日経土曜版で大きな紹介記事が出ましたのでご記憶の方も多いと思います。
私は前回訪問時にこのフライヤーと、係の人の言葉に出さないけど“絶対来るのお勧め”的な視線を感じて訪問は決めていました。
鼎さんが奥さんをモデルに描いた、は火を見るより明らかなんですが、それにしても大正期(かな?)に鮮やかな色彩とアヴァンギャルドな世界観が凄いな、は間違いない。
そして今回の夫妻の包括的な足跡を追ってくれた展示によって、さらに一歩進んでいる彼らを知ることが出来ました。
学生時代の作品群から始まる展示は、須美子さんと結婚してパリに渡ってからぐんぐんと変わっていきます。
先ず彼が主戦場としていた静物画が変わった、と本人が言っていますが、
私的には素材のディテールに拘らずその特徴を捉えることに注力。
そして、遠近法を無視したような平板な表現がややインバランスで逆に絵に惹きつけられる。
フライヤーの須美子さん、展示ではかなりの数赤いドレスをきた彼女の色んなアングル、手法による作品が並んでいて面白い。
キスリングの名が出てそうか⁉️と思いましたが、その当時のパリはエコール・ド・パリの時代。モディリアーニもそうですが、女性像を描くに顔の左右が非対称。目の視線も定まらぬ作風に“ふむ?”と思っていたのですが、板倉さんもその隆盛に合わせていたのか、それが大変面白かった…
途中の部屋のみ撮影可でしたので、その辺ご確認下さい:
私の考えるに、パリで評価されれば世界の評価になる、という鼎さんの言葉が残っていますが、当時のパリは国際的な出自を持ったアーティストに対して寛容。
穿った見方ですが“乳白色の藤田嗣治”のようなキャッチを赤い色の服装で確立したかったプロデュース能力を垣間見た気がしました。
さて、新婚時代ハワイ、アメリカ大陸を通って長期のハネムーンに出かけた夫妻、その須美子さんがパリに着いてからかな?「ベル・ホノルル」というシリーズの油絵を残していて、その展示もありました:
実はここまで来て、私は彼らの企画展に訪問したことがある💦と気付きました:
目黒区美術館「蘇る画家 板倉鼎・須美子展」 ぐるっと2017Part1Vol6 - シモキタのtokyoboy
もう7年前にも学芸員の方は気が付いていたんですね…
さて会場後半は石井光楓さんという板倉さんと同時代にパリに留学し、
帰国後は団体に属し作品を公開しつつ千葉県の公立高校で美術の先生もされていた方の特集。
この方は旧制中学時代の私の先輩でもありました…
正直水彩中心の作品群に目新しいところなく、藤田嗣治とパリのカフェで写真に一緒に写っているところがインパクト大でしたが、展示の誘導されるままに作品を撮ってきましたのでアーカイブ:
最後に寄った常設の中から、珍しく渓斎英泉さんの絵に惹きつけられた私の当日の心の中をアーカイブ。お分かりになりますか?
鶯谷駅近く、根岸にあった豆腐料理の名店「笹の雪」を画材として取り上げているんです。
本ブログでは閉業した後の跡地にアパートが建設中のリポートしていますが、今回調べると、今夏本ブログでお馴染みの書道博物館前、「(正岡)子規庵」の横に再オープンする計画だそうです⁉️
さて7年前の企画展訪問時の感想とあまり私は変わっていないなあ、と思った今回の入場料は1,200円。これが半額割引となって、ぐるっとパス効果は計25,320円となりました。
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