江戸時代の敵討ちにも規則があって敵討ちへの敵討ちは認められない。敵討ちによって親を殺されても、その子は親をあやめた者を討つことは許されなかったそうだ▼知恵なのだろう。永遠に続きかねない報復の連鎖をこうして食い止める。こんな話を持ち出しても、詮ないことは承知しているが、報復の連鎖を恐れるイランと米国の緊張である。イランは八日、米軍が駐留するイラク国内の基地に向けて複数の弾道ミサイルを発射した▼作戦名の「殉教者ソレイマニ」を見れば国民に愛されたイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を米軍によって殺害されたことへの報復であることは間違いない▼ミサイル発射は無論、非難されるべきだが、問題は今後の米国の出方である。再び報復となれば、待っているのは底なしの泥沼だろう▼幸い、米側の死者は今のところ確認されていない。発射についてイランのザリフ外相が「(司令官殺害に)見合った自衛の措置を取った」とツイッターで述べている。今回の発射で報復の帳尻が合ったと言っているようにも聞こえ、イランはこれ以上、事態をエスカレートさせる気はないようである▼株安、原油高など世界への悪影響も既に出ている。そもそも、必要があったかどうかが米国内外で疑われている司令官殺害である。米国が準備すべきは再びの報復ではなく、話し合いのテーブルである。
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