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今日の筆洗

2017年10月18日 | Weblog
第三次世界大戦後の世界を描いた英作家、ネビル・シュートの小説「渚(なぎさ)にて」。グレゴリー・ペック主演の映画をご覧になった人もいるか。こんな場面がある▼核攻撃によって北半球は壊滅したと思われたが、たまたま海底で難を逃れた原子力潜水艦が北半球から出ている電波を捉える。生存者か。潜水艦は電波を追いかけ、発信源にたどり着く。電波を出していたのはコカ・コーラの空き瓶。カーテンにくくりつけられた瓶が風に揺られモールス信号の機械をたたいていた-▼同じ発信源を追い求める話でもこっちは核戦争と絶望の空き瓶ではなく、天文学に新たな地平を開く歓喜の物語である。欧米の国際研究グループが一億三千万光年のかなたの重力波を観測し、その源が二つの高密度の天体「中性子星」合体だったことを捉えた▼観測の過程が画期的で聞いていてわくわくする。欧米の重力波望遠鏡が重力波を検出。その知らせに日本を含めた世界各国約七十の天文台が重力波の出元に望遠鏡をこぞって向けて、観測した▼「重力波が来たぞ」の半鐘を合図に人類全体の目が宇宙の一点に注がれ、同じ光(電磁波)を見た▼ノーベル賞に輝いた初の重力波の直接検出から、わずか二年でここまできたか。宇宙の謎に挑む人類の長い旅は重力波という「波」と争いなど無縁な連携、協力という「風」に乗って順調そうである。

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