肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『オアシス』、観ました。

2005-09-25 14:28:20 | 映画(あ行)
オアシス

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 『オアシス』、観ました。
前科三犯のジョンドゥは、出所後自分がひき逃げした被害者の
家族に謝罪に行き、重度脳性麻痺のコンジュと出会う。2人は
秘かに愛を育んでいくが、周りはそれを許さない‥‥。
 その洗練され、研ぎ澄まされた映像を観た時に「もしや、これは‥」と
思って調べてみたら、やはり案の定、監督は『ペパーミント・
キャンディー』のイ・チャンドンだった‥。実は、その『ペパーミント・
キャンディー』こそ、ボクがここ数年の韓国映画でベストと思った
作品なんだけど、この『オアシス』もさすがの出来。見事に打ちのめ
されました。互いの弱さも、醜さも、孤独さえも、すべてを曝け出す
からこそ見えてくる“純愛”‥‥究極のリアリズムを感じながらも、
ふいにそこへ交錯する“少女の幻想”‥‥光の中から蝶が現れ、
鳩が光の中に溶けていく。まさにそれは“映画ならではの映像表現”であり、
高度な技術に裏付けられた“監督のセンス”ってやつを感じちゃう。
今、日本ではネコも杓子(しゃくし)も“純愛ブーム”、、老若男女で
「愛が欲しい」と叫んでる(笑)。そんな輩(やから)に印籠渡す
純愛映画がまさにコレ。内容はかなりヘヴィーですが、オススメです。
 ふたりはまるで都会の掃き溜めに隠れて暮らす“虫けら”のよう‥‥、
男は精神に障害を持ち、女は身体に障害を持つ。社会からは疎外され、
惨めに這いつくばって生きている。そんな二人が惹かれ合う理由は
言葉で説明できずとも、頭で理解はできる。互いの冷たくなった心と
身体を温めあう相手が欲しかった‥‥(涙)。
 それにしても感心させられるのは、少女の部屋に飾られる
“オアシスの絵”の存在感。それは映画の始まりから終わりまで、
しっかり観客の心に焼き付けられ、観終わった後には
「果たして主人公たちにとっての“オアシス”とは何だったのか?」と
考えさせられる。底知れぬ“愛の余韻”がいつもまでも残るラストシーンだ。


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4 コメント

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TBさせていただきました♪ (メル)
2005-10-11 07:36:49
すいません、またTBさせていただきました(^^ゞ

ほんとにこの映画は韓国映画の名作では・・と

思ってしまった かなり印象に残っている

良い映画でした。

「ペパーミント・キャンディー」未見なので

今度探してみます。
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一般受けするかどうかは別にして… (きのこスパ)
2005-10-11 20:04:39
この映画が一般受けするかどうかは別にしても、

近年の韓国映画を代表する傑作であるのは、

間違いない事実でしょう。

そして、このイ・チャンドン監督の凄いのは、

貪欲に新しい試みをチャレンジしているところ。

現在から過去へと逆行する『ペパーミント・

キャンディー』の時間構成も見事でした。
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こんばんわーい♪ (ゆきち)
2005-10-30 02:14:18
「ペパミン」大好物です!!ソル・ギョングに惚れ込んだきっかけとなった作品です。

韓国映画がまだまだマイナーで、誰もほとんど観てない「ペパミン」を過去に独りで絶賛してました(笑



「オアシス」も心が震える作品です。

実に素晴らし~です!



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ボクの韓国映画論 (きのこスパ)
2005-10-31 23:59:48
TB&コメント、どうもです。



> 「ペパミン」大好物です!!

> 韓国映画がまだまだマイナーで、

> 誰もほとんど観てない「ペパミン」を

> 過去に独りで絶賛してました(笑



ボクも嬉しいです。

‥‥っていうか、『ペパーミント・キャンディー』を

知ってる人に

今この瞬間、初めて出会いました(笑)。

ちなみに、ボクの韓国映画ベスト1は『ペパーミント~』、

2位は、この『オアシス』です。

ソル・ギョングは、韓国といわず、

今現時点で“アジア最高レベルの役者”でしょうね。

最新作『力道山』も楽しみです。
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