肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『インソムニア』、観ました。

2005-09-26 16:48:12 | 映画(あ行)
インソムニア

ポニーキャニオン

このアイテムの詳細を見る

 『インソムニア』、観ました。
白夜のアラスカで殺人事件が発生し、LAのベテラン刑事が現地に派遣される。
ところが、彼は犯人の追跡中に誤って自分の相棒を射殺してしまう‥‥。
 監督はクリストファー・ノーラン。この映画によって彼の『メメント』の成功が
フロッグでないことが証明された。グルグルと回るストーリー展開のスピード感、
主人公が体験する“終わらない不眠症”を見事に映像化した撮影テクニック、
どんでん返しやトリックに頼らない完璧な脚本構成、、、近年稀にみるサスペンス
映画の傑作だ。
 ズバリ!この映画のキーワードは《善と悪》‥‥“善”の象徴とも言える刑事が、
正義を追求し過ぎるあまり、いつしか自分が“悪”の領域に足を踏み入れたことに
気付かない。眠れない主人公は徐々に思考力と判断力を失いながら、ついには
〈善〉と〈悪〉との境界線が曖昧になっていく‥‥。アラスカの沈まない太陽の下、
白夜の“幻想的な雰囲気”を隠し味にして、主人公の“極限心理”をリアルに
描き出していました。
 さて、犯人ロビン・ウィリアムズは“善人顔”の裏に“凶悪残酷性”を併せ持つ、
彼の“良心的なイメージ”を逆手に取った犯人像は、まさにキャスティングの妙。
物語の最後、主人公の撃った弾丸に倒れ、「善人顔の殺人鬼」が水中深く
沈んでいく‥‥しかし、主人公が見た〈それ〉は、“実在した犯人の姿”ではなく、
水に映った「正義の仮面をかぶる悪徳警官」、、、“自分自身の姿”だったのです。


最新の画像もっと見る