肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『あらしのよるに』、観ました。

2005-12-15 17:50:40 | 映画(あ行)

 『あらしのよるに』、映画館で観ました。
嵐の夜に出会ったヤギのメイとオオカミのガブは、種族の違いを超えて友達に
なる。事実を知った仲間たちからの猛反対に合った2人は、群れから離れることを
決意する‥‥。 
 こんな“寒い夜”だから…、こんな“冷たいハート”だから…、こういう
“温かい映画”が観たくなる‥‥。観ながら2時間、オイラは泣き通し。普段は
エンドロールを待たずして立ち上がるのに、今作ばかりは座席に待機。涙が
乾くまで、しばらく時間がかかったゼ。勿論、“泣ける映画”がすべて優れて
いるとは思わないけど、少なくともオイラはこれを“泣けるだけの映画”とは
思っていない。ここでは、ヤギとオオカミの間に芽生えた、一見“ありえない
友情”を軸に、姿形による「偏見」や「差別」の無意味さ…、強いては、
ちっちゃい世界で「掟(おきて)」やら「規則」やらに縛られていることの
愚かさを描いている。互いの“集団の枠”から抜け出し、「自由」を求めて
旅立つヤギとオオカミ‥‥。あの高い山の向こうに「未来」があると信じて
進む2人(匹?)の姿が、オイラに瞳に眩しく映る。だって、こんな“暗い時代”
だから…、こんな“薄汚れた世界”だから…、こういう“未来を照らす映画”を
待っていた‥‥。
 さて、やっぱりこの映画で強烈なのは、オオカミ「ガブ」のキャラクター。
“上品”とはおよそ似つかわしくない、大きなお顔と裂けた口。いつも下品な
ニタニタ笑いを浮かべてる(笑)。しかし、そんな外見とは裏腹に、情にもろく、
気の優しい、憎みきれないロクデナシ。オッとそれから、忘れちゃいけない、
「~でやんす」口調も楽しくて、自然と笑みがこぼれちゃう。ユーモラスで、
親しみ深くて、あったかい…、そんなガブの“人柄”ならぬ“狼柄(?)”を
醸(かも)し出していました。それにしても、“ご馳走”を目の前にして、
湧き上がる“邪念”を抑え込み、“友情”の方を重んじる‥‥、未熟者の
オイラから見るガブのそのお姿は、ひたすら禁欲生活に耐える“修行僧”の
ようでありました(笑)。

 



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