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今日の筆洗

2020年01月08日 | Weblog

 昭和の二匹の「怪獣」のことがふと頭に浮かんだ。「ウルトラマン」の「ヒドラ」(一九六六年)。確か、ウルトラマンはヒドラを哀れんでスペシウム光線を発射しなかったっけ▼もう一匹は「宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン」の「クルマニクラス」(七一年)。二匹の共通点が即座にひらめく人はかつての怪獣少年だろう。キーワードは交通事故。いずれも交通事故に巻き込まれた少年の「怒り」が形となって生み出された怪獣で、自動車を敵と暴れ回った。急速なモータリゼーションによって交通事故が多発した当時の社会にあって、その批判や警告として、二匹の怪獣は描かれたのであろう▼警察庁の最近の発表によれば、昨年一年間の全国の交通事故による死者は三千二百十五人で過去最少を三年連続で更新したそうだ▼過去最悪は七〇年の一万六千七百六十五人というからあの怪獣の時代である。交通事故死という怪獣と約半世紀かけて闘い、八割方までやっつけたという計算になる▼シートベルトの着用や自動ブレーキなどの新技術などが効果を上げているのだろう。それ自体は喜ばしいが、忘れてはならないのは完全に退治したわけではないことだ▼減ったとはいえ、なお、年間三千人を超える方が亡くなっている事実。油断し、対策の手を緩めれば、おとなしくなった怪獣も息を吹き返しかねない。とどめを刺したい。

 
 

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