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今日の筆洗

2021年07月01日 | Weblog
 バブルの崩壊を知る人には、共通する思いかもしれない。見聞きするたびに、ちょっとした胸騒ぎを感じる言葉に「バブル方式」がある。東京五輪で新型コロナウイルス感染を抑えるため、バブル(泡)で覆うように選手らと外部との接触を絶つやり方である▼「泡」ははかない物事のたとえでもあり、枕詞(まくらことば)の「泡沫(うたかた)の」は「消ゆ」や「憂き」にかかる。崩壊しそうな趣が付きまとうが、英語のバブルには、「防衛、監視区域」の意味がある。由来はこちらだろう。米国で昨年、バスケットボールなどのプロスポーツが効果を上げた方式という▼バブルのはかなさや憂いの方を思わせて、東京五輪の不安のひとつを大きくするような事態が、ブラジルで起きている。サッカー南米選手権だ。泡に穴があったらしい。選手、スタッフら内側の感染が百件をこえ、ゴールより多いと報じられる▼ブラジルの感染の状況や主催者のやり方の問題もあろうが、参加国の多さや変異株の存在という先例になかった事情も見逃せない。観客を入れて開催している欧州選手権では、観客に感染例が出ているらしい▼気になる事態である。サッカーの国際大会をこえる規模の東京五輪は、観客ありの開催に向かう。ウガンダ選手団の来日では、いきなり水際対策の甘さが明らかになったが▼このままなら、「不安を感じる」が枕詞の五輪にならないか。