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今日の筆洗

2017年02月16日 | Weblog

 サスペンス映画の巨匠、アルフレド・ヒチコック監督はサスペンス映画と恐怖映画の違いをこう説明している。薄暗い灯火の下、寂しい路地を男が歩いている。すると、黒いものが突然ぬっと現れる。これが恐怖映画の手法だという▼対するサスペンス映画はどうか。同じ状況で男が歩いている。どこからともなく、足音が聞こえる。男はおやと思い、やがて、不安になる。足を止める。足音は消える。足を速める。すると足音も速まり、夜の闇から響いてくる▼空港。忍び寄る暗殺者。毒物。義理の兄弟。現実の出来事にもかかわらず、手口や状況から、サスペンス映画でも見ているような気にさせられた方もいるだろう。北朝鮮の故金正日総書記の長男、金正男氏がクアラルンプールで殺害された▼異母弟の金正恩朝鮮労働党委員長の指示による暗殺ではないかとの見方が強まっている。五年ほど前から暗殺を試みる動きがあったとされる。自分と家族を助ける手紙を正恩氏に出したとも伝わる。正男氏にとっては、突然、黒いものがぬっと現れる「恐怖」と足音におびえる日々だったかもしれぬ▼権力の世襲を批判した正男氏の丸い顔を思い浮かべ、あわれな最期にこの一家に生まれさえしなければと、想像もする▼暗殺だとすれば、安直で冷酷なシナリオである。国際社会という観客は目をそむけ、書いた人間を軽蔑する。