肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『アダプテーション』、観ました。

2005-11-29 21:50:21 | 映画(あ行)
アダプテーション DTSエディション

アスミック

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 『アダプテーション』、観ました。
脚本家のチャーリーは映画『マルコヴィッチの穴』で大成功を収めたが、新作
脚本のアイデアに煮詰まり悶々とする日々が続いている。そんな時、陽気な
双子の弟ドナルドの脚本がハリウッドで評判となり、次第にチャーリーは焦りを
感じ始める‥‥。
 脚本はチャーリー・カウフマン。初めて『マルコヴィッチの穴』を観た時に、
よくもあの奇想天外ストーリーを考えたもんだと感心しつつ、と同時に次回作は
相当かなりのプレッシャーが圧(の)し掛かるだろうと想像した。が、しかし、
まさか…まさか…、その次回作で苦しみ悩む、脚本(ほん)が書けなくなった
自分自身を書いちゃうなんて一体何処のどいつが想像する??、きっとコイツは
この上ない天才か、はたまたこの下ないお馬鹿さんか、ふたつにひとつ。
とにもかくにもこの映画、オイラは存分に大笑い。楽しませて頂きました。
 さて、この映画の見所は何と言っても脚本の面白さ。ニコラス・ケイジ扮する
デブでハゲで神経質な主人公が、コンプレックスから終始ブツブツ独り言を
言うんだが、それがミョ~に説得力があってシュールな笑いを誘うのだ。しかも、
架空キャラとして主人公の双子の弟が登場し、どんどん話はこんがらがって
どこまでが“実像”でどこまでが“虚像”なのか、観てるオイラはモチロン、
作ってる本人自身も分からなくなっていく面白さ、そして馬鹿馬鹿しさ(笑)。
いつもは濃ゆ~いお顔が空回り気味のニコラス・ケイジも、今回ばかりは役に
ぴったりマッチで良い仕事。もしかして…、もしかして…、これってニコラス・
ケイジの出演作では“最高傑作”じゃないのかい??


『仄暗い水の底から』、観ました。

2005-11-27 21:07:07 | 映画(は行)
仄暗い水の底から

バップ

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 『仄暗い水の底から』、観ました。
離婚して娘との新しい生活を始めた淑美だったが、新居に定めたマンションでは
怪奇現象が起こり、娘に奇行が見られるようになる。一連の現象が母娘の絆を
揺さぶり始める‥‥。
 早速言わせてもらうと、只今公開中の『ダークウォーター』は、“ホラー”
というジャンルの枠を超え、母子愛を描いた“女性映画”の傑作だと思ってる。
ならば、そのオリジナルである『仄暗い水の底から』は如何なものか‥‥、
そんな思いで観たのであるが、やはり勝敗をつけるなら、圧倒的にリメイク版。
でも、オリジナル版を観れたことで、改めて『ダークウォーター』の良さを
再確認出来たところもあって、これはこれでなかなか良かったです。
 さて、この新旧の2作品を観て思うのが、その“恐怖”の根幹には、母が
我が子を想う“愛情”と、その愛に飢え、死んでいった少女の“深い悲しみ”が
あるんだってこと。ひとつ残念なのは、リメイク版ではその両者のバランスが
うまく保たれているのに対し、このオリジナル版では“母の愛”は感じても、
少女の霊を“グロ”として描いてしまって、“少女の悲しみ”までは届かない。
その比重の置き方によって、少女への「憐れみ」と、「同情」と、「母性愛」と…、
終盤に訪れる“母の決断”シーンの感じ方が、全く違ってくるんだよね。
まぁ、それは単純に、中田秀夫監督とウォルター・サレスの“演出力の差”、
強いては黒木瞳とジェニファー・コネリーの“演技力の差”でもあるんだけどさぁ。
それから、ラストシーンにしても、リメイク版の方がスッキリまとまっていて…、
そうだなぁ、イメージ的には“未来に広がっていく感じ”。ボクはリメイク版を
オススメするね。
 ただ、このオリジナル版にも良いところはあって、必要なキャラとそうでない
キャラとの色分けがハッキリとして、人物設定も分かり易く整理してある。一方で、
リメイク版は意味がありそでなさそなキャラが若干(?)あったように感じました。
まぁ、好き嫌いは別にして、この機会に見比べてみるのも楽しいと思うよ。


『ハウルの動く城』、観ました。

2005-11-25 20:40:23 | 映画(は行)
ハウルの動く城

ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント

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 『ハウルの動く城』、観ました。
19世紀末欧州、魔法と科学が混在する世界。ある日、18歳の少女ソフィーは
“荒地の魔女”に呪いをかけられ、90歳の老婆になってしまう。荒地に向かった
彼女は、魔法使いハウルの4本足で歩く“動く城”に乗り込むのだが…。
 待望の宮崎アニメ最新作、興行的には改めて“ジブリ神話”の健在ぶりを
実証したわけなのだが、どうも評判の方は今ひとつパッとしない模様で、
期待が半分、不安が半分。ならば、早速、オイラの評価を言わせてもらうと、
可もなく不可もなく…。世間一般に言われてるような“駄作”ではないと
思うが、やはり絶頂期の宮崎アニメと比べれば、やや見劣りしちゃうのも
否めない。まぁ、これはボクがいつも言うことなんだけど、映画監督に限らず、
ものを作り続ける人というのは、その年齢とともに“好み”も“作風”も
次第に変化していくのは自然の流れ。例えば、この宮崎駿監督でいうと
『トトロ』や『ラピュタ』の頃は、自分の思い描いた“理想の世界観”が
アタマにあって、それを素直に“映像”にして表現していたと思うんだ。
でも、どうなんだろう‥‥、『もののけ姫』くらいあたりから、今の自分が
言いたいこと‥‥つまり、“メッセージ性”が先行して、ストーリーと映像が
その後ろから追っかけているような印象を受ける。で、今作『ハウル』では
「精神の若さと肉体の衰え」「外見の美しさと内面の醜さ」が大きなテーマに
なっていると思うのだが、何故か「戦争」を絡めてしまって、スケールだけが
大きくなり、“本来のテーマ”が見え辛くなっている。むしろ、ここでは
心を閉ざしてしまったハウルと、その哀しみについて、もっと時間を割いて
描くべきだったんだと、ボクは思うけどね。
 次に、ボクが観ながら感じたのは、果たしてこの映画を子供たちが観て、
どこまで理解出来るのかなってこと。場面場面によって少女や老婆に姿を
変えるヒロインや、城の階段を登りながら年老いていく魔女の姿、ヒロインが
扉を開けてハウルの過去を見る場面などなど…、非常に複雑で、高度な
描き方をしている。恐らく、宮崎監督からしてみれば“大人にも通用する
アニメ”を作るんだという、彼なりの“プライド”だったに違いない。いや、むしろ、
それはこの映画で、宮崎監督がボクら大人に出した“宿題”なのかもしれない。
子供達から「何故??、どうして??」と聞かれた時に、「ソフィー婆さんはね、
“恋”をしたから若くなったのよ」とか、「城の階段は“人生”と一緒なの…、
ゆっくりでも一歩一歩“自分の足”で登らなくちゃいけないの。悪い魔女は
魔法にばかり頼っていたから、登れなくて老婆になったのよ」って、教えて
あげなくちゃいけない。それがこの映画で、宮崎駿からボクら大人に託された
“大切な役目”なんだと思う。


『もののけ姫』、観ました。

2005-11-23 20:41:19 | 映画(ま行)

もののけ姫 DVD

 『もののけ姫』、観ました。
その昔、タタリ神の呪いを断つために旅立った少年アシタカは、辿り付いた
シシの森で、森の神々と人間が戦いを繰り広げているのを知る。そして、彼は
人間でありながら、森の神々に味方する少女サン、人呼んで「もののけ姫」に
出会う‥‥。
 遅れ馳せながら、やっとこの大ヒット・アニメを観たのデス。今回の鑑賞で、
宮崎アニメのほとんどを観たことになりますが、個人的な『もののけ姫』の
評価は、AマイナスからBプラスといったところ。今作でボクが気に入らないのは
“残酷描写”‥‥例えば腕が千切れたり、首が飛んだりする場面。“反戦映画”に
おける過激な戦闘シーンや虐殺シーンは、決して“優れた描き方”ではないと
ボクは思っている。 勿論、『もののけ姫』は“反戦”というよりも“自然との共存”が
テーマになっていて、そういった過激描写も“人間の残酷性”を表現するための
手段だったのでしょう。しかしながら、宮崎駿監督ほどの才人なら、グロに
向かわずとも、もうワンランク上の表現が出来たはず、、それが何とも残念だ。
 それにしても猛スピードで走る山犬の視点から見た景色の疾走感、向こうの
岸から放たれた矢が目の前に迫りくる臨場感‥‥どれも今までアニメでは
体験したことのなかったリアリズム。日々進化しているアニメーションの技術に
驚くことしきり。ただ、ボクがこの映画で好きなのは、心優しき主人公が
怪我人を抱き、森を横切るシーン。白い妖精が一人、また一人と増えてき、
森中に溢れ出す‥‥、きっと彼らは“森の守り神”。そう言えば、どこかで
聞いたことがある。この世に存在するすべてのものに“神”が宿っていると‥‥、
草にも、木にも、川にも、山にも、森にも‥‥。“環境破壊”は、単に美しい
自然を壊すだけではない、そこに住むすべての“神”を殺すことなのです。
そして、ボクたち人間の“豊かな心”も‥‥。

 


『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』 、観ました。

2005-11-22 20:42:44 | 映画(ら・わ行)





監督:ピーター・ジャクソン
出演:J.R.Rトールキン、イアン・マッケラン、リヴ・タイラー、ヴィゴ・モーテンセン、ショーン・アスティン

 『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』 、観ました。
世界を支配するために、20万もの軍を集めて襲いかかる冥王サウロン。
そのあまりにも強大な力で、次々と大切な命が失われてしまう。それでも
フロドは、邪悪な指輪を捨てるべく滅びの山に突き進む‥‥。
 さぁ、いよいよ『ロード・オブ・ザ・リング』最終章。この映画が昨年度の
オスカーで、作品賞・監督賞をはじめ11部門を独占したのはボクらの記憶に
新しいところ。ただし、賞を取った映画がすべて「優れている」とは限らないし、
当たった映画がすべて「面白い」とも限らない。一番大切なのは、その映画が
“本当に映画を愛する映画ファン”から「名画」と認められるかどうかだと
ボクは思ってる。ボクがその“本当に映画を愛する映画ファン”に入るか
どうかは別問題にして、少なくともボクにとって『王の帰還』は「名画」とは
思えなかった。勿論、今回の受賞は本作一本だけじゃなく、三部作を通しての
評価だろうし、何らかのアワードは受け取っても良いとは思うんだけどさぁ。
まぁ、これほど気の遠くなるような長~~い映画を見事完成させた“根気”
だけは大いに評価して、さしずめ「努力賞」か「よく頑張ったで賞」くらいが
妥当かなと‥‥(←毒舌ゴメン(笑))。
 さて、この映画の見どころは、言わずと知れたスケール大きな世界観と、
それを細部までこだわり映像化したCGにあるのは間違いない。地鳴りをあげて
突進する巨大マンモスの大群、怪しい妖気を発する亡霊騎士、地平線彼方まで
広がる無数の軍隊、その戦闘シーンの大迫力‥‥確かにスゴイ映像だ。
しかし、ボクにはこのCGの凄さが、逆に本作をつまらなくしてような気がして
ならない。と言うのは、CGって手っ取り早く何でも描けてしまう一方で、
出来上がった映像が“平面的”で背景の奥行き感を感じない。今作中でも
巨大マンモスのスピード感は感じても、そこに“重量感”は感じない。
アクロバティックな戦闘シーンに面白さは感じても、そこに熱い血潮が
ドクドク流れるような“臨場感”は感じない。つまり、全体が“軽い”ってこと。
ボクの言いたいこと、分かるよね??
 それと、ボクが今シリーズ全体を通して、一番気になった問題点をひとつ。
それは今シリーズの思想が、そのまま“現在のアメリカの思想”なんだってこと。
“勝負の構図”に固執するあまり、戦争を「善」と「悪」の2種類だけに分けて
しまう怖さ‥‥、正義の使者が悪の軍団を壊滅させるべく旅に出る。そして、
彼らは口々に叫んでる、「勇気を持って戦え!」「名誉の為に一緒に死のう!」
「平和の為の戦争だ!」‥‥何だかどっかの大国の大統領が引きこした
今も続く“あの戦争”みたいだね。ハッピーエンドで終わるラストシーンも、
ボクには「これで良いのかな??」とさえ思っちゃう。しかも、そういう映画が
事もあろうにアメリカ映画界の最高賞を取ってしまう。偶然なのか、必然なのか、
皮肉な現実だなぁ。



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『エリザベスタウン』、観ました。

2005-11-20 20:35:44 | 映画(あ行)





監督: キャメロン・クロウ
出演: オーランド・ブルーム, キルスティン・ダンスト

 『エリザベスタウン』、映画館で観ました。
長い年月をかけて情熱を傾けてきた新しいシューズ開発のプロジェクトが
大失敗し、生きる気力を失ったドリュー。そこに、追い討ちをかけるように
知らされる父の死。失意の中、彼は父の故郷のケンタッキー州エリザベス
タウンへと出発する‥‥。
 人生だから…、アップもあれば、ダウンもある。是非とも、これは
そのダウンの時に観て欲しい作品だ。順風満帆、エリート街道を怖いもの
知らずで進んできた主人公、、しかし、突然の不幸が彼を襲い、挫折を
味わうこととなる。そういえば、オイラにもそんな時があったっけ??
社会人に成り立てで、鼻息荒く22歳の時だった…。プライドを全て剥ぎ取られ、
心の支えにしていた愛さえ失った。この映画の、この主人公を観ていたら、
思わず“あの時の自分”を思い出さずにいられない‥‥。
 “あの時”のオイラは、一言で言って「青かった…」。例えば、いくら
将来があったとしても、葬式の挨拶さえままならぬ、この世間知らずな
主人公のように。しかし、大きな壁にぶち当たり、自分の“非力さ”を知る…、
“世界の大きさ”を知る…。勿論、その“大きさ”とは、都会だとか、
田舎だとか、そんな類(たぐい)の大小ではなく、人々の“温かさ”だとか、
“優しさ”だとか、つまり、“人間としての大きさ”のこと。いや、もっと
言うなら、“心のゆとり”なのかもしれない。映画序盤、失意の主人公が
エリザベスタウンに向かう途中、「R60」の小さな標識に気付かなかったのは、
彼の心に…その“ゆとり”が無かったからなんだね。我が家がオンボロに
なったのなら、吹っ飛ばしてまた建て直せば良いじゃないか。失敗したら
反省し、また初めからやり直せば良いじゃないか。ボクが、この映画を観て
嬉しかったのは、主人公の父がボクと同じ考え方の持ち主だったこと。
「失敗」は、決して恥ずかしいことじゃない。むしろ、一番の恥ずべきことは、
その「失敗」を恐れて、最初から何もやろうとしないことなんだよ。
その父が主人公に教えたように…、ボクもまた自分の娘に“そのこと”を
伝えたいと思っている。映画は要所要所でやや食い足りない部分もあるけれど、
何よりその“前向きさ”が、ボクは気に入りました。



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『ハサミ男』、観ました。

2005-11-18 20:43:51 | 映画(は行)
ハサミ男

東宝

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 『ハサミ男』、観ました。
美少女の喉に研ぎ上げられたハサミを突き刺す連続猟奇殺人鬼“ハサミ男”。
しかし、ある時、ハサミ男の犯行をそっくり真似た手口で新たな殺人事件が
起きてしまった。知夏と安永は、その犯人像を追い求めていくのだが……。
 好奇心半分、軽いシャレのつもりで観たのであるが(笑)、ドッコイ、
これが思った以上に面白い。70年代ドラマを彷彿させるクラシカルな雰囲気と、
ジャージーなトランペットのBGMが印象的。俳優陣も、豊川悦司、麻生久美子、
阿部寛など、クセ者個性派がズラリ勢ぞろい。一方、シュールでブラックな
映像は、コミカルなのか…、シニカルなのか…、観ているボクにもよく
分からない(笑)。ただひとつ言えるのは「確実に楽しめた」ってこと。
昨今の“グロ”ばかりが先行するサイコ映画にあって、今作は異色中の異色作。
オイラはとっても気に入ったよ。
 さて、映画は冒頭から、トヨエツが怪奇“ハサミ男”に扮して、極悪非道の
数々を‥‥な~んて思っていたら、実は、な、な、な、なんとトヨエツが‥‥
おっと、その先は映画を観た人にだけ“知る権利”ということで……(笑)。
まぁ、トリック自体は、例の流行りのヤツ(?)の応用編ではあるんだけどね。
ただ、今作の場合は、どんでん返しよりも“その先(ネタバレ後)”にあるもの‥‥
むしろ、この映画の本質は“そこ”から始まるといっても良いかもしれない。
輝きの失せた瞳、笑顔が消え、感情を殺した少女の“亡霊”……行き場のない
哀しみに、きっと少女はもがき苦しんでいたんだね(涙)。また、最後の
最後にして、何故“ハサミ”だったのか??、何故“包丁”ではダメだったのか??、
という理由も分かってくる。終わってみれば、何とも切ない……そう、まるで
鋭く尖ったハサミを胸に突き刺されたような“痛々しさ”を感じました。


『ダーク・ウォーター』、観ました。

2005-11-16 20:38:05 | 映画(た行)






監督:ウォルター・サレス
出演:ジェニファー・コネリー, アリエル・ゲイド

 『ダーク・ウォーター』、映画館で観ました(ネタバレあり)。
離婚後、新たな人生を踏み出すため、ダリアは6歳の愛娘セシリアとともに、
ニューヨークの外れのルーズベルト島のアパートに移り住むことになった。
しかし、部屋の天井に広がる黒い染みや、階上から聞こえる足音に不安を
感じたダリアは、次第に偏頭痛に悩まされ、悪夢を見るようになる‥‥。
 『セントラル・ステーション』、『モーターサイクル・ダイアリーズ』の監督さん、
あのウォルター・サレスが、ただ“怖いだけのホラー”なんぞ撮るはずないと
思ったが、さすが並のヒューマンドラマよりも濃ゆい“母娘の絆”に、ジーンと
感動‥‥。特に、子供を持った経験のあるママさんには、是非ともオススメ。
観ながら、自分の子供の場合と置きかえて、“ヒロインの決断”に最後は
号泣しちゃう人も多いのでは??
 さて、本作は「ホラー映画」と言っても、“ショッカー(演出)”は無し、“CG”も
一切封印して、ひたすら“母娘の絆”に絞って描いている。子を想う母の愛情と、
母を慕う子の気持ち‥‥、その両者は片方だけが強過ぎても、片方だけが
弱過ぎても、決して成立しない。両者が求め合い、助け合ってこそ、本当の
“母娘の絆”となって成り立つんだよ。結局、この映画で、屋根裏を伝い、
天井から滴(したた)り落ちてくる“黒いしずく”は何だったのか??、ボクは
思うんだ、きっとそれは父に置き去りにされ、母に見捨てられ、死んだ少女の
“悲しみの涙”だったんだと…。その一粒一粒が、観ているボクの心に、
黒く静かに染みてくる。そして、その“悲しみ”は行き場もないまま、霊となって
この世を彷徨(さまよ)い続けていたんだね(涙)。
 だが、ここではその“死んだ少女の悲劇”の背景に、“もう一つの家庭問題”が
描かれているのを見逃してはいけない。それは、主人公ヒロインとその夫との
離婚問題だ。互いの主張だけを言い合い、“離婚”という親の都合によって
引き裂かれる子の気持ち…。挙句には、それが醜い“親権争い”にまで発展する。
まず、第一に二人は“子の幸せ”を考えなきゃいけないはずなのに‥。これは
「ホラー」という“超常的”なジャンルの映画でありながらも、実は幼児虐待や
離婚問題など、現代の“日常的な家庭問題”を扱った映画なんだと思うよ。
 ラストシーンは、子を見守る母の姿‥‥残酷な結末だが、不思議とボクに
後味の悪さはない。母の強さ??…いや、違う。“母の愛の深さ”が胸に残った。

『イン・ハー・シューズ』、観ました。

2005-11-15 20:07:02 | 映画(あ行)

キャメロン・ディアス主演で贈る、等身大のラブ・ストーリー!20世紀フォックスホームエンター...

 『イン・ハー・シューズ』、映画館で観ました。
ゴージャスなルックスだが、無職無資格無収入で難読症のマギー。姉の弁護士
ローズは堅物で、恋はいつもうまくいかない。ある日、姉と大喧嘩したマギーは
部屋から追い出され、フロリダに祖母がいることを知った彼女は列車に乗る。
それは、本当の自分を発見する旅でもあった‥‥。
 正直、お話自体は腰を抜かすほどのものではないと思う。何度か予告編を
観てる人ならば、おおよその展開はきっと予測出来るはず。頭脳も、容姿も、
性格も、全て正反対の姉妹が、感情のもつれから行き違い、その関係が再生して
いくまでを描いた“女性映画”。途中、所々で“詩”の引用やらあって、文学的な
要素もちらほらと…。個人的には、そのあたりでチョッピリ読み取れなかった
箇所もあるのだが、最後はすっかり(作り手の)思惑通りに泣かされた(笑)。
今作で注目して欲しいのは、フォーマルな細くて高いハイヒール、履き慣れ
擦り切れた運動靴などなど…、それぞれのシチュエーション、履く人の気持ちを
表すような“靴のこだわり方”、、特に女性の人にはオススメです。
 さて物語は、姉と、妹と、その祖母とが軸となって進んでいく。演じるのは、
トニー・コレット 、キャメロン・ディアス 、シャーリー・マクレーンの女優陣。
それぞれに持ち味を発揮していたと思うが、やはり大御所(?)シャーリー・
マクレーンの存在感は別格だ。単なる“容姿の美しさ”だけじゃない、豊富な
人生経験から生まれる“女性”としての「強さ」「大きさ」「優しさ」‥‥
歳月を重ね、年輪を刻んで、更なる“輝き”を増しているようさえ思えてくる。
幾つになっても“恋”が出来る、いつまでも“女性”であり続けるということ。
この映画の彼女を観ていたら、そんなことを感じずにはいられない。
 それにしても、改めて思うのが、キャメロン・ディアスの“映画選び”の
センスの良さ。彼女の特徴は、作品の興行性に捕らわれず、例えそれが
脇役でもこだわらない。チャレンジ精神と柔軟な発想、良い意味での“遊び心”を
感じちゃう。今作でも、頭カラッポのヤリマン娘が、コンプレックスを克服し、
“人間”として成長していく過程がうまく表現されていたと思う。
まぁ、とはいっても、オイラの視線の先は知らぬ間に、その胸元を強調した
彼女のバストの方にいってしまうのだが(笑)。

 


『マルホランド・ドライブ』、観ました。

2005-11-14 19:28:53 | 映画(ま行)
マルホランド・ドライブ

ポニーキャニオン

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 『マルホランド・ドライブ』、観ました。
マルホランドへのドライブ事故で記憶を失った女性リタは身を潜めたアパートで
女優志願のベティーと出会う。同情したベティーは、リタの記憶が取り戻す
手助けをするが‥‥。
 前作『ストレイト・ストーリー』で新境地を開いたかと思われた“鬼才”デビッド・
リンチ。さぁ、満を持しての最新作は「これぞデビッド・リンチ」と言わんばかりの
不思議映画。うーん、この人、一筋縄ではいきませんねぇ~(笑)。
 “さっぱり”分からんストーリー展開と、“やっぱり”奇妙な登場人物たち(笑)…
しかし、それでもなお面白いこの映画の不思議‥‥。あれよあれよという間に
“幻惑の2時間半”が過ぎ去った。この辺が「鬼才」の「鬼才」たる由縁でしょう。
死んだはずの女が突如として生き返り、カウボーイが現れた‥‥かと思いきや、
今度は小人の登場だ。ディレクターが妻の浮気現場を目撃したら、ムキムキ
マッチョの用心棒に殴られた。更に2人の美女ヒロインが女同士の“禁断の愛”へと
突っ走ると、いつしか物語はエンディングへ‥‥。結局、ラストシーンの意味も
分からないまま、ボクは途方にくれる‥(笑)。
 観る者の心をあざ笑うように進む予測不能の物語、、、裏切られる快感と、
はぐらかされる興奮を堪能できましたよ。
恐るべしはデビッド・リンチ、ここに健在なり!(笑)


『あずみ』、観ました。

2005-11-13 20:35:08 | 映画(あ行)
あずみ スタンダード・エディション

アミューズソフトエンタテインメント

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 『あずみ』、観ました。
江戸時代初期。徳川幕府に対する反乱分子を抹殺するため、刺客として
育てられた孤児あずみ。そんな彼女に下された最初の使命は、同じ刺客として
成長してきた仲間たちと互いに殺しあうことだった‥‥。
 「“アイドル映画”も随分と様変わりしたものね」が第一印象。かつては
恋愛モノか青春モノと相場が決まってたアイドル主演ムービーも、驚くなかれ
今作はたっぷりチャンバラ時代劇。今をときめく上戸彩が「刺客」となって
人から人を斬って斬って斬りまくる。その過程で彩ちゃん血だらけ、相手の
首は落ちるは腕はちぎれるはと言葉じゃ言えぬ、チョットこれは凄いことに
なってます(笑)。間違いなくは「R指定」、よくもこの内容で上戸側の事務所が
OK出したものだと逆に感心してしまいました。
 さてさて、誤解なきよう言わせてもらえば、拙者は上戸彩のファンじゃ~
ございませぬ。この映画を選んだのも、コラムのネタ探しに行き詰まった末の
“苦渋の選択”だったのだ(笑)。ただし、これがそんな思惑通りにツッコミ
甲斐のある内容だったのかと言えばそうではなく、奇抜なメイクや髪型にしても
それが“ウケ狙い”なのか、あるいは真面目にやってそうなってしまったのか、
最後までボクには分からなかった。本作で目立っていたのは、上戸彩ちゃんの
“透明感ある可愛さ”と、毎度お馴染み竹中直人の“油ギッシュな存在感”(笑)。
それにしても、竹中直人は何故にこういつもいつも“同じキャラ”ばかり
演じたがるのか…。まぁ、この人の場合は、相手にうるさがられれば
うるさがられるほど喜んでしまう性質なので、素知らぬ顔で“スルー”して
しまうのが効果的(笑)。これ以上、彼について触れるは時間の無駄じゃ、
行数の無駄じゃ。ハイ、竹中さん!!、今回もお疲れ様でした(笑)。


『キャビン・フィーバー』、観ました。

2005-11-11 21:15:22 | 映画(か行)
キャビン・フィーバー

パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン

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 『キャビン・フィーバー』、観ました。
学生生活を終えた5人の仲間は、夏休みをキャビンで楽しむため、人里離れた
森にやってきた。しかし仲間の女性が体調の不調を訴え、感染を恐れた残りの
メンバーは、彼女を納屋に閉じ込めてしまう……。
 「B級映画」だからこその“面白さと”、「低予算」だかこその“工夫”が
存分に詰まった作品だ。この映画にはお馴染みの有名スターは出てこない……
だって、お金が無いのだもの(笑)。この映画にはおどろおどろしい殺人鬼も
凶悪な宇宙生物も出てこない……だって、お金が無いのだもの(笑)。しかし、
その代わりとして、ここには逆転の発想的な“アイデア”と、若者らしい
力任せの“勢い”が隠されている。
 まず、オイラが感心したのは、物語の“恐怖の対象”を、直接に人の目には
見えない“伝染病(ウィルス)”に設定した点だ。例えば、若き日のスピルバーグが
『ジョーズ』の“ハリボテのひれ”だけで、水中に潜(ひそ)む巨大サメの
恐怖を増大させたように‥‥。恐怖の正体が目に見えないからこそ、怖いって
こともあるんだよ。
 次に、ウィルスの感染経路を、ごくごく日常的な“水”にしたのも非常に
よく考えられている。例えば、絶頂期のヒッチコックが『断崖』で、何気ない
“一杯のミルク”にさも毒が入っているかのごとく錯覚させ、観る者を震え
上がらせたように‥‥。今作でもごく平凡に置かれた“コップの水”が、
ただもうそれだけで“恐怖のディテール”に変貌する。
 結局、終わってみれば、この映画で必要だったのは、森の一軒家と車が一台、
5人の若手俳優と数名のエキストラ、そして大量の血のりと簡単な特殊メイクだけ。
勿論、これを大傑作とは思わないが、結構ハラハラドキドキして観れちゃうのも
確かでゴザル。個人的には、お金を湯水のように使って作るよりも、こういう
苦しまぎれでも(?)“知恵”を絞って作られた映画の方が好きだなぁ。
 ただ、最後に分からないのがひとつだけ。ラストシーンで主人公が保安官に
〇〇へ〇〇〇されちゃうのは、どうしてなの??、誰か巧く説明人があったら
教えてくれーーッ!!


『フォーガットン』、観ました。

2005-11-09 21:59:10 | 映画(は行)
フォーガットン

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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 『フォーガットン』、観ました。
飛行機事故による息子サムの死から立ち直れないテリー。そんな彼女の
周りで異変は静かに始まった。愛車のボルボが見当たらない…、コーヒーを
飲んでいたはずなのに…、そして家族の写真からサムの姿が消えている。
動揺する彼女に精神科医は告げる、「息子など最初から存在しなかった」と…。 
 「予測不能」という言葉で片付けるには、あまりに“簡単”過ぎる。
「フィクション」だからで終わらせるほど、オイラは“大人”じゃない。
映画序盤は、飛行機事故で死んだ息子の記憶を辿るべく、苦しむ母親の
エモーショナルでサスペンスフルな展開。一転、中盤はナゾの組織から
追いつ追われつのアクション路線へ…、そしてその後、映画は脱線に継ぐ
脱線を繰り返し、宇宙人拉致事件やら、記憶操作やら、人体実験やら、
ついに「SF」と「超常現象」的な内容に豹変する(笑)。ハッキリ言って、
こりゃ~モルダー&スカリー捜査官の居ない『Xファイル』だね(笑)。
オイラが思うに、このジョセフ・ルーベンという監督さん、アイデアだけを
先に思い付き、結末なんぞ深く考えないで、思いつくまま気の向くまま、
スタコラサッサと撮影を開始しちゃったんじゃ~あるまいか(笑)。
すべて成りゆき・風まかせ、行き当たりばったりの出たとこ勝負、とりあえず
撮っとこうかなーみたいな撮影法(笑)。うん、“監督”としては間違いなく
2流だが、“友達”として会うのなら結構面白そうな奴ではあるんだが(笑)。


『座頭市(北野武)』、観ました。

2005-11-08 20:42:58 | 映画(さ行)
座頭市 <北野武監督作品>

バンダイビジュアル

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 『座頭市(北野武)』、観ました。
非情なヤクザの銀蔵一家が仕切る宿場町を訪れた盲目の居合の達人・座頭市。
そこで用心棒稼業の浪人、仇討ちを探す旅芸人の姉妹と出会った彼は、やがて
壮絶な闘いに身を投じていく‥‥。
 ヴェネチア映画祭“監督賞”受賞作、国内外ともにすこぶる評価の高い映画だが、
少なくともボクは大絶賛ではないのデス。《たけしの痛快娯楽時代劇》‥‥
確かに“殺陣シーン”は迫力たっぷりだし、これまでの時代劇の概念を覆す
“新しい試み”も面白い。溢れる「和」のテイストはきっと外国受けするだろうし、
スピード感のある展開は時代劇離れした若者にも楽しめそう。だけど、ボクには
やっぱりこの映画、好きになれないんだよね。結局、ここには血が流れ過ぎる、
むやみやたらと人を殺し過ぎてるんじゃないかってこと。ボクは黒澤映画でも
『用心棒』や『椿三十郎』は好きじゃないし、この映画でも腕をぶった切ったり、
血が噴き出したりシーンって果たして必要な描写だったのかな。その辺の疑問、
ボクにはどうしても引っかかっちゃうんだよね。
 さて、‥‥とは言うものの、今作を観て改めて監督・北野武の才能を再確認した
ところもありました。中でも感心したのは、家族を皆殺しにされた商家の姉弟が
舞踊の稽古をするシーン、、、孤児となり貧しかった幼年期の彼らと、現在の
成長した彼らをひとつの踊りでシンクロさせながら“失われた時間”を描き出す。
こういうのを見せつけらると技術がどうこうじゃない、“監督のセンス”ってやつを
感じちゃう。CGもこれ見よがしに使わないから、映像中で効果的に威力を発揮。
ホント、北野武って上手いと思うよ。だからこそ、ボクは彼に“面白いだけの
映画”って撮って欲しくない。もっともっと凄い映画、撮れると期待してんけどなぁ。


『ブラザーズ・グリム』、観ました。

2005-11-06 19:06:19 | 映画(は行)

圧倒的イマジネーションで描かれる、驚愕のファンタジー・ワールド!ハピネット・ピクチャーズ ...

 『ブラザーズ・グリム』、映画館で観ました。
19世紀のドイツの村。うっそうと木が茂り、狼も出現する不気味な森で、次々と
少女たちが姿を消す。その事件の解明を任されたウィルとジェイコブのグリム兄弟。
少女たちはどこへ?、朽ち果てた塔に住む鏡の女王の正体は?‥‥。
 正直申せば、観る前から少々不安はあったのサ(笑)。実のところ、オイラは
これまでテリー・ギリアムの映画を一切受け付けなくて、あの世間的評価の高い
『未来世紀ブラジル』も…、あのカルト的人気の高い『バロン』も…、そして
大ヒットを記録した『12モンキーズ』さえもダメだった。だから、今作はそんな
彼らとは別に、“グリム兄弟”に興味があって観たのだが、ネコはミンチになるわ、
ウサギは皮をペロリ剥がされちゃうわ、サドマゾ的な拷問ネタはあるわで、やはり
今回も彼らのブラックで毒の効いた笑いに付いていけず仕舞い。まぁ、これも
“作風”だから仕方ないが、もう少し上品で“スマートな笑い”を提供できない
ものからしら(笑)。
 さて、映画は“ファンタジー映画”の姿を借りながらも、そこには「虚像に
隠された真実の正体」のテーマが見えてくる。ペテン師まがいの怪物退治で
名を馳(は)せたグリム兄弟はその筆頭として、物語背景となったフランス軍
による偽りの支配しかり、キラキラと輝くだけの鎧しかり、鏡に映された若き日の
ラプンツェル女王しかり…。見せかけの煌(きら)びやかさとは違う、外側の
メッキを剥がした後に現れる“別の顔”‥‥、もしかしたらメデタシメデタシで
終わるはずの終幕に、更なるオチを付けたのも“このテーマ”ゆえかもしれない。
 ところで、噂では当初のグリム童話は、残酷で卑猥な描写が多かったと聞くが、
結局、本作でその真相については触れず仕舞いで肩透かし。勿論、フィクションは
フィクションと割り切った上で、オイラの希望としてはもう少し“グリム兄弟の
真実”について迫って欲しかった。これなら別にグリム兄弟じゃあなくても、
お話自体は成り立つもんね(笑)。