにかく、
この映画を観るにゃあ“心のゆとり”ってヤツが必要だってこと。あと、目の前へ
出されたものに疑念のカケラを抱かず、ありがたく頂戴して楽観的に楽しめる
“純朴さ”と‥‥。どうやらオレにはその両面とも持ち合わせていなかったらしいゼ。
ちなみにワイフは、かつて『劇場版トリック2』を知人と観に行った際「クスリとも
笑えんかった」って、スネて帰ってきました。Oh!!、その気持ち、今のオレにはよお~く
分かるぜ、ダーリン。結局、こういうユル~いミステリーが世に氾濫するのは、それだけ
日本が平和だってことの証明でしょう。それが分かっただけでも、ま、いっか。



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『ダークナイト』、観ました。

2008-08-13 20:07:48 | 映画(た行)
Dark_knight_1_2c_b
監督:クリストファー・ノーラン
出演:クリスチャン・ベール、ヒース・レジャー、アーロン・エッカート、マギー・ギレンホール、ゲイリー・オールドマン、マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン

 『ダークナイト』、映画館で観ました。
ジム・ゴードン警部補とハーベイ・デント地方検事に助けられながら、バットマンは
街で起こる犯罪撲滅に成果を上げつつあった。だが、ジョーカーと名乗る犯罪者の
台頭により、ゴッサム・シティは再び混乱状態に陥る。バットマンにとってジョーカーは
もっとも個人的な意味合いをもつ、最強の敵。この新たな脅威を葬り去るため、彼は
あらゆるハイテク武器を駆使し、信じるものすべてと衝突しなければならなくなる…。
 《ダークナイト》って聞いて、“暗い夜”だと勝手に思い込んでいたそこのアナタ!!、
早速改めた方が良いゼ。“night”ではなくて“knight(騎士)”の間違いなのダ。でも、
安心なされ、オレもその内の一人だから。てなワケで、早々に自らの英語力の無さを
露呈してしまったのだが、この際ハッキリ言っておく、そんな事はどうでも良いのサ。
ここで一番肝心なのは、映画のタイトルから今回初めて“バットマン”の文字が
消えたってこと。それが何を意味するのか??、確かに今作もバットマンが主人公で、
悪の帝王ジョーカーとの対決がメインに展開されるのだが、これまでと明らかに趣が
異なることがひとつ――、事件の毎にクローズアップされ、浮かび上がってくる“別の、
ある人物”の存在なんだ。勿体ぶらずにいうと、それはトゥーフェースことハーベイ・
デント。で、この映画では、善と悪とのビミョ~な関係がテーマにあって、なんかの
拍子に善が悪に…、悪が善に…、入れ替わることもありうると。となれば、内容的に
『スターウォーズ』の新三部作とカブることにお気付きの方も多いのでは。特に、今作で
デントの良心が哀しみの炎に焼き尽くされ、復讐の鬼トゥーフェースへと生まれ変わって
いく場面は、SWのアナキン・スカイウォーカーがダースベイダーに堕ちていった場面と
見比べてしまう。ただ、考えてみれば、監督のクリストファー・ノーランはすでに
前々作の『インソムニア(←リメイクだがね)』で、善良なベテラン刑事の“行き過ぎた
正義”が悪の領域へと踏み入れていくサスペンス映画の秀作を撮ってるし、意外と
このテーマにおける先駆者は、ノーランの方かもしれないがね
 さて、この映画で注目して観たいのは、コインの表裏に象徴される“人物の心の
内”っていうのかな。街から悪を一掃すべく、正義感に燃えていた頃のデントは、
その時分に持っていたコインのように、“両面が表(善の心)”ような存在。だけど、
その後、最愛の恋人が焼死した際、そのコインの“裏側に黒く焼け焦げた跡”が残った。
それと同時に、デントは善と悪の両面からなるトゥーフェースへと変貌した。また、
過度にCGに頼ることなく、黒く焼け焦げたコインからレイチェルの“死の壮絶さ”を
無言の内に語るあたり、ノーランのセンスってやつを感じちゃうね。
 それにしても、今作でのバットマンは、何ともご苦労な役回りだこと。血を流し、命を
盾に戦っても感謝はされず、挙句には大衆からそのマスクを剥げと言われる始末。
んなの、やってられねぇゼ、と愚痴の一つも言いたいところをグッと堪えて我慢する。
さすが、デキた人間は違うゼ、オイラなんかにゃ真似できねえや。つまり、それが
何を云わんとしているかは、キレイごとの正義や理想論を並べても、現実世界に
君臨する悪の前ではいとも容易く跳ね返されてしまうってこと。(それはデントが
マフィアのボスを法の上(裁判)で裁こうとして失敗した映画冒頭の場面に象徴される。)
勿論、それは最終的に目指すところではあるのだが、今はまだ違う。この荒みきった
時代に必要なのは、自らが“汚れ役(ダークナイト)”になって戦えるヒーローの出現だ。
いや、こう考えたらどうか、無法者と戦うデントとバットマンの関係が、そのまま
テロリズムと立ち向かう“国連とアメリカの姿”だと。ラストシーンは、今の我々と、
今のアメリカに、自らが“汚れ役”を買って出る、その覚悟があるのかどうか??、
そう問い掛けられている気がした。



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『長江哀歌(ちょうこうエレジー)』、観ました。

2008-06-18 19:49:52 | 映画(た行)





監督:ジャ・ジャンクー
出演:リー・チュウビン、ハン・サンミン

 『長江哀歌(ちょうこうエレジー)』、観ました。
三峡ダムの建設のため、水没していく運命にある町、奉節。そこへ船に乗って
一人の男がやってくる。彼の名はハン・サンミン。16年前に別れた妻子を探しに、
山西省からやってきた炭鉱夫だ。様変わりしてしまったこの町で、サンミンは
働き口を見つけ、妻探しを続ける。一方、2年間音信不通の夫を探しに、やはり
山西省からやってきた女がいた‥‥。
 ずっしり重たいテーマであるはずなのに、何故か観続けるのが苦にならない。
まるで川の流れをゆらゆらと――、ゆったりとした時間の経過と、しっとりと
落ち着いた物語の空気が心地よく、観ているオイラの心を鎮めてくれる。ただし、
必要最小限の台詞の端端に込められた情感は、行間を読むことが出来ないと
ひどく退屈だろうし、長回しを多用した撮影や、粒子の粗いドキュメンタリー
タッチの映像は、やはり観る人を選ぶ映画だと言わざるを得ない。2007年度
キネマ旬報・外国映画第一位――、どうりで万人受けするというよりも評論家
好みの作風だ(笑)。実際、オイラの満足度も65~75%くらいで、大絶賛とまでは
いかないかな。まぁ、分かり易い例を挙げると(いや、あんまりポピュラーでは
ないかもしれないが(笑))、ギリシアの巨匠テオ・アンゲロプロスの中国版と
イメージすれば良いと思うよ。
 さて、物語は、長江下流沿いにある小さな街が舞台。“時代の波”に抗う事が
出来ずに、破壊された瓦礫の下に埋(うず)もれていく街の風景――。くしくも、
今、その場所では、長らく音信不通になっていた2組の夫婦が、それぞれの愛を
確かめるため、決意の再会を果たそうとしている。しかし、水没し、やがて
忘れ去られていく街とシンクロするように、“待つ者の哀しみ”が静かに浸食され、
愛する人の記憶の底に沈んでいく。一方、そんな消えゆく街の様子とは
対照的に、そこに生きる人々の交流には今も“活気”が感じられる。酒、煙草、
茶、アメ――、(映画はそれぞれパート毎に区切られていて)それらは決して
高価ではないものの、夫婦や親戚、仲間同士で(譲り合い)分け合って、両者の
絆を深め合う。むしろ、主人公らの手にした携帯電話の方が、両者の心の距離を
埋めることが出来ないまま、何の役割も果たせずにいる。事実として、今、
主人公ら夫婦の間を繋げているものがあるとしたら、それは目の前にある“大河
(長江)の流れ”だけ…。その僅かに残った“夫婦としての繋がり”を絶ち切れず、
幾度となくペットボトルで“水”を口にするヒロインの姿が、どこか痛々しく、
また切ない(涙)。
 では、レビューの最後をしめる意味でも、あの意味深なラストシーンについて
考えてみる。主人公が遠方に見る“綱渡りの人影”には、一体どんな意味が??、
それには、まずその直前の場面で主人公が言った言葉を思い出してみると
良いのかもしれない。「これからやる仕事は、高い日給がもらえる代わりに、死と
隣り合わせの危険なものだ」と。つまり、底辺で支える人々の生活を蔑ろにして、
急速な発展を続ける現在の中国――、しかし、その急ぎ過ぎた発展の道筋は、
一歩足を踏み外せば、奈落の底に落ちていく。まさに、その“綱渡りの人影”こそ、
これからの中国における“影の部分”を暗示しているのではないだろうか。



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『タロットカード殺人事件』、観ました。

2008-04-03 21:55:28 | 映画(た行)





監督:ウディ・アレン
出演:スカーレット・ヨハンソン、ヒュー・ジャックマン

 『タロットカード殺人事件』、観ました。
ロンドン市街のマジックショー劇場で、ジャーナリスト志望の女子大生サンドラが
舞台に上げられ、中に入った人間の身体が消えては現れるボックスに入れられる。
その中で彼女は著名なジャーナリストの亡霊ジョーと遭遇。急死したばかりの彼から、
とっておきのスクープを耳打ちされる…。
 誰が言ったか、(いや、誰も言ってなかったら、単に“オイラの思い込み”だけかも
しれないが(笑))、ウディ・アレンの映画って、本人が出てない方が面白い。ちなみに、
オイラが好きな作品を並べていくと、『カイロの紫のバラ』に『ハンナとその姉妹』、
『ギター弾きの恋』、『マッチポイント』‥‥。ほらね、やっぱり、本人が出ていない。
『アニーホール』や『ブロードウェイのダニー・ローズ』も悪くはないが、いまいち
オイラの趣味とは程遠い。そう言えば、かつてアンチのいった言葉で、ウディ・
アレンの自虐的なユダヤ系ギャグは、日本人には受け入れられない、って。ナルホド、
それも御もっとも。この映画でも、本人自らしゃしゃり出て、ご自慢の(?)マジックと
一緒に“ユダヤ人ネタ”をご披露するが、しゃべれどもしゃべれどもトークは空回り。
これならば、我らが(?)マギー司郎を連れて来いってカンジ(笑)。けどね。誤解して
ほしくないウディ・アレンの凄さは、単に笑わせるだけの話術とは違う、映画として
“語り口の巧さ”だと思うんだ。例えば、そんなクタビれたジジイのかくし芸と、
マシンガントークが続く退屈な展開に、突如、手品の箱の中から新聞記者の幽霊が
登場し、ヒロインへスクープネタを提供するのだから、思わずクスリとしてしまう。
いや、何しろ物語の切り口からして、意表をついていてスゴイのだ。不幸の死を
遂げた新聞記者、その彼が死神の船に乗ってあの世に向かう途中、死人同士の
立ち話で(?)世紀の特ダネを聞かされると、再びジャーナリストの血が騒ぎ、のこのこ
現世に戻っていくって、一体どうよ??、恐らく、その辺りのテイストは(アレンが
心酔する)ベルイマン作品に感化されてのことだとは思うが、その、冴えわたる
語り口の巧さに、思わず見入ってしまう。ぶっちゃけ、“犯人捜し”をメインにおく映画
じゃない。また、サスペンスとしてグイグイ引っ張り、たたみ掛けてくるスピード感も
ありゃしない。でも、オイラからすれば、そこがイイ。軽快にしてひょうひょうとした
ウディ・アレンの語り口、作品ごとに装いを変えるスカーレット・ヨハンソンの美しさ、
そして、ユーモアに満ち足りた贅沢な時間と上品な味わい――、こいつは長らく
観ることのなかった“大人のサスペンス”だ。おっと、最後に言い忘れるとこだった、
本人が出演したアレン作品にしては、珍しくオイラは気に入ったよ。



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『デス・プルーフ in グラインドハウス』、観ました。

2008-03-16 20:43:36 | 映画(た行)





監督:クエンティン・タランティーノ
出演:カート・ラッセル、ゾーイ・ベル、ロザリオ・ドーソン、ヴァネッサ・フェルリト、シドニー・タミーア・ポワチエ

 『デス・プルーフ in グラインドハウス』、観ました。
テキサスの田舎町。人気DJのジャングル・ジュリアは女友達と共にお気に入りの
バーにくり出した。しかし、そこに不気味なシボレーを乗り回す男、スタントマン・
マイクがやってくる。ジュリアたちはバーで会話をするうちに、彼への警戒心を
緩めていくが…。その14ヶ月後、テネシーのとある町。映画撮影に携わっている
キム、ゾーイたちは撮影の合間をぬって車の試乗をすることに。しかしそんな
彼女たちにマイクが目をつけ…。
 この映画を観終わって、存分に理性を掻き乱された今、“B”という言葉の響きが
何と艶やかで魅惑的なものに感じられる。グロもエロも当たり前、暴力・セックス・
ドラック、何でもござれ。いわゆる、モラルとは正義とかクソ食らえの反社会的
ストーリ展開、これぞ有害B級映画の模範解答、慎み深さのカケラもない(笑)。
そこには、知性よりも野性味を、理性よりも本能を、それから、枠に収まり切れない
激しさも――。だけど、それだけじゃない。恐らく、“ハリウッドの反逆児”たる
クエンティン・タランティーノは、これをもって体制側に“NO”を突きつけたんじゃ
ないのかって思うんだ。例えば、イタリア版ヴォーグをウラ本としてコンビニで
買い受けるわ、あのジョン・フォードの名作『怒りの葡萄』を何のリスペクト無しに
笑いのネタにすることも。それから、プラダのベルトを命綱代わりにボンネットへ
乗っかり、暴走するイカれた3人組のオンナども。そう言やぁー、プラダのバッグの
生地はNASAのパラシュートと同じだっていうから(←by ウチの嫁のお友達談(笑))、
ナルホド、理屈が通ってるゼ(笑)。オッと、脇道に逸れかけたんで、さっきの
“反体制”について話を戻すとすると、じゃあ、タランティーノは、何をもって
何に向かって反旗を翻すのだろう…、権力?、富?、名声?、モチロン、それも一つに
あるんだろうが、彼の中で一番大きなものは、ハリウッドを中心にした“今日の
映画業界そのもの”じゃないのか。つまり、技術の進歩と共に、映画作りの流れは
“アナログからデジタルへ”。その辺のアクション映画のアクションシーンでさえ、
CGのオンパレードになっちまった。そのおかげでスタントマンは残らずみんな、
おまんまの食いっぱぐれサ。となれば、事件のターゲットが少しでも業界に精通した
オンナどもに共通していること…、すなわち、こいつ(この映画)はスタントマン・
マイクによる“放送業界・映画業界への復讐”にも見てとれる。オッと、またまた
脱線しかけたので、ちょいと前の“アナログとデジタル”について話を元に戻そうか。
つまり、タランティーノは、この映画をもって日々商業化と肥大化を続ける“今日の
ハリウッド”に対して反旗を翻し、警笛を鳴らす。今一度、生身の人間が命を張って、
本当の危険と向かい合う――チープでも、ドクドクと熱い血潮の激流が感じられる
カーアクションムービーを再現させたかったんだと。その証拠に、フルスピードで
白昼のハイウェイを疾走するクライマックスのカーチェイス…、観ながらオレの
“野生”は呼び覚まされ、いつボンネットから振り落とされ、クラッシュするやも
しれぬ緊張感に、オレの脈打つ鼓動がうなりをあげる。久しくハリウッドのメジャー
作品では味わえなかった“骨の髄まで突き抜けるような快感”…。だけど、同時に、
そこに至る過程で、タランティーノは改めて“アナログの面白さ”を証明してみせた。
立派なメッセージ映画だと、オレは思うゼ。



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『天然コケッコー』、観ました。

2008-01-04 18:29:46 | 映画(た行)





監督:山下敦弘
出演:夏帆、岡田将生、夏川結衣、佐藤浩市、柳英里沙、藤村聖子

 『天然コケッコー』、観ました。
山間の分校。小学校と中学校は同じ校舎の中にあり、全校生徒はたったの6人。
右田そよは唯一の中学二年生。初夏のある日、東京から転校生・大沢広海が
やってきた。期待に胸を膨らませるそよは仲良くなろうとするのだが、ついつい
冷たい態度をとってしまう。海水浴、神社の境内で初めてのキス…、そして春が
来て、みんな1学年進級した。楽しみにしていた修学旅行は東京。広海が育った
街を始めて見ることが出来て喜ぶそよだったが…。
 ボクが記念すべき2007年の締めくくりに選んだのがこの映画、そして、くしくも
これがボクにとって“本年度のベストムービー”となった‥‥。映画は、全編を通して
幹となる大きなストーリーがある訳ではなく、そこから枝分かれしたような“複数の
エピソードの集合体”から形成される。ある意味、それは“フェリーニ的”であり、
中でもボクは“彼の、ある映画”を思い浮かべずにはいられない。山あいにある
小さな田舎町、その一年の四季を彩(いろど)るように、少女の初恋の様子が
“何枚かのスケッチ”として郷愁感たっぷりに綴られていく…。まさに、それは
僅かな設定の違いこそあれど、『フェリーニのアマルコンド』にそっくり。――何の
前触れもなくやってきた運命の出会い…、夏祭りの屋台で買ったたこ焼きの味…、
耳をすませば聞こえてくる風の音…、線路でコケて轢(ひ)かれそうになった苦い
思い出…、山を越えた向こうに広がる海の青…、神社の隅でした初キスの約束…、
彼のコートの匂い…、そして、バレンタインに贈ったチョコの秘密……、少女にとって
その一つ一つが輝きを持ち、もう戻らない掛け替えのない時間として、“人生の
たからもの”になっていく。
 また、映画は、単にヒロインの初恋物語だけに終わらせることなく、“思春期の
少女の視点”から複雑な大人社会を見つめていく。――身投げをして命を絶った
女性の話や、かつて父と大沢のオバさんとの間に存在した遠い過去、それから、
ヒロインへ密かに想いを寄せるシゲちゃんの存在も――、ヒロインは色んな悩みを
抱えながら、少女から大人へと少しずつ成長していく。この映画の良いところは、
あえてその全部を完結させることなく、残りの空白部分を“観客が想像する
余地”として空けたままにしてある点だ。観ながらボクはその余白を埋めようと、
自らの思春期の頃に想いをはし、考えれば考えるほど切なくなる。そして、悲しくも
ないのに泣けてきた(涙)。仲間との信頼、家族の絆、村で暮らす人々との温かい
心のふれあい‥‥、都会の人ごみとは違う、そこには“人と人との繋がり”があり、
互いが互いを思いやることで“社会の営み”が守られているかのように見えてくる。
映画終盤、ヒロインの母がその夫を冗談めかして言う、「あの人の愛は、私には
重過ぎる(笑)」と。いや、果たして、それは本当に冗談だったのか。その瞬間、
ボクははたと気付いたんだ。この村で暮らす人々は、誰もが特定の個人だけを
愛しているのではなく、この村と…、そこで暮らす人々のみんなを愛しているのだと。
映画は、山あいにある小さな小さな村の物語…、だけど、そこに描かれる愛は、
その場所から溢れ出さんばかりに広く広く広がっている。





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