肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『瞳の奥の秘密』、観ました。

2013-01-29 11:47:51 | 映画(は行)

監督:ファン・ホセ・カンパネラ
出演:リカルド・ダリン、ソレダ・ビジャミル、ギレルモ・フランチェラ

監督:ファン・ホセ・カンパネラ
出演:リカルド・ダリン、ソレダ・ビジャミル、ギレルモ・フランチェラ

 『瞳の奥の秘密』、観ました。
刑事裁判所を退職したベンハミンは、残された時間で25年前に起きた忘れ難い
事件をテーマに小説を書く事を決心し、かつての上司で今は判事補のイレーネを
訪ねる。それは1974年、銀行員の夫と新婚生活を満喫していた女性が自宅で
殺害された事件。当時、渋々担当を引き受けたベンハミンが捜査を始めて
まもなく、テラスを修理していた二人の職人が逮捕されるが、それは拷問による
嘘の自白によってだった…。
 “永遠”となるはずだった愛が、ひとつの悲劇によって脆くも音を立てて
崩れ去る。一方で、その事件を追う男女の、胸に秘めたる恋心が情感豊かに
観る者の胸に迫ってくる。派手さはないが、味わい深い。近年のミステリー
映画では、『ゴーストライター』と並んで最も堪能出来た一本だ。緻密に
組み立てられたプロットと、さりげなく本編に散りばめられた伏線の数々――、
あの時のあの台詞が…、あの時のあのシーンが…、映画終盤で別の意味を
成して蘇り、“それぞれの点”であった出来事が、“一本の線”になって
繋がっていく瞬間は、思わず「あぁ」と驚嘆の声をあげてしまう。この映画は
犯人探しや難解なトリック、如何なる手段で事件を解決させるかを焦点にした
サスペンスにあらず。言ってみれば、誰しも人が生まれながらに持ってしまった
“哀しき性(さが)”について――、人が心の奥に隠し持つ“不変の愛”にスポットを
当て、仕組まれた“大人のミステリー”だ。
 (※以下、ネタバレ。未見の方はご注意下さい。)重複するが、隠された
秘密が明らかになる映画終盤、予想だにしないドラマの着陸地点に愕然とする。
その時、呪文のように頭の中で繰り返され、蘇ってくる言葉は、《終身刑》。
タネを明かせば、そこで男は牢に繋がれていた――。実は、オイラは今回が
二回目の鑑賞だったのだが、ここでやっと気がついた。その牢に繋がれた
男は誰なのか??、ゴメスか‥‥、確かにそれはそれで間違いないのだが、
その男はゴメスであると同時に、実は“我々自身”でもあるってこと。
付け加えるなら、この映画に登場する全ての人物でもあるのだ。被害者の
夫は、25年も前の事件のことが忘れられずに、今もそれを引きずっている。
主人公のベンハミンは、伸ばせば届く愛を怖がって、今もなお逃げたことを
清算できていない。一方、その相手のイレーネは、その後、別の男性と結婚して
家庭を持ったが、以来“空虚な時間”を送り続けている。そう、人間の本質は、
そう簡単には変えられない‥‥。次の一歩が踏み出せず、《自分》という名の
“見えない牢”に繋がれている。考えてみれば、それは観ているオイラ達だって
同じこと。いつまで経っても、どこまで行っても、自分は自分であることを
やめられない。(過去の罪やその人生から)逃れようとしても逃れられない
《終身刑》だ。その、ラストシーンに映る男たちが立場こそ違えど、何故か皆
同じように哀れに見えるのは、きっとそのせいなんだろうな。


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『薔薇の名前』、観ました。

2012-10-15 11:02:18 | 映画(は行)

監督:ジャン・ジャック・アノー
出演:ショーン・コネリー、F・マーリー・エイブラハム、クリスチャン・スレーター、イリア・バスキン

 『薔薇の名前』、観ました。
ヨーロッパに宗教裁判の嵐が吹き荒れる1327年。北イタリアのベネディクト
修道院で、重要な会議が行われることになった。ひと足早くやって来た
バスカヴィルのウィリアムと見習修道士のアドソは、院内で起きた殺人事件に
巻き込まれる。ウィリアムは、立ち入り禁止になっている文書館に、事件の鍵が
隠されるいると考えるのだが…。
 これまで何度観たか分からない――。一般的にいうところ、“ネタが命”の
ミステリーというジャンルであるからして、そのほとんどが一回観れば充分だが、
この『薔薇の名前』に限っては繰り返し何度も観てしまう。中世ヨーロッパの
僧院内に巻き起こった連続殺人事件の怪――。そこから続く犯人探しや
トリックの解明ばかりに気をとられてしまうと、案外アッサリとした印象しか
残らないかもしれない。そう、このミステリー映画の真髄は“そこ”じゃない。
山岳の広大な敷地にそびえ立つ中世巨大修道院の佇まい――、それを
スケール感たっぷりに再現させたオープンセットの素晴らしさも然ることながら、
その内部に至るまで拘り抜いたディテールには、思わず息を呑んでしまうほど。
一方で、怪しげな容疑者と謎多き登場人物たち――、禁断の書に隠された
陰謀――、開かずの間や秘密の抜け道――、階上へと延びる迷宮の階段など、
生粋(きっすい)のミステリー好きなら、思わずニヤリとしてしまう様々な
仕掛けとエッセンスが、ふんだんに散りばめられている。更には、事件の
背景にある歴史的な舞台設定にも興味を引かずにはいられない。伝統ある
僧院内で起きた猟奇的事件と平行して、中世カトリックによる異端審問の実態が
明らかになり、やがてその両者が野望と策略の下で絡み合い、結びついていく
展開は非常にスリリングだ。
 改めて、本作の特長を分析するに、一介のミステリーがトリックや伏線を
張りながら観る側を“ダマす”ことを前提に置くのに対し、この『薔薇の名前』は
タネよりも“雰囲気作り”に比重を置き、《魅せるミステリー》だといえる。手間・
暇・労力を惜しむことなく注ぎ込み、作り手の執念さえ感じさせる雰囲気作りは、
この映画における見どころの一つであり、“陰の主役”に間違いない。とにかく、
オイラは映画の物語上に漂う空気――、何とも言えない、このミステリアスな
世界観が大好きだ。この映画、これまで何度観たか分からない。そして、この先、
何度観るかも分からない。

 


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『プロメテウス』、観ました。

2012-09-04 09:55:20 | 映画(は行)

監督:リドリー・スコット
出演:ノオミ・ラパス、マイケル・ファスベンダー、ガイ・ピアース、シャーリーズ・セロン

 『プロメテウス』、映画館で観ました。
2089年、古代遺跡から人類誕生の答えを導き出す重大なヒントを発見した
科学者チームは、宇宙船プロメテウス号に乗り込んである惑星へと向かう。2093年、
惑星に辿り着いた彼らは、人類のあらゆる文明や常識を完全に覆す世界を目の
当たりにする。チームは調査に没頭する中、思いもよらない事態が起きる‥‥。
 観なければ良かった――。凡庸な続編なら、いっそ作らないで欲しかった――。
例えるなら、イチローは紛れもなく“スペシャルワン”だ。いや、少なくとも、
これまではそうだった。しかし、ヤンキースで8番を打ち、一介の守備要員になった
イチローは正直観たくない。レジェンドであるがゆえ(あったがゆえに)に、フランチャイズ
プレイヤーとして、最後まで“孤高”であり続けて欲しかった。
 話を映画に戻そうか。そんな感じで、あの場面がどうこう、この台詞がどうこう、
あらを探せばきりがない。宇宙船プロメテウス号に17人もクルーは要らなかった
とか――、アンドロイドの目的と行動が理解できないとか――、スポンサーである
老人が一芝居(?)を打ってまでも船に乗り込んできた意味が分からないとか――、
全体のストーリーはもとより登場人物の構成に至るまで、巧く整理されてない印象だ。
よって、創造主としての神(宇宙人)と人間、そして同様に人間とそれが作り出した
ロボットにおける主従関係のテーマが消化不良のまま、靄がかかったように
ボヤけている。いや、それ以前に“原点”に戻って考えてみて欲しい。そもそも
『エイリアン』とはどんな映画だったのか――、SFか?、サスペンスか?、ホラーか?、
アクションか?、その問いに関してのオイラの答えは明確だ――、すべてがYESであると
同時に、すべてがNOであると言える。突き詰めていくと、『エイリアン(一作目)』の
根幹にあるのは、明らかに“オンナの強さ”だ。改めて、先のロンドン五輪でまざまざと
見せ付けられた“女子力”を例に挙げるまでもなく、もう後がなく、追い詰められた時の
オンナは強い。それは、最後に残った大切なものを守ろうとする“愛の力”であり――、
『エイリアン(一作目)』でいえば、最後の最後、猫のちっぽけな命を守ろうとして
生まれたヒロインの《母性》において他ならない。あえて極論を承知の上で
言わせてもらうと、『エイリアン』とは“究極の女性映画”なのだ。
 一方、この『プロメテウス』では、そういう“母性の強さ”がはっきり見えてこない。
勿論、そこにはシガニー・ウィーバーという“圧倒的な個性”の欠落というハンデも
あるが、やはり全体的にアッサリ感はぬぐえない。だけど、そんな事言ったって、
そろそろシガニー・ウィバーもお歳もお歳だし卒業だよ、仕方ないじゃん、ってか(笑)。
あの、国民的アイドルグループと同じように、シガニー・ウィーバーも「『エイリアン』は
わたしの青春のすべてでしたーーッ(号泣)」って言ったかどうかはしらないが、
やっぱり『エイリアン』のセンターには、シガニー・ウィーバーが収まらないと始まらない。
結局、『エイリアン』とは似て非なるもの――、それが『プロメテウス』だと思った方が
良さそうだ。


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『白痴』、観ました。

2012-01-30 22:18:27 | 映画(は行)

監督: 黒澤明
出演: 原節子、森雅之、三船敏郎、久我美子、千秋実、志村喬

 『白痴』、観ました。
沖縄から復員して来た亀田は、癲癇性痴呆性で白痴だと自ら名乗る
純朴な男だった。青函連絡船の中から亀田と一緒になった男に赤間という
者があった。赤間は、政治家東畑の囲い者、那須妙子にダイヤの指環を
贈ったことから父に勘当されるが、その父が亡くなったので家へ帰る
ところだった。亀田は札幌に着いて、狸小路の写真屋に飾られた妙子の
写真を見せられ、その美しさにうたれる――。
 かのフェデリコ・フェリーニは、この『白痴』を観て感激し、後(のち)の
『道』を作るに至ったという。いや、『道』以外にも、『青春群像』に影響を
与えたであろうカーニバルのシーンとかもあって、その功績は計り知れない。
惜しむらくは、当初4時間25分あった“完全版”は現存せず、2時間45分の
“短縮版”しか残されていないこと。今回、オイラは黒澤明BOXに付属した
“完全版の脚本”と平行しながらの鑑賞となったが、その完成度の高さを
実感し、ますますもって失われたプリントを観たくなった。もしもだが…、
仮にあったとしたら、『羅生門』や『生きる』に並ぶ“黒澤初期の傑作”として
名を連ねていたかもしれない。改めて、この作品の悲運を呪うとともに、
あまりにも惜しい作品だと思う。
 思うに、黒澤映画の特徴は、《対比(コントラスト)》に重きを置かれて
組み立てられている。『羅生門』では‘真’に対しての‘嘘’、『七人の侍』では
‘侍’に対しての‘農民’、『生きる』では‘生’に対しての‘死’、『野良犬』では
‘善’に対しての‘悪’、『天国と地獄』では‘富’に対する‘貧’――。そして、
その構造はこの『白痴』も同じだ。冬の北海道、“白の世界(=汚れていない
無菌状態)”を背景に展開される“人間の醜い諸悪”とのコントラスト――。続いて、
裏と表、善と悪、愛と憎しみなど、個々の人が持つ“二面性”よるコントラスト――。
更には、映画登場人物の構造が、‘亀田’に対して‘それ以外の人物’からなる
コントラスト――(いや、厳密にいえば、赤間の、痴呆の母親だけは亀田の
方に属するが)。つまり、ここで対比されるのは、‘聖なるもの’に対しての
‘諸悪のもと’――不安、差別、嫉妬、妬み、盗み、欺瞞(ぎまん)、へつらい、
裏切り、虚栄心、自尊心などだ。この映画の秀逸さであり、黒澤の凄みは、
それら諸悪の対象を、 ドストエフスキーの文学としてではなく、あくまで
映画のフィルターを通し、“映画の映像表現”でもって見せてくる点だ。
〈不吉〉の予兆を漂わせ、亀田の脇を走り去る黒く大きな馬車の鈴――。
〈死の恐怖〉に怯え、覗いた先にあるショーウィンドウの包丁――。パーティで
割られた高価な壷の〈虚栄心〉――。夜のカーニバルでは勇ましく見えたのに、
あくる日には貧弱な姿に変貌した雪像の〈二面性〉――。窓の外の吹雪とは
対照的に、ピアノの音が流れる“穏やかな室内”。それは、亀田と一緒に
いることによって保たれる綾子の〈心の平穏〉だ――。緻密に計算された
道具の使い方から、ナイフに当てる光の反射角度まで、その研ぎ澄まされた
映像に思わずゾクッとした。また、那須妙子、亀田、赤間、綾子に香山を
加えた五人の関係を、時や場所に応じて形を変化させ、常に三者一括りの
トライアングルで捕らえていく男女の構図も見逃せない。その強烈な
キャラクターの面々しかり、それらを効果的に見せていく大胆な構図しかり、
黒澤の演出なくしてはありえなかった作品だろう。

  
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『ブラック・スワン』、観ました。

2011-12-19 19:09:09 | 映画(は行)

監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル、ミラ・クニス、 バーバラ・ハーシー
※2011年度アカデミー賞主演女優賞

 『ブラック・スワン』、観ました。
NYのバレエ団に所属するニナは、元バレリーナの母と共に、その人生の全てを
ダンスに注ぎ込むように生きていた。そんなニナに「白鳥の湖」のプリマを演じる
チャンスが巡ってくる。しかし、純真な白鳥の女王だけでなく、邪悪で官能的な
黒鳥も演じねばならないこの難役は、優等生タイプのニナにとってハードルの
高すぎる挑戦だった。やがてニナは自らの心の闇にのみ込まれていく‥‥。
 重厚な“人間ドラマ”を期待するよりも、“サスペンス映画”として観た方が
スッキリする。それまで安全な場所にいたヒロインが、ふとした事から“今とは
違う、別の世界”を知る。そっちへ行ったら危ないゾ、ヤバいゾと思いながらも、
どんどん足を踏み入れていく展開は、まさに“サスペンスの王道”だ。ただ、
普通のサスペンスと少し異なるのは、ヒロインの命を狙う対象(殺人犯)が、
外部の何者かではなく、心の闇に潜む“(もう一人の)邪悪な自分”だということ。
ま、そういう風に書いてしまうと、現実と虚像が交錯した難解な内容を想像して
しまうが、全体がよく整理されていて、観る側が混乱することはない。
オーソドックスなサスペンスだと思った。
 さて当然ながら、ここでナタリー・ポートマンを語らずしてこの映画は語れない。
そういえば、かれこれ10年程前のこと、当時交流のあった映画メル友さんが
こんな事をいってた。「キャメロン・ディアズの作品選びはイケてるけど、
ナタリー・ポートマンはイケてない。ポートマンに目利きの出来るエージェントが
つけば、すぐに大ブレークしそうだけどね」って。当時のキャメロン・ディアズは、
絶頂期にありながら『彼女をみればわかること(盲人役)』や『マルコヴィッチの
穴(くたびれた主婦役)』など、興行を度外視した作品に出演し、観る度毎に
ハッとさせられた。言ってみれば、ディアズには想定外の楽しみがあり、
ポートマンにはそれがない。清純で美しく、確かな演技力はあってもどこか
魅力に欠ける女優だった。まさに、その両者の比較は、この映画における
《黒鳥》と《白鳥》だ。(身近な例を挙げると、両者をフィギュアスケートの
キム・ヨナと浅田真央に置き換えても良いと思うが。)何はともあれ、この映画の
成功は、そんな“白鳥”のナタリー・ポートマンが、己の弱点を自覚した上で、
それをすべて曝け出している点だ。行き詰まったヒロインの苦悩と焦り…、
身の丈以上の役に圧し潰れそうになるのを必死にもがき、自分を更に
追い込むことで深みに嵌まっていく姿が痛々しい。そして、ついに夢から野心へ…、
美しいだけの白鳥が自分の弱さに気付いたとき、“強き黒鳥”へと変貌する。
そう考えれば考えるほど、この映画のヒロインはポートマン以外に考えられない。
いや、少し意地の悪い言い方をすれば、今作は彼女の目利きがどうこう以前に、
はなからポートマンをイメージして作品が書かれた印象さえある。まるで作品の
方が彼女を選んだ、みたいな…。多分、彼女の、本当の真価が問われるのは
“次の作品”だろう。だからこそ、次回作は慎重に作品の目利きをして欲しい。
当たり役とかハマり役とかじゃなく、「えッ、これがあのナタリー・ポートマン??」
と思わせる、“想定外の彼女”をみたいなあ。


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『フィクサー』、観ました。

2009-01-24 19:31:16 | 映画(は行)
フィクサー [DVD]

東宝

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監督:トニー・ギルロイ
出演:ジョージ・クルーニー , シドニー・ポラック , トム・ウィルキンソン , ティルダ・スウィントン

 『フィクサー』、観ました。
NY大手弁護士事務所に勤めるマイケル・クレイトンの専門は不始末をもみ消す事。
そんな仕事に嫌気が差していた時、大規模集団訴訟を担当中の同僚弁護士
アーサー・イーデンスが、依頼人の農薬会社U・ノース社を裏切る行動に出る。
マイケルは事態の収拾に乗り出すが、アーサーは訴訟を覆す恐るべき秘密を
握っていた。一方、U・ノース社の法務部本部長カレン・クラウダーは追い詰められ
非情な手段に出るのだった…。
 ダンディズムとセクシーさ“だけ”を売りとしてたのは今や昔――、いつも間にか
“社会派”のイメージが板に付いてきましたな、ジョージ・クルーニー。最近は
すっかりオスカーの常連にもなって、次から次へとクオリティの高い作品を
生み出してくる。今、まさにノッてる感じがします。今作もそんな彼の近況を
象徴するような良作で、(ま、もっとも今作に限っては後世にまで語り継がれるよな
傑作じゃあないが)、“製作者”クルーニーならではのクールな視点と、スパイスの
効いた味付けで、やはり“らしい”佳作に仕上がっている。観ていて作り手の
”強い意志”を感じると共に、映画に対するスタンスの取り方というか、それに
向かう姿勢にブレがない。ますます円熟味を増し、役者として、また監督として、
魅力的な“映画人”になりつつあるね。
 では、もう一歩、映画の内容にまで踏み込んで言及すると、単純に“善悪の
対立”を軸にして、社会に蔓延(はびこ)る悪にメスを入れるタイプのドラマじゃない。
むしろ、ここで主人公の置かれたポジションは、正義の側というより“灰色掛かった
闇”の方に近い。そして、ある時、同じ狢(むじな)にいた同僚が“良心の呵責”から
正義の側の向かうを阻止せんと、ダークサイドから使命をあずかっているのだ。
つまり、この映画の視点は、一方的に正義の側から社会の悪をみるのではなくて、
ニュートラル(中立)からやや悪の側に寄ったところで、現実と更なる闇の奥で
糸を引く悪の中枢の、その両岸を見ている。ギャンブルにのめり込み、報酬の
為だと割り切って“組織のコマ”となって動く主人公は、およそ“完璧な人間”とは
程遠い。“人間的な欠陥”の方が目立っている。そんなチョイ悪な主人公が
“自分の、本当の正体”に気付いたとき――、何を信じれば良いのか、そして
何と向き合えば良いのか。恐らく、それがこの映画で監督が描きたかった部分だろう。
でも、誤解しちゃいけない。この映画における“絶対悪”は、巨大企業の陰謀や
その背後で糸を引く黒幕じゃない。我々一人一人の心の中に住む《小さな悪》の
方なんだ。《それ》は日々、我々の気付かないところで成長し、ある日突然腹を
食い破っておぞましい顔を出してくる。その時、唯一それに立ち向かえるのは、
“自分の良心”しかない。映画のプロローグとエピローグ、主人公が夜明けの
野原の車を止め、一頭の、けがれなき野生の馬と向き合う。主人公がその野生の
馬に見たものは、かつて理想を掲げ進んでいた頃の自分の姿であり、自分の良心
だったのかもしれない。


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『ハッピーフライト』、観ました。

2008-12-13 20:25:56 | 映画(は行)
Happyflight_2_1b
監督:矢口史靖
出演:田辺誠一、時任三郎、綾瀬はるか、吹石一恵、田畑智子、寺島しのぶ、岸部一徳

 『ハッピーフライト』、映画館で観ました。
機長昇格への最終訓練である実機操縦に臨む副操縦士。初の国際線フライトに
戦々恐々の新人キャビンアテンダント。地上ではグランドスタッフ、整備士、管制官等、
多種多様なスタッフ達。空港で働く彼らの使命は「飛行機を安全に離着陸させること。」
本日のホノルル行きも快適な空の旅!のはずだったのに…!?、空のプロたちの活躍を
描く‥‥。
 『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』の矢口史靖監督ってことで、大体の
予想はありましたが、ま、当たらずしも遠からずで、やっぱしそういう映画です。
前2作が好きな人は楽しめる。多分、“期待ハズレ”はないでしょう。でも、あくまで
それは“期待通り”であって、“期待以上”は期待できませんから――、悪しからず。
さて、これまでの矢口作品に共通する特徴として、愛すべきダメ人間達が数々の
失敗を繰り返しながら人間的に成長し、ある一つのことを成し遂げていく。勿論、
今作も例外じゃありません。あえてこれまでとの相違点を探すとしたら、前2作が、
学生の立場から(クラスメイトの)仲間らとの友情や青春の輝きを追ったものだったのに
対し、本作では彼らが上下関係のある社会に飛び出し、戸惑いながらも、先輩や
上司との間に固い絆や信頼が生まれてくる様子を描いている。《大人社会への
旅立ち》を“初飛行(=ハッピーフライト)”にダブらせて観るとヨロシイんじゃないかしら。
特に映画を象徴する場面として、物語中盤、「最高にランディングとは??」の問いに、
主人公は「機体と地面が接地したかどうか、乗客が気付かないくらいのスムースな
着地だ」と答えます。が、教官は即座に「違う」と。つまり、良い所を見せようと本来の
実力を発揮出来ない主人公に対し、“無理に背伸びをせず、今自分に出来ることを
確実にこなしなさい”――。と、そんな先輩から後輩に送る叱咤激励に、逆に“社会の
厳しさ”を教えられます。図らずしも、オイラは『スウィングガールズ』のレビューで、
『ウォーターボーイズ』を兄としたら、『~ガールズ』は妹みたいなもの、と書きましたが、
本『ハッピーフライト』は前2作から“彼らのその後”を負った《続編》と考えても良いかも
しれません。
 ところで、この映画は空港を舞台にした“群像ドラマ”です。それはイコール、複数の
キャラクターが登場し、必然的に、それだけ多くの人物を描写する必要が出てきます。
が、ここでは端役の一人一人にまで存在感があり、物凄く丁寧に描かれていることに
感心します。例えば、管理センターの女性がパソコンの不得手な年配の上司に対して、
当初のじゃけにした態度から、トラブルに遭遇し、やがて強い信頼を寄せていく
過程や――、また、客席誘導の女性が自らの職に疑問を感じつつ、それでもそこに
意義を見出し、覚えの悪い後輩の成長を見守っていく姿など――、それからヒロインの
新米スチュワーデスが初フライトで遊び気分を一掃し、社会人の自覚が芽生えていく
様子も瑞々しく描かれています。単に笑わせたり、楽しませるだけに限らず、そこに
ヒューマニズムがあるのがこの映画の強みでしょう。ライトでコミカルな仕上がりで
ありながら、見応えがあります。作り込まれている印象です。観終わった後の館内を
見渡してみても、カップル、家族連れ、友達同士…、皆皆さん御満足した様子で席を
立っていきます。きっと、この後は食事でもして楽しい時間を過ごされることでしょう。
そんな、映画の後の食事の会話が楽しくなるような映画です。あ、勿論、シングルの
方が観ても大丈夫、楽しめますよ、ハイ。ただし、その場合は、映画の後のレストランで
思い出し笑いしながら食べてると、ヘンな人と思われるから気をつけてね。



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『ブラックサイト』、観ました。

2008-10-18 16:50:14 | 映画(は行)



監督:グレゴリー・ホブリット
出演:ダイアン・レイン、ビリー・バーク

 『ブラックサイト』、観ました。
アメリカオレゴン州ポートランドで起きた悪夢。FBIサイバー捜査官ジェニファーが
捜査する闇サイトは、人々のアクセス数によって人を死に至らしめる殺人中継サイト。
ネット上に映る捕らえられた被害者。彼らの生死を決めるのは、罪悪感もなく、
一瞬でサイトにアクセスできる世界中の66億人の人々だ。その“好奇心”を利用して、
自分の手を汚さずに殺人を完結させる知的サイコキラーの目的は?遂に犯人の
手がかりを掴んだジェニファーに、魔の手が迫る‥‥。
 ダイアン・レインの新作だ。まぁ、41歳オイラの世代からすれば、今でも彼女の
名前はビッグネームなのですが、果たして今の若い世代にはどう受け止められている
んでしょう??、ほら、ネスカフェのCMソングでお馴染みの黒人シンガー??、それは
ダイアナ・ロスっ!!、じゃあ、イタリアのパパラッチに追われてナゾの事故死をした
セレブなお人??、いや、それはプリンセス・ダイアナっ!!、はい、ぜ~んぶ違いますネ。
ま、日本での彼女の知名度ときたらそんなもんです。寂しいけれど。では、知らない
人のために説明します。それはそれはダイアン・レインの若かりし頃ときたら、
80年代後半から90年代にかけてやくざなオトコどもからも一目置かれるほどの
カリスマ的な存在、まさに“スケ(役)”といって真っ先に思い付く女優さんで
御座いました。ま、今となってはその「スケ」の言葉すら“死語”ではござんすがね。
 そんな背景も考えて、単刀直入に申します。恐らく映画会社からすれば、ほとんど
期待もされず、そこそこ名の売れた女優を使って、そこそこの予算の範囲内で、
そこそこに当たってくれりゃぁ良いサ、みたいな映画ですな。ま、日本で例えると、
売れなくなった‘元’看板女優がゴールデンから干され、いよいよ昼ドラの方に
活躍の場を移されたみたいな。往々にしてハリウッド女優の晩期は、この手の
サスペンスに出ることになっちゃいます。ですから、一般に言われる“優れた
サスペンス”と比べりゃあ当然の如く演出の方にもキレがなく、これまたよく言う
“ピンと張り詰めた緊張の糸”なんぞありません。ハッキリ言って“その糸”は、
オイラのおなかのように終始たるみっぱなしの状態デス。単に緊張感を求めたいなら、
最近の日経株価を眺めてた方が遥かにスリリングだし、ラストのどんでん返しに
期待するなら、今年のセ・リーグのペナントレースの方がドラマチックでした。
ま、証券にしろ、スポーツにしろ、もうチョット何とかならないでしょうかね。毎朝の
新聞がビックリ箱を開けるようにドキドキしちゃいます。とにかく朝刊はもう少し
安心して読みたいものです。改めまして、映画に話を戻しますと、物語の見せ方が
どうこう、語り方がどうこう、ここでわざわざ書くべきものは一切御座いません。
出来うる限り冒険を避け、とにかく大ハズレだけは引かないように手堅くまとめた
感じの一本です。それにしても、作られたサスペンス映画の方こそ結末が読め、
わたし達のいるこの現実世界では何が起こるか分からない。この逆転現象こそが
“今日(こんにち)の世界”を象徴しているように感じられます。



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『パコと魔法の絵本』、観ました。

2008-09-19 19:02:57 | 映画(は行)
Paco_2_1b
監督:中島哲也
出演:役所広司、アヤカ・ウィルソン、妻夫木聡、土屋アンナ、阿部サダヲ、加瀬亮、小池栄子、劇団ひとり

 『パコと魔法の絵本』、映画館で観ました。
昔々、大人の俳優に脱皮できなかった元有名子役や、消防車にひかれたまぬけな
消防士など、患者だけでなく医者や看護師も変わり者ばかりが集まる病院があった。
中でも一代で自分の会社を築いた超ワガママ老人の大貫は、一番の嫌われ者。ある日
大貫は、1日しか記憶を保てない少女パコに出会う‥‥。
 今年最高のエンターテイメントにして、今年最高のバカ映画。そして、この際おまけに
“今世紀最強のファンタジー映画”の称号も与えてやろう。これぞまさしく“天才の
一本”。一分の隙もなく、非の打ち所のない完全無欠の傑作だ。幕があがって3秒で、
ラテンのリズムで踊り出し、サンバで腰をフリフリ、いきなりギアをローからトップへ、
テンション高いゼ。だけど、周囲を見渡してみると観客ぜ~んぶがあっ気に取られて
ビックリしてらぁ。いくらなんでもこのままフルスロットルで駆け抜けるのはキツかろう。
しかし、あろうことか、当初はそこがMAXだと思われていたがそうじゃなく、長らく
そのポジをキープしたあと、緩やかなカーブを描いて上昇し、ついにクライマックスでは
更なる急上昇をみせて昇天する。ギャグとハートフルのコンビネーションに翻弄され、
あるシーンでは腹がよじれんばかりに大笑いさせられたかと思えば、また、別の
シーンでは嗚咽を漏らして号泣する。いや楽しい、いや哀しい、この気持ちを何と
表現したらいい??、こりゃあ盆と正月が一緒に来たみたいだな。
 それにしても、かつてコレ程までに革命的な、CGと実写の融合があっただろうか。
いや、確か“一本だけ”、あったかな。思うに、CGなんて“諸刃の刃(もろはのやいば)”。
手軽に何でもクリエイト出来る“使い勝手の良さ”はあるが、ひとつ使い方を間違うと、
映画全体のバランスが崩れ、先行するヴィジュアルに対して“物語の方が埋没して
しまう危険性”を併せ持つ。しかし、今作の中島哲也監督は、その荒馬(?)を見事な
手綱捌き(遊び心とセンス)で乗りこなし、これまで誰も成し得なかった人馬一体を
披露してくれる。一見、ヤリ過ぎ感のあるその映像は、映画が進むにつれて画面の
至る所に虹色の花を咲かせ、やがて夢のようなオトギの世界へと誘(いざな)ってくれる。
一方、劇中で演じる人物と絵本の物語に登場するフルCGキャラとが、入れ替わりながら
同時進行していくクライマックスでは、それが心を持たない無機質と分かっていながら、
愛しく、感情移入をしてしまう。断っておくが、これはネタでもシャレのつもりでもなく、
オイラが映画のCGを見てスゲェ~って感じたのは、数年前の『少林サッカー』以来だね。
 さて、これは、それまで自分だけの世界に生きてきた男が、“相手の、小さな命の
意味”を知ったことから始まる物語――。絶望と挫折を繰り返し、それでも何とか
立ち上がり、明日へ向かって歩き出す、そんな愛すべきダメ人間達の物語――。
では、ここで云わんとしている“真の強さ”とは??、それは弱者に対して拳(こぶし)を
振りかざすことじゃなく、相手を想って何かしてやれる事はないかと探す、その優しさから
生まれてくるんだね。涙を流したことのない男が、その一粒の涙から“他人の痛み”を
知り、自分の弱さを知るように‥‥、人は流した涙の数だけ優しくなれる。だから、
男は涙の数だけ少女のために本を読む。何度も、何度も、呪文ように繰り返される
童話の一節が、何故だろう、回を重ねる毎にやわらかく心に染み入り、泣けるほどに
優しい気持ちにしてくれる。絵本の中のカエルよろしく、まるで“映画の魔法”に
かけられたように、心がホカホカ、あったかい。
 ラストシーン、ひとつの、小さな無垢の魂が両親の待つ海の彼方に帰っていった時、
人々は同じ色の涙を流した。でも、これはバッドエンドじゃないよ。そうさ、バッド
エンドなんかであるもんか。オイラは再び流れ出したサンバのリズムが、こんな風に
言ってるように感じたんだ。“そうして男は、残りの人生を、世のため、人のために、
真っ当なカタチで終えることが出来たとサ”ってね。“おしまい”



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『ヒトラーの贋札』、観ました。

2008-09-13 15:47:00 | 映画(は行)





監督:ステファン・ルツォヴィッキー
出演:カール・マルコヴィクス、アウグスト・ディール

 『ヒトラーの贋札』、観ました。
第二次大戦中のドイツ。ユダヤ人強制収容所の一画に、各地から集められた
職人らが働く秘密工場があった。パスポートや紙幣の偽造で逮捕されたサリーは、
そこでかつて自分を逮捕したヘルツォークが、大量の贋ポンド紙幣をばら撒き、
イギリス経済を混乱させる目的の「ベルンハイト作戦」の指揮を執っていることを
知る。作戦が成功すれば家族や同胞への裏切りになる。しかし完成できなければ、
死が彼らを待っているのだった…。
 公開当時から気になって仕方ありませんでした。ヒトラー&贋札っていう、
一見奇妙にみえるコラボレーションにたまらなく興味を惹かれたのです、ハイ。
でも、みたら何てことありませんでした。普通の映画でした。以上、おしまい。
意外と味気ないですね。そんなもんです。日々の仕事に追われ、時間の無い人は
ここまでで結構、以下は読む必要ないです。でも、特にやることもなくて時間の
有り余ってる人のためにもう少し書きましょうか。そうします。
 じゃあ早速、どうぞ頭で『シンドラーのリスト』と『戦場のピアニスト』を思い浮かべて
下さいまし。あ、でも、あーいった大作ではなくて、そのスケールをぐっと小さくした
感じでお願いします。いわゆる、両者を足して2で割ってミニシアターで収まる
サイズにした、そう思って差し支えないです。途中、ユダヤ人の主人公がナチとの
パイプライン役を買って出て、仲間を擁護(ようご)する展開は『シンドラーの~』。
また、ラストの終戦と同時に、ナチとユダヤ捕虜の立場が逆転し、戦争の勝敗に
よって強者と弱者が決まってしまう下りは『戦場のピアニスト』のそれ(ラスト)を
彷彿させます。まぁ、(オイラの勝手な印象ですが)反戦映画全般にいえるのは、
とりあえず『戦場のピアニスト』で一段落ついてしまった感があって、結果として
それ以降の反戦映画は目先が変わっているだけで、その根幹となる部分に大きな
違いはないのかな、って。ここでは“贋札”っていうファクターを使っていますが、
主人公の持つ画家(芸術)の才能を、ナチ(戦争)に悪用されるのはこれまでの
反戦映画にもありました。描き方自体、特に目新しいものではないです。それに
我ら日本人からすれば、何とかいう隣国の…、何とか言う書記長が…、現実に
同じようなことしてますものね。なら、いっそのこと、タイトルを『総書記とニセ札と
ニセ煙草とニセ麻薬』くらい過激にしてもらわないと。おっと、その噂の主のヤッコさん、
現在あまり病状がよくないみたいですね。不謹慎なんで、この辺でやめときます。
失礼しました。お大事に。話を映画のヒトラーに戻しましょうか。つまり、ここは
正攻法で“ナチの暴虐ぶり”を描くのではなくて、もう一捻りあっても良かったって
思うのです。例えば、ヒトラーも(主人公と同じ)“画家志望”だったことを考えると、
両者の人生をシンクロさせたり、対比させたりしながら“戦争の本質”に迫ることも
出来たのにね。まぁ、こうして、レビューの最後まで長々と付き合って頂いた
アナタ様のことですかあら、お暇に任せて(?)この映画を観るのも良いでしょうよ。
ただし、インパクトのあるタイトルほどへヴィーな内容を期待しちゃいけません。
良くも悪くもサラッと観れちゃって、あまり印象には残りませんから。



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『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』、観ました。

2008-08-24 22:16:45 | 映画(は行)
Hamunaptra3_2_1b
監督:ロブ・コーエン
出演:ブレンダン・フレイザー、ジェット・リー、マリア・ベロ、ルーク・フォード、イザベラ・リョン、ジョン・ハナ、ミシェル・ヨー

 『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』、映画館で観ました。
幸福だが退屈な日々を過ごしていたリックとエヴリンの夫妻は、秘宝「シャングリラの
眼」を届ける任務を受け、一路上海へ。ジョナサンや息子アレックスと再会し、
アレックスが発掘した皇帝のミイラを見学しに向かうが、皇帝の復活を目論むヤン
将軍に襲われてしまう。「シャングリラの眼」を手にしたヤン将軍は、秘宝の力で
皇帝のミイラを目覚めさせることに成功。リックたちは謎の女性リンと共に逃亡した
皇帝とヤンを追うが……。
 なんもせんでその場にジッと座っとるだけで体中の毛穴から汗が噴き出してくる。
オッと、目まいもしてきたゼ。そんなときゃアタマを使って映画なんぞ観たくもねぇや。
いわゆる、コレ観て、夏の暑さをブッ飛ばせって――。そんなカンジの“典型的な
ハリウッド型娯楽ムービー”‥‥、それ以上でもそれ以下でもなく、それ以外の
言葉も見付からないね。夏の花火のようにバァーっと派手やかに打ち上がって、ハイ、
それでおしまい。あとはな~んも残りません。観終わって、映画館の出口に向かう
途中で、映画を観たことすらスッカリ忘れてちゃいそうにアメリカン。返す返すも、
申し訳程度のテーマすら御座いません。よくぞここまで、何故にそこまで、ひたすら
“娯楽”に徹した、その姿は初心貫徹(かんてつ)、それはそれはもう立派なほどデス。
あえてそこに“武士道”を見つけるとしたら、この映画はまさしく“侍”デス。いや、
ホントに潔(いさぎよ)い。
 まぁ、とにかく、そんなカンジでわざわざ評価をいうに値しない、どおってことない
映画ではござんすが、あえて一言だけ。このパート3を観て思うのは、舞台が前2作の
エジプトから中国に変わっただけで、あまり新鮮味を感じられない。物語が人類の
存亡に関わる大事件に発展していくのは良いが、終始ストーリーは予想の範囲内で
展開され、グッと惹きつけられるものがないのデス。まぁ、作品柄ね、“ミイラ取り”って
いう制約を取っ払ちゃうと、ハリソン・フォードの出てない『インディ・ジョーンズ』に
なっちゃうから、あまり目茶苦茶できないのは分かるがね。個人的には、せっかく
2枚目半のブレンダン・フレイザーを主役に起用してるだから、スケール感より
“コミカル路線のB級テイスト”で勝負して欲しかったな。例えば、80年代にマイケル・
ダグラスとキャサリン・ターナーでコンビを組んだ『ロマンシング・ストーン』みたいなやつ。
あえてオイラが『インディ・ジョーンズ』をスルーして、こちらの法を選んだのはそういう
ところを期待したんだけどさ。


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『ボルベール<帰郷>』、観ました。

2008-05-10 23:39:31 | 映画(は行)





監督:ペドロ・アルモドバル
出演:ペネロペ・クルス / カルメン・マウラ / ロラ・ドゥエニャス / ブランカ・ポルティージョ / ヨアンナ・コバ / チュス・ランプレアヴェ

 『ボルベール<帰郷>』、観ました。
娘と失業中の夫とマドリッドで暮らすライムンダは、スペインの太陽のように
情熱的な女性。ある日彼女に2つの死が降りかかる。娘が義父を台所で刺し
殺してしまう。娘を守るため夫の死体をなんとかしようとする彼女に、叔母が
亡くなったという知らせが届く…。
 まず、最初に言っておく。『オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥー・ハー』
『バッド・エデュケーション』と続く、一連のペドロ・アルモドバル作品を考えれば、
今作の『ボルベール<帰郷>』は、やや凡庸な出来栄えでは??、如何にも
アルモドバルらしい大胆な色使いと天才的な構図の映像に、時おりドキッとする
ことはあっても、ストーリーとキャラクターの情感でもって、魂を揺さぶらされる
ところまではいかなかった。それでも、寓話的でミステリアスな女性映画の
スタンスから、アッと驚く種明かしを経て、最後は観る者に“深い余韻”を残す
エンディング――。夏から秋へ、冬から春へ、まるで一年の季節のように巡り回る
“人生の不思議”に考えさせられる。2007年度キネマ旬報年間第8位、登場人物の
ほとんどが女性であることと、母娘の絆がテーマの根幹にある為、もしかしたら
ボクみたいな男性の輩より(母性を持つ)女性の方が理解し易い映画かも。しかし、
いずれにせよ、一見の価値ある作品であるのは間違いない。
 さて、この映画を解くカギは、兎にも角にも“タイトル名”に隠されていると、
ボクは睨んでいる。《帰郷(ボルベール)》‥‥、それは単に自分の生まれ故郷に
戻るというだけの意味ではなく、もっとエモーショナルな部分での、“心が
元にあった場所に帰る(戻る)”ことを指しているのではないだろうか。いや、
そこでの“故郷”とは、《心の安住》という言葉で言い換えることが出来るかも
しれない。例えば、過去に犯した罪からこの世に未練を残し、旅立てずに
いる幽霊のように、人は皆、過去の自分を悔やみ、いつか全てを清算したいと
願う。この物語では、母と娘が互いが互いを傷付けまいと距離を置き、いつしか
心まで離れてしまった悲劇。隠し続けた真実が互いの人生に重く圧し掛かり、
その後の母は実態のない幽霊の存在として…、一方、娘は皮肉にも母の数奇な
運命をなぞるように生きていくことになる。そして、ついに母子の再会――。
だからこそ、娘にとってみれば、死んだはずの母親が自分に会うため帰って
きたと、そんな風に感じたはず。結局――、娘にとって、帰るべきは“母の
温もり”。母にとって、願うのは“娘の成長”。それが観終わった後、単に母子の
再会という以上に、“母性の神秘”を呼び覚ますようで不思議な感動を覚えて
しまう。それから、この映画で印象的に映るのが“風”。吹き抜ける風は、
何処から来て、何処へ向かうのか‥‥。“その、見えない力”の行き先は、
死した者の魂を乗せ、いつか来た“永久の安住地”へ送り帰ろうとしているかの
ようだった。



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『ヘアスプレー』、観ました。

2008-05-02 20:17:25 | 映画(は行)





監督:アダム・シャンクマン
出演:ザック・エフロン、ニッキー・ブロンスキー

 『ヘアスプレー』、観ました。
ヘアスプレー企業が贈る、ボルチモアで最高にホットなTV番組「コーニー・コリンズ・
ショー」。その出演を夢見る16歳のトレーシーは、ダンスだってオシャレだって
申し分ないのに、ひとつだけ問題が…。それは彼女のBIGすぎるサイズ!、でも、
そんなことは一向に気にせず、トレーシーはTVショーのオーディションに参加。
なんとレギュラーの座を射止め、番組の人気者となるが‥‥。
 実は、最近もろもろの事情があって酷く気分が滅入っていたが、この映画によって
パワーをもらった。それまで沈んでいた気持ちがウソのように、やっと今は前向きに
考えられる。今までオレは、何をそんな小さな事でクヨクヨしてたんだってね。
 さて、映画は、チビでデブのヒロインがそんな容姿にもめげず、持ち前の
“明るさ”でもって、大好きな歌とダンスの夢に向かって突き進むというもの。
先に断っておくが、全編を通して恥ずかしくなるほどの“ポジティヴシンキング”。
ゴキゲンなナンバーとノリノリのダンス、それのリズムに合わせて自然と腰が
シェイクする。何故にそこまで…、どうしてそんなに…、ハイテンションのままで
居られるの??、まぁ、実際、もしもそんな輩(やから)が自分の身近にいたら、
大層迷惑な存在だろうが(笑)、映画で観る彼女はいつもニコニコ、何と光り輝き
眩しくみえる。デブだろうと、チビだろうと、ブスだろうと気にしない。ブラック
(黒人)とか、ホワイト(白人)とか、勿論、そんなの全然関係ねぇ~。自分の気に
入った格好をして、これまた、自分の気に入った曲に合わせてダンスをする。
ただ、自分が気に入った生き方をしてるだけ。彼女を見ていると、「未来」とか
「将来」って、やる前からその限界を決め付けるもんじゃなく、まず自分を信じて
チャレンジして、その先に続いていくものだと思えてくる。このミュージカル映画の
秀逸さは、単に楽曲の良さだけではなく、その歌詞と通常の台詞の両面から
“夢見る少女の、無限の可能性”が、目の前に広がる差別や偏見の世界を
打ち破っていく点だ。中でも、オレが感激してしまったのは、クリストファー・
ウォーケン扮する“父親”が、その娘に行き先を説く場面だ、「パパとママの
世界は玄関のドアまで。だが、お前は遥か先を見ている。正しいと考えたなら、
古い人間なんて気にするな」と。告白すると、今オレはベッドで横になり、娘(3歳)の
寝顔を見ながこのレビューを書いている。いつかオレにも‥‥、いや、だとしたら、
その時オレも父として、娘にそんな助言を言えるだろうか?、そして、我が子が
大人になる頃、この世界はどんな社会になっているのだろうか?、一つ言える事は、
いま我々が手にした自由と権利には、先人たちの多くの犠牲があったってこと。
社会はいつの時代も“未成熟”であり、だからこそ、我々もより良い未来にして
いくための努力を怠ってはいけないんだ。ここでの舞台設定が“60年代”というのは、
単にダサかっちょ良い(?)オールディーズのナンバーを聴かせるためじゃない。
時代の移り変わりの中で、流行りの音楽が4(フォー)ビートから8(エイト)ビートになり、
16ビートへ…。また、時間が加速度的に進んで、どんなにファッションが変化した
としても、変えてはならないものが一つある。いつの時代も“未来”は光り輝くもの
である筈なんだ。


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『プロヴァンスの贈りもの』、観ました。

2008-04-23 21:31:04 | 映画(は行)





監督: リドリー・スコット
出演: ラッセル・クロウ、アルバート・フィニー、フレディ・ハイモア、マリオン・コティヤール、アビー・コーニッシュ、トム・ホランダー

 『プロヴァンスの贈りもの』、観ました。
ロンドンで剛腕トレーダーとして名を馳(は)せ、リッチなシングルライフを送る
マックスの元に南仏プロヴァンスに住むヘンリーおじさんの訃報が届く。子供の
頃、夏休みを共に過ごしたヘンリーが教えてくれた生きる知恵があればこそ、
今の成功があるのだったが、ここ10年はすっかり疎遠になっていた。それでも
一番近い親戚であるマックスがシャトーとブドウ園を相続することになり、
20数年ぶりに懐かしい土地を訪れるのだが…。
 リドリー・スコットといえば、一般に“ハリウッド屈指のヒットメイカー”として
知られているが、実は意外とどんなジャンルの映画もこなす“オールラウンダー”
でもあるんだよね。アクションやSFはもちろんのこと、過去には、戦争、青春、
ロードムービー、それにコメディーなんてのも。いや、オイラから言わせれば、
それこそがリドリー・スコットという作家の特長であり、それが彼にとっての
“映画作りの源(みなもと)”になっているように思えて仕方ない。例えば、
ファンの間から『エイリアン』『ブレードランナー』に続く“SF映画の新作”をの
声にも断固として首を縦に振らないのは、彼自身がオールジャンルで映画を
こなす監督であると“自覚”をし、そこに“誇り”をもっていることの表れでは
あるまいか。さて、前置きが長くなってしまったが、本作はそんなリドリー・
スコットにして、これまでにチャレンジしたことのない“ノスタルジックな人間
ドラマ”。映画は、一流ビジネスマンとして活躍する主人公が、“少年時代の
輝ける記憶”に触れ、人生の価値を見出していく。また、その際、少年時代の
交流のあった恩人の訃報を聞き、何十年ぶりに故郷へ帰る下りは、あの
『ニューシネマ・パラダイス』を連想させる。途中、『ベニスに死す』や『アラビアの
ロレンス』の一句が引用されたり、ある屋外バーのシーンでは往年の名画が
上映されていたりと、随所で“映画への愛”が見え隠れするのは、その辺の
ところに影響をうけているのかもしれない。それでも、いかにもリドリー・
スコットらしいと思ったのは、あえてこれ見よがしのノスタルジックを前面に
押し出すことなく、早送りなど映像に遊び心も感じられ、あくまでもコミカルかつ
ライトな仕上がりで、サラッと描いている点だ。この映画を観ていると、確かに
力感こそないが、その分、(興行的に)当ててやろうとか、人を感動させてやろうとか、
ガツガツした邪念が感じられない。良い意味で、無駄な“力み”がなく、(リドリー・
スコットが)自然体で映画作りを楽しんでいるようにもみえてくる。それは“長きに
渡る人生の、真の意味”を考えたとき、名を取るか…、実を取るか…。この映画の
テーマにも通じるものがあると思う。実は、こういう映画って、オイラからすれば
案外好みだったりするんだよね。



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『バンテージ・ポイント』、観ました。

2008-03-20 21:08:15 | 映画(は行)
Vantage_1_1b
監督:ピート・トラヴィス
出演:デニス・クエイド、マシュー・フォックス、フォレスト・ウィッテカー、シガニー・ウィーバー、ウィリアム・ハート

 『バンテージ・ポイント』、映画館で観ました。
スペイン・サラマンカ。シークレットサービスのトーマス・バーンズは、同僚の
テイラーと共に、テロ撲滅サミットに出席するアシュトン米大統領の警護に
あたっていた。ところが、広場で大群衆を前にした大統領に、1発の銃弾が――。
狙撃の瞬間を目撃したのは8人。ところが、彼らが見たものはくい違っていた。
バーンズは、暗殺の裏に隠された真相をたった1人で追い始める‥‥。
 予告編を観た段階では、『羅生門』や『ユージュアル・サスペクツ』みたいな、
事実と狂言の複数証言から“隠された真相”を暴き出す、異色のクライム・
サスペンスかなと。どっこい、いざフタを開けてみると、DVD機のAB間リピート
機能(?)さながらに、時空の一定期間を行ったり来たり…。現場に居合わせた
複数の目撃者たちの視点から角度を変えて“多面的に事件”を描いてゆき、
やがて霧が晴れるが如く、事件の全貌がクリアに浮かび上がってくる仕組み。
まぁ、ぶっちゃけ、そこから見えてくる事件の陰謀うんぬんに関しては、予想の
範囲内で目新しいものはあまりなく、序盤の会話を注意深く聞いていれば、
内部に潜む“裏切り者X”の正体も凡そ検討がついてしまうのかも。実際、
普段はあまりカンの良い方でないオイラにして、始まって早々20分くらいで
犯人の目星がついてしまった。いや、むしろ、ここでの作り手は、事件の
真相解明やら犯人探しやら、それらがすべて見破られるのを承知の上で、
この特殊な構成にした“本当の理由”があったのではなかろうか。つまり、
幾度となく巻き戻され、違った角度から再生される時空の中、それぞれの
人生がそれぞれに引き合い、ときに反発し合いながら“一つの、小さな世界”を
作り上げている。そして、それは単に“人生のコントラスト”というだけではなく、
“民族間における考え方の違い”と、終わることのない“テロリズムの縮図”
として、観る者の心に揺さぶりを掛ける。一方、群像ドラマの観点から、
オイラがここで最も興味をひかれた人物は、数ヶ月前、大統領の盾となって
銃弾に倒れ、情緒不安定のまま、今回職場復帰をはたしたシークレット
サービスの男、トーマス・バーンズだ。次第に、事件の全貌が明らかになってくる
過程で、彼が“内なる自分”と闘いながら、“本来の自分”を取り戻していくまでが
事件のナゾを追うサスペンスと並行して、スリリングに描かれていく。それにしても、
トドメは怒涛となって押し寄せるクライマックスのカーチェイス――白昼の市街地で
展開される追跡劇は、フルスピードのまま、道なき道を突き進み、狭い路地から…
はたまた対向車線から予期せぬ障害物が飛び出して、とっさにオレは目をつぶる。
その際、巻き込まれた走行中自動車数知れず…、破壊王と化し、通り過ぎた
後には何も残さない。それは、もう、とにかくスゴいことになってマス(笑)。
欲を言えば、シガニー・ウィーバーにもうチョイ頑張って欲しかったけど、細かく
見ていくと、ウィリアム・ハートやら、フォレスト・ウィッテカーやら、シブ好みの
役者さんがズラリ。そんな彼らの熱演もあってか、単なるサスペンス、単なる
カーアクションに留まらず、見応えのある人間ドラマに仕上がっていると思うよ。



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