tomitaikyoブログ

富退教(富山県退職教職員協議会)事務局からの情報発信です。会員の親睦を中心に教育現場への支援など様々な活動をしています。

※番外編・・・「君たちはどう生きるか」

2018年10月12日 | 日記

 これは、昭和の名著「君たちはどう生きるか※吉野源三郎著(岩波文庫)」のタイトルから・・・。ご存じ池上彰氏が推奨して、最近は大ヒットの売れ筋本です。もっとも、原本の復刻版より漫画版の方が売れているようですが、以前に復刻版(岩波文庫)の方を読んでみました。実は、今日たまたま学校の初任者に読書論をぶったので、この本のことを思い出した次第。
 この本から教わることは大変多いのです。一般には道徳性にかかわる「人間の生き方」を問う人生読本として紹介されますが、視点を変えると、もっと深い学びがありました。だから、現役の先生方には是非読んでほしいと思ったところです。この深い学びを教えてくれたのは、巻末の丸山真男氏の回想文です。これが実に良いと思われました。見出しには「『君たちはどう生きるか』をめぐる回想~吉野さんの霊にささげる~」とありました。これは、吉野氏が逝去された折に雑誌に追悼文の一つとして掲載されたもののようです。他の方の弔辞なども掲載されていたようなので、丸山氏の弔辞とも言えるものでしょう。

 この丸山氏の文章から様々なことが学べます。例えば、今我々が推進しようとしている総合的な学習をはじめとした「アクティブラーニング」の自然な姿が小説に描かれています。それは、小説の主人公コペル君が、~じかの観察から出発して、そこからいろいろな物事を関連づけ、その意味を探っていく姿に社会科学的認識の姿として表現されている~との解説には納得です。丸山氏の言葉にあるように、この小説から「思考や認識方法」の面で深く学ぶことが出来たのです。
 丸山氏は昨今の徳目的な「道徳教育」の必要を唱える人々に対して、やや批判的に、この「君たちはどう生きるか」を改めて熟読してほしいと綴っています。(土)