東京新聞寄居専売所

読んで納得!価格で満足!
家計の負担を減らしましょう!
1ヶ月月極2950円です!
アルバイト大募集中です!

今日の筆洗

2021年07月02日 | Weblog
 日本は世界に冠たる長寿の国であるだけでなく、長寿企業の国でもある。二〇〇九年に発行された帝国データバンクの『百年続く企業の条件』という本によると、創業、設立から百年をこえる長寿企業は二万社近くあり、三百年超も四百社以上ある。世界一の多さであるそうだ▼戦争、恐慌、不況を乗り越えて存続する長寿企業に、大切なことを表す漢字一文字は何かと同書で尋ねている。「信」が最多、続いて「誠」だった。会社の命脈を左右するのは信用と誠実さということだろう。維持が難しい二文字かもしれない▼創立から百年をこえたところで「信」と「誠」に傷が入った企業もある。今年、百年企業に仲間入りした三菱電機が、鉄道車両向けの空調機器をめぐり、データの偽装など不正な検査をしていたことが明らかになった▼百年の歴史のうちで、不正は三十五年以上続いていたとみられる。改める機会はいくらでもあったはずだ。もっともらしいデータを作るプログラムまで使っていたそうである▼社内調査で不正が分かっても株主総会で言及することなく、取引先には「安全性に問題はない」と説明したという。信用に加えて、誠実さを疑わざるを得ない▼他の不祥事もあった。社風は堅実さであると聞いたことがあるが、長い年月で信や誠とともに劣化してしまったのか。日本の百年企業の看板も泣いていよう。