人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

METライブビューイング・アンコールでドヴォルザーク「ルサルカ」を観る ~ 優れた歌唱力と神秘性を漂わせた演技力のクリスティーヌ・オポライスにブラボー!

2022年09月27日 07時03分12秒 | 日記

27日(火)。わが家に来てから今日で2816日目を迎え、ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻の兵員補充のため、「部分的動員」を発令した21日以降、ロシア各地で徴兵事務所への放火が相次いでいると、ロシアの独立系メディア「メデゥーサ」が25日伝えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     徴兵候補者名簿を焼けば徴兵を免れるかもしれないからね 誰だって放火したくなる

 

         

 

昨日の夕食は「サーロインステーキ」を焼きました 野菜類はお皿に乗せてワンプレートにしました。あとは里芋の味噌汁です 娘が朝早くから出勤しているのでスタミナをつけなければなりません そのため、どうしても肉料理が多くなってしまいます

 

     

     

         

 

昨日、東銀座の東劇でMETライブビューイング・アンコール上映、ドヴォルザーク「ルサルカ」を観ました これは2017年2月25日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です キャストはルサルカ=クリスティーヌ・オポライス、イェジババ=ジェイミー・バートン、水の精ヴォドニク=エリック・オーウェンズ、王子=ブランドン・ジョヴァノヴィッチ、外国の女王=カタリーナ・ダライマン。管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、指揮=マーク・エルダー、演出=メアリー・ジマーマンです

 

     

 

オペラ「ルサルカ」はアントニン・ドヴォルザーク(1841ー1904)がチェコの有名な詩人で劇作家のヤロスラフ・クヴァビルの台本を基に1900年に作曲、1901年3月31日にプラハ国民劇場で初演されました

神秘的な湖の畔で森の精たちが歌っている 水の精ルサルカが、年老いた水の精に人間の王子に恋をしたと打ち明ける 老人は魔法使いに相談するようアドヴァイスする 魔法使いイェジババは「人間の姿になる代わりに、愛の証を得るまでは口がきけなくなり、王子に裏切られた時は破滅する」と忠告する それでもルサルカは人間になることを選ぶ 森の奥で王子は美しいルサルカを見つけて魅了され、お城に連れ帰る(以上第1幕)

宮殿の庭で森番と皿洗いが噂話をしている それによると、王子と不思議な娘の結婚準備が行われているものの、王子はすでに外国の王女に心を移しつつあるという 王子とルサルカが登場すると、王子は口のきけないルサルカに不満を示し、そこに現れた外国の王女と広間へと去る 絶望したルサルカは、心配して様子を見にきた年老いた水の精に哀しみを訴える 王子と王女が現れ、抱き合っているのを目にしたルサルカは、そこに倒れてしまう 怒った年老いた水の精はルサルカを水中に連れ去る(以上第2幕)。

湖畔で哀しみにくれるルサルカを見たイェジババは、王子の命を奪えば呪いが消えると諭し短剣を渡す しかしルサルカはそれを捨ててしまう 森番と皿洗いが重病に侵された王子を心配している 湖の畔に王子が現れ、ルサルカも姿を見せる。ルサルカは「私が口づけをすれば生きることはできない」と忠告するが、死を望む王子は口づけを願う ルサルカは死の口づけをし、2人は湖に沈む(以上第3幕)

 

     

 

METライブビューイングの「ルサルカ」と言えばルネ・フレミングがタイトルロールを歌った2014年2月の公演が強烈に印象に残っています 優れた歌唱力に加え神秘性を漂わせた美しい容姿でなければならないルサルカは人を選びます ラトヴィア出身のクリスティーヌ・オポライスはその要件を満たすのか、というのが最大の関心事です ラトヴィア出身といえば、「サムソンとデリラ」のデリラを歌ったエリーナ・ガランチャもラトヴィア出身です 優秀な人材を輩出していますね

第1幕冒頭の場面は森の精と水の精の戯れですが、ワーグナーの「ラインの黄金」の冒頭シーンを想起させます ドヴォルザークはワーグナーの影響を受けていたと言われていますが、こういうところに表れています その後、ハープの美しい音楽に乗って登場したオポライスは美しく神秘的で”水の精”ルサルカそのものです そして、大きな満月を背景に、長い旋律のアリア「月に寄せる歌」を抒情的に歌い上げます 何と美しく透明感のある歌唱だろうか 第2幕では一転して、冒頭からルサルカは口がきけないシーンが続きます 幕間のインタビューで「第2幕では歌や台詞がないシーンが続きますが、どうやって取り組みますか?」と訊かれ、オポライスは「前半25分間くらいはまったく声を出しませんが、ただ立っているわけにはいきません ”背中の演技”を含めてルサルカの心情を観衆に伝えなければなりません 演技だけでルサルカの心を態度で表す必要があります。難しいですがやりがいがあります」と答えていました その通り、オポライスの”背中”にはルサルカの悲しみや憎しみが滲み出ていました

イェジババを歌い演じたジェイミー・バートンは魔女が”はまり役”です 水の精ヴォドニクを歌い演じたエリック・オーウェンズは深みのあるバスで、存在感を示していました

本ライブビューイングは休憩・インタビュー等を含めてトータル3時間54分でしたが、まったく飽きることなく最後まで鑑賞することが出来ました METの水準の高さをあらためて感じる公演でした

 

     

 

これで3日連続でMETライブビューイング・アンコールを鑑賞しましたが、「2022ー2023シーズン」は11月25日から来年7月20日まで全10演目が上映されます モーツアルト「ドン・ジョバンニ」「魔笛」、R.シュトラウス「ばらの騎士」、ヴェルディ「椿姫」、ワーグナー「ローエングリン」、ヴェルディ「ファルスタッフ」といったお馴染みの演目に加え、ケルビーニ「メデア」、ジョルダーノ「フェドーラ」、ケヴィン・プッツ「めぐりあう時間たち」、テレンス・ブランチャード「チャンピオン」といったMET初演、新演出のチャレンジングな演目が上映されます ロシアのウクライナ侵攻や原油高などの影響で航空運賃や燃油サーチャージが高騰していることに加え、円安が止まらないことから、海外の主要なオペラ劇場の引っ越し公演が期待できなくなった現在、METライブビューイングはますます一流のオペラを鑑賞する貴重な手段となりつつあります

 

     

コメント
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