肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『アドレナリン』、観ました。

2007-11-26 21:18:04 | 映画(あ行)





監督・脚本:マーク・ネヴェルダイン 、ブライアン・テイラー
出演:エフレン・ラミレッツ、ドワイト・ヨアカム、ホセ・パブロ・カンティージョ 、エフレン・ラミレッツ

 『アドレナリン』、観ました。
殺し屋チェリオスはある朝目覚めると、宿敵ヴェローナに毒を注射されていた。
1時間で命を奪うという毒に意識が朦朧となりながらも、怒るシェブはヴェローナの
行方を追う。知り合いの医者に相談すると「体内にアドレナリンを出し続ければ、
毒の作用を止められる!」と告げられる‥‥。
 これでもかこれでもかと「グロ」と「エロ」、おまけに「スラング」まで垂れ流しって
くりゃー、間違っても我が家の箱入り娘(3歳)にゃ見られねぇ(汗)。その晩、オレは
子供が寝静まった頃を見計らってそっと布団を抜け出し、こっそり隣の部屋の
テレビの前に陣を取る(笑)。さぁ、観始めると主人公はいきなり待ったなしの
青息吐息、オレは訳も分からず“物語の中枢”へとほっぽリ出された。寝込みを
襲われ、毒薬を打たれた主人公が、その作用を遅らせるには体中のアドレナリンを
活発化させ、興奮し続けなければならないという、いわゆる“シチュエーション型
アクションムービーの典型”だ。ところが、主人公の、このイカれポン助は、時と
場所をわきまえず、はたまたその手段も選ばずして、ただ本能の成すがままに
行動を起こすもんだから、さぁ大変。道行くアラブ人のタクシーを強奪し、ショッピング
モールのエスカレーターに突っ込むわ、病院の医者を脅して高圧の電気ショックを
掛けさせるわ、スクールバスに乗った女子学生の面前で白昼堂々のプレイ(?)に挑み、
獣となって“成功の雄たけび”を上げるのだ。そしてトドメは、銃弾の乱れ飛ぶ
“決死のトライヴ”の最中、助手席のカノジョに自分のナニをナニしてもらって
天に向かって昇天する(笑)。行くゼ、下ネタ街道一直線ッ!!、どこを取ってもどこを
切っても“有害映画の金太郎アメ”(笑)。もうココまできたら、道徳とか、良心とか、
正論など論じること自体がバカバカしくなってくる。その瞬間、隣の部屋でかすかな
寝息を立てながら眠っている娘の顔が脳裏を過(よ)ぎり、オレは思わず“大きな
罪悪感”に苛(さいな)まれる。結局、その後映画はどこまでもテンション高く、
極限まで上り詰めた後、風船が破裂するかの如く、一気に急降下してしまう。
落下していくスピードの中で主人公の男は、これまでの“急ぎ過ぎた人生”を
振り返る。その、身を任せるように落ちていく様は、自分が犯した“罪のすべてを
清算”しているかのよう。畜生ッ、ヤラれたゼ。最後の最後にして“センチな気分”に
させやがる。こんな気持ち…、バカ映画にしちゃ上出来だ。



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『ファニーとアレクサンデル』、観ました。

2007-11-24 20:56:32 | 映画(は行)
ファニーとアレクサンデル
監督:イングマール・ベルイマン
出演:グン・ヴォールグレーン、エヴァ・フレーリング、アラン・エドワール、ハリエット・アンデルセン、アンナ・ベルイマン

 『ファニーとアレクサンデル』、観ました。
1907年、スウェーデンの小都市ウブサラで劇場を裕福に経営する一家、エクダール家の
物語。祖母エレナは夫亡き後、劇場を継ぎ、長男オスカル、妻エミリー、その子
アレクサンデルとファニーも舞台に出演していた。しかし、オスカルの死後、家族は
崩れはじめていく‥‥
 今から振り返る事ざっと5年程前、これまで40年余年の人生でもなかなかお目に
掛かれないフシギちゃん(?)に「アナタに是非観て欲しい映画がある」と、この映画の
ビデオテープを渡された。当然、オイラは一癖も二癖もあるサイケデリックな映画を
予想したわけだが(笑)、何と“しっとり味わい深い雰囲気の映画”を推してきたもんだと
仰天した。それでも“(少し人と違う?)彼女らしい”と思ったのは、格調高い映像で
綴られる“ある一家のドラマ”でありながら、少年の純粋な瞳を通して映し出される
“幻”であったり、“亡霊”であったり、どこか“ファンタジックな世界”が広がっている。
更に言えば、今ここにある“現実の世界”と交わるように、もうひとつ、“別の見えない
世界”があるような…、そんな“不思議な世界観”に見舞われる。
 さて、今回2度目の鑑賞にして尚、その“すべて”に魅せられた。この映画を観る者は、
感受性豊かな少年アレクサンデルが大邸宅で独り遊びに興じるうちに、幻想を見る
プロローグから、まるで“その神秘性”に吸い込まれるようにその映像の世界へと
引き込まれていく。物語は、シェイクスピアの「ハムレット」と交錯し推移している
ことを除けば、特に代わり映えしない平坦なものなのに、時間の経過を忘れる程に、
この映画に魅せられていくのは何故か??、思うに、ここには“人生の意義”について、
これまで如何なる才人も描こうとして描けなかった‥‥、いや、誰もが気付いているのに
気付かない振りをしてやり過ごしている‥‥、つまり、個人の力や能力だけでは
どうにも出来ない《見えない力》によって、それぞれの人生の行き先が変わっていく
“この世界の法則”と、ゆえに“人生の果かなさ”を思い知らされるからではなかろうか。
例えば、それは、運と不運、出会いと別れ、善と悪、強さと弱さ、厳しさと優しさ、
そして生と死が、表裏一体となって結び付き、絡み合い、それぞれの人生に影響を
及ぼしていく。この映画でも、エミリーが夫オスカルの死から、自らの弱さを悪魔に
付け込まれ、その後の人生に大きな影を落としてしまったように。しかし、誰も孤独な
彼女を責めることは出来ない筈だ、なぜなら、コインの裏か表かは投げた本人にすら
予測出来ないからだ。そして、ここでよく思い出してみて欲しい、亡き夫オスカルは
亡霊となって一家の行く末を案じるが、結局彼らをどうする事も出来なかった。
ただ、見ているほかになかったのだ。では、“神”とは一体‥‥??、もしかしたら、
我々が勝手に“神”だと呼んでいるものは、そんな偶発的で意思など存在しない
《見えない力》のことかもしれないね。
 では、ここからはこの映画で幾度となく使われている「“小さな世界”を通して
語られる“大きな世界”」について考えてみる。それは(先にも書いた)この実在する
世界と交わる形で繋がっている“死後の世界”のことかもしれないし、あるいは、
この現在の時間の向こう側に広がっている“未来”のことを指しているかもしれない。
ただ、飛躍せずにこの映画から素直に解釈していけば、この“限られた一家の
ドラマ”を通して、その後方に透け出して見える“人生の長さと、その果かなさ”を
感じずにはいられない。考えてみれば、人の一生とは、この小劇場を営む一家
のように、うつろいゆく時間の中で絶えず形を変え、そこで“自分に合った役柄”を
演じている。ある時は“息子”の役であったり、又ある時は“夫”の役であったり、
それが“父”となり、いずれ“祖父”となる。また一方で、ずる賢い悪魔が“偽善
(牧師)の仮面”を被っていることも。しかし、気が付くと年を重ね、誰かを失う毎に
悲しみは増し、同時に自分が演じるべき役柄も失われていく。ラストシーンで
エミリーが義母のヘレナに「もう一度、女優になって演じて欲しい」と言ったのは、
家族として一層の絆を固めると共に、“人生のカーテンコールはまだ先ですよ”という
義母へのメッセージのようにも受け取れる。今にして映画冒頭に記される「悩むより
楽しめ」とは、まさに“このこと”を指していたのかもしれない。

 最後に付け加えておくと、今回オイラが観た181分のバージョンの他にもうひとつ、
ベルイマンの母国スウェーデンではTV放送用として、ここ日本では劇場公開された
5時間11分の完全版が存在するという。すでに絶盤となっているDVDでさえ“短縮版”
だったことを考えれば、もはや“完全版”を観ることはできないのか(涙)。何とか
BS2あたりで放送してくれたら、NHKも見直すんだけどなぁ(笑)。



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『モーテル』、観ました。

2007-11-20 20:12:47 | 映画(ま行)
Vacancy
監督:ニムロッド・アーントル
出演:ケイト・ベッキンセール、ルーク・ウィルソン、フランク・ホエーリー

 『モーテル』、映画館で観ました。
夜の闇に包まれた片田舎。デビットと妻のエイミーは、車の故障により、やむなく
古めかしいモーテルで一夜を明かすことに。風変わりな支配人メイソンから手渡された、
角部屋4号室の鍵。その客室の薄汚さが、いがみ合う二人の神経をさらに逆撫でする。
そして、彼らは部屋の置かれていたビデオテープを、何気なく再生するが‥‥。
 過激なバイオレンス描写は封印し、ジワリジワリとくる恐怖――が、このサスペンス
映画の売り言葉。確かに、その宣伝文句に嘘偽りはなく、暴力も流血も抑制しては
あるのだが、だからといって“ショッカー(描写)”に頼り過ぎてしまうのは如何なものか、
その価値が半減してしまう。思うに「ジワリジワリとくる恐怖」ってのは、背後から
不意打ちを喰らわせて“驚かす”といった類(たぐい)のものではなく、周りから
少しずつ圧力を掛けていき、そこに居る人物の不安を掻き立てていく――。例えば、
この映画でも、奥の小窓の凹凸に歪んで映る犯人の不気味さとか…、そこにあるはず
のない(血の滲んだ)リンゴが置かれている恐怖とか…、そういう“ひとつひとつの
ディテールの積み重ね”によって演出していくものではないのだろうか。少なくとも
オイラは、この映画の宣伝文句にそういったものを期待して観始めたのだけどね。
 さて、映画が始まるやいなや、軽快で特徴的な(?)メロディが流れ出し、それに
合わせるようにオープニングのクレジットが独特のデザインへと変化を遂げていく――
あれ??、これと“似たような感覚”をかつて何処かでしたような‥‥、その時点では
それが何時で何だったのかは思い出せない。しかし、物語が進むにつれ、寂れた
モーテルの“舞台設定”、更にそこで働く神経質な管理人の“人物設定”‥‥、あッ!!、
この映画の下敷きになっているのはヒッチコックの『サイコ』だったのだ。それから、
深夜のドライヴから高速道路を降り、地図にない一本道に迷い込む“物語の切り口”は、
近年の『less』さえ連想させる。他にも、映画中盤、公衆電話から助けを呼ぼうとする
主人公に大型自動車がぶつかっていく場面は、スピルバーグの『激突』も。勿論、
過去の名画からヒントを得ることは決して悪いことではなくて、それ自体をとやかく
言わないけれど、それら一つ一つのシーンが単体で遮断され、全体を通して繋がりが
感じられないのが残念だ。しかも、最後は“カーアクションもどき”みたくなっちまって、
それまでの“密室劇”が何だったのかって思えてくる(笑)。ここはウソでも(?)見事に
敵を出し抜き、観る側の盲点を付くような脱出法を見いだしていくことが、“正しい
サスペンス(?)”のあり方ではなかろうか。それでもね、最後に少しだけフォローを
しておくと、正味85分の上映時間があっという間に終わってしまったことと、この手の
(B級)アプローチは嫌いではないので、今後も同じような映画があれば性懲りもなく(笑)、
映画館に足を運ぶつもり。お客さんも結構入ってたし、意外と需要はあるんじゃないか。



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『ボーン・アルティメイタム』、観ました。

2007-11-13 20:59:55 | 映画(は行)
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監督:ポール・グリーングラス
出演:マット・デイモン、ジュリア・スタイルズ、デヴィッド・ストラザーン

 『ボーン・アルティメイタム』、映画館で観ました。
自分を暗殺者に仕立てあげたCIAの極秘プロジェクト“トレッドストーン計画”などに
関する取材を進めていた新聞記者ロスとロンドンで接触しようとしたジェイソン・ボーン。
しかし、CIAの現地要員に監視されていたロスは、若い暗殺者に狙撃されてしまう‥‥。
 もしも1作目2作目を気に入って、少しでもこのシリーズに興味を持ったなら、
何を差し置いてでも今すぐ映画館に直行し、この3作目『ボーン・アルティメイタム 』を
観ることをオススメする。これまで定説とされている“シリーズもののジンクス”は、
続編(2作目)がオリジナル(1作目)の同様に優れていることは極稀で、増してや
3部作の3作共が揃って支持されるなど至難のワザ。…っていうか、少なくとも
オイラの思い付くところでは、そんなのただの一つとしてありゃしない。ところが
どっこい、このシリーズでは3部作の出来栄えが高水準に保たれているというだけ
ではなく、ワン・ツー・スリーと回を追う毎にシフトチェンジしながら加速度を増し、
ついにこの3作目ではトップギアに入ったって感じで“ビンビン”来るゼ。アクション
シーンの臨場感にスピード感、共に申し分ナシ!!、圧巻はカーチェイスにバイク
チェイスに自分の足を使った追跡劇…。路地から路地へ、屋根から屋根へ、窓から
窓へ、縦横無尽に走るカメラワークはあたかも誘導ミサイルと化し、その後方から
フルスピードのまま息詰まる追跡劇を捉えていく。手を変え品を変え、押し寄せる
怒涛の展開は熱気を帯び、オレだけじゃなく、劇場内全体の空気まで飲み込んでいく。
ハリウッド娯楽にありがちな“色恋もの”は封印し、血生臭い“バイオレンス”も
存在しない。当たり役のマット・デイモンは“クール”に燃え、ひたすら“アクション
映画の王道”を往く。アクション映画を観て、こんなにも血が騒ぎ、興奮したのは
何時以来ぶりだろう。今回オイラは本当に最後の最後まで気持ち良い気分のまま
鑑賞できた。一方で、3部作を通してのテーマとなる“自分探し”にも重きを置き、
主人公の、その内なる“(心の)不安”にも目を向ける。小気味良いアクションシーンの
切れ味と、ドラマ性の重厚感が平行して語られていくのが、このシリーズと…、
この映画の“最大の強み”だろう。それにしても、この、偉大な3部作のフィナーレは、
何とも痛快にして粋なエンディング、思わずニヤリとしてしまう。エンディング
テーマ曲が流れ出し、エンドロールまでしっかり確認したオレが、ふと周りを見渡すと
多くの人がまだ席に座ったまま。明るくなった劇場の中、その余韻に浸る顔と顔、
何を語らずともそれが全てを語っていた。



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『太陽に灼かれて』、観ました。

2007-11-11 20:53:07 | 映画(た行)
太陽に灼かれて
監督:ニキータ・ミハルコフ
出演:オレグ・メンシコフ、インゲボルガ・ダプコウナイテ、ニキータ・ミハルコフ

 『太陽に灼かれて』、観ました。
36年の夏、旧貴族階級の青年ディミトリが住むモスクワには粛清の嵐が吹き荒れて
いた。革命の英雄コトフ大佐は田園地帯の避暑地“芸術家村"で妻子と過ごしていたが、
ある日、ディミトリが一家の前に現れる。一家は再会を喜び、娘のナージャもすぐに
なつくが、大佐は彼が妻マルーシャの昔の恋人だと知っていた。2人きりになった
マルーシャとディミトリの間に、情熱の日々がよみがえる‥‥。
 ニキータ・ミハルコフの映画は、観ていてどれも息が苦しくなってくる。若き日に
誓った愛を断ち切れず、それを引きずり今に至る主人公の、“哀愁を帯びた人生”に
心掻き毟(む)られるから…。と、同時に、変わるべきものが変われない‥‥、時代の
流れの中で迷走する“祖国(ソ連)を憂う想い”が画面を通じて溢れてくる。この作品は、
もう10年以上前に観て、今回改めて押し入れの奥の方からVHSのテープを引っ張り出して
観た訳だが(笑)、その間に妻を持ち、家庭を持ったオレに、あの時とは違う、別の
感情が湧き上がってくる。若さで弾んでいた頃にいた場所は、今も同じように存在して
いるのに‥‥、かつて愛したあの女性(ひと)も、あの頃のままの美しさで目の前に
立っているのに‥‥、それが今は他人(ひと)のものになり、抱きしめることも出来ない。
容赦なく圧し掛かってくる“時間の重さ”と、胸にこみ上げる“切なさ”を堪え切れず、
観ながらオレは声をあげ叫びそうになる(涙)。中でも、映画中盤、ディミトリとマルーシャが
川幅の陰で“初めての夜”の思い出を語るシーンと…、ディミトリがマルーシャの娘に
“自分たちの恋”を遠い国のおとぎ話になぞらえて聞かせるシーンの味わい深さ‥‥、
どちらもフラッシュバック(回想シーン)の映像は成されてないが、静かにその光景が
頭の中に広がってくる。何よりこれは“(映画の)余白”を残しつつ、観る側のイメージを
掻き立てる、脚本の秀逸さだ。また、ここでは悲恋のロマンスと平行して、コトフと
マルーシャと娘のナージャ、その家族の温もりが描かれていく。天国のようなやわらかい
日差しが注ぐ午後、川に浮かぶボートの上で、コトフがその娘に“この国の未来”を
説いて聞かせる場面が印象的だ。しかし、気が付けば、“政治の闇”はその背後から
ヒタヒタと音もなく忍び寄り、「恐怖」となって人の心の奥深くまで入り込んでしまう。
では、ここでひとつ、本編中に幾度となく挿入歌として唄われる“偽りの太陽”について
考えてみる。一体、“偽りの太陽”とは‥‥??、映画中盤、突如として現れた”火の玉”が
森を焼き、ラストシーンではディミトリの死を確認した後に彼方遠くへ飛び去ってしまう。
一方、映画終盤、ついにスターリンの肖像画を付けた気球が完成し、大空高く昇っていく…、
まるで“偽りの太陽”のように昇っていく。しかし、その“太陽”は決して明るい日差しを
指すことはなく、上空から“黒い恐怖”を放射して、人々の心まで灼(や)き尽くすのだ。



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『アモーレス・ペロス』、観ました。

2007-11-04 22:11:20 | 映画(あ行)





監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、エミリオ・エチュバリア

 『アモーレス・ペロス』、観ました。
街中で陰惨な自動車事故が起こる。加害者の青年オクタビオは兄嫁への許されぬ
想いに身を焦がし、被害者のモデル、バレリアは、愛と名声を手に入れ幸せの
絶頂にあった。一方、その場に居合わせた元大学教授のエル・チーボは、かつて
捨てた娘への愛と後悔の念にさいなまれていた。愛を求めてさまよう3人は、事故を
機に悲痛な運命と向き合うことになる……。
 かつて、この映画を観た時に、とにかく“衝撃的な映画”を観た――ただ、それだけの、
ままならない気持ちのままレビューを書き、ブログの記事として世に送り出して
しまった‥‥、その事がずっと頭の片隅でわだかまっていた。ある日、思い立った
ように「今なら書ける」、そんな確信が湧き上がり、再びこの映画を見直してみる
ことにした。
 映画は、3つの独立した物語から成り、それぞれに共通する登場人物は存在しない。
それが、あるひとつの自動車事故をきっかけにして、それぞれの状況が劇的な変化を
遂げていく。しかし、ここでよく目を凝らしてみれば、家庭環境も違う、生活階級も違う、
年代も違う、一見何の関連性もない3つのエピソードに、ある特定の法則が浮かび
上がってくる。ひとつは、すべての物語に“犬”が出てくること。もうひとつは、3人の
主人公はそれぞれに“罪”を犯し――例えば、一話のオクタビオは兄嫁に恋心を抱き、
駆け落ちしようと持ちかけている。二話のダニエルは若くて美しい不倫相手のために
全財産を投げ打ち、家庭さえ捨てた。三話のエル・チーボもまた、誤った理想を
追い続けるあまりに最愛の娘を捨て、自らの人生さえ無駄にしてしまった――
そして、彼らは同様に“自分が我慢すること”で保たれている“危ういバランス”の上で
生きているのだ。しかし、愛せども愛せども届かない想いに耐え切れず、まるで
パンドラの箱を開けるが如く、自らそのバランスを壊してしまう。先ほど、すべての
エピソードに“犬”が出てくると書いたが、飼い主に対して“盲目的に忠誠”を誓い、
一方的に愛を捧げる犬を登場させることで“愛せども愛せども届かない想い”を
印象付ける狙いがあったのではなかろうか。では、ここでもう一度“自動車事故”に
話を戻そう。ならば、彼らにとって“自動車事故”は何だったのか‥‥??、ボクには
考えれば考えるほど、彼ら自らが招き込んでしまった“罪”に対して何か見えない
力によって“災い”が降りかかったように思えて仕方ない。言い換えれば、それは
人間の愚かさに対して“神からの罰”だったのではないか。勿論、ボクがそう思った
のには、同じくアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の新作『バベル』を観たせいも
あるだろう。しかし、今回改めて観直してみて、部屋の扉や壁に掛けられた“十字架”や
廊下の棚に飾られた“キリスト像”、それから思いの外に“神”を意識した台詞が
多いことに気付かされる。中でも、映画終盤、スサナがオクタビオに言う台詞「神は、
人間の計画を笑う」は、その後の『バベル』を予感させる、重要なフレーズだ。これら
3つの物語のすべてに言えることは、もはや過ぎ去った過去は取り戻すことは出来ず、
犯してしまった罪を消すことはできない。愚かな罪人たちよ!、彼らだけに限らず
我ら人間は皆、“重い十字架”を背負ったまま、その孤独な人生を歩き続けなければ
ならないのだ。



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