肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』、観ました。

2008-08-24 22:16:45 | 映画(は行)
Hamunaptra3_2_1b
監督:ロブ・コーエン
出演:ブレンダン・フレイザー、ジェット・リー、マリア・ベロ、ルーク・フォード、イザベラ・リョン、ジョン・ハナ、ミシェル・ヨー

 『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』、映画館で観ました。
幸福だが退屈な日々を過ごしていたリックとエヴリンの夫妻は、秘宝「シャングリラの
眼」を届ける任務を受け、一路上海へ。ジョナサンや息子アレックスと再会し、
アレックスが発掘した皇帝のミイラを見学しに向かうが、皇帝の復活を目論むヤン
将軍に襲われてしまう。「シャングリラの眼」を手にしたヤン将軍は、秘宝の力で
皇帝のミイラを目覚めさせることに成功。リックたちは謎の女性リンと共に逃亡した
皇帝とヤンを追うが……。
 なんもせんでその場にジッと座っとるだけで体中の毛穴から汗が噴き出してくる。
オッと、目まいもしてきたゼ。そんなときゃアタマを使って映画なんぞ観たくもねぇや。
いわゆる、コレ観て、夏の暑さをブッ飛ばせって――。そんなカンジの“典型的な
ハリウッド型娯楽ムービー”‥‥、それ以上でもそれ以下でもなく、それ以外の
言葉も見付からないね。夏の花火のようにバァーっと派手やかに打ち上がって、ハイ、
それでおしまい。あとはな~んも残りません。観終わって、映画館の出口に向かう
途中で、映画を観たことすらスッカリ忘れてちゃいそうにアメリカン。返す返すも、
申し訳程度のテーマすら御座いません。よくぞここまで、何故にそこまで、ひたすら
“娯楽”に徹した、その姿は初心貫徹(かんてつ)、それはそれはもう立派なほどデス。
あえてそこに“武士道”を見つけるとしたら、この映画はまさしく“侍”デス。いや、
ホントに潔(いさぎよ)い。
 まぁ、とにかく、そんなカンジでわざわざ評価をいうに値しない、どおってことない
映画ではござんすが、あえて一言だけ。このパート3を観て思うのは、舞台が前2作の
エジプトから中国に変わっただけで、あまり新鮮味を感じられない。物語が人類の
存亡に関わる大事件に発展していくのは良いが、終始ストーリーは予想の範囲内で
展開され、グッと惹きつけられるものがないのデス。まぁ、作品柄ね、“ミイラ取り”って
いう制約を取っ払ちゃうと、ハリソン・フォードの出てない『インディ・ジョーンズ』に
なっちゃうから、あまり目茶苦茶できないのは分かるがね。個人的には、せっかく
2枚目半のブレンダン・フレイザーを主役に起用してるだから、スケール感より
“コミカル路線のB級テイスト”で勝負して欲しかったな。例えば、80年代にマイケル・
ダグラスとキャサリン・ターナーでコンビを組んだ『ロマンシング・ストーン』みたいなやつ。
あえてオイラが『インディ・ジョーンズ』をスルーして、こちらの法を選んだのはそういう
ところを期待したんだけどさ。


楽天市場ランキング・売れ筋DVD邦画トップ30

楽天市場ランキング・売れ筋DVD洋画トップ30

楽天市場ランキング・売れ筋DVDアジア映画トップ30

楽天市場ランキング・売れ筋DVDアニメトップ30

Amazon.co.jp 外国映画トップ100
Amazon.co.jp 日本映画トップ100
Amazon.co.jp アニメトップ100

DMM.com DVD通販CD予約販売


DMM.com CD&DVDレンタル


『ダークナイト』、観ました。

2008-08-13 20:07:48 | 映画(た行)
Dark_knight_1_2c_b
監督:クリストファー・ノーラン
出演:クリスチャン・ベール、ヒース・レジャー、アーロン・エッカート、マギー・ギレンホール、ゲイリー・オールドマン、マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン

 『ダークナイト』、映画館で観ました。
ジム・ゴードン警部補とハーベイ・デント地方検事に助けられながら、バットマンは
街で起こる犯罪撲滅に成果を上げつつあった。だが、ジョーカーと名乗る犯罪者の
台頭により、ゴッサム・シティは再び混乱状態に陥る。バットマンにとってジョーカーは
もっとも個人的な意味合いをもつ、最強の敵。この新たな脅威を葬り去るため、彼は
あらゆるハイテク武器を駆使し、信じるものすべてと衝突しなければならなくなる…。
 《ダークナイト》って聞いて、“暗い夜”だと勝手に思い込んでいたそこのアナタ!!、
早速改めた方が良いゼ。“night”ではなくて“knight(騎士)”の間違いなのダ。でも、
安心なされ、オレもその内の一人だから。てなワケで、早々に自らの英語力の無さを
露呈してしまったのだが、この際ハッキリ言っておく、そんな事はどうでも良いのサ。
ここで一番肝心なのは、映画のタイトルから今回初めて“バットマン”の文字が
消えたってこと。それが何を意味するのか??、確かに今作もバットマンが主人公で、
悪の帝王ジョーカーとの対決がメインに展開されるのだが、これまでと明らかに趣が
異なることがひとつ――、事件の毎にクローズアップされ、浮かび上がってくる“別の、
ある人物”の存在なんだ。勿体ぶらずにいうと、それはトゥーフェースことハーベイ・
デント。で、この映画では、善と悪とのビミョ~な関係がテーマにあって、なんかの
拍子に善が悪に…、悪が善に…、入れ替わることもありうると。となれば、内容的に
『スターウォーズ』の新三部作とカブることにお気付きの方も多いのでは。特に、今作で
デントの良心が哀しみの炎に焼き尽くされ、復讐の鬼トゥーフェースへと生まれ変わって
いく場面は、SWのアナキン・スカイウォーカーがダースベイダーに堕ちていった場面と
見比べてしまう。ただ、考えてみれば、監督のクリストファー・ノーランはすでに
前々作の『インソムニア(←リメイクだがね)』で、善良なベテラン刑事の“行き過ぎた
正義”が悪の領域へと踏み入れていくサスペンス映画の秀作を撮ってるし、意外と
このテーマにおける先駆者は、ノーランの方かもしれないがね
 さて、この映画で注目して観たいのは、コインの表裏に象徴される“人物の心の
内”っていうのかな。街から悪を一掃すべく、正義感に燃えていた頃のデントは、
その時分に持っていたコインのように、“両面が表(善の心)”ような存在。だけど、
その後、最愛の恋人が焼死した際、そのコインの“裏側に黒く焼け焦げた跡”が残った。
それと同時に、デントは善と悪の両面からなるトゥーフェースへと変貌した。また、
過度にCGに頼ることなく、黒く焼け焦げたコインからレイチェルの“死の壮絶さ”を
無言の内に語るあたり、ノーランのセンスってやつを感じちゃうね。
 それにしても、今作でのバットマンは、何ともご苦労な役回りだこと。血を流し、命を
盾に戦っても感謝はされず、挙句には大衆からそのマスクを剥げと言われる始末。
んなの、やってられねぇゼ、と愚痴の一つも言いたいところをグッと堪えて我慢する。
さすが、デキた人間は違うゼ、オイラなんかにゃ真似できねえや。つまり、それが
何を云わんとしているかは、キレイごとの正義や理想論を並べても、現実世界に
君臨する悪の前ではいとも容易く跳ね返されてしまうってこと。(それはデントが
マフィアのボスを法の上(裁判)で裁こうとして失敗した映画冒頭の場面に象徴される。)
勿論、それは最終的に目指すところではあるのだが、今はまだ違う。この荒みきった
時代に必要なのは、自らが“汚れ役(ダークナイト)”になって戦えるヒーローの出現だ。
いや、こう考えたらどうか、無法者と戦うデントとバットマンの関係が、そのまま
テロリズムと立ち向かう“国連とアメリカの姿”だと。ラストシーンは、今の我々と、
今のアメリカに、自らが“汚れ役”を買って出る、その覚悟があるのかどうか??、
そう問い掛けられている気がした。



楽天市場ランキング・売れ筋DVD邦画トップ30

楽天市場ランキング・売れ筋DVD洋画トップ30

楽天市場ランキング・売れ筋DVDアジア映画トップ30

楽天市場ランキング・売れ筋DVDアニメトップ30

Amazon.co.jp 外国映画トップ100
Amazon.co.jp 日本映画トップ100
Amazon.co.jp アニメトップ100

DMM.com DVD通販CD予約販売


DMM.com CD&DVDレンタル


『母べえ』、観ました。

2008-08-07 21:26:02 | 映画(か行)





監督:山田洋次
出演:吉永小百合、坂東三津五郎

 『母べえ』、観ました。
日中戦争が泥沼化しつつある頃。野上家では、ドイツ文学者の夫・滋と妻・佳代、そして
しっかり者の長女・初子と天真爛漫な次女・照美の4人が貧しくも明るく暮らしていた。
互いを「父べえ」「母べえ」「初べえ」「照べえ」と呼び合う仲睦まじい家族だったが、昭和
15年2月、滋が治安維持法違反で検挙されてから苦難の日々が始まった。そんな折、
滋の教え子・山崎徹が訪ねてくる。それ以降、徹は一家の手助けをするのだった…。
 オイラみたいなヒネた輩には“山田洋次の映画”って聞くと、チョット身構えちゃうんだ。
あの、青臭いくらいにまっさらな人情ものを観るほどに、自然と体がこそばゆくなっちゃう。
なら観なきゃ良いじゃん、とワイフが言った。ナルホド、おっしゃる通り。それですべてが
救われる。すべて丸く収まるのだけど、それがそうもいかないのが、映画好きゆえの
宿命ってやつ。話題となった映画は、とりあえずは一通り観てみようってことになっちゃう
んだよ、オレは。まして、今作は、あの吉永小百合嬢とのコラボともあって、国民的な
期待も高まるところ。興行的にもかなりのいい線、いったみたいデス。きっと松竹さん
としてもホクホクで、さぞほくそえんだことでしょうな。何はともあれ、日本映画が
当たるのは嬉しいことです。良かった良かった。で、その中身の方はといえば、あらぬ
罪から一家の主を投獄され、母一人で残された二人の娘を養いつつも、“戦中の貧困”を
耐え忍んで生きていくというもの。勿論、内容的にも日本人好みで、ヒロインの、その
耐え忍ぶ姿に“美徳”を感じちゃいます。かつての国民的ドラマの『おしん』の例をとっても、
この手の映画が当たるってのは、元来日本人は“M気質の国民”かもしれませんな。
あ、オイラ、改めましてヒネた輩ですから、少々不適切な表現には目をつぶってくださいね。
 では、ここからは真面目に書きます。映画の本題に戻すと、ストーリーに動きがあるのは
最初の15分くらいで、後は一家の周りに出入りするメンツが変わるだけ。むしろ、ここでは
その交流を通じて、その“時代”を描くことに専念してるみたい。クロいものを当たり前に
「クロ」と言えなかった時代――。個人の人権よりも国益の方が優先され、自由な思想や
モラルさえいとも簡単に踏みにじられた時代――。国全体が“見えない力”によって
誘導され、血生臭い戦場とは違うところにある“何か”に怯えて暮らす――、例えば、
それは“お役人の荒んだ心”とか、“周囲の冷たい視線”とか。あえて、戦争のドンパチを
封印し、ホームドラマとして“戦争”を描いた山田洋次監督の狙いは、そこにあったと、
オイラはニラんでいる。
 ラストシーンは、病床に臥せる彼女の“予想だにしない一言――、それは多くの愛する
人たちを失った哀しみと、戦争への怒りが最後にして噴き出たようで胸が痛くなる。ただ、
全体の印象として、良くも悪くも吉永小百合を主人公にした時点で、この映画の行き先が
決まってしまったのかなって思うんだ。良い言い方をすれば、彼女がそこに居るだけで、
花が咲いたように画面を輝かせる。しかし、悪い言い方をすれば、彼女の神聖化され
過ぎたイメージと、その演技における幅の無さが、映画を平凡なものにしてしまった感は
否めない。彼女が国民的女優でありながら、代表作と呼べるものがほとんど無いのは
そのせいじゃないのかな。



楽天市場ランキング・売れ筋DVD邦画トップ30

楽天市場ランキング・売れ筋DVD洋画トップ30

楽天市場ランキング・売れ筋DVDアジア映画トップ30

楽天市場ランキング・売れ筋DVDアニメトップ30

Amazon.co.jp 外国映画トップ100
Amazon.co.jp 日本映画トップ100
Amazon.co.jp アニメトップ100

DMM.com DVD通販CD予約販売


DMM.com CD&DVDレンタル