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今日の筆洗

2017年02月06日 | Weblog

  作家たちが司法解剖を見学する機会があったそうだ。松本清張さんは死体に自分の長い髪がかかるほど熱心にのぞき込む。遠藤周作さんは「おまえら残酷やな。人間性にかけとるぜ」と解剖室を出ていく。吉行淳之介さんは最初から解剖室には行かないで、控室にとどまりウイスキーをずっと飲んでいたという▼解剖室での反応に作家の特性が出ていると、やはりその場にいた作家が語っている。亡くなった三浦朱門さんである▼こう続けている。「私は解剖室のすみで、そういうみんなを観察していた」。三浦さんの説でいえば、やや離れた場所で人間たちをそっと見守る態度の中に、自分の作家としての特性を見いだしていたのだろう▼三浦さんたち「第三の新人」といえば、落第生、劣等生の悲哀やユーモアを思い浮かべるが、落第生を公言していた安岡章太郎さんの本当の成績はかなり良かったと聞く▼優等生の印象が強い、三浦さんにも似たところがあるようで「自分は学校で三番目の不良だった」とこだわって書いているのがおかしいが、成績だけでは人を測ることはできないという思いは後年のゆとり教育の推進にもつながったか▼若い時、吉行さんがこう言ったそうだ。「おまえは病気とは無縁な顔だ。おれが死に仲間が死んでいくと、おまえだけが弔辞を読むんだろうな」。そうなった。九十一歳の「新人」が逝く。