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カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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SEIKO マーベル(1957年製)をレストアするの巻

2016年10月27日 23時17分30秒 | ブログ

時計です。1957年(昭和32年)生まれの方いらっしゃいますか? もうすぐ定年の世代なので、うちのブログは見て頂く方は少ないかもしれませんね。カメラもそうですが、腕時計も自分の生まれた年に作られたモデルは手にしたいものです。今回はもちろん同じお生まれ年でなくとも、ご希望の方にお譲りをします。セイコー・マーベルは1956年6月に発売された、それ以後のセイコー時計の基礎となった機械で、このモデルで舶来品に追いついたと言われた名機です。

これ以後のセイコーは裏蓋の打刻数字で製造年月が分かるのですが、この頃はそのように形式となっていないため、正確な製造年月は不明ですが、耐震装置が製造時期によって種類があり、それによって特定することが出来ます。まず、発売当初は耐震装置なし、半年後に輸入耐震装置U型付、1年後にE-2耐震装置付、2年後にセイコー製のS-1耐震装置付、その後S-2耐震装置付となります。この個体はE-2耐震装置付のことから1957年製と推測できます。

ケースのサイズはまだ小さく、現在で言えばボーイズサイズですね。当時は金ケースが主流でしたが、消耗をして現在は程度の良いものは少ないのですが、ステンレスケースの場合は、比較的良好なコンディションを保ったものがあります。今回も軽く研磨をした状態。しかし、困るのがトキライトと言われるドーム風防です。サイズの種類が多く、適合するデッドストックを見つけることは難しいのです。現在、作られているドーム風防を流用することになりますが、ほとんどのものが縁の部分が角ばった形状で、当時の丸みがありません。仕方ありませんので、旋盤で角部分の形状を修正してみました。

マーベルには17石 19石 21石がありますが、当時は17石が圧倒的でこの個体の19石は少数です。17石の地板はニッケルメッキですが、19石は赤機械で、これも少ないです。すべて洗浄をしたところ。

 

う~ん、なんですがスイス製の機械みたいですね。香箱も同じ色です。

 

 

この時代のものは、殆ど裏押えが折れていることが多いのですが、この個体は健在でした。この時代の時計は疲労しきった個体が多いのですが、ホゾも偏摩耗をしているところはありませんね。

 

歩度調整が極端に+方向に振られていましたが、それを戻していくと・・60年前の時計としては悪くないデータですね。元々、機械の素性が良いのですけど・・

 

非防水ですから実用された個体はケース内に汗などか侵入してしまいます。この個体も下側の汚れ腐食があって残念ですが、手持ちのストックは17石ばかりなのでこのまま使用します。まぁ、この時計の歴史ですから。剣型の針を磨き出して取り付けます。

良い眺めです。機械のサイズは25.6mmで、ケース外径は32mmです。前モデルのスーパー23.3mmから大型化したのに、ケースの大きさはそのままなのでギリギリに見えますね。この後、ケースは大型化して行きます。

 

 テンプが動いているので分かりずらいですが、テン輪の外周にネジ状のウエイトを付けて質量を調整して精度を上げるチラネジ付ですが、以後はチラネジ無しのテン輪(現在も)になります。耐震装置の無い機械は、落下などの衝撃で天真が折れる(私も経験しています)危険性が高く、耐震装置付は非常に有用な進歩でしたね。初期は「アンチショック」と称し、その後はこの個体も「ダイヤショック」と称されるのもおもしろいところ。

 ベルトは現在の主流18mmからすると細い16mmですので選択肢は少ないのです。厚みも厚いものが多いですので、出来るだけ厚みの薄いベルトということになるとセイコーの補修用ベルトになりました。

 

バネ棒も新品を使ってスカッと取り付けます。

 

 

セイコーの各モデルのデッドストック文字板は見つけた時に入手するように心がけていますが、同じモデルでもケースによってサイズは多種ありますし石数の違いもあるのでドンピタで適合するものは稀ですね。

 

左は今回の個体より1年後のマーベルです。ケースが大型化されていますね。じつは、新品のケースと新品文字板、竜頭を使って、私が作った個体です(非売品)。金ケースでここまできれいなものは少なく、専門店で高額で販売されている美品も同様なものがあるのでは? とか思っています。実用上十分な精度を持っていますので電車通勤でも大丈夫です。ご希望の方があればお譲りをします。但し、現在の感覚からすると小ぶりな時計になりますので、腕の細い方向きかなぁ? と思いますね。下記までお問合せください。

tomytmzk@titan.ocn.ne.jp

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/


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