肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『20世紀少年』、観ました。

2008-09-07 20:26:57 | 映画(な行)
20century_1_1b
監督:堤幸彦
原作:浦沢直樹
出演:唐沢寿明、豊川悦司、常盤貴子、香川照之、石塚英彦、宇梶剛士、宮迫博之、生瀬勝久

 『20世紀少年』、映画館で観ました。
ロックスターを目指していたが、今は実家のコンビニを継ぎ、失踪した姉の子供を
育てているケンヂ。同窓会で会った旧友から、「ともだち」と呼ばれる教祖が率いる
カルト教団が、ケンヂが子供時代に作った「よげんの書」とそっくりの怪しい事件を
起こしていることを聞く。その後、仲間の1人だったドンキーが殺され、事件の謎を
解こうとケンヂは立ち上がる。しかし、「ともだち」によって、テロリストの汚名を
着せられてしまい…。
 淡いライトが照らすカーペットの上、長く伸びた通路を抜けるとそこは“満席の
映画館”の中だった。そもそも何故オレは今、こんな場所に??、普段ならTVドラマの
映画版やら人気コミックの実写版など見向きもせずにスルーしてきたじゃないの。
つまり、ことの次第はこうだ。その数時間前にまでさかのぼる―――、良く晴れた
休日の朝。今日は何の映画を観ましょうか。映画の時刻表を眺めながら、あれや
これやと想いを巡らせる。その時間もまた“映画の醍醐味の一つ”だものね。
で、やっと『デトロイト・メタル・シティ』に決め掛けていたオレに、ワイフが言った。
「ねぇ、知ってる?、『20世紀少年』って、フランスじゃあ物凄お~くリスペクトされてて、
ルーブル美術館のモナリザの前で会見したのよ」って。そりゃ、スゴイ。それに
初耳だ。そんな風に言われちゃうと今回観なきゃいけないような気になってきた。
よし、決まり。俄然観る気になってきたゾ。えっと回想録はひとまずこれくらいにして、
現実のリアルタイムの方へと目を戻しますと、ぎゅうぎゅう詰めに詰め込まれた
館内の座席に座るオイラを挟んで、左には仲むつまじい感じのおニイさんおネエさんの
カップルが――。あ~ぁ、オレとワイフにもこんなラブリーな時代があったっけなぁ。
一方、右の方角をみれば、何故かこの場に不似合いな、くたびれたおジイさんが
一人ポツンと座ってる。ところが、このジイさん、本編が始まると、暗闇でゴソゴソ
動き出し、おもむろに頭にかぶってた帽子を脱いで、ウチワ代わりにパタパタパタと
扇ぎ始めた。どうでも良いけど、そんなの他でやってくれ。あ~ぁ、気になって
仕方ねぇや。
 そんなこともあってか、映画は5分、10分、30分と経過しても、なかなか物語へと
入り込めない。キレ味少ないギャグはお寒い限り、オレの失笑を誘うゼ。やっと
面白くなってきたかと思えばイナされて、ついに“ともだち”の正体が分かりそうに
なったかと思えばスカされて―――、それ以前に“9人の戦士”が9人である必要が
全く無いじゃんか。まぁ、このあたりは作品の性格上、“主人公の、あいまいな
記憶”ってのが根幹にあって、あえてここではそういう(それぞれのキャラが淡白で
印象に残らない)描写をしたとも考えられますが。とにかく、原作を読んでないオイラが
思うに、この題材は“2時間枠の映画”よりも“週1時間のTVドラマ”かなんかで
チビリチビリとやった方が向いてるのかなって。あ、作品自体の出来が良いとは
全く思いません。ただ、やっぱし“ともだちの正体”は気になるなぁ。それが
(製作者側の)手だと知りつつも、この結末は気になるなぁ。で、続編が出るのを
待ってたら、内容のほとんど忘れちゃうじゃないの。とにかくオレは待てないから、
マンガ喫茶に行って、続きを読むね。



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『野いちご』、観ました。

2008-07-19 19:39:36 | 映画(な行)





監督:イングマール・ベルイマン
出演:ヴィクトル・シェストレム, イングリッド・チューリン

 『野いちご』、観ました。
細菌学者のイーサクは名誉博士号を授与されることになったが、その夜不快な
夢を見てしまう。死への怯えである。不仲が伝えられる息子の嫁と、車で出掛け、
途中で若い頃に過ごした別荘に寄るが、そこの野いちごの群がイーサクを過去に
誘う‥‥。
 まだ若い頃に観てピンとこなかったクラシックの名作が、月日が経って改めて
観直したとき、初めて(その作品の持つ)“本当の意味”に気付かされることがある。
まして、この『野いちご』は“老い”と“孤独”がテーマの中核にあるからして、
当時20歳を過ぎたばかりのボクに理解出来なかったのも無理はない。主人公の、
死に怯える孤独な老人に“憐れみ”に似た同情をよせることは出来ても、当時の
(若い)自分には縁もゆかりもない、かけ離れたものに感じられた。だけど、あれから
ボクも随分と歳を取り、今は彼の姿を“未来の自分”に置き換えてみると怖くて
怖くて堪らない。考えてみれば、人の一生とは…、主人公の、それまで生きてきた
人生は何だったのだろうか。真実の愛と引き換えに、手に入れたのは偽りの愛…、
後は圧し掛かってくる“孤独”に耐え、忍び寄る“死の恐怖”に怯えて生きるだけ。
今さらながら、過ぎ去った人生の時間がひどく無意味なものに思えてくる。この
映画で感心させられるのは、現実と幻想、または現在と過去とが、巧みに交錯する
物語構成もさることながら、的確に配置された人物設定によって、主人公の心の
内側に隠された“人生の孤独”を浮き彫りにして描いていく点だ。例えば、旅の
途中で夏の別荘地跡に立ち寄り、主人公が野いちごの幻想から覚めて最初に出会う
3人の若者達は、1人の女性を正反対の男性2人が奪い合う――、若き日の主人公と
サーラ、それに弟のシーグフリドの関係。また、次に出会う、言い争いの耐えない
中年の夫婦は、かつての夫婦生活で確執の多かった、主人公とその妻の関係に
他ならない。そして、そんな“主人公の分身”ともいうべき中年男が、夢の世界
にまで登場し、遠い記憶の彼方から“妻の不遇の場面”に誘(いざな)っていくのが
恐ろしくもあり残酷だ。つまり、ここで主人公が出会う旅人達は、彼がこれまで
歩んできた“人生を映した鏡”なのだ。ベルイマンの演出は、その過程で主人公の
隠された本性を暴き出し、《偽善》という“偽りの仮面”を剥(は)いでいく。ただし、
この映画で唯一の例外として、主人公と対になって描かれている人物が一人だけいる、
メイドのアグダだ。主人公の老人とほぼ同年代だが、学はなく、(ここで見る限り)
近くに身寄りもいない彼女――。映画終盤、そんな彼女に主人公は冗談交じりに言う、
「私と君は、もう何十年もの付き合いだ。そろそろ名前で呼んでも良い頃だ」。すると、
彼女は、またいつもの調子で「先生は先生。呼び捨てなんてとんでもない。」と。
その瞬間、主人公ははたと気付いたように、晴れやかな顔になる。主人公は常に
“過去”を悔やみ、その過去に縛られ、逃れられずに生きてきた。しかし、アグダが
見ているのは、まぐれもなく“現在(いま)”‥‥、今宵、名誉ある賞を受賞した
博士である主人公の姿なのだ。やがてベッドに入り、眠りにつく主人公の寝顔が、
今夜ばかりはどこか誇らしく、安らかに感じられる。その記憶は懐かしい故郷の風に
乗り、優しかった両親の元へ帰還していくようだった。



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『西の魔女が死んだ』、観ました。

2008-07-05 19:30:11 | 映画(な行)
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監督:長崎俊一
出演:サチ・パーカー、高橋真悠、りょう

 『西の魔女が死んだ』、映画館で観ました。
中学入学後すぐに学校が苦痛になってしまった“まい”は、ママの提案で森に
住む“西の魔女”の家でしばらく過ごすことになった。“西の魔女”とはママの
ママで英国人。魔女の血筋を引くというおばあちゃんの暮らしは自給自足。
野菜やハーブを育て、昔ながらの知恵を活かしながらの生活は、“まい”にとって
新鮮に感じられた。課された“魔女修行”は、早寝早起き、食事をしっかり摂り
規則正しい生活をするというもの。魔女の家系だとの言葉を信じ、“まい”の
魔女修行が始まった…。 
 ハッキリ言って、これは“タイトル”の勝利でしょう。その、タイトルの良さでもって、
だいぶ得してるのは間違いないです。「西」「魔女」「死んだ」――、ひとつひとつは
ありふれて、どうってことない単語の集まりなんだけど、その組み合わせ方が
何とも絶妙というか‥‥、それら3つが合わさると、途端に“ミステリアスで
寓話っぽい”印象を抱かせる。何かこう吸い込まれるように興味をそそられちゃう
んだなぁ、これが。それと、タイトルの後半部分で「魔女が死んだ」とあって、
すでに観る前から結末の大よそは想像できるワケだけど、映画の最後の最後で
「西」っていうのが伏線となって効いてくる。「北」でも「南」でも「東」でもなく、
どうして「西」でなくちゃいけないか??、映画館の暗闇の中、オイラはひとりで
ナルホド~って頷きながら、ひたすら感心しちゃったね、ホント。つまり、早い話が
このタイトルには、作品のイメージから、大よそのあらすじから、そして結末に至る
伏線まで、全部が計算の上で考えられて詰め込んである。勿論、そんな極上の
タイトル名にパッケージされた(物語の)内容の方も及第点を楽々クリアして、
万人が観て満足できる作品には仕上がっている。大傑作というとホメ過ぎだけど、
佳作から秀作のレベルはあると思うよ。
 でもって、観終わった直後の館内の様子をレポートすると、オイラの隣の席から
「ズズーッ」、更にそのまた隣の方から「ズルルーッ」。気が付きゃ、鼻をすする音が
館内のあちらこちらから。観客の皆さんは一応に感動してる御様子で…、実際、
オイラも泣かされた。チェッ、涙を乾かすのにエンドロールまで席を立てなかったゼ。
まあね、ナナメからみれば、急に倒れた意識不明の病人が、用意周到で温室の
ガラス窓にダイニングメッセージ(?)を残せるハズもないんだけど、どうかこれが
”寓話の世界”だと思って、イチイチ文句は言いなさんな。ね、お願いだから。
いや、そもそもおばあちゃんは“魔女”なんだから良いんです。最後の最後に、
そういう魔法をかけた‥‥、世界で一番愛する孫と、観ているオイラたち観客の
ためにね。そう思えば良いでんです、なんてステキなお話じゃありませんか。



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『ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記』、観ました。

2007-12-24 22:34:45 | 映画(な行)
Photo
監督:ジョン・タートルトーブ
出演:ニコラス・ケイジ、ジョン・ボイト、ハーヴェイ・カイテル、エド・ハリス、ダイアン・クルーガー

 『ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記』、映画館で観ました。
歴史上最も謎に満ちたリンカーン暗殺事件。その暗殺者ジョン・ウィルクス・ブースの
日記から失われた18ページ…恐るべき陰謀が記されたその一部が発見された。だが、
そこにはゲイツの祖先が、暗殺者の属する秘密結社ゴールデン・サークル騎士団の
一員として名を連ねていた。何者かによって故意に汚されたゲイツ家の名誉を守る
ために、リンカーン暗殺者の日記をめぐり、ビルとその仲間たちが再び動き出す‥‥。
 すでにシリーズの1作目を知る方ならご存知の通り、そこに現在の我々が学ぶべき
教訓が隠されているわけでも…、又、より良い社会にしていくためのメッセージが
織り込まれているわけでもない。早い話が、深く考えることなんて、なーんもない(笑)。
現在における宝探しに謎解き要素を取り入れた、ライトでコミカルなアドベンチャー。
いかにもジェリー・ブラッカイマーの製作らしく、とことん開き直って(?)娯楽に
徹した手腕は、今作でもやはり健在。カーチェイスではあれよあれよとメルセベスが
スクラップ、黄金都市へと続く地下の洞窟では仕掛けがいっぱい、ついには大量の
地下水が溢れ出し、今回も“ハリウッドエンターテイメント”としての醍醐味を存分に
味あわせてもらった。この際、相次ぐご都合主義には目をつぶり、自ら進んで“おバカな
流れ”に乗っかって楽しめば良い。一方、個性豊かなキャストの方に目を転じれば、
ニコラス・ケイジのハイテンションぶり(?)に今回もオイラは置いてけぼり(笑)。
ヒロイン役のダイアン・クルーガーは相変らずの美しさで、オレはこれまた映画の
内容そっちのけで見惚れてちゃう(笑)。気が付きゃ、リンカーンの暗殺がどうこう、
先祖の名誉がどうこう、僅かな記憶の断片があるだけで、肝心のストーリー自体は
ほとんど覚えてないってのが偽らざる実状だ(汗)。結局、今作で一番印象に残った
場面はと言えば、双子椅子の秘密を探らんとホワイトハウスの大統領執務室に
忍び込み、イヤリングを落としたとか言って元カレに迫る“クルーガーのお色気作戦”
だったりする(笑)。何とまぁ、“邪(よこし)まな観方”をして、それでも(ニコラス同様?)
最後はノリノリになってこの映画を楽しんでしまったオレ…(笑)。恐らくダイアン・
クルーガーが出る限り、次回作も観てやろうと心に誓いつつ、個人的な好みこそあれ、
ボクは1作目よりも今作の方が格段に楽しめたけどね。



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『ナイロビの蜂』、観ました。

2007-05-23 21:59:59 | 映画(な行)





監督:フェルナンド・メイレレス
出演:レイフ・ファインズ, レイチェル・ワイズ

 『ナイロビの蜂』、観ました。
アフリカの太陽のように情熱的な妻テッサと、イギリス庭園のように秩序正しい
英国外交官の夫ジャスティン。お互いを尊重するという名目で、テッサの人生を
外から眺めていたジャスティンは、妻が死んで初めて彼女に踏み込んでいく‥‥。 
 ぶっちゃけちゃうとこの映画、レンタル屋さんに行けどもなかなか手が伸びず
(多分、それはDVD表紙を見て受けた“ベタな恋愛もの”のイメージが拭い切れ
なかったせい??)、どうやら“スルー”が濃厚かと思われた丁度そのときだった、
ひょんなことから“フェルナンド・メイレレス監督作品”の文字が目に留まった。
何を隠そう、彼の前作『シティ・オブ・ゴッド』こそ、オイラがここ数年来で
“最も衝撃を受けた映画のひとつ”なのだ。とすれば、知った以上はコイツを
見逃す手はあるまい(笑)。遅ればせながら、俄然、観る気が湧き上がって
きたわけだ。
 では早速、オイラの“正直な感想”を書くとしよう。アクロバティックな構成と
スタイリッシュ映像、ぐいぐいと畳み掛けるスピード感、更にそれに加えて
今作では、胸締めつられるような愛の痛みまで…。なるほど、本作が『シティ・
オブ・ゴッド』を作り出した監督のものであるのはよく分かる。ただ、どうなんだろう。
彼の、その新旧2作品を見比べたとき明らかに違うのは、前作のバイオレンス色
から一転、今回は“ラブサスペンス”へとスタイルを変え、キャストも“無名の
ブラジル人俳優”から、レイフ・ファインズやらレイチェル・ワイズやら“ハリウッドの
人気スター”へと…。前作にあった鋭いナイフのような凶暴性はそこにはなく、
むしろ、今作ではハリウッドの豊かな資本と悲惨なブラジルの現状、その両者が
微妙なバランスの上で成り立っている、そんな印象を受けた。一方、映画では、
それにリンクするように、ブラジル人の“安い命”を実験台として、巨額の利益を
得ようと企む先進国製薬会社による“陰謀”が赤裸々に描かれていく。しかし、
その信じ難い光景に“強い憤り”を感じながらも尚、心のどこかでこれが映画の中の
フィクションだからと割り切って、“冷めた自分”がいるのは何故だろう。例えば、
高い塀に囲まれ、安全を保障された(?)庭いじりの“雑草”を抜く主人公のように…、
我ら先進諸国が考える“協力”と、現地のブラジル人が切実の望む“救済”とでは、
少なくともかなりの温度差があるのは確かなようだ。


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『涙そうそう』、観ました。

2007-04-20 20:46:33 | 映画(な行)






監督:土井裕泰
出演:妻夫木聡、長澤まさみ、麻生久美子

 『涙そうそう』、観ました。
飲食店開業を夢見る洋太郎は、沖縄の那覇で必死に働いていた。そんななか、
高校に合格した妹カオルが島からやってきて同居することに。幼い頃、母親と
死に別れた2人は、親戚の家で助け合いながら生きてきたのだ。洋太郎は
ようやく資金が貯まり店の開店に漕ぎ着けるのだが…。  
 夏川りみの大ヒット曲「涙そうそう」と言われても、正直、オイラにはピンと
こない。いや、そもそも、これまでまとも聴いたことすらないのだから、映画の
エンディングに流れるまでは、原案となったその歌と、今作のストーリーに
どんな関連性があるのかさえ…。だから他でもない、今回オイラのお目当ては
“長澤まさみちゃん”に尽きるのだ(笑)。で、そんなオイラをして、長澤ちゃんの
側から映画を分析すると、近年の『タッチ』『ラフ』ときて、この『涙そうそう』は、
三度(みたび)あだち充作品「みゆき」の香りが漂う。血の繋がりのない兄妹間に
流れる淡い恋心と、その微妙な関係を描いた内容は、「みゆき」の“沖縄版”
といった感じだ。まぁ、結局のところ、その路線が彼女にとって良かったのか
どうかは別問題として、少なくとも今はまだ…、小さくまとまらずに“伸び伸び”
演じることを心がけ、どうかそのオーラを大切にして欲しい。勿論の事、沖縄の
太陽に負けない“輝き”を放つ彼女は、やはり、この映画でも眩しかった。
 と、そんな風にここまでは書いてきたが、この映画を長澤ちゃんファンの
側ではなく、かといって妻夫木聡ファンの側でもなく、“公平な映画ファン”の
立場から分析するに、やはり両者の“輝き”以外には見せ場の乏しい、“平凡な
作品”に終わってしまった感は否めない。映画終盤にみられる、人物の心情を
“手紙”にして、それに当人の朗読を被(かぶ)せちゃう手法は如何なものか。
むしろ、作り手からすれば(如何に言葉や台詞を使わずに描き切るという)
“そこ”に力こぶを入れて描くべきではないのかと。一方、妻夫木君も大熱演で
頑張ってはいるのだけど、途中、どうして泣いているかなぁ、とさえ思うシーンも
しばしば。それはあくまでも(コミカルの?)確信犯なのか、あるいは(真面目に
やって)そうなってしまったのかは定かじゃないが、オイラは若干の戸惑いを
感じた。主演の2人を含めて、麻生久美子、小泉今日子、平良とみなど、脇を
固める出演陣も豪華だったゆえに、演出面の安直感と、各エピソードが終盤に
なって一つに絡み合ってこないのが残念。いっそ、“このキャスト”で週1時間の
“連続ドラマ”にしたら、確実に数字(視聴率)が取れるじゃないか。長澤ちゃんが
出るんなら‥‥、当然オレも観ることになるだろうし(笑)。



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『2001年宇宙の旅』、観ました。

2007-04-10 20:47:19 | 映画(な行)






■監督 スタンリー・キューブリック
■出演 キア・デュリア/ゲーリー・ロックウッド/ウィリアム・シルベスター

 『2001年宇宙の旅』、観ました。
人類創生期、猿人たちの前に異様な黒石板(モノリス)が現れる。彼らがそれに
恐る恐る触れると、知性が芽生え、動物の骨を武器として使えるようになる。
西暦2001年、再び月面の基地に黒石板が出現。その石が放射する信号に従い、
5人の科学者を乗せた宇宙船ディスカバリー号が木星に向うが……。
 出来ればレビューを書くのを避けて通りたかった“SF映画の金字塔”。すなわち、
“難解映画の決定版”(笑)。これまで幾人もの映画ファンがこの映画の謎に挑み、
《世紀の大傑作》との評価を下してきたわけだが、その賞賛の声のほとんどが
「ここには観る者を惹きつける“何か”がある」とか、「この映画ばかりは一度
観ただけでは駄目で、二度三度観て初めてわかってくる“奥の深い作品”」とか、
挙句には「とにかく凄い」の一言で片付けちゃう人まで(笑)。うん、確かに
“凄い映画”であるのは間違いないのだけど、それにしても、ホントに分かって
言っているのか、あるいはそうじゃないのか、何だかオイラの目には、他の人が
「凄い」と言ってるから、とりあえず自分も…とばかりに、無理やり便乗している
ように見えて仕方ない。まぁ、そうは言ってもオイラ自身、今回が通算5回目の
鑑賞になるわけで、この映画が持つ“神秘性”に惹かれない訳ではない。恐らく、
本作が難解だとされるのは、人物の台詞や言葉による説明が出来うる限り省略され、
映像のみの表現で、観客に“体感させる試み”が成されているからだろう。よって、
どうして完全無欠のコンピューターHALが狂ったのか??、黒石板(モノリス)は
何のために出現したのか??、ボーマンが導かれた中世の部屋は何処だったのか??、
ラストシーンで宇宙に大きく映し出される赤ん坊(スペースチャイルド)は何を
意味しているのか??‥‥、そのいずれかの謎の一つに引っかかると、その後の
展開がドミノ倒しのように、総崩れで混乱してしまうのだ。
 前置きが長くなってしまった、本題に移ろう。では、手始めに何故、これまで
一度もミスを犯したことのない最新型コンピューターHALが狂ってしまったのか??、
実は、その謎はこの映画を観た人が最初に乗り越えなくちゃいけない難問であり、
逆にそれさえクリア出来れば、この映画の主題の80パーセント以上は理解出来た
ものだと、ボクは思っている。だからこそ、この謎に限り、キューブリックはそれを
解くための大ヒントを与えてくれているのにお気付きだろうか。それは、ボーマンが
HALの暴走を止める為、コンピューター室に入って回路を切断していく最中、
他のクルーには知らされず、HALにだけ知らされた“極秘フィルムの存在”が
明らかになる。そこでHALは「任務の秘密を(クルーに)漏らしてはならない」という
命令を地上から受けていて、元々記憶されていた「クルーに忠実であること」という、
2つの矛盾した指令の狭間で戸惑い、とうとう精神分裂に陥ってしまったのだ。
つまり、ここでキューブリックが言いたかったものは、機械は正常でも、人間が
間違った操作をすれば、機械は正常に働かず故障を引き起こす。2001年になって、
科学がどんなに進歩したとしても、それを使う側の人類自身が進歩しないことには、
“本当の意味での21世紀”はやって来ないのだと。そして、今、ふと気がつけば、
科学の進歩は、原子爆弾やら、その他無数の殺人兵器やら…、むしろ、人類に
“危険”の方をもたらしている。キューブリックが“40年前に想い描いた未来の
21世紀”は、果たして“今の、こんな世界”だったんだろうか。例えば、400年前、
突如出現したモノリスによって、猿人が“道具を持つこと”を覚えたように…、
今再び現れたモノリスは、我々に今度は“科学の正しい使い方”を教えに来た
ように思えて仕方ない。恐らくや、木星へと到着し、ボーマンが導かれた“中世
ヨーロッパ建築の一室”は、人間の憎しみやエゴや争いの無い…、“平和で調和の
取れた空間”をイメージしたものではあるまいか。その後、ボーマンは急激に老化し、
ついには朽ち果て、“新しい命”へと転生していく。それは、人類の“古い時代の
終焉”を意味しつつ、生まれ変わる人類の“新しい未来”を予感させる。更に、
ラストシーンで宇宙から地球を眺めるスペースチャイルドは、その“新しい未来”の
象徴に違いない。人類の英知は計り知れない。だからこそ、その使い方を誤っては
いけない。エゴや争いの為ではなく、もっと“その外側に目を向けて”利用すべきもの
なのだと。今、人類は“次なる進化の段階(とき)”を迎えている。もう、その“新しい
未来”は目前に迫っているんだ。

追記:聞けば、宇宙を流れるように飛行するディスカバリー号は、人間の“精子”を
   イメージしたものだとか。そのディスカバリー号が、木星の亜空間の“穴”に
   突入し、「未来」という名の“赤ん坊”が生まれてくる。恐らく、この映画が放つ
   “無限の神秘性”は、そんな風に我々が気付かないところで計算され尽された、
   キューブリックの演出力によるものなんだろう。



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『ノスタルジア』、観ました。

2007-03-14 20:53:05 | 映画(な行)






監督:アンドレイ・タルコフスキー
出演:オレーグ・ヤンコフスキー, エルランド・ヨセフソン

 『ノスタルジア』、観ました。
モスクワの詩人アンドレイが、通訳を伴ってイタリアのトスカーナ地方を訪れる。
静かな村の温泉場に着いた彼は、そこで世界の終末に怯え、狂人扱いされている
ドメニコに興味を抱く。その後、ドメニコと交流を重ねたアンドレイは、彼から
世界救済のため、村の温泉場にろうそくを灯し、消さずに渡って欲しいと懇願
される‥‥。
 何とも、オイラみたいな“凡人”が言うのはおこがましいが、アンドレイ・
タルコフスキーのような“才能”は、もう二度と再び、この地上に舞い降りて
こないのでは?、何故に今更、こんな事を書くのかというと、タルコフスキーの
映画って、普段ボクらが映画館で楽しむものとは少々趣が違うように思うんだ。
その詩的な情感は観る者に“安らぎ”を与え、その哲学的な内容は観る者の
“心を深く誘(いざな)う”。そこに明確なるストーリーがあるわけではなく、
型通りに起承転結で区切られているわけでもない。むしろ、“自身の心の中”を
投影し、映像として表現したかのような印象を抱く。勿論、ボクのような凡人に、
そんな天才の胸の内など100パーセント理解出来る筈もないのだけど、ここでは、
遠い日の母の面影、遥か故郷への郷愁など、万人が共有する“ノスタルジック”に
吸い込まれていきそうになる。恐らく、タルコフスキー作品で“鏡”や“特徴的な
水の描写(澄んだ水面から中を覗き込むような)”が多いのは、そこに自分の
(歩んできた)“人生を映す”という意味合いが込められているからではなかろうか。
 だとすれば、尚一層、この映画『ノスタルジア』を知るにあたって、製作当時
タルコフスキーが“置かれていた状況”を切り離して考えることは出来ますまい。
さて、映画主人公は著名なるロシアの詩人だが、今はモスクワからイタリア・
トスカーナへ放浪の旅を続けている。実は一方、当時のタルコフスキーもまた、
祖国ソ連から“自由”を求め、西側に亡命していたのだ。だが、ここで誤解しては
ならないことがひとつ。彼は祖国ソ連に愛想を尽かし捨ててきたのではない。
いや、結果的に“捨ててしまった”のかもしれないが、今も祖国を愛し、誰よりも
祖国に自由がもたらされることを待ち望んでいるのだ。例えば、映画でこんな
シーンがある…。主人公が、いつかの夢で見たそれは、伯爵の劇場にて彼自身が
“裸の白い彫像”になるものだった。少しでも動けば、厳しい罰を受ける。そして、
ついに力尽き、崩れかけたとき、目が覚めた‥‥。明らかに、これは当時のソ連
体制の現実を物語り、日本で育ったボクらに想像もできない“恐ろしさ”だ。
ならば、その“恐怖”に立ち向かうにはどうすれば良いのか??、タルコフスキーは
映画の中でこのように言っている。「1滴プラス1滴は、2滴ではない。大きな1滴に
なるのだ」と。つまり、祈りであったり、信念であったり、自己犠牲であったり、
みんなひとりひとりが“個人の利益”のためじゃなく、“世界全体の平和”のために
力を合わせ、想いをひとつに結集すれば、何かが変わる。勿論、時間は掛かる
だろう。でも、世界を変えるにはそれしかないのだ、と。1滴1滴の水が集まり、
やがて小さな水溜りができる。そして、そこに更なる水の1滴ずつが加わったとき、
川となって流れ出し、激しく大きな滝へと変わり、硬い石をも砕くのだ。



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『寝ずの番』、観ました。

2006-12-19 21:01:20 | 映画(な行)


 『寝ずの番』、観ました。
上方落語界の重鎮・笑満亭橋鶴は、今まさに臨終のときを迎えようとしていた。
弟子たちが見守る中、師匠に最期の願いを聞く。「そ、そ○が見たい」。師匠の
驚くべき回答に、皆はあっけにとられるが、一番弟子の橋次は弟弟子の橋太に
指示を出す。橋太の嫁の茂子に白羽の矢が立ったのだ……。
 どこを切っても出てくる、出てくるY談&エロ話、まさに、コイツは下ネタ
映画の金太郎アメ(笑)。けどね、コレが男どもの欲望だけ満たす“ピンクな
映画”かと言えば、それとも違う。むしろ、Y談ベース仕立ての“人情喜劇”。
陰気臭い通夜の晩を、明るく楽しく、酒とエロ話でカラッと笑い飛ばそう。
たかが人生、されど人生…、だから気取らず構えず、最後もみんな笑顔で
締めくくろうよ、ってね。まぁ、実際のところ、映画自体はゲラゲラ腹を
抱えて大笑いするほどの一撃はなかったのだけど、この頃、気が滅入ることの
多かったオイラにとって、良い気分転換にはなったかな。うん、少しだけ…、
気分が軽くなりました。
 さて、映画構成は、あの、黒澤明監督『生きる』を思わせる…、(あるいは、
伊丹十三『お葬式』を思わせる…)葬儀の酒談の席で、故人の思い出話に花が
咲き、語られる複数のエピソードによって、生前の彼の人柄と、その周囲との
温かい人間関係が見えてくる。ひとつ、オイラがこの映画で意外だったのは、
物語が“師匠の死”だけに留まらず、その一番弟子の死、更には、師匠の妻の
死へと続く“三部構成”になっていること。恐らく、作り手は“単調”になる
ことを嫌って、このような構成にしたと思うが、ボク個人は特に前半部分の
雰囲気が気に入っていたので、それ以降のパートは蛇足のように感じられた。
実際、2部・3部のエピソードは、1部である“師匠のパート”に組み込めない
ものではないし、その3つを1つにして“長い一夜”にした方がスッキリして
観易いものになったと思うのだが、如何だろうか。
 最後に、これが監督デビュー作となるマキノ雅彦(津川雅彦)は、いろいろ
趣向を凝らし、存分に監督業を楽しんでいるのがよく分かる。しかし、同時に、
観る側からすれば、その“小細工のし過ぎ”が気になるところ。技巧派の投手が
コーナーばっかり狙い過ぎてカウントを悪くして、自らを苦しくしてるみたい。
ホントは、シンプルに撮る方が(こねくり回すより)ずっと難しいんだけどね。



『ニュー・ワールド』、観ました。

2006-04-25 21:45:18 | 映画(な行)

ニュー・ワールド

 『ニュー・ワールド』、映画館で観ました。
17世紀初頭、アメリカ大陸に上陸したイギリス人の冒険家ジョン・スミスは、
ネイティブ・アメリカンの族長の娘ポカホンタスと出逢う。勇気と希望に満ち
溢れたスミスと、ピュアで情熱的なポカホンタスは、異なる言葉と文化の壁を
越え、恋に落ちるのだが…。 
 生涯監督本数、僅か3本にして「伝説の監督」と呼ばれるテレンス・マリック。
前作『シン・レッド・ライン』から6年ぶり新作は、“並の監督(?)”なら
「お久しぶりね」と言いたくなるが、かつて20年もインターバルをあけた彼の
前歴を考えれば、“たった”6年でテレンス・マリックの新作が観れる幸福‥‥
それくらいの“広い心”と、“開き直り”が必要だね(笑)。
 さて、映画は、これまでのマリック作品同様に、深淵な哲学を思わせる台詞
まわしと、神秘的で且つスケールの大きさを感じさせる映像美……、そして、
何より、スクリーン全体から放つオーラは、観る者を酔わせ、唸らせるには
充分過ぎる。さすが、テレンス・マリックらしい格調高い作品に仕上がった。
でも、どうなんだろう…。憎しみも、妬みも、エゴもないニュー・ワールド‥‥、
そこに辿りついたイギリス人男性と、先住民女性の“運命的な恋”を描きつつ、
押し寄せる「文明」と持ち込まれた「争い」によって、世界が動き、愛が変わり
始める物語中盤までの流れから‥‥、一転、ある理由によって主人公男性が
その場を去ってしまった後のパートでは、ほとんど“別の映画”と思えるほどに、
“ヒロインの心の描写”が主となって進行する。むしろ、“その後のパート”が
あるからこそ、映画全体が散漫になり、本来のテーマが見え辛くなってや
しないのか??、残念だが、ボクにはやや“蛇足”気味の印象を受けたけどね。
 総括としては、ストーリーに拘って観るよりは、あくまでビジュアル重視で
観て欲しい。もしも、この世に“良質の物語さえ圧倒する映像表現”がある
のだとしたら、それはこの作品と『天国の日々』において他ならない。
これは映画館の大スクリーンで観てこそ語れる映画、、後にTVサイズのDVDで
観たとしても、それはこの作品の魅力の半分も知った事にはならないと思う。

 


『ナルニア国物語 第1章 ライオンと魔女』、観ました。

2006-03-06 20:46:24 | 映画(な行)

ナルニア国物語 第1章 ライオンと魔女

 『ナルニア国物語 第1章 ライオンと魔女』、映画館で観ました。
第二次大戦下のイギリス。ペベンシー家のピーター、スーザン、エドマンド、
ルーシーら4人の子供たちが迷い込んだ別世界ナルニア国。かつて偉大なる王、
アスランに創造されたその美しき国は、冷酷な白い魔女の支配によって春の
来ない100年の冬に閉ざされていた……。 
 これを“ポスト『ロード・オブ・ザ・リング』”を狙った二匹目のドジョウと
呼ぶのは失礼かい??(笑)、まぁ、単純な“善悪の対決”を基本線としたロード
ムービーであるのは変わらないわけで、両作品ともに物語の“深み”だとか
“奥行き感”だとかは、ほとんど感じないのだけどね。ただ、ボクが本作に
限って嬉しかったのは、言葉を話すアニマル勇者軍と、氷の魔女率いる悪の
軍団とが激突するその戦闘シーンに、首が飛び、手が引き千切られるような
グロテスクは存在せず、加えて、一滴の血さえも流れない…。うん、これは
子を持つ“親の立場”としてみれば、何よりも大切で重要なことなんだよ。
安心して我が子にみせられるエンターテイメント、、ディズニーが“本当の
ファンタジー”に拘った、その答えがこの作品なんだろう。この映画で、子供は
“夢の世界”に胸躍らせ、大人は“その良心的な映画作りの姿勢”を観て欲しい。
映画の出来はともかくとして、ボクは『ロード・オブ・ザ・リング』よりも、
この『ナルニア国物語』をオススメするね。
 さて、この映画を観ていて、次々浮かび上がるキーワードは、「家族」「戦争」
「勇気」‥‥、だけど、そのすべての根幹にあるものは《仲間への信頼と絆》では
なかろうか。例えば、映画では、おやつ欲しさに仲間を裏切った人間の子供を、
動物王のライオンが諭(さと)すように叱る場面が描かれる。実は、その“裏切りの
少年”こそが「現在の我ら人類」そのもので、大自然の掟について分かったようで
いて全く知らない“未熟な新入り”‥‥、つまり、目先の利益のために自然環境を
破壊する“人間の身勝手さ”なんだ。そして、その行為が(この地球で一緒に
暮している)仲間を危険に曝していることさえお構いなしで、更なる自然破壊を
繰り返す。ライオン王が少年を叱った時の悲しい目差しは、愚かな人間たちへの
“憐れみ”だったのかもしれないね(涙)。だからこそ、映画クライマックス、
そんな人間の子供たちが“自然界の一員”として、この世界のために戦う場面は
何とも言えない清々しい気持ちにさせられる。それは、まさに自然界のすべてが
待ち望む“夢の世界”なんだ。

 


『南極日誌』、観ました。

2006-02-26 21:34:41 | 映画(な行)

南極日誌 ◆20%OFF!

 『南極日誌』、映画館で観ました。
南極の到達不能点を目指す6人の探検隊。彼らは80年前の英国探検隊によって
書かれた日誌を発見するが、その後日誌に書かれているアクシデントに次々と
遭遇し……。
 つい先だって『皇帝ペンギン』を観て、南極に住む彼らの“驚異的な生命力”に
驚かされてきたばかり…。そう思えば、この『南極日誌』出てくる人間たちが
何と“ひ弱でちっぽけな存在“にみえることよ(笑)。きっと、人間たちの持つ
エゴや名誉欲や虚栄心が、ペンギンたちとの決定的な違いとして、人間を
“醜い生き物”に変えているんだろうね。
 さて、今作に描かれる「南極の恐怖」とは“肉体的な限界”というよりも、
むしろ“心の内面に潜んだ狂気”‥‥、見渡す限りの氷の世界、頭上の太陽は
半年間も空に上って沈まない。歩けど歩けど景色は変わらず、ただ疲労だけが
確実に蓄積されていく。一時間歩いたのか…、あるいは半日歩いたのか…、
彼らはいつ果てるとも分からぬ“袋小路”に迷い込んでいくわけだ。
結局、今作における「到達不能点」とは、人知を超える“神の領域”のこと。
そこに行けば“何か”が変わる…。一団を率いる主人公もまた、過去の
トラウマから解放され、自身も強くなれると“幻想”を抱く。しかし、彼は
気付かなかったんだ。人は“神(完璧な存在?)”にはなれやしない…、そして、
時に己の弱さを認め、“引き返す勇気”も強さの一つだということを‥‥。
 最後に、この映画を総括すると、南極の広大な大地を舞台にして、人間の
狂気を描く“着眼点の鋭さ”はさすが(韓国映画)だと思った。ただ、一切の
スペクタクルを封印し、空の‘青’と大地の‘白’が延々と続く単調な映像は、
もう少しシナリオ面に工夫と、凹凸があっても良かったかなと‥‥。
それから、ベースキャンプに待機する隊員が“女性である必要性”が、あまり
感じられなかったのが残念。ひとつひとつの台詞は非常に考えられているだけに、
全体を通してみた時の“バランスの悪さ”が惜しまれる作品だ。

 


『ナショナル・トレジャー』、観ました。

2005-10-01 21:55:33 | 映画(な行)
ナショナル・トレジャー 特別版

ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント

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 『ナショナル・トレジャー』、観ました。
歴史学者であり冒険家のベンは、テンプル騎士団の秘宝の謎を追っていた。
謎に一歩近づいたベンだったが、資金提供者のイアンと対立。ベンは
秘密を守るために“アメリカ合衆国独立宣言書”を盗むはめになり……。
 “お宝探し”というからにゃー、『インディ・ジョーンズ』さながら、
“未開の地”で繰り広げられる「大冒険もの」だと期待をしたが、観れば
“現代アメリカ”を舞台とした「アクション娯楽」といった装(よそお)い。
まさか“ロケ代”ケチったわけじゃなかろうに(笑)、思いもよらぬ事態に
何度も首をかしげ、次なる急展開を静かに息を潜めて待ちわびるオレ…。
しかし、結局、主人公一団は飛行機はおろか、船さえ乗らず仕舞いで
ジ・エンド。なんだかなぁ~、これはこれでなかなか面白かったんだけどね。
 さて、映画はテンポも良くて、アクションの見せ場もたっぷり。もう少し
“謎解き”の楽しさが加われば、更に良かったと思うが‥、まぁ、それは
“無いものねだり”というものか(笑)。一方で、この映画の面白さとして
忘れちゃならないのが、主人公の相棒にして、“ボケ役”に徹した
エンジニアの存在だ。謎に行き詰っても…、危機に直面しても…、ヌケた
発言を繰り返し、場の雰囲気を和ませる。言うなれば『スターウォーズ』の
“C3-PO”と同じような役回り、、彼の“コミカル”なくして、この映画の
成功はなかったとオイラは信じてる。
 それにしても、「絶対に泥棒はいたしませんッ!」と公言していた主人公が、
次なる場面では、綿密なる計画立てて“独立宣言書”を盗み出しちゃう
ご都合主義(笑)……「おいおい!、さっきと言ってることが違うじゃ
ねぇのかい」と、ツッコミを入れたくなる(笑)。もう少し“巧い理由付け”が
出来なかったのかなぁ(笑)。


『ネバーランド』、観ました。

2005-09-29 15:21:20 | 映画(な行)
ネバーランド

アミューズソフトエンタテインメント

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 『ネバーランド』、観ました。
1903年のロンドン。新作の芳しくない劇評や、妻とのぎくしゃくした関係に
悩むバリは、シルヴィアと4人の息子たちとの交流に安らぎや生きる喜びを
覚えていた。父の死を心の傷としている三男のピーターに書くことの素晴らしさを
伝え、病気を抱えたシルヴィアを気遣うバリ。やがて舞台「ピーター・パン」は
初日を迎えるが…。
 「空想」と「現実」が交錯するファンタジックなストーリー展開、、、ティム・
バートンならともかく、これを『チョコレート』のマーク・フォースターが撮ったとは
驚いた。何も知らないオイラは、当然『チョコレート』さながらのハードで
ヘヴィーな内容だと覚悟を決めて観た訳だが、思いも掛けぬソフト路線に
ホッと胸を撫で下ろす(笑)。さて、物語は想定内の中にも、随所にマーク・
フォースターらしい“確かな演出”が光る。この感動作、絶対泣くまいと固く心に
誓ったオイラだけど、不覚にも最後はホロリ。要するに、どんな映画を手掛けても
マーク・フォースターはマーク・フォースター、、名人はやはり名人だった。
 歳とともに人は誰でも飛べなくなる‥‥。次第に手足の自由は利かなくなり、
夢さえ燃えかすになっちまう。つまり、この映画で言いたいことは、せめて
“イマジネーション(想像)の心”にだけはカギを掛けちゃいけないってこと。
そして、〈大人になる〉っていうことは“夢みる心”を捨てることじゃなく、
相手の気持ちを思いやる余裕が生まれたことを言うんだね。ひとつの愛を
経験した後で、主人公が去っていた妻に「悪かった…」と謝るシーンは、まさに
彼の心が“大人”になった瞬間だった。ラストシーンは公園のベンチに座る
主人公と少年、、ふたりの前方を森が大きく開けている。その先は、
遠くネバーランドへ‥‥、“ふたりの未来”へと続いているようだった。


『28日後…』、観ました。

2005-09-26 12:15:56 | 映画(な行)
28日後... 特別編

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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 『28日後…』、観ました。
たった1滴の血液で感染し、人間の精神を数秒で破壊する新種のウィルスが
発生した。28日後、交通事故による昏睡から目覚めたジムは、世界から
何もかも消滅してしまったような静寂の中、生き残った者たちとともに
安全な場所を目指す‥‥。
 これは“ゾンビ映画”なのでアル。ただし、ジョージ・A・ロメロの
“元祖”『ゾンビ』とは一味違う、ダニー・ボイルの“新感覚”ゾンビ映画。
ならば本作、これまでのゾンビ映画と異なる点は、まずひとつに「ロード
ムービー」であること、次に「スピード感」。特に二つ目の「スピード感」は
機敏になったゾンビの動きもさることながら、ゾンビウィルスに侵されてから
発症までの“潜伏期間”のこと。例えば、ロメロの『ゾンビ』はウィルスの
潜伏期間が数時間あって、そこに追い詰められた 人間の“極限心理”を
描いていたんだけど、この『28日後…』で“許された時間”は僅か20秒あまり。
ぐずぐずしてたら相手はゾンビになっちまう、考える暇もありゃしない、
そうなったら親だろうと、恋人だろうと、有無も言わさず殺(や)るしかない。
ロメロ版『ゾンビ』がいつかいつかと時間に怯える恐怖なら、ダニー・ボイルが
作った本作は瞬時にボクらを恐怖の底へ突き落とす。古典ホラー『ゾンビ』から
長い時間を経て、より現代的にスピードアップされたゾンビ映画、、それが
この『28日後…』なのです。
 映画は、無数のゾンビと生き残った人類との死闘を描いたハードな内容では
あるけれど、そのスタイリッシュに洗練された映像にグロさは感じない。
むしろ、“鏡”を巧みに使った映像と、映画後半に象徴的に映される“赤の服”の
使い方にダニー・ボイルのこだわりが見てとれる。そして、この映画を観て
ボクが感じた《真の恐怖》とは、おどろおどろしいゾンビの怖さではなく、
生き残った人間の内に潜む“邪悪な心”だということ。DVDに 収められた
“2種類のエンディング”に関しても、ボクは「希望型」より「絶望型」の方が
上のテーマが明確に伝わるように感じたけどね。〈対極にある2つの終着〉、、
観比べてみるのも本作楽しみ方の一つだと思います。