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今日の筆洗

2017年02月20日 | Weblog

 <ぜにのないやつぁ俺んとこへ来い 俺もないけど心配すんな>。クレージーキャッツの植木等さんが歌った「だまって俺について来い」(作詞・青島幸男さん、作曲・萩原哲晶さん)は一九六四(昭和三十九)年発表というから高度成長期のまっただ中である▼俺んとこへと胸をたたいておきながら、自分もからっけつ。それでも<そのうちなんとかなるだろう>と陽気に未来を信じられた時代だったか▼あのころよりは格段に豊かである。それどころかお大尽は急速に増えている。野村総合研究所の調査によると二〇一五年に一億円以上の金融資産を持っていた富裕層は百二十一万七千世帯。「アベノミクス」以前の一一年に比べ約50%増という▼放置できぬのは富の集中と格差である。最新刊「世界がもし100人の村だったら お金篇」(マガジンハウス)によれば「100人の村では1人の大金持ちの富と99人の富がだいたい同じです」。日本も例外ではなく、全体の資産の二割を約2%の富裕層世帯が持つまでになった▼あの時代に描いた夢はいびつな貧富の二極化ではなく、国民全体が手を取り合い豊かになることだろう。夢を取り戻し、富を上手に分配する仕組みが必要である▼富める人間や企業から貧しき人間にもやがて富がしたたり落ちる。その呪文を唱え続ける人の<そのうちなんとか>はもう当てにできぬ。