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今日の筆洗

2016年10月03日 | Weblog

 クラシック音楽のコンサートや演劇などで演奏、上演が終わるやいなや、ブラボーと叫ぶ方がときどきいらっしゃる。だいたいは男性なので「ブラボーおじさん」と呼ばれている▼心からの感動を抑え切れず、思わず知らず「ブラボー」との声が出てしまったのならば仕方がない。されど、人の楽しみ方はそれぞれで心静かに演奏後の余韻に浸っていたい方は、大騒ぎの「ブラボーおじさん」が苦手かもしれぬ▼どうも「ブラボーおじさん」と安倍首相が重なる騒動である。首相が衆院本会議で自衛隊員や警察官らに対し「心から敬意を表そうではありませんか」と呼びかけ、自民党議員が一斉に起立して拍手した▼米大統領の演説などではおなじみとはいえ、日本ではあまりお目にかからぬ光景に、一種の心地悪さを覚えた方も少なからずいるか▼災害救助など危険な自衛隊員らの任務に対し、国民の大部分は敬意も感謝の念も持っているだろう。しかしその示し方は人それぞれであって国会での出来事とはいえ、あれを見た国民は、自分も拍手を強制されているような気にもなる。強い違和感の理由はそれであろう▼日本で拍手が当たり前になったのは明治期と聞く。拍手せずとも心の中で静かに手を合わせて、気持ちを表す人もいる。拍手しない人を冷たい目で見るような大げさな「ブラボー」は日本人にはあまり似合わぬ。