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今日の筆洗

2024年08月17日 | Weblog
 江崎グリコの「プッチンプリン」。容器を伏せつまみをプッチンと折り、プリンがプルンと皿に載るのを初めて見た幼少期の興奮は忘れ難い▼会社ウェブサイトにある漫画『開発物語』によると、誕生は1970年代。カラーテレビの普及期で、CMの費用は莫大(ばくだい)だったが、プルンと皿に載るさまをお茶の間に流せば売れると踏み切った▼販売の主戦場がスーパーになると小型の品を出した。夕食の材料を主目的に来る主婦に、夕食前の子のおやつには大きいと嫌われないため。コンビニが増えると大きめの品を揃(そろ)え、店によく来る若い男性に売れた▼時代に応じ決断や工夫を重ねた人気商品の試練である。システム障害で在庫管理に支障が起き4月からプッチンプリンや「カフェオーレ」などが出荷停止に。1~6月期の会社の純利益は前年同期から半減した▼各種プッチンプリンなどの出荷は最近、順次再開されたが、約4カ月も店の棚から人気商品が消える事態になるとは、デジタル時代は恐ろしいものだ。グリコは再発防止と他社製品に奪われた棚の奪還に努めるという▼先の『開発物語』はこう言う。「味や風味は守りつつ、時には大胆な改革・手法で定番デザートとしての確固たる地位を築き上げてきた! そう、この挑戦に終わりはない!」。地位はたゆまぬ努力なしには守れない。味と違って戦いは甘くないのだろう。