肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『マイ・ブルーベリー・ナイツ』、観ました。

2008-11-27 16:07:35 | 映画(ま行)
マイ・ブルーベリー・ナイツ スペシャル・エディション [DVD]

角川エンタテインメント

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監督:ウォン・カーウァイ
出演:ノラ・ジョーンズ、ジュード・ロウ、デイヴィッド・ストラザーン、レイチェル・ワイズ、ナタリー・ポートマン


 『マイ・ブルーベリー・ナイツ』、観ました。
恋人に捨てられたエリザベスは彼のことが忘れられず、彼の行きつけのカフェに
乗り込む。そんな彼女を慰めてくれたのは、カフェのオーナー・ジェレミーと、甘酸っぱい
ブルーベリー・パイ。それからのエリザベスは、夜更けにジェレミーと売れ残りの
パイをつつくのが日課になる。しかしそんなある日、彼女は突然NYから姿を消す。
恋人への思いを断ち切れずにいたエリザベスは、あてのない旅へとひとり旅立つ…。
 やっぱりな。またもウォン・カーウァイが自己陶酔に入ってる。どっか一手間掛けたい
性分は、お料理作るにゃ結構だが、映画の画面で観るにゃクセがある。凝りまくった
映像で、今宵ナルシストな自分の世界に浸りたい方はどうぞ。普通の感覚で普通の
映画を観るように挑んだら、痛い目にあうゼ。こういうのはアタマで深くあれこれ
考えて観るより、何も考えないで“感性”で観るくらいがよろし。例えば、音楽で
いうところの“BGM”みたいに。言葉によるメッセージ等々を解読していくんじゃなくて、
場の空気や雰囲気を優先して観る映画かなと。勿論、それは良きにつけ、悪しきに
つけ、ね。ま、悪いこと言わないから、ストーリー重視の方、あるいは、それに思い
当たる節の方は早々にご退散下さいね。
 さて、映画の構成は、大きく、3つのパートから成り、ヒロインとカフェ主人が
出会うNYの‘大’ドラマに挟まれる形で、それぞれメンフィスとラスベガスが舞台の、
独立した‘小’ストーリーが数珠繋ぎで並んでいる。3つのパート全てに登場する
ヒロインが存在するが、むしろ、中間の2話では“彼女の視点”を借りて、(自分とは
違う)別世界の人物達を眺めているように感じられる。言ってみれば、彼女自身が
我先にとばかりに前へ前へ出るのではなく、偶然にその場に居合わせた“傍観者”の
印象かな。その上で、その3話に共通するテーマとしては、失って初めて気付く
“自分にとっての大切な人”ってところでしょうか。勿論、この映画の、この3部
構成を通して、ウォン・カーウァイが言わんとしていることも分からんでもないのだが、
何かこう、胸にグッと突き刺さるものがない。その原因の一つとして挙げられるのは、
1話、2話、3話と進む過程で、彼女から変化がみられない。イマイチ“成長の跡”が
感じ取れないんだよ、残念ながら。おかげでロードムービーというよりも、単なる
オムニバス映画みたい。ま、仮に、こんな調子で2時間半も見せられた日にゃー
たまったもんじゃねぇが、1時間35分の長さは助かった。このくらいが手頃でしょう。
 それにしても、ノラ・ジョーンズの福与(ふくよ)かな唇は、何ともおいしそう。カフェ
主人の立場じゃなくとも、むしゃぶりつきたくなる。タイトルの“ブルーベリーパイ”
なんかより全然イケちゃいそう。でもって、その直後の、パイ生地に流れ込む
生クリームの映像がオイラの視覚をくすぐる。“新たな恋の予感”と共に、“不思議な
エロチズム”を感じさせるね。



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『つぐない』、観ました。

2008-11-13 22:39:18 | 映画(た行)
つぐない

ジェネオン エンタテインメント

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原作 イアン・マキューアン
監督 ジョー・ライト
出演 キーラ・ナイトレイ、ジェームズ・マカヴォイ、シアーシャ・ローナン

 『つぐない』、観ました。
1930年代のイギリス。政府官僚の娘セシーリアは、身分の違いを越えて、使用人の
息子ロビーを愛していた。だが、2人の愛は多感な妹ブライオニーのついた嘘によって
引き裂かれてしまう。やがてロビーは戦場の最前線に送り出され、セシーリアは
ロビーの帰りをひたすらに待ちわびる。ブライオニーが自分の罪の重さに煩悶する中、
3人の運命は、時代の流れに呑み込まれていく…。
 これまであまり目にしたことのない、新しいタイプの大人のラブストーリーか。
前半部分はやわらかく、洗練された映像の中、上流階級の純愛ドラマが展開され、
一転、後半では重苦しい、戦場での現実が襲い掛かってくる。ある出来事をさかいに
人生が暗転し、明と暗に分かれていく。その、くっきりと浮かび上がる“人生の
コントラスト”が無常にも世界を照らし、何ともやりきれない気持ちにさせられる。
個人的には今年不作の洋画にあって、一際重厚な人間ドラマを味わった。と同時に、
強く情感に訴えかけられる作品だった。
 まず、本作で大いに感心させられるのは、綿密に練り込まれた脚本と斬新な構成の
秀逸さだ。現在と過去、現実と空想――、ここではそれらを巧みに交錯させながら、
ミステリアスな展開で進んでいく。勿論、この種の技法は『シックスセンス』やら
『ビューティフル・マインド』やら、はたまたその他タランティーノの映画などで、
あるにはあった。しかし、今回はそれをサスペンス映画でもなく、犯罪映画でもなく、
文芸風の純愛ドラマに活用したのだから驚きだ。作る方もかなりの勇気がいったこと
だろう。今にして思えば、“ラストの、真実”に至る過程で、すでに様々な伏線が
散りばめられていて、少女が蜂の飛ぶ窓を眺める“プロローグ”から緻密に計算
されていたことを知る。いや、だからと言って、この映画が単に鮮やかなプロットを
みせたいがだけの映画とは思って欲しくない。いみじくも少女の心の未熟さが招いた
小さな過ちが、彼女自身を含めた男女3人の人生までも大きく狂わさてしまう“運命の
残酷さ”――。そして、もう引き戻せない過去と、絶望の現実の中で、少女が自らに
課した“罪と罰”――。その苦しみの深さを知る毎に息苦しく、積み上げられた時間の
重さが観る者の心へと圧し掛かってくる。
 では、逆の視点からみれば、どうだったんだろう。人生を狂わされた側の、男の
気持ちは??、映画でボクが忘れられない台詞がある。物語終盤、戦場を彷徨う男が、
最愛の女性に当てた手紙の中の一節だ。《僕は、戻る。そして、君に会い、君を愛し、
君と結婚し、汚名をきせられた人生を、生きる》と。そこには、少女に対する怒りや
憎しみはない。どんな形でも自らの人生を受け入れ、“愛する女性への想い”だけが、
彼の、生への根源になっているように感じられる。それからも分かるように、結局、
少女は二人の世界に割って入っていけなかった。二人の愛を遠くで見ているだけの
自分が辛過ぎたんだ。多分、この悲劇は誰のせいでもない。“少女の、最後の優しさ”が
溢れた結末をみるにつけ、心からそう思う。



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『アイアンマン』、観ました。

2008-11-07 19:52:44 | 映画(あ行)





監督:ジョン・ファヴロー
出演:ロバート・ダウニー・JR.、テレンス・ハワード、ジェフ・ブリッジス、グウィネス・パルトロウ、

 『アイアンマン』、映画館で観ました。
軍事企業CEOにして天才発明家のトニー・スタークは、武器のデモで訪れた
アフガンで 武装集団に拉致され、兵器開発を強要される。彼は兵器開発を
するフリをしながら脱出用のパワードスーツを製作し、命からがらの脱出を
果たす。 帰国後トニーは自社の軍事産業からの撤退を発表。自らは自宅の
作業部屋に篭って、 新型パワードスーツの開発に没頭する。彼の周囲は
恐ろしい陰謀がうごめいているとも 知らずに……。
 日本語に訳すと“鉄人”ってか。おっと“28号”じゃないゼ。まったく、人を
喰った タイトルだ。普通なら絶対付けない。ありえんよ。こんな時代錯誤の
タイトルは。でも、観てくうち、なんも考えてないてないようでいて、それが
狙い通りの確信犯だと分かってくる。後のレビューにも触れるが、先に
ここで 言っておく、「この映画の名付け親、なかなかの策士だゾ」。
 物語の主人公は、元をただせば開発能力に長けた発明家で利己主義な
戦争の 武器商人。公共のモラルとは掛け離れたところで自分の懐を肥やし、
その財でもって夜毎、オンナ遊びとカジノに明け暮れる。いわゆる、世間
一般にいうヤな奴だ。しかし、それがある事件をきっかけに、自分の体を張って
“悪を退治する側”へと変わっていく。しかし、人はそんな“簡単”に、且つ
“劇的”に変われるものだろうかとツッコミたくもなるのだが、それがアメコミという
“マンガの世界”なら許されようぞ。その辺のくだりが、さもアメリカ的な
アバウトさ加減で、しかもそれが“濃ゆキャラ”の中年おっさんに戦闘スーツを
付けて戦わせるのだから目を疑う。でもって、その“屈折した、アンチな
ヒーロー像”が、最高にCOOLで、ダサかっちょイイのだ。彼が悪に対して
敵対心を燃やせば燃やすほど、また、正義に対して進めば進むほど、どっか
ヌケてる感じがして笑っちゃう。悲しいかな、彼の、そのエネルギーの向かう
ベクトルがちょこっとズレてるのサ。主演の ロバート・ダウニー・JR.も、そこを
重々理解した上で、コミカルよりマンガチックに 演じることに重きを置く。
ゴボウのようにアクが強くて、山椒のようにピリリと辛い。まったく何処までも
ファンキーな野郎だゼ。
 映画は、『トランスフォーマー』より断然イカしたロボット対決が展開され、
ナンセンスなSF映画として観るにはゴキゲンな出来栄え。それにしても、
それまでさんざ武器を売って大儲けしてた主人公が、今度は自分の命が
危うくなってきたら、金に任せて“鉄の鎧”を作り、悪を撲滅するため立ち上がる
なんてのは、ちょっと幼稚で身勝手過ぎるんじゃあるまいか。いや、それって
“どっかの大国のありのままの姿”じゃないかしら。実は、この映画を観て
オレたちが笑っているのは、単に物語の中の主人公だけじゃなく、その背後に
透け出して見えてくる“アメリカの滑稽さ”かもしれないゼ。


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