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今日の筆洗

2020年01月16日 | Weblog

元南海ホークスの野村克也さんによれば昭和三十、四十年代のプロ野球では相手チームのサインを盗む行為が横行していたそうだ▼こんな手口。中堅方向の観客席に潜んだ職員が望遠鏡で捕手のサインをのぞき、解読。これをなんらかの方法でベンチに伝え、控えの選手が打者に教える▼あまりにもこれをやられるので腹を立てた野村さん、同じ方法で仕返しすることを考えるが、あえなく失敗する。当時の本拠地大阪球場の照明は暗く、外野席からでは望遠鏡でも複雑なサインはよく見えなかったそうだ▼約半世紀後のサイン盗みの方法も同じだった。大リーグのヒューストン・アストロズの不祥事。米大リーグ機構はアストロズが二〇一七年から一八年の間にサイン盗みを行っていたとして、監督とゼネラルマネジャーを今季終了まで職務停止処分にすると発表した。加えて、罰金約五億五千万円、今年と来年のドラフト一、二巡目の指名権剥奪とは重い処分である。一七年のワールドシリーズ初制覇が泣く▼やはり外野のビデオカメラで捕手のサインを盗み、打者に伝えていた。野村さんは球種を伝えるため、打者に受信機を付けたこともあるそうだが、アストロズはベンチ脇のドラム缶をたたく回数で球種を教えていた▼投げ、打ち、走る。単純で美しいゲームがずるい行為に汚された。怒りのファンはドラム缶をけり飛ばす。

 
 

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