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今日の筆洗

2017年10月19日 | Weblog

「怪物」の息の根を止めた。戦いに勝利した人びとはようやく訪れた平和に手を取り合って喜ぶ。ところが、である。「怪物」は密(ひそ)かに「卵」を残していた。誰もそれに気がつかぬ。観客がエッと驚いているところでエンドマークが出る▼こういうひねった終わり方をする映画はホラーなどによくあるが、観(み)ている方は落ち着かぬ。その物語は終わっていないではないか。もしも、その「卵」が孵化(ふか)すれば…▼新聞の見出しを見て、同じモヤモヤを覚える。「IS事実上崩壊」。過激派組織「イスラム国」(IS)が「首都」と称していたシリア北部ラッカが民兵組織シリア民主軍によって解放された。民主軍兵士の歓喜のVサインを掲げる写真がある。しかし、テロで世界を震わせたISとの戦いは国際社会の勝利で終わったのか▼無論そうではあるまい。最高指導者、アブバクル・バグダディ容疑者ら幹部の行方はつかめない。何よりも、テロの「卵」を抱えた人間は世界中に散らばったままである▼最近のパリでのテロ事件などを分析したジル・ケペル氏の『グローバル・ジハードのパラダイム』(新評論)は嫌イスラムへの反発や社会への不満、差別によって若者がテロに走る過程をあぶり出す▼テロの「卵」を温め、孵(かえ)すものが社会の中にある。それを突きとめ、取り除かぬ限り、「エンドマーク」はいつまでも現れまい。


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