肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『河童のクゥと夏休み』、観ました。

2007-07-30 20:11:11 | 映画(か行)
Kappa
監督:原恵一
声の出演:冨沢風斗、横川貴大、田中直樹(ココリコ)、西田尚美、なぎら健壱

 『河童のクゥと夏休み』、映画館で観ました。
夏休み前のある日、康一が学校帰りに拾った石を洗っていると、中から河童の子供が
現れた。 第一声から「クゥ」と名づけられた河童は人間と同じ言葉を話し、初めは
驚いた家族もクゥのことを受け入れ、クゥと康一は仲良しになる。やがてクゥが仲間の
元に帰ると言い出し、康一はクゥを連れて河童伝説の残る遠野へ旅に出るが‥‥。
 原恵一(監督)の新作を今か今かと待ちわびて、とうとう5年も待たされた。しかし、
いざ観てみれば、その5年の月日の長さを忘れるほどに、“心地よい2時間強”が
過ぎていき、観終わった後には“優しい心”に満たされた。“(温かみに欠ける)CGを
多用した映像面”に若干のアンバランス感を感じるものの、「観て良かった」というのが
正直な感想。胸に突き上げてくる感動から、涙でボヤけて画面が見えなくなること数度…、
エンドロールが始まっても観客の誰一人として席を立ち上がる人が居なかったのは、
流した涙の跡を乾かしながら“その余韻”に浸っているようだった。
 さて、物語は、かつての『E.T.』やアニメの『あらいぐまラスカル』に代表される…、
ひと夏を通した少年と野生動物との“友情”を軸に、その出会いと別れを描いている。
ただ、一方で、それが単なるノスタルジックな友情と、少年の成長物語だけに収まる
ことなく、環境問題やいじめ問題、更にはマスメディアのあり方まで、現代社会が抱える
暗部が所々で見え隠れする。この映画の素晴らしさは、一見“詰め込み過ぎ”に思える
それらの諸問題を、“心の問題”として一つに関連付けて考えている点だ。例えば、
“自然破壊”はそれによって住む場所を追われる野生動物の気持ちが…、“いじめ
問題”は嫌がらせを受け、仲間外れにされる者の寂しさが…、また“マスコミ問題”は
その標的にされ、公共の見世物にされる者の苦しみが…。つまり、それらの諸問題の
根幹にあるものは、自分さえ良ければ他の者はどうなったって構わない、そういう
“思い上がった個人プレー”と、“人間の身勝手さ”にあるのだと。映画終盤、ついに
自分の隠れ家を見つけた河童のクゥが、天の神様に向かって“たった一つの願い事”を
する場面がある。「この川で(自分が)生きていくのに必要なだけの魚を獲ることを
お許し下さい」と。もしも、みんなが今よりほんの少しだけでも個人より社会全体のことを
考え、“相手(弱者)の気持ち”になって行動することが出来たなら‥‥。結局、映画は
ついに最後まで、すべてメデタシメデタシで収まるハッピーエンドが訪れることはなく、
姿形の違う一人ぼっちの妖怪同士が、互いに身を寄せ合うように山の奥地へと隠れ住む。
では、彼らのこれからは‥‥??、“僅かの含み”を持たせたその結末に、彼らの未来の
安全は“我ら人間の良心”に掛かっている‥‥と、そんなメッセージを投げ掛けられて
いるような気がした。



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『紙屋悦子の青春』、観ました。

2007-07-26 20:34:50 | 映画(か行)





監督:黒木和雄
出演:原田知世/永瀬正敏/松岡俊介/本上まなみ/小林薫

 『紙屋悦子の青春』、観ました。
敗戦の色濃い昭和二十年・春、鹿児島の片田舎。両親を失ったばかりの紙屋悦子は、
優しい兄夫婦と3人で慎ましい毎日を送っていた。彼女は海軍航空隊に所属する明石
少尉に秘かな想いを寄せていた。ところが悦子に別の男性との縁談が持ち上がる。
相手は明石の親友、永与少尉だった。それは明石自身も望んでいることだと聞かされ、
深く傷つく悦子だったが…。
 “激しい戦争映画”は怖くない。必要以上に“感情へと訴えかける映画”も好きじゃない。
ここには、激しい戦闘シーンもなく、涙ながらに「どうか行かないで」と引き止める別れの
場面も存在しない。静かだが、“戦争の痛み”に耐え、愛する男性(ひと)との別れを、
何も言えずに見送らなければならない人々の哀しみが描かれている。何も《戦争の
犠牲者》は、“死んでいった者達だけ”とは限らない。それとほぼ同じ数だけの…、
“残された者達の犠牲”でもあるのだ(涙)。彼らが、その人生で“奪われた時間”の
重さと、“生まれなかった愛”の無情を思うと、例えようもない“やるせなさ”に包まれる。
また、改めて、本作が“遺作”となってしまった黒木和雄監督のご冥福を祈ると共に、
彼が生涯拘(こだわ)り続けた反戦とは、“敗戦国・日本”としての、その“国民の視点”に
立って戦争を描いていた点だ。観終わって、戦争に対する憤(いきどお)りで“怒り”に
震えることはない。が、その代わりに、この映画では戦争に打ちひしがれた人々の
悲しみが、涙のように染みてくる。
 さて、この映画の特徴は、そのほとんどが“ひっそりとした家の中”で展開され、
戦場の激しさとはかけ離れた“日常の生活”から《戦争》を描いている点だ。中でも、
ヒロインの言うに言えない淡い恋心を軸に、“当時の戦争観”が浮かび上がってくる
あたりは秀逸だ。ただ、ここで、たった5人に限られた登場人物をみてみると、唯一、
当時(戦時中)としては稀な思想の持ち主に気付かされる。それは、本上まなみ扮する
兄嫁の存在だ。国の勝利の為なら自分の命を投げ出すことさえ厭わない時代の中で、
彼女だけがこの愚かな戦いが早く終わり、“暗黒の時代”が早く過ぎ去って欲しいと
願っている。つまり、彼女だけが“軍国主義のまぼろし”に惑わされずに、観客と
一番近いところで《戦争》を捉えているのだ。観ながら恐ろしくなったのは、戦争が
すでに“日常の中”にまで入り込み、国民一人一人の思想まで確実にコントロール
している点だ。そこでは、本来の常識などいともたやすく撥ね返され、愚かな戦争の
価値観だけがもてはやされる。映画終盤、見合いの相手との結婚を決意したヒロインの
頭上から散り始めた桜の花びらが舞っている。戦場で散っていった命と、果かなく
散っていく桜の花の美しさ‥‥。その後、何度季節が巡ろうとも、桜の季節になれば
思い出す。あの人の面影と…、自分には今とは違う、“別の、もうひとつの人生”が
あったことを。



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『チャイナ・シンドローム』、観ました。

2007-07-21 22:39:15 | 映画(た行)





■監督:ジェームス・ブリッジス 
■出演者:ジェーン・フォンダ ジャック・レモン マイケル・ダグラス

 『チャイナ・シンドローム』、観ました。
人気TVキャスターのキンバリーは原子力発電所を取材中に、恐るべき”事故”を
偶然フィルムにおさめる。しかし、TV局は何故か放送を禁止してしまう。一方、
ベテラン技術者ジャックは、その”事故”の際の立役者となるのだが、”事故”に
疑問を抱く彼は何者かに命を狙われはじめる。そして彼らはそれぞれの立場から、
背後にうごめく巨大な陰謀に迫っていく・・・。
 07年7月17日、新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所で、火災や
微量の放射能漏れのトラブルが生じたという、ショッキングなニュースが日本中を
駆けめぐった。あわや大惨事…、仮にもし、そうなっていたら、過去に前例がない
“日本最大規模の事故”に繋がっていたわけだから、これはまさに今、この上なく
“タイムリーな映画”だといえる。いや、勿論、それは“今回だけ”に限った事ではなく、
これからもこういう事故が起こるたび(起こらないことを願うが)、必ず話題に上る
映画かもしれない。
 さて、前置きが長くなってしまった。映画は、ある日起きた“事故のもみ消し”を
図る原発の経営側と、その“危機的状況”を人々に公表しようとするテレビの女性
キャスター‥‥、その両者の攻防が息詰まる緊迫感の中で描かれている。一方で、
この作品の凄さは、その“社会的なメッセージ性だけ”を手に持って振りかざすのでは
なく、“サスペンス映画としての娯楽性”も兼ね備えている点だ。それは、その年の
アカデミー賞にもノミネートされた脚本の出来栄えもさることながら、一見見過ごして
しまいそうな細かいところでの配慮と工夫が、この映画のサスペンスを盛り上げている。
例えば、ヒロイン専用に映し出されるモニターと、TVのオンエアー時のモニターとを
二つ並べて見せることで“ナマ放送の臨場感”を…、又、映画のクライマックス、
コーヒーに手が伸びる頻度で主人公の“緊張感によるのどの渇き”を演出する
あたりは秀逸だ。ちなみに、タイトルとなった“チャイナ・シンドローム”とは、米国で
炉心融解の原発事故が起これば、溶けた原子炉はやがて地球裏側の中国にまで
達するという…、驚くばかりのスケール感だが(笑)、同時にこの映画成功の秘密は、
意外にもそんな“小さく目立たぬところ”に隠されている。
 では、改めて、本作が投げ掛ける“メッセージ”に対して、オイラの見解を書くとする。
ただ、ここで誤解してはないないことがある…。確かに、この映画は“原発の危険性”を
訴えてはいるが、何も世界中のすべての原子力発電所を根絶してしまえと言っている
のではない。必要性が高く、また危険性も高いからこそ、更なるセキュリティの確立に
気を配るべきなのだと。その証拠として、映画では、機械の故障よりも、それを
操作する側の“人為的ミス”からシステム崩壊へのカウントダウンが始まっていく。
言い換えれば、機械を操作する者、施設を管理する者、部品を作り組み立てる者、
更に、それらを総合的にチェックする者…、そのいずれかでミスや手抜きがあったと
したら、それまで築き、信じられていた《安全》という絶対的神話は、途端に“砂上の
楼閣”となって崩れさる。勿論、人間のすることに“100%”はありえない。しかし、
99%…99,99%…99,9999%……その‘9’を一つでも多いものしていく努力が必要なんだ。



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『フィツカラルド』、観ました。

2007-07-18 20:51:35 | 映画(は行)





監督:ヴェルナー・ヘルツォーク
出演:クラウス・キンスキー, クラウディア・カルディナーレ

 『フィツカラルド』、観ました。
19世紀末。オペラを聴いて感動した冒険家のフィツカラルドは、アマゾン川上流の
未開の土地にオペラハウスを建てるという、無謀な夢に取り憑かれてしまう。そして、
資金繰りのためアマゾン奥地にゴム園を作ろうとする。やがて、何万トンもの資材を
載せた巨大な蒸気船が川を遡って行く。しかし、その行く手には壮絶な山越えが
待っていた…。
 この映画を最初に観たときから、すでに10年以上も経過しているが、未だに何と
形容して良いのか分からない。我ら“凡人の常識”など取るに足らないものとして、
希代の才人が後(のち)の犠牲もかえりみず、“見果てぬ夢”に突き進んでいった
後に陥(おちい)る“狂気の世界”とでもいうのかしら…。全編に漂う“異様な殺気”と、
あくなき“夢への執着”とが《男のロマン》を掻き立て、観る者の心を圧倒する。
まず、先に言っておくと、これからこの映画を観ていく過程でアナタは、いずれ
“とんでもない光景”を目にすることになる。さぁ、それが一体どんなものなのかは、
あえて勿体ぶらずにここで言っておく。なんと、“船の山越え”だ(笑)。それも、
一切のCGを使わず、すべて実写に拘った徹底ぶり。密林の大樹を惜しげもなく
切り倒し、実際に多くの死傷者が出たとされる大作業…。だからこそ、何千トンもある
大型蒸気船が黒い煙をモクモクと吐きながら、山の急斜面を上っていく光景は、
モーゼの海割れにも似た(?)、まさに“この世の奇跡”を見たような気がする。
 ところで、この映画を観ながら“神と人間の関係”について、強く印象付けられた
のは、果たしてボクだけだろうか。神に近づこうした男の“狂気”と、すべての
支配をもくろむ人間の“傲慢さ”…、しかし、一方で、その男の穢れなき真っ直ぐな
“夢への想い”が多くの人々を動かし、不可能を可能へ…、夢を現実のものへと
近づけていく。そして、ここで特出すべきは、いつしか監督のヘルツォーク自身が、
映画製作に深くのめり込むあまり、映画の中の物語と現実の世界とが“混同”し、
映画の主人公へと“同化”してしまっている点だ。言い換えれば、彼のその執念と
情熱が、見事に結集した形で“スペクタクル”を生み、“凄まじい活力”となって
表現されているのが、この映画の素晴らしさだ。そして、そんな彼をみていると、
“優れた映画監督の資質”とは、改めて《真面目さ》だと強く思えてくる。他の人から
見れば、何と愚かで滑稽に見える試みでも、それを真剣に取り組み、出来ると信じて
疑わない。そんな“バカバカしいほどの真面目さ”なのだ。
 (※以下、ネタバレ有り)ラストシーン、結局、主人公はあと一歩のところで夢破れ、
故郷への岐路に着くことになる。しかし、彼のその顔に、無念の色は無い。むしろ、
何かをやり遂げた後の“充実感”に満たされる。成功したとか、失敗に終わったとか、
“結果”なんて問題じゃない。夢を追い、困難に挑む…。果敢に挑戦したからこそ
見える“輝ける世界”と、“人々の祝福”が目の前に広がっている。船上では、
誇り高く葉巻を燻(くゆ)らせる男の姿…、そして、その背後で一団が高らかに
謳い上げるオペラの美しさは、まるで“その男の人生”のようだった。



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『大統領の陰謀』、観ました。

2007-07-15 20:32:27 | 映画(た行)





監督:アラン・J・パクラ
出演:ダスティン・ホフマン, ロバート・レッドフォード

 『大統領の陰謀』、観ました。
1972年6月17日、ワシントンのウォーターゲート・ビルにある民主党全国委員会本部に
5人の男たちが侵入し逮捕された。男たちは盗聴器を仕掛けるために入り込んだが、
共和党の狂信者による単独犯として片付けられる。「ワシントン・ポスト」の若い記者
バーンスタインとウッドワードは、事件の背後に何者かの陰謀を感じ取り、追跡調査を
始める‥‥。
 今まで観ていなかったのが不思議なくらい…。新旧問わず“社会派サスペンス”は
数多く観ているが、これほどまでの“息苦しさ”を感じたのは、過去にも数本程度…。
新聞社の、ごった返したオフィスの中を縫うように移動するカメラワークの“臨場感”、
また、細部にまで拘(こだわ)ったリアリズムの演出が映像に“緊張感”をもたらし、
綿密に練り込まれた脚本が主人公たちの“焦燥感”をあぶり出す。これが“実話
(ウォーターゲート事件)”に基づいたノンフィクションであることを割り引いても、
この映画の“説得力”は相当なもの。その名称だけで、“ウォーターゲート事件”の
実体など、ほとんど知らなかったオイラとしては、これほどの大事件が70年代アメリカで
実際に起きたことに大きな衝撃を受けると共に、“(超大国である)アメリカだからこそ
起こり得た事件”ではないのかなと思ってしまった。
 さて、映画は、若い新聞記者の2人が《国家権力》という名の“見えない敵”に
挑んでいく。その“主人公たちの設定”といい、その“得体の知れないものへの対決
構図”といい、先日劇場公開されたデビッド・フィンチャー監督作『ゾディアック』
連想させる。この2作品に共通するのは、単なる“犯人探し”や“謎解き”だけに映画の
主観を求めずに、幾多の困難に行く手を遮(さえぎ)られながらも、模索し、新たな
活路を切り開いていく“主人公たちの視点”で事件を追っていく点だ。また、彼らの
捜査の基本は、自分のアタマで考え、自ら足を運んで関係者の話を聞く。一見、何の
関連性も無さそうな小さな手がかりさえ虱(しらみ)潰しに当たっていき、行き詰ったら、
また最初からやり直す。そして、一方で“事件の黒幕”は、テレビのブラウン管越しに
映し出される“虚像の姿”や、電話の受話器の向こう側で“怒鳴る声”として…、
その姿が一切表に現れることはない。ならば、アラン・J・パクラ監督の、その“狙い”は
何処に…??、思うに、この映画では“マスメディアのあり方”を問うと同時に、もう一つ、
重大な事を言わんとしているのではないか。例えば、《何気ない日常に潜む恐怖》‥‥、
それは我々の見えないところで何者かが陰謀を企て、人知れず犯罪の計画を実行する。
そして、そのとき、我々に求められるのは、“頼るべきリーダーを探す”のではなく、
何が正しくて何が間違っているのか、我々の一人一人が“正確な判断力”を付けること
ではないだろうか。



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『ライフ・イズ・ミラクル』、観ました。

2007-07-12 20:56:05 | 映画(ら・わ行)





監督:エミール・クストリッツァ
出演:スラブコ・スティマチ, ナターシャ・ソラック

 『ライフ・イズ・ミラクル』、観ました。
1992年、ボスニア。村に鉄道を引くために、今日ものんびり仕事に出掛けていく
セルビア人のルカ。だが、紛争の勃発で息子ミロシュが徴兵に取られて、おまけに
妻まで別の男と駆け落ちしてしまう。悲しみながらも、一人のんきに暮らすルカは、
ある日現れた若く美しいサバーハと恋に落ちるのだが…。 
 エミール・クストリッツァ作品のタイプとしては、前作『黒猫・白猫』と、その前の
『アンダーグラウンド』の、ちょうど中間くらい。“戦争への皮肉”を散りばめながら、
“生の輝き”の高らかに謳い上げる《人生喜劇》。つらくても底抜けに明るい登場
人物たちが、人情味溢れる“生き生きとした描写”で描かれる。劇中で流れ出すたび、
高揚感が湧き上がる“ジプシー音楽”の使い方が特徴的。そして、ストーリー性よりも、
“印象的なワンショット”の積み重ねで、観る者の心に訴えかけてくる手法は、あの、
フェデリコ・フェリーニの映画を観てるよう……。例えば、徴兵される息子がその父との
別れ際、走り出したバスの後部の窓に書き記した“母への伝言”…。捕虜となった
ヒロインが、僅か一切れのパンを猫と分け合ってかじるシーン…。また、主人公と
ヒロインとの間に愛が芽生え、その食べ終わったスイカの両端が、川に流されながら
惹かれ合うように重なる瞬間…。そして、愛し合う二人が、毛布にくるまいながら
丘の下へと転げ落ちていく場面など…、観ながらオレは“切なさ”と“幸福感”とが
入り混じった不思議な気持ちに満たされ、ふいに胸の底からアツいものが
込み上げてくる。オッと、それから忘れちゃいけないッ、恋に破れた悲しいロバと、
ネコにイヌにアヒルたち‥‥、愉快な動物たちが大騒ぎで登場し(笑)、物語に
“良いアクセント”を付けている。さすが、今作でも“クストリッツァ節”は健在だ。
 ただ、一方で…、この『ライフ・イズ・ミラクル』が、必ずしも“先の2作品”を凌駕した
とは思えない。戦時下における“人生の喜悲劇”は、その“ブラックさ”において
『アンダーグラウンド』に及ばないし、『黒猫・白猫』でのグイグイ畳み掛けてような
“人生讃歌”もここにはない。いや、そもそも、日本人的な感覚からして、主人公は
妻子のある身でありながら、“別の若い女性”に走るというのは如何なものか。
オイラ的には(浮気性だが)精神を病んた“妻のヤドランカ”を最後までニクめずに、
(ラストの)主人公の決断はチョット気の毒に思えちゃったのだが。



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『ディパーテッド』、観ました。

2007-07-09 20:18:58 | 映画(た行)





■監督 マーティン・スコセッシ
■出演 レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、マーク・ウォールバーグ、マーティン・シーン

 『ディパーテッド』、観ました。
貧困と犯罪のなかで育ってきたビリーは、長じて優秀な警察官になった。やがて
ビリーはその生い立ちを買われ、マフィアへの極秘潜入捜査を命じられる。一方、
同じく優秀な若手警察官であるコリンは、マフィア撲滅の特別捜査班に配属される。
署内でも人望の厚いコリンだが、実は彼こそマフィアのボスコステロが警察内部に
送り込んだスパイだった‥‥。
 普通に(?)よく出来た‥‥いや、“楽しめる作品”には仕上がっていると思う。
ただ、それはあくまでも“娯楽的な観点”から見た場合で…、例えば、“リメイク
映画”として、オリジナルの『インファナル・アフェア』を凌駕しているだとか…、
“アカデミー作品賞”として、それに相応しいかどうかに限ったことじゃない。
まぁ、アカデミー賞うんぬんに関しては、いろんな思惑(?)が絡み合っていたと
推測されるので、レビューの最後にほんの少しだけ触れることをお約束して、
ここでは一先ず、その前者についてのみ書くとしよう。
 まず、本題に入る前に、オリジナルとなった『インファナル~』が優れている点は、
単なるサスペンス映画の枠を超え、人間なら誰しもその心の中に併せ持つ、善と
悪との二面性まで、しっかり踏み込んで描かれていたと思うんだ。それは、善の
人間が悪の世界に入って尚、善の心を保っていられるか…、あるいは、悪の人間が
善の世界での地位を手にして尚、それを手放すことがきるのか…。言い換えれば、
勝ち取った信頼を裏切ってまで、善は善に、悪は悪に、徹しきれるか否か……。
オリジナルでは、その内面的な描写が凄まじく、ギリギリの緊張感の中で
ドラマ性を盛り上げていたと思うんだ。一方、今回のリメイク作に限っては、
それらが物足らないというか、全体的に人物の描き方が“淡白な印象”を受ける。
確かに…、主演のディカプリオは、その名の通りの大熱演で頑張ってはいるが、
彼は何に怒り、何故イラついているのか…、他人(仲間)を欺くことでの“良心の
呵責”??、それとも、次第に圧し掛かってくる“孤独”と間近に迫った“死の恐怖”??、
どうもハッキリしない。更に、ジャック・ニコルソンはニコルソンで、いつものように
“やり過ぎ感”たっぷりの怪演で(笑)、いかんなく存在感を発揮してはいるが、
果たしてそのキャラクターに“人間的な魅力”を感じるかといったら、そうじゃない。
コステロ(ニコルソン)がビリー(ディカプリオ)に信頼を寄せているのは何とか
理解できるが、ビリーはコステロのことをどう思っているのか…。結局、この映画の
全体にメリハリがなく、終始ボヤけた感じで終わってしまうのは、それぞれの立場や
心情が明確に確立されていないからではあるまいか。
 ラストシーン、部屋の窓の外に見える“国会議事堂”が天に向かって聳え立つ。
皮肉にも、それは主人公のコリンにとって、目の前に見えるのに届かない、近くて
遠い《幻》のようなもの‥‥“成功”であり、“幸福”の象徴だったのだ。一方、予期せぬ
形で“それ(栄光の?アカデミー賞)”を手にしたマーティン・スコセッシの今後は‥‥??、
何かこれで“長年の目標”を達成して、急激に老いてしまうような気がしないでも
ないですが(笑)。



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『リトル・ミス・サンシャイン』、観ました。

2007-07-06 20:31:05 | 映画(ら・わ行)





監督 ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス
出演 アビゲイル・プレスリン、グレッグ・キニア、ポール・ダノ、アラン・アーキン、トニ・コレット、スティーブ・カレル

 『リトル・ミス・サンシャイン』、観ました。
田舎町に住む少女オリーブ。何ともブサイクでおデブちゃんな彼女が、ひょんな事から
全米美少女コンテストで地区代表に選ばれた。オリーブ一家はオンボロ車に乗り、
決戦の地カリフォルニアを目指すことに。勝ち組になろうとする父親や沈黙を貫く兄、
ゲイの叔父、老人ホームを追い出された不良な祖父。そんな家族をまとめようと
奮闘する母親と共に、オリーブは奇妙でおかしな旅に出掛けていく…。
 “大作志向”が加速する近年のアカデミー賞にあって、不思議と年に一本くらいは
“インディーズ系の小品”がノミネートされることがある。で、本年度、その“ジミ
映画枠(?)”に見事滑り込んだのが、この『リトル・ミス・サンシャイン』だ。ただし、
この物語が“ロードムービー”として、特に斬新なものかといえばそうではなく、当初
バラバラだった家族が、一つの旅を通して次第に心を開き、その結束を深めていく
というもの。まぁ、15分も観てれば、大まかな展開も結末も読めちゃうワケだが、
規定の枠を遥かに超えた“ヘンな家族(?)”の珍道中は、狭い車内に噛み合わない
会話が充満し、予想もしえないトラブル続きに爆笑する。底抜けに明るくて、最高に
可笑しくて、ちょっぴり切なくて…、そして最後は、旅の終わりを締めくくる“痛快
フィナーレ”が待ち受ける。うん、確かに“庶民的な小品”であるのは間違いないが、
“小品”ゆえのアイデアと工夫がいっぱいに感じ取れる《佳作》。でも、アカデミー
賞はと言えば…、チョットそういう映画ではないのかな(笑)。
 ところで、このロードムービーを観た人ならば、通常のそれとは違う“本作だけの
特徴”に気付くはず。それは、特にこの人がという“決まった主人公の存在”が
あるわけではなく、旅の車に乗り込んだ家族の皆にスポットが当たり、物語の
エピソードを構成している。人によっては、リトル・ミス・サンシャインのコンテストへ
出場する娘のオリバーが主人公に映るだろうし、又ある人によっては、一家の
主であるお父さんに…、いや、更に別の人が観れば、自殺未遂の叔父さんや、
家族のいざこざを必死に取り持つお母さんなんてことも…。だけど、そんな彼らに
共通するのは、一応に皆強がって“夢”を抱いているが、“本当の自信”はなく‥‥、
禁断の愛や出版社の知人、歴史上の偉人、煙草やドラッグなど、それぞれ心に
秘めた“何か”にすがる。つまり、彼らは揃って“ダメ人間”でありながらも、揃って
“孤独”だったのだ。結局、この長い旅を通じて、彼らが知ったことは、自分は
独りじゃない。いつもそばに“家族”がいるってこと。よく考えてみれば、旅に
向かい、彼らが乗り込んだ“その車”こそ《家族》そのものだったのかもしれない。
なぜなら、その、クラッチ盤の壊れたポンコツ車は、全員の力を合わせて押さないと
エンジンが掛からないのだから。幾多のトラブルに見舞われながらも、何とか
目的地に辿り付いたのは、互いに励まし合い、助け合う‥‥、彼らが《一つの家族》
であった証なのだ。そして、これからも‥‥、その“車”は《愛すべきダメ人間たち》を
乗せ、人生という終わりなき道を進んでいくに違いない。



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『スネーク・フライト』、観ました。

2007-07-01 21:24:16 | 映画(さ行)





■監督 デイビッド・R.エリス
■出演 サミュエル・L.ジャクソン、ジュリアナ・マーグリーズ、ネイサン・フィリップス、

 『スネーク・フライト』、観ました。
青年ショーンは偶然、マフィア組織による殺人事件を目撃してしまう。保護された
ショーンは、組織が犯した殺人事件の目撃者として証言するため、護衛を任された
FBI捜査官フリンと共にLA行きの飛行機に搭乗する。しかし、組織はそれを阻もうと
数千匹の毒蛇、大蛇たちを”新たな暗殺者”として機内に送り込んでいた‥‥。
 まさか、ありえない“無理矢理な設定”に目を疑う。これでもかこれでもかと
空飛ぶジェットの機内にヘビがいっぱい、大変だ。それというのも、殺人現場の
目撃者を殺す為、犯人の放った奇策(?)がコレだったとは、誰が一体、こんな設定、
考えたのか??、ツッコミどころ満載、ご都合主義も何のその(笑)。だけど、もう
バカバカしくて観ていられねぇっていうのは、オイラの表向きのコメントさ(笑)。
実は、まんざらキライじゃないゼ、このB級映画のノリノリ感(笑)。洋式便器の
穴から飛び出して男のナニに喰いつくヘビ…、男女の行為の最中に、いきなり
襲いかかるヘビ…、重量級のオバサンのワンピースの中に忍び込み、欲情させて
しまうヘビ……。もはや、ストーリーや展開などそっちのけで“ヘビのやりたい放題”、
その“暴走ぶり”が目に余る(笑)。一方、それを迎え撃つ乗客や乗務員たちに
許された武器といったら、機内備え付けの電子レンジと、プラスチックの先割れ
スプーンだけ(?)ときたもんだから(笑)、おのずと勝負の行き先は見えてくる。
ラリった(?)ヘビのアタックに耐えること数時間、我ら人類に残された道は、
逃げ場の無い上空の機内を、ただ右往左往して時間が過ぎるのを待つのみなのだ。
とにかく、本作では、その“奇異なシチュエーション”だけが勝手に一人歩きで
先行し、その後ろから“ストーリーと展開”がスタコラサッサと追いかけてってる
みたいなカンジ。まぁ、映画の出来自体は別段驚くようなもんじゃないが、
そこに出てくるもの、見るものすべてに驚かされる(笑)。それにしても、監督の
デヴィッド・R・エリスは、前作の『セルラー』といい、この『スネーク・フライト』といい、
たった“ワンシチュエーションだけ”で痛快なエンターテイメントを作り上げる
奇才だね。豪快にして、行き当たりばったりの出たとこ勝負、、“B級ムービー”は
こうでなくっちゃ(笑)。



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