にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

『寂しい狩人』

2005年09月05日 | BOOK
山田風太郎「明治もの」第4弾作品が、取り寄せを頼んだ図書館に到着するまでのあいだに読み終えた。
やっぱり短編は読みやすい。舞台は東京下町にある古書店「田辺書店」。そこで繰り広げられる本が絡むいろんな事件。そしてその事件を解決するのが「田辺書店」の店主イワさんとその孫の稔くん。二人をサポートするように登場する「田辺書店」の元オーナー、イワさんの友人の息子で刑事をしているカバさん。
第1篇の『六月は名ばかりの月』は、私にはどうもいただけなかった。宮部作品にはずれなし・・・と言ってたんだけど、これだけはちょっと後味悪い。で、一番最初にこれだったから、この後大丈夫かなぁ~と思って読み進めたのですが、なんのなんのそんな心配は無用でした。これぞ宮部ワールド。「世話もの」路線ですごく面白く、ほんのりと考えさせられる。
なかでも『うそつき喇叭』にはドキリとさせられた。しかも本筋ではなくこの物語を語る童話『うそつき喇叭』そのものに。しかもこれも宮部さんの創作による童話だそうで、やっぱこの人はただ者じゃないですね。この物語の中では「うそつき」の存在を示唆するために、見極めるために使われているのですが、なんだかそれだけに使われるために書かれたようには思えない。
ちょうど来週が選挙なんですよね。ふと「うそつき喇叭」の音色がどこかで聞こえているんじゃないか?という気になる。大きな音で奏でられる「うそつき喇叭」の音色にかき消されている事実を訴えようとするピッコロの音を聞き取れるくらいに繊細な耳を私たちはしっかりと養わないといけないんでしょうね。でもそのピッコロも怪しいもんだしなぁ~。・・・っと・・・なんだか本の感想じゃなくなったような・・・(^^;)。ま、いっか。

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3 Comments

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短編連作 (丸山 哲也)
2005-09-07 19:37:08
 私はこの作品、「ステップファーザー・ステップ」のようなユーモア・ミステリの流れを汲むものと思って読んだので、そのしみじみとした味わいに面喰らいながらも感動してしまいました。

 確かにこれ「世話もの」ですねえ。現代劇でありながら、どことなく時代劇のようなテイストがある作品であります。
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世話もの (とめ)
2005-09-08 21:07:16
丸山さ~ん。

お山からの無事のご帰還なによりです。



私この前に『本所深川ふしぎ草紙』を読み終えたんですが、一遍目はともかくそのあとがなんともこの作品と雰囲気がかぶるんですよね。もうまさしく時代劇テイスト。

ふとミステリ的要素はとっぱらって人情喜劇なんてのを書いていただきたいな。なんて思っちゃいました。宮部さんならそれくらいやってのけそうですよね。

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それナイス! (丸山 哲也)
2005-09-10 21:35:45
 宮部さんの人情喜劇、それいいかも知れませんね。短編だとそれに近いものがいくつかありますし。いつか、ぜひやっていただきたいものです。

 ところで、東京新聞に連載中の「名もなき毒」ですが、かなり凄いことになりつつあります。杉村さんにまとわりついていた「メイワク女」が、とんでもない事をやらかすんですよー。
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