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今日の筆洗

2021年07月29日 | Weblog

「夢」「永遠」「未来」「成長」−。習字の課題に似ているが、違う。近くの図書館の蔵書から、「何々へのパスポート」という題の本を探すと、たくさんあった。「合格」や「国際人」「幸せな老後」も▼中には「犯罪」や「戦場」などというのもあって、一概には言えないが、「パスポート」という言葉が、好ましい状況を実現する手だての例えとして、広く使われてきたのが分かる。旅券と訳す本来のパスポートのほうは、通過と港などを意味するフランス語が由来らしい。船の出入港の許可が、人の渡航にも使われるようになったようだ▼新しい「パスポート」を待望している人は多いだろう。申請の受け付けが始まった新型コロナウイルスのワクチン接種の証明は「ワクチンパスポート」と呼ばれる。「隔離の免除」をはじめ「ビジネス」「留学」などへの手だてとして、対象国が増えれば、重要な証明になりそうだ▼好ましそうに思える一方で、渡航先に限らず、国内での運用を求める声もある。活用の仕方次第で、経済への効果がありそうな分、接種しない選択をする人や健康上の理由で接種できない人たちに大きな不利益が生じないか、心配になる▼接種は任意である。接種できない人の身にもなって慎重に考える必要があるはずだ▼「国際人への」であっても「冷遇への」であってはならない新パスポートであろう。