・・・てんてんてん。

とっぴーの非生産的な日常とその実態。

apathy

2006-10-30 20:37:33 | weblog
今日、三田文学が届いた。代金950円の請求書と共にやってきた。待ちに待っていた、という程ではないんだけれども、やっぱりなんだかうれしい。

早速、『アパシー』 / 片山飛佑馬 を読んでみる。

文章を書くのが苦手な僕が感想を書くのは何か危ない作業のような気がするんだけれども、一応書いてみよう。書かないと僕は考えないだろうし、きっとこのモヤモヤとした思いはそのまま霧散して消えてしまうだろう。

・・・。

手記というよりもこれは小説です。ただ、章によって、文章の語り口・形式が全然違っていたりします(それが作者の不安定さを表している・・・気がしないでもないが)。特に第7章から第9章にかけては、なかなか面白くて、寓話のような不思議な話になっています。カッパが出てきたり、裁判所でのやり取りになったり。
読む前は『暗くて悲しい内容・文章なんだろうなぁ・・・』と思っていたんだけれど、そういう訳でもありませんでした。割とすんなり読めます。

『小説』という形式なので、いわゆる『遺書』とは違います。『遺稿』です。作者が自分の主観をありのまま書いている、というよりはどこか客観的。さらに、自分の苦悩・自殺願望をストレートに書き綴っているのではないこと、うつ病になった原因が書かれていないこと、などが重苦しい雰囲気を取り去っている・・・気がします(でも、それを詳しく知りたかった・・・)。
でも、激しく心を動かされる場面も何度かありました。『あまりに弱すぎる、あまりに弱すぎる』というところとか。

最後の方の第22章・24章の内容、それは短い文章で綴られているんだけれども、最初から全部読んだ後で初めて分かる重さだなと思いました。第22章、如何にして作者はこの結論に達したのか。そして第24章、それなのに何故死を選んだのか。

全体を通して言える事なんだけれど、文章の上手さ・そこに出てくる単語・引用されている文献などから、筆者の教養レベルの高さを窺い知ることが出来ます。

読みやすい。示唆に富んでいる。

・・・。

なんだかんだ言って当り障りない感想になってしまった。もっと読み込む必要があるだろう。深くは書けないのか、考えられないのか、言葉に出来ないなんていうのは逃げているのか。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

これまた都合よく、森博嗣『捩れ屋敷の利鈍』をBOOK-OFFで発見。Vシリーズ8作目。順調に順番どおりです。この本、S&Mシリーズ・Vシリーズを通していちばん薄い本です。しかもこの本だけ文字が大きい。何故だ。まさか本を少しでも厚くして値段を上げようとでも!?

読書の秋ですね。
It is the best season for reading books.