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今日の筆洗

2019年06月20日 | Weblog

波をかつて海嘯(かいしょう)と言った。「嘯」の訓は「嘯(うそぶ)く」。豪語するのほかに猛獣などがほえる、うなるという意味がある。海のうなりであろう▼明治三陸地震津波が起きた際、犠牲者二万人超という衝撃的な被害に、多くの人が打ちのめされた。義援金を募るための雑誌の増刊号の一文に編集者坪谷水哉(つぼやすいさい)の深い嘆きが残っている。<海、汝(なんじ)は如何(いか)なる口にて嘯きしか>(坪内祐三編『明治二十九年の大津波』)。坪谷は海嘯の由来も記した。<天に口なし海をして叫ばしむ>。天が海を通じて叫んでいると▼チャイム音と津波注意報を示す地図が映し出されていた。テレビの速報を見ながら、海がほえ、うなった東日本大震災の大津波の恐怖を想像した人は多いだろう。一昨日夜の地震である。山形県沖を震源に、最大震度6強だった。重傷者が複数出ていて、家屋なども被害を受けている▼新潟県の離島、粟島では、島民らがいち早く避難したという。JR羽越線でも、緊急停車した列車の乗客らが、高台に速やかに避難している。さいわいにして、津波自体の規模は大きくなかった。天の警告を素早く感じ取る人たちが、増えていようか▼あの大津波の後も、長い間を置かずに、津波が襲ってくる列島である。当然のことながら、元号が変わろうとも不変である▼これからも来る。うなった海から読み取るべきメッセージでもあろう。

 
 

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